ウォームギア

ウォームギアとは

ウォームギアの概要

ウォームギア (英: Worm Gear) とは、ねじ状の歯付きシャフトのウォーム (ウォームシャフト) と、ウォームの軸方向と90度方向が回転軸となる斜歯歯車 (はすば歯車) の「ウォームホイール」とで構成されたねじ歯車の一種です。

ウォームが回転することで、ウォームに噛み合うウォームホイールの歯を送り、ウォームホイールを回転させる機構のことをウォームギアと呼びます。ウォームギアは、ウォームからウォームホイールへ回転を伝達しますが、逆にウォームホイールからウォームへ回転を伝達できません。

このように出力軸側からは回転できないことをセルフロック (自動しまり) と言います。したがって、必ずウォーム側が入力軸側になり、動力装置が取り付けられ、ウォームホイール側は出力軸側となり、動力を伝達する装置を取り付けます。この特徴から、ウォームギアは減速装置に使用される場合が多いです。

ウォームギアの使用用途

ウォームギアは軸方向を90度変えて動力を伝達し、小型で大きな減速比を得ることができることから、工場設備のベルトコンベア、スクリュージャッキ、自動車のハンドルのステアリングシステム、ワイパーの駆動装置、扇風機の首振り機構、食品製造装置の材料投入部分、オルゴール、弦楽器のペグなど、さまざまな分野で使用されています。

また、ウォームギアのセルフロック機能を活用した例として、エレベータやエスカレータの減速装置があります。ウォームギアが逆転しない現象を利用することによって、安全装置としての機能を持たせることが可能です。

ウォームギアの原理

ウォームギアの原理は、ウォームが (入力側) が1回転すると、ウォームホイールが1歯分回転します。この場合のウォームの条数 (歯数) を1条と言います。ウォーム2条の場合は、ウォーム1回転でウォームホイールが2歯分回転します。

ウォームギアの減速比は下記によって求めることができます。

   減速比 = ウォームホイールの歯数 ÷ ウォームの条数

また、ウォームギアの回転方向は、双方向 (例えば入力軸側から見て時計方法、反時計方向) 回転が可能です。これはウォームのねじれ方向を右ねじれ、左ねじれで選択することで実現できます。

ウォームギアの特徴

ウォームギアの特徴は下記の通りです。

  • 入力側と出力側で軸方向を直交させることができる (逆に言うと同軸方向には動力伝達できない) 
  • 大きな減速比が得られる (例: 1/10~1/100など) 
  • バックラッシュ (歯車間の隙間、あそび) が少ない。そのため、歯の噛み合いがよく、嚙み合い音も小さい。
  • 小さな入力トルクから、大きな出力トルクが得られる。
  • セルフロック現象が発生する。出力軸側から入力軸を回すことができないため、エレベーターなど落下事故などの発生を防ぐための逆転防止歯車機構としても利用される。
  • ウォームギアでは特に大きな減速比を得ることができため、小さな入力トルクで減速させることができる。結果的に減速機などは、比較的小型省スペースな設計が可能です。

上記のようなメリットに対して、歯車間の滑りが大きいため摩擦による熱が発生し焼き付きを起こしやく、歯車が摩耗しやすくいなどのデメリットもあります。歯車間の潤滑が重要で、耐極圧性の高い潤滑剤を使用する必要があります。

ウォームギアのその他情報

ウォームギアの材質

一般的なウォームギアの材質は下記の通りです。

  • ウォーム
    炭素鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼で歯面に熱処理等を施し硬度を上げ、歯面を研磨して耐摩耗性を向上させています。
  • ウォームホイール
    銅合金鋼などウォームより摩耗しやすい材質を使用して、焼き付き防止をするのが一般的です。他にはALBEC (アルミニウム青銅)  や、POM (ポリアセタール樹脂) など、耐摩耗性の高いエンジニアリングプラスチックも使用されます。

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