零相変流器とは
零相変流器は、三相交流電源において零相電流と呼ばれる電流値を検知するための器具です。
三相交流電源のそれぞれの相に流れる電流のベクトルの和は通常は対称であるためゼロとなりますが、地絡電流が流れた場合にはそのバランスが乱れてゼロ以外の値を持ちます。
地絡時には零相変流器が作動することにより、故障個所を周囲の電気回路からただちに切り離されます。
そのためあらかじめ漏電遮断器に内蔵され、絶えず事故検知の役割を担っています。
零相変流器の使用用途
電気設備に備えられた電路が大地と電気的に接続されると、その箇所に地絡電流として大電流が流れ込むため、重大な事故につながるリスクがあります。
これを防ぐために零相変流器は使用されており、地絡電流を検出した場合に地絡箇所をただちに周囲から切り離すという機能を持っています。
低圧の一般計器用としても用いられますが、より高電圧の電路ほど事故の程度も大きくなりかねないことから、零相変流器の役割は必須のものとしてより重要になります。
零相変流器の原理
三相交流電源では、それぞれに流れる電流が等しく対称である場合、そのベクトルの和はゼロです。
ベクトルの和の平均値は「零相電流」と呼ばれ、上記のような対称形の場合、零相電流はゼロとなります。
三相のいずれかに地絡電流が流れると、三相のバランスが崩れて零相電流はゼロとなりません。これにより地絡事故をただちに発見することができます。
「零相変流器」は、こうした三相交流電源における零相電流を検出する装置です。
一般的な変流器と同様に、円環状の鉄心にコイルを巻き付けた構造を持ち、円環の中央に導体が貫通しています。
ただし通常の変流器は貫通する導体は1本ですが、零相変流器の場合は3相分の3本となります。
何らかの原因で3相の電流のバランスが乱れると、コイルに二次電流が瞬間的に流れ、地絡として検出されます。
継電器(リレー)や遮断器とともに漏電遮断器に内蔵されることが多く、事故や火災などの災害につながる漏電を防ぐ上で重要な役割を担っています。