電磁接触器

電磁接触器とは

電磁接触器は、モータやヒーターなどの負荷を電磁石で開閉する装置です。

電磁接触器内部の電磁石によって、可動接点が固定接点と接触させて通電します。仕組みは電磁リレーと同じですが、電磁リレーよりも大電流を通電する際に利用します。

電磁接触器の使用用途

電磁接触器は主に制御盤の内部部品として使用されます。使用例を以下に挙げます。

  • マンション共用灯の点灯制御
  • ビニールハウス散水用ポンプの運転・停止制御
  • 水族館の水槽温度制御
  • 業務用冷凍庫の冷凍機運転制御

上記の通り、電磁接触器は主に自動制御のために使用されます。

電磁接触器の原理

電磁接触器は、電磁コイル、鉄心、可動接点、固定接点、戻りばね、などで構成されています。開路時には戻りばねによって可動接点が持ち上げられて、固定接点と可動接点が離れています。

閉路時は、電磁コイルに電流を流します。電磁コイルは電流が流れると磁界を発生させ、鉄心と共に可動接点を引き寄せます。

引き寄せられた可動接点が固定接点と接触し、主回路を通電します。主回路を遮断したい場合は、コイルに流れる電流を遮断すれば戻りばねによって可動接点が持ち上げられ、主回路が遮断されます。 

電磁接触器のその他情報

1. 電磁接触器と電磁開閉器の違い

電磁接触器(コンタクタ)は、電気回路の開閉を行う装置ですが、過電流保護機能はありません。

過電流保護機能を備えるため、電磁接触器と熱動形過負荷継電器(サーマルリレー)を組み合わせた機器を電磁開閉器(マグネットスイッチ)といいます。

サーマルリレーはモーターなどの負荷を保護するために、過電流時に接点出力します。サーマルリレーの出力を検知して、回路を遮断したり警報を発報したりします。

電磁接触器と電磁開閉器(マグネットスイッチ)の違いは、サーマルリレーの有無による機能の違いです。

2. 電磁接触器の寿命

電磁接触器は、機器の運転・停止を制御します。そのため、機器の始動電流に何度も耐えうる耐久性があります。電気的特性が定格以下であれば、機械的な寿命は開閉回数500万~1,000万回とされます。

3. 電磁接触器の利用時の注意点

電磁接触器には、標準型、可逆式、直流操作型など複数のタイプがあります。そのため、各性質を理解して電磁接触器を選定する必要があります。

    • 標準型
    • 電磁コイルが励磁している間のみ接点が作動します。

    • 可逆式
    • 接点の相順位を入れ替えることで、回転機器の回転方向を切り替えることが出来ます。

    • 直流操作型
    • 一般的な電磁接触器は交流で電磁コイルを作動させますが、直流操作型は

直流電源

    で電磁コイルを作動させます。

4. 電磁接触器の逆起電力への配慮

電磁接触器の電磁コイル部分には、ON-OFF時に逆起電力(サージ電圧)が発生します。電磁コイル部分は一般に制御回路で制御されます。

制御回路には耐電圧や耐電流が低い機器を接続するため、電磁コイル部分にサージキラーを接続して制御回路を保護することもあります。サージキラーには3つの種類があります。

    • バリスタ型
    • ピーク電圧を抑制することを目的として

バリスタ

    を用います。ピーク電圧の抑制は可能ですが、高周波成分は制限できません。

  • CR型
  • サージ電圧に乗っている高周波成分を制限するためのローパスフィルタです。

  • CR+バリスタ型(ハイブリッド型)
  • バリスタとCR回路を併用したタイプのサージ吸引器です。ピーク電圧と高周波成分をいずれも制限可能です。

5. 電磁接触器のうなり

良くあるトラブル事例として、電磁接触器から「うなり音」がするというものがあります。コイルが交流の場合、磁化された鉄心の吸引力が周波数と共に変化します。これに応じて鉄心は常に微小振動しており、この振動に伴う音を「うなり音」と呼んでいます。

うなり音は鉄心接極面へ異物を噛み込んでいることが原因で発生します。本来なら面接触している固定鉄心と可動鉄心が点接触して、ブザーのような音が生じてしまいます。

電磁接触器を分解し、鉄心接極面の異物を取り除けば継続使用できます。分解する際は、電源を遮断したり、可能であれば電磁接触器を取り外して実施します。

電磁接触器を制御盤から取り外せない場合、エアブローなどで噴き付け清掃するのではなく、掃除機などでの吸い込み清掃します。ブローで飛んだ異物が別箇所でショートを起こすことを防ぐためです。

参考文献
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/lvd/lvsw/items/lvmc/index.html
http://www.tukaikata-labo.com/content/3381
https://e-sysnet.com/magnet/
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/techsheet/lvsw/bqn-s8-9497-18/BQNS8949718A.pdf
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/techsheet/lvsw/bqn-s8-9497-04/BQNS8949704B.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です