ガラスシャーレ

ガラスシャーレとは

ガラスシャーレ

ガラスシャーレとは、シャーレと呼ばれる実験器具の中でもガラスで作られているものです。

ガラス以外の素材には、プラスチック、アルマイトポリスチレンなどがあります。シャーレは、ペトリ皿 (Petri dish) とも呼ばれます。発明したドイツのユリウス・リヒャルト・ペトリ (Julius Richard Petri) の名前から、ペトリ皿と名付けられました。シャーレという名前もドイツ語由来です。

ガラスシャーレの使用用途

シャーレは、検査物を入れたり、微生物や組織の培養したりする際に使用されます。特に、ガラスシャーレは、耐熱性に優れ、細菌・微生物の培養後、オートクレーブ等により滅菌処理で再利用可能です。

シャーレは、わずかに口径が違う円筒状の浅い皿が、2枚で1セットとなっています。蓋側は大きくて浅く、底側は小さくて深く設計されています。しかし、密閉性は高くないので、嫌気性細菌・微生物の培養には向いていません。

ガラスシャーレは、さまざまなサイズで展開されています。直径10cm程度、高さが1,2cmほどのものが主流ですが、高さがある腰高シャーレと呼ばれるものも販売されています。

ガラスシャーレの原理

ガラスシャーレに培地を用意し、植菌した後に適当な環境下で培養することで、シャーレのコロニーの数から植菌時の菌の数や、菌の増殖度合いを観測することが可能です。ガラスシャーレは、透明性が高く中に入れた物が見やすいため、培養した組織や微生物を、そのまま顕微鏡で観察することができます。また、耐熱性に優れていることから、滅菌処理も可能です。

底面に、カバーガラスが貼り付けられており、顕微鏡下で高倍率観察や、蛍光観察が可能なガラスシャーレもあります。ガラス製は落とすと割れてしまうため、持ち運ぶ際には注意が必要です。

また、通常のガラスよりも熱に強い素材でできている、耐熱シャーレもあります。しかし、耐熱シャーレは熱に強いだけで、衝撃に対する強度は他のシャーレと変わりません。シャーレの底面が3つに分割されており、中の物を分けて入れられる3割シャーレというガラスシャーレも販売されています。

ガラスシャーレのその他情報

1. ガラスシャーレの耐熱温度

ガラスシャーレの耐熱温度は各メーカーや製品によって異なっており、100℃のものもあれば、500℃以上のものもあります。そのため、加熱処理や滅菌を行う前に、耐熱温度の確認が必要です。

ガラス製のシャーレが他の素材のものに比べて耐熱性に優れているといっても、バーナーなどを使用して直火で加熱することは厳禁です。急速な加熱によってガラスシャーレが破損する恐れがあるためです。実験などでガラスシャーレに熱を加えて処理をする際は、蒸発皿などを使用します。

2. ガラスシャーレの滅菌方法

ガラスシャーレの滅菌方法は、一般的に乾熱滅菌です。乾熱滅菌とは、乾燥した空気の中で加熱することによって、微生物を滅菌する方法です。ガラスや金属器具など、高温の処理を施しても問題のないものや、蒸気に触れてはいけないものの滅菌します。

乾熱滅菌には、「ガスや電気によって直接加熱する方式」と「加熱した空気を循環させて乾燥高温状態を維持する方式」がありますが、ガラスシャーレの滅菌には後者の方式を用います。後者の「乾燥高温状態を維持する方式」では、電気オーブンなどの乾熱滅菌器を使って滅菌します。

加熱条件は、135~145℃であれば3~5時間、160~170℃であれば2~4時間、170~180℃であれば1時間、180~200℃であれば30分間が目安です。ガラスシャーレをよく乾燥させ、水滴がついていないことを確認してからアルミホイルで包み、乾熱滅菌器の中に入れます。複数のガラスシャーレを乾熱滅菌する際には、乾熱滅菌器の庫内に余裕を持たせて、シャーレを均一に入れます。これは、中に入れたガラスシャーレ全てに熱が均一にかかるようにするためです。

乾熱滅菌器のヒーターに近い金属部分は、設定された温度よりも熱くなることがあるため、十分に注意が必要です。滅菌器のスイッチを入れ、庫内が設定温度に到達してから、加熱時間を測ります。乾熱滅菌が完了したら加熱を止め、庫内が冷えるまで待ってからガラスシャーレを取り出します。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/839/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0637.html
https://sci-pursuit.com/chem/labware/petri_dish.html
http://www.phoenixsci.co.jp/support/mattek_faq.html#a13
https://sci-pursuit.com/chem/labware/petri_dish.html
https://m-hub.jp/biology/2798/183
https://www.as-1.co.jp/academy/21/21-3.html

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