3軸加速度センサー

3軸加速度センサーとは

3軸加速度センサーとは、X方向、Y方向、Z方向の加速度を測定するセンサーです。

加速度とは、ニュートンの運動の法則 (第2法則) で「ある物体が外部からの力Fをうけるとき、その力の方向に、力Fの大きさに比例し、物体の質量mに反比例する加速度aを生じる」と定義されています。数式であらわすと「F=ma」です。加速度は「ある一定の時間における速度の変化量」と言えます。

加速度センサーは加速度を測定し、信号処理をすることで物体の動き、振動、衝撃を検知するためのセンサーです。また、重力も測定することができるので、重力を計算すると傾きの検出も可能です。加速度センサーには、圧電式、ピエゾ抵抗式、静電容量式などがあり、用途に応じて選定されます。

3軸加速度センサーの使用用途

3軸加速度センサーは現在では、幅広い機器に使用されています。使用例には、以下のような機器があります。

1. 携帯電話

縦横の検出をすることにより画面の向きを変更したり、歩数計のカウントなどに使われています。

2. ゲームコントローラー

コントローラーの動きを検知することに使用されています。

3. 自動車

車の加速・減速や荷重による車体の姿勢を検知し、ABSや電子制御サスペンションなどに活用されています。また、エアバッグの衝突検知にも使われています。

4. ロボット

ロボットの位置や姿勢の制御に活用されています。

3軸加速度センサーの原理

3軸加速度センサーの種類には、主にピエゾ抵抗式、圧電式、静電容量式があります。

1. ピエゾ抵抗式3軸加速度センサー

ピエゾ抵抗式の加速度センサーは、ピエゾ抵抗効果とよばれる、ピエゾ抵抗素子に力が加わると抵抗が変化する現象を利用したセンサーです。センサー素子の可動部と固定部の接合部にピエゾ抵抗素子を配置し、加速度がかかることによって可動部からピエゾ抵抗素子に力が加わり、抵抗値が変化します。この抵抗値の変化から、加速度を検出します。

2. 圧電式3軸加速度センサー

圧電式加速度センサーは圧電効果とよばれる、圧電性のある物体に力が加わると分極が発生し、電圧が生じる現象を利用したセンサーです。センサー素子の可動部と固定部の接合部に圧電素子を配置し、加速度がかかることによって可動部から圧電素子に力が加わり、電荷が発生します。この電荷の変化から加速度を検出します。

3. 静電容量式3軸加速度センサー

電極間の静電容量の変化を利用して検出します。センサー素子の中にあるのは、固定電極と可動電極です。加速度がかかると可動電極が移動するので、固定電極との隙間が変化し、電極間の静電容量が変化します。この静電容量の変化から加速度を検出します。

3軸加速度センサーのその他情報

1. 3軸加速度センサーの応用例

3軸加速度センサーは比較的小型で応用しやすいデバイスです。そこで人体動作解析分野への応用例が増えてきています。

測定例1: 歩行時の膝に加わる3軸加速度を測定
膝に3軸加速度センサーを装着、歩行時の加速度データを収集します。

測定例2: 下肢の左右機能差測定と下肢の易受傷性測定
3軸加速度センサーを両足の膝関節側面部に取り付けて固定します。不安定板に片足で乗った際の「最大振幅」を測定します。

上記により、下記の結果を得ることができます。

結果1: 膝に加わる加速度
3軸加速度センサーで測定すると、膝を中心に上げ下げする運動、前後方向の運動、左右方向運動それぞれで加速度が同時に測定 することができます。また、上記の3軸方向の加速度を両足で同時に測定すると、左右の膝の衝撃値の差異や、 歩行の際の左右のバランス測定なども可能です。

結果2: 歩行周期
歩行時、かかとが地面に接地している間の時間の測定を行うことで、歩行サイクルの算出ができます。歩行サイクルを算出することで、歩行周期の平均値・分布なども算出できます。

結果3: 衝撃吸収機能
足を地面に着地させた瞬間から、加速度が0になるまでの時間を測定することで、膝が衝撃をどの程度 吸収できているか測定できます。

2. 3軸加速度センサーを使った歩数計のアルゴリズム

3軸加速度センサーを使った歩数計の歩数を認識するアルゴリズムには、以下のような算出例があります。歩数検出では3軸を合成した3軸合成値のみを採用しますが、X, Y, Z軸をそれぞれの値を参照してしまうと、センサーがどの方向を向いているかに依存してしまうからです。

まず最初に行うのが、歩行時の3軸合成値とXYZ軸の値の算出です。センサーを前後左右斜めいずれかに動かした場合は、初期移動のときに3軸合成値は1Gから外れる値になります。

そこで、3軸の合成値が1Gから外れるタイミングを、歩数として認識処理を行います。人によって歩き方は異なりますが、3軸合成値は1Gより低く、その後1Gより高くなるのが通常です。その周期をカウントすることで、ゆっくり歩く場合も、走る場合も歩数検出が可能になります。

参考文献
https://www.marubun.co.jp/product/component/a7ijkd000000ip73.html
https://www.analog.com/media/jp/technical-documentation/application-notes/ANJ-0005_jp.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/42/1/42_1_48/_pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/acceleration/measurement.jsp
https://www.hdk.co.jp/pdf/AP_Note/anhaam04_v1.01.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です