ディスクリート

ディスクリートとは

ディスクリート

ディスクリート(Discrete)は半導体製品の一種です。個別半導体とも呼ばれ、1チップに単独の機能が実装された半導体です。

ディスクリートには、ダイオード、トランジスタ、サイリスタなど、さまざまな種類があります。また、複数のディスクリートチップを組み合わせて1個のパッケージに搭載したモジュールも、ディスクリートに分類されます。

一方、単一機能のディスクリートに対して、複数の半導体素子を1チップ上に搭載し、演算・記憶などの複数の機能を実装した半導体製品は、集積回路(IC:Integrated Circuit)と呼ばれます。

ディスクリートの使用用途

ディスクリートにはさまざまな種類があり、それぞれが幅広い分野で使用されています。

発光ダイオードなどの発光素子は照明、ディスプレイ、電子機器などのバックライト、リモコンなど、フォトダイオードフォトトランジスタなどの受光素子は光通信システム、分光器、自動ドア、センサーなどに使われます。

ダイオード、トランジスタ、サイリスタなどのパワー半導体は電流制御・電力制御を行い、通信機器やOA機器の電源、通信基地局・データセンターの電力制御、発電所のパワーコンディショナ、鉄道の駆動システム・車両制御システム、電気自動車(EV)の車載電源・充電器などに使われます。

ディスクリートの原理

主なディスクリート半導体の動作原理は次のとおりです。

  • ダイオード:ダイオードは電流を一方向にだけ流す素子です。

N型半導体とP型半導体を接合したPN型ダイオードがよく使われます。P側にプラス、N側にマイナスの順電圧を印加すると、N側から余っている自由電子がP側に移動し、P側からは正孔がN側に移動して、接合面で結合し消滅します。

このとき、電源からN側に電子が供給され、P側からは電子が流出し、P側からN側へ電流が流れます。P側にマイナス、N側にプラスの逆電圧を印加すると、自由電子も正孔も接合面とは反対側に移動するため、電流は流れません。

  • トランジスタ:トランジスタはスイッチング機能を持つ素子で、NPN(Nチャネル)型とPNP(Pチャネル)型の2種類あります。

Nチャネル型の場合、P層と絶縁層を介して接続されたゲートGとソースSとの間にしきい電圧以上の電圧を印加すると、P層がNに反転し、NPN構造からNNN構造になって電流が流れます。

  • サイリスタ:サイリスタは整流機能を持つ素子で、PNPN4層構造をしています。

ゲートにトリガ信号を入力し、アノードとカソードの間に順電圧を印加するとサイリスタはオン状態になり、一度オン状態になるとゲート信号がなくなっても電流は流れ続けます。アノード・カソード間に逆電圧を印加するとサイリスタはオフ状態になります。

この原理を利用して、アノード・カソード間に交流電流を流して、交流サイクルの半分だけ電力供給を行う動作を実現しています。

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