漏電火災警報器

漏電火災警報器とは

漏電火災警報器とは、漏電が発生した際に音や信号を発信して警報を発報する装置です。

電気配線は、災害や経年劣化等で絶縁被覆が剥がれ、絶縁劣化を起こす場合があります。その際に剥き出しとなった芯線と建物架台等の間でスパークして発熱すると、有機物である絶縁被覆を持つ配線は容易に発火してしまいます。

電気火災は上記のような原因で起こることがしばしばありますが、漏電火災警報器はこれらの漏電火災を未然に防ぐことを目的として設置されます。

漏電火災警報器の使用用途

漏電火災警報器は、消防法によって設置が義務付けられています。消防法で定められている基準は、主にラスモルタルを使用する建物に対しての設置基準です。

ラスモルタルとは、メタルラスと呼ばれる金属製網の周囲にモルタルを敷き詰めた構造のことです。細い金属網は許容電流が低い上に、接地抵抗が低くなるため火災のリスクが上昇します。従って、消防法によって警報器設置を義務化し、法的対策を取っています。

ラスモルタルを使用している場合でも、契約電流が低い場合や、延べ面積が小さい場合には設置適用除外となる場合があります。具体的には施行令別表第一によって定められます。

漏電火災警報器の原理

漏電火災警報器の動作原理は、多くの場合は地絡電流を検知することで警報を発報します。

ある電力系統が正常に給電しているとき、配電線上の電流の和は必ず0となります。これは3相系統でも単相系統でも変わりません。電気工学的にはこれを平衡状態と呼びます。平衡状態の時には1系統を給電する配線周囲の磁界の和が0となり、磁界により周囲へ及ぼす電流の変化は0Aとなります。

しかしながら、地絡が発生して地絡電流が流れると、平衡状態が崩れてしまい、全相の磁界の和が0ではなくなってしまいます。ZCTは、配線を全相一括でクランプして、平衡状態が崩れて流れる電流を検知するための装置です。

漏電火災警報器はZCTから地絡電流値を受け取り、定められた閾値を超えると警報を発報する仕組みとなっています。警報器は発報するだけであるため、漏電に対する遮断性能はありません。漏電火災の保護を行う場合には、別途開閉器や漏電遮断器を設置する必要があります。

参考文献
消防法施行令 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336CO0000000037

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