ボールバルブ

ボールバルブとは

ボールバルブ

ボールバルブ (英: Ball Valve) とは、弁体は球状 (ボール形)で中央に穴あけされ、ボディ (弁箱) 内のシート (弁座) に挟まれ組み込まれているバルブです。

液体や気体などの流体を、弁体のボールを90 度回転させることで、流体を遮断して流路を閉止します。ボールバルブは、JIS B0100 バルブ用語 Glossary of terms for valves で、「弁箱内で弁棒を軸として球状の弁体が回転するバルブの総称。弁体には、全面球及び半面球がある。」と規定されています。

開弁時に弁体のボールが流路に残らないため圧力損失が小さく、流量調節での使用はせず全開・全閉で使用されます。

ボールバルブの使用用途

ボールバルブ_図1

図1. ボールバルブの使用例

ボールバルブは、操作が容易でシンプルな構造でコンパクトなため、家庭用、一般産業用、など幅広く使用されています。一般的にボールバルブは、ボールの中間位置の開度で使用すると、ボディ (弁体) とボール (弁体) の間に流体が溜まるため、全開もしくは全閉で使用します。したがって、止弁として遮断目的で使用されるバルブです。

ボールバルブのボール (弁体) は、ステム (弁軸) に取り付けられたハンドルを90度回すことで、開弁・閉弁ができるため、操作性に優れ操作時間が短いという長所があります。また、開弁中にボールが流路に残らないので、圧力損失が小さくなります。

流路に段差などが少なく、スラリーや固形物を含む流体の配管にも使用可能です。スラリーとは、固体と液体との混合物で、細かく粉砕した石炭や鉱石などと水を混ぜて泥状にして、搬送するために使用します。

ボールバルブの原理

ボールバルブ_図2

図2. ボールバルブの開閉弁状態と流体の流れ

ボールバルブは、ボディ (弁箱) 内部のボール (弁体) とシート (弁座) の面接触で、流体を閉止しています。この状態でボールの穴中心は、ボディ開口部中心に対して90度に位置しています。ボールを90 度回転させると、ボールの穴中心はボディ開口部中心と同芯になり、流体が流れる仕組みです。

この開閉操作に必要な力は、ボールの球面とシートとの摩擦抵抗に比例します。バルブ呼び径が大きくなるほど開閉操作に必要な力も増加します。したがって、呼び径の大きいバルブはギヤ操作機 (減速機) を搭載した回転ハンドルを採用されています。

ボールバルブは、ボディ内部と出入口配管の流路面積に差が少ない、フルボアポートバルブも多く、流路はほぼ直線のため、全開時の圧力損失が極めて小さいことが特長です。

ボールバルブの構造

ボールバルブ_図3

図3. ボールバルブの構造

ボールバルブは主に、ボディ (弁箱) 、ディスク (弁体) 、ステム (弁軸) 、ハンドルなどで構成されています。ボールバルブは、ハンドルまたはアクチュエータによって操作されます。

ハンドルはステムに取り付けられ、回転をステムに伝達するのが役割です。開弁時はハンドルの回転でボールが90度回転し、閉弁時はボールが逆回転します。

ボールバルブの種類

1. 開閉操作方式による分類

ボールバルブ_図4

図4. ボールバルブの操作・駆動方式

ボールバルブは、主に下記3種類の開閉させるための操作・駆動方式があります。

  • 手動式
    ハンドルなどでステムを回転
  • 空動式
    空気作動式アクチュエータでステムを回転
  • 電動式
    電動アクチュエータでステムを回転

2. ボア形状による分類

ボールバルブは、下記の3種類のボア形状があります。ボアとは、ボディ内の流路内径です。

  • スタンダードボア
    バルブの呼び径 (配管内径) に対してボア径が1サイズ小さい
  • レデューストボア
    バルブの呼び径 (配管内径) に対してボア径が1サイズ以上小さい
  • フルボア
    バルブの呼び径 (配管内径) とボア径がほぼ同じ

3. ボールの支持方法による分類

ボールバルブ_図5

図5. ボールの支持方法

ボールバルブは、下記2種類の回転するボールの支持方法があります。

フローティング式 (遊動ボール形)
フローティング式は、ボディ内部に取り付けられたシートで、ボール挟み込み支持する構造です。ボールの溝にステム角型端部がはまり込み、ボールを回転させます。

ボールの溝は、全閉時に流体流れ方向と平行となり、ボールがわずかにスライドして、流体圧力でシールに押し付けられ密閉性を確保します。低圧 (~JIS20K、CL300) 、小口径 (~DN200) に使用されるのが一般的です。

トラニオン式 (固定ボール形)
トラニオン式は、ボール上部はステム (弁軸) 、下部はトラニオン (回転軸) で支持され回転する構造です。ボールの上下を回転軸に支えられ、流体圧力の影響を受けにくく、シートはシートホルダに内蔵されたばねに押され、ボールに接触して密閉します。高圧 (JIS30K、CL600以上) 、大口径 (DN250以上) に使用されるのが一般的です。

4. ボディの材質による分類

  • ねずみ鋳鉄品 JIS G5501 FC200
  • 球状黒鉛鋳鉄品 JIS G5502 FCD400
  • 圧力容器用炭素鋼鍛鋼品 JIS G3202 SFVC 2A
  • 高温高圧鋳鋼品 JIS G5151 SCPH2、SCPH21
  • ステンレス鋼鋳鋼品 JIS G5121 SCS13A、SCS14A
  • 銅及び銅合金鋳物 JIS H5120 CAC401 青銅鋳物1種
  • 銅及び銅合金の棒 JIS H3250 C3771 鍛造用黄銅

ボディ材質は、下記のような要件に基づき選定します。詳細は各メーカのカタログ等を参照してください。

  • 流体の種類、圧力、温度、流速、不純物の有無
  • 耐食性対応の要否
  • 適用される法規、規格

5. シートの材質による分類

一般的にボールバルブのシートは、樹脂や炭素繊維製のソフトシールと金属製のメタルシートがあります。

ソフトシール
PTFE (テフロン) やPTFEにカーボン系剤など充填したものがあります。最高使用温度は、PTFE単体で約150℃、PTFEにカーボン系剤など充填したもので約300℃になります。

PTFE製のシートは、耐薬品性と摩擦抵抗が小さく操作性に優れていることが特長です。また、炭素繊維素静のシートがあり、最高使用温度は約500℃になります。

メタルシート
炭素鋼やステンレス鋼素材に、シートのボール接触面に高硬度ニッケル合金を溶射しています。この場合は、ボール方面も同じ溶射を施工しています。

メタルシートは、最高使用温度は約500℃までで、ソフトシートでは対応が困難な高温流体、粉体、スラリー、粘性流体に適用します。

参考文献
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/type_ballvalve.html

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