熱カシメとは
熱カシメとは、圧着したい2つの工作物を上下から挟んで接触部を加圧する加工方法です。
加圧部分には電極 (チップ) を当てながら電気を流して熱を発生させるか、その他の方法で熱を発生させてワークを溶かし接合させます。
熱カシメの種類
熱カシメの種類にはいろいろな加熱方式があり様々な方法が提案されています。
1. インパルスウェルダー
インパルスウェルダーとは、点溶接機 (熱カシメ) 機とも呼ばれ、電流を流すと電極部分の抵抗体が発熱する方式です。 発熱した抵抗体は300℃以上に加熱されて工作物を溶かし、その後冷えた空気を吹きかけ直て室温まで戻します。
具体例としては、熱可塑性樹脂の円筒状先端部を高温溶解した後に圧接し、その後冷却用空気を当てて瞬時に冷やすものです。 特に、ネジ止めが難しい場所や、隙間があまりない場所で樹脂接合を行う場合に使用されます。
この装置は、パルス電源で電流のON/OFFをするため微妙な加熱調整ができ、樹脂加熱時の糸引きを抑えて綺麗な仕上りを実現できます。
ある装置では多点の溶着チップとパルス制御を用いて、多点ワークの同時加熱を行えます。 さらにパルス方式は短時間で電流をON/OFFするため、電力消費は低く抑えられます。 また、高温のチップ部は瞬時に空気冷却されるため、火傷を防ぎ安全に作業できます。
インパルスウェルダーの使用用途は下記の4つです。
- プラスチック同士の溶着 (特に熱可塑性樹脂)
- プラスチックと金属の溶着
- 金属と金属の溶着 (特に金属板同士の組み合わせ)
- リード線、リッツ線、マグネットワイヤーの溶着 (ヒュージング)
2. 超音波ウェルダー
超音波を発するホーンをワークに押し当て、溶着を行う部位に超音波を集中させます。 ホーンは超音波により高速振動し、プラスチック部分はその振動に伴う摩擦熱で溶け出します。 溶着後すぐに振動を止めると、摩擦熱は無くなるため温度が瞬時に下がり固着されます。
この工法はプラスチックを接着剤やビスを用いない接合方法として開発され普及しました。 そして、プラスチック同士やプラスチックと金属板等の溶着固定にも使用されています。
超音波ウェルダーの使用用途は下記の通りです。
- プラスチックパーツと金属パーツ
- プラスチック同士の溶着 (ガスライター、電源アダプター、金属の端子配線部、ICチップ内の金属配線)
3. 赤外線ウェルダー
C.I.T (英: Contoured Infrared Technology) は、起伏のある部材を赤外線で加熱溶着する工法です。 エミッタと呼ばれる赤外線を放射する部分とワークは、数mm以上の間隔を保ち完全に非接触状態になります。
エミッタ部から放射された赤外線は、ワーク表面とその内部まで加熱するため樹脂深くまで溶解し溶融層を厚くすることが可能です。 そのため、ワーク同士の接合強度は他の工法より強くなります。
赤外線ウェルダーの使用用途は下記の通りです。
- 衝撃や熱に弱い電子部品を表面実装したPCB
- 多数の部品を実装した基板の一括カシメ
- 高さが異なるカシメ部を含むコンポジット部品