多芯ケーブル

多芯ケーブルとは

多芯ケーブル

多芯ケーブルとは、内部芯線が2本以上存在するケーブルのことです。

信号配線用と電力供給用のどちらの用途でも使用されます。家庭用等の雑電力には、単相の回路が多いです。従って、2本のケーブルまたは、アースを含めた3本のケーブルで電力を供給します。産業における電力供給用としては三相回路が使用されるため、3本またはアースを含めた4本の多芯ケーブルが使用されます。

信号用ケーブルには、4本以上の内部芯線を有する多芯ケーブルが使用されることも多いです。電話線用の場合は、内部芯線が100本以上の多芯ケーブルが使用される場合もあります。ノイズに弱い微弱電流信号の伝送用には、シールドと呼ばれる導電層を施して対策することもあります。

多芯ケーブルの使用用途

多芯ケーブルは、電動機器を動かす際には必ずと言って良いほど使用されています。また、家庭用エアコン等にも使用され、世に広く使用されているる部品の一つです。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 家庭用エアコンの電源配線用
  • 産業用ポンプの電源配線用
  • シーケンサへの入力配線用
  • 分散型制御システムへの入力配線用

電気回路は片端を接地して使用する場合を除いて、往路と復路が必要です。したがって、2本以上の多芯線が多く使用されます。

大型の産業設備では、リミットスイッチなどのセンサが多数使用されます。1つのセンサは2本程度の芯線で信号を発信しますが、機械近傍に端子盤を設置して数十芯の多芯ケーブルで制御装置へまとめて伝送することで、工数を削減するような使い方がされています。

多芯ケーブルの原理

多芯ケーブルはシース、導体、絶縁被覆、介在物などで構成されます。

1. シース

シースはケーブルを保護する外皮です。ゴムやポリエチレンなどの頑丈な絶縁物が使用されます。日光や雨水などの外部環境からケーブルの芯線を保護する目的で設けられた部材です。また、シールドケーブルの場合はシースと芯線の間に銅テープなどの金属遮蔽を施されます。なおシースは英語でsheathと表記され、鞘などの覆いを指す言葉です。

2. 導体

導体は電気の通り道となる金属部分です。電気抵抗が低く値段も銀などに比べて安価なが使用されます。金属の中では柔らかく、曲げやすい点も銅のメリットです。導体は単線構造とする場合と撚線構造とする場合があります。

LANケーブルでは単線構造とする場合がありますが、多芯ケーブルではほとんどの場合撚線構造が採用されます。撚線構造とは複数の細い導体を撚り合わせて芯線を構成する構造で、可撓性が高いという点がメリットです。

3. 絶縁被覆

絶縁被覆は導体を絶縁する被膜のことです。ほとんどの場合は、ビニルなどが使用されます。絶縁被覆は接続時の誤配線防止を目的に着色されたり、芯線番号が印字されていたりします。

4. 介在物

介在物は芯線間に充填される部材です。紙ひもやジュートなどが使用されます。芯線の配置を安定させることを目的に充填されます。

多芯ケーブルの種類

多芯ケーブルは、使用用途に応じて構造が違うケーブルが使用されます。以下は、多芯ケーブルとして使用される代表的なケーブルです。

1. VCT/VCTF

ビニルをシースとするビニルキャプタイヤケーブルです。コンセントや電動工具用など、移動して使用する配線に使用します。頑丈で安価なため、幅広く使用されるケーブルです。

2. 2PNCT/WCT

合成ゴムや天然ゴムをシースに使用するゴムキャブタイヤケーブルです。シースが頑丈かつ曲げやすいため、ケーブルベアの内部などで使用されます。ビニルキャブタイヤケーブルよりもさらに過酷な環境で使用されます。

3. CVV/CVVS

ビニルをシースとするケーブルで、多芯ケーブルの代表とも言えます。10芯以上で使用されることも珍しくないケーブルで、産業機器などの制御用配線として使用されます。CVVSはシールド層付きのケーブルで、アナログ信号などを伝送するために用います。

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