鉛蓄電池

鉛蓄電池とは

鉛蓄電池

鉛蓄電池とは、電極に二酸化鉛と金属鉛を用いた電池の一種です。電極間を満たす電解液には硫酸を使用しています。鉛蓄電池は、電極に使う鉛が安く、低コストで製造できるため、価格面で優れた電池です。使用電流によらず性能安定性が良好、メモリー効果の影響が少ないなど使い勝手がよく、一般的に広く流通しています。

欠点としては、ほかの二次電池と比較すると小型化・軽量化が難しい点や、硫酸を用いているため破損に注意する必要がある点などが挙げられます。

鉛蓄電池の使用用途

鉛蓄電池は低コストかつ安定性も高いコストパフォーマンスが抜群の電池のため、さまざまな用途で使用されています。とくに普及が進んでいる分野としては、自動車分野や産業分野が代表的です。

鉛蓄電池は単セルで2Vの起電力を有しており、複数つなげることで6、12、24Vにすることができます。また、鉛蓄電池は極板の形状で2種類あり、ペースト式とクラッド式があります。

ペースト式は格子体に鉛化合物が塗り込まれたものを使用しており、電極面積が大きいため大電流を得ることができることから非常用電源や無停電電源装置などに採用されています。自動車に採用されているのもペースト式です。

クラッド式はチューブ状に編み上げ焼き固めたガラス繊維の中に鉛粉を充填したものであり、寿命が長く耐久性に優れていることからフォークリフトのような建設現場の危機のバックアップなどに使用されています。電解液が凍結し電池が破裂する危険性があるため、極寒の地域での使用にはあまり適していません。

鉛蓄電池の原理

鉛蓄電池の放電現象は、以下の反応式(電池式)で表されます。充電を行うときはこの式と逆向きの反応が起こります。

  • 正極における反応
    PbO2+ 4H^(+) +SO4^(2-) + 2e^(-) → PbSO4 + 2H2O
  • 負極における反応
    Pb + SO4^(2-) → PbSO4 + 2e^(-)
  • 系全体での反応
    PbO2 + 2H2SO4 + Pb → 2PbSO4 + 2H2O

鉛蓄電池の原理

図1. 鉛蓄電池の原理

鉛蓄電池では正極側の電極に二酸化鉛(PbO2)、負極側の電極に鉛(Pb)、そして電解液には希硫酸(H2SO4)がそれぞれ用いられています。

放電では、負極側で鉛が硫酸と反応し、酸化されて硫酸鉛(PbSO4)になります。反応時に鉛の電子(e^(-))が放出されて正極側に移動することで、電気が生じるのです。

正極側では電極の二酸化鉛は負極側から送られてきた電子を受け取り、鉛イオンを放出します。鉛イオンは硫酸と反応し、硫酸鉛が生成されます。二酸化鉛中の酸素は電解液中に存在する水素イオン(H^(+))と結びつき、水(H2O)ができます。

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