UVプリンターとは
UVプリンターとは、紫外線を照射させることで硬化するUVインクを使用したプリンターです。
UVプリンターではインクを硬化させて定着させるので、インクの浸透が不要です。そのため、樹脂素材や皮脂などに印刷することもできます。また、インクジェットプリンタと比較して速乾性が高い利点もあります。
ただし、高価である点と専用インクが必要な点が短所として挙げられます。
UVプリンターの使用用途
UVプリンターは、さまざまな素材に印刷できる点が最大の特徴です。木材や一般的な樹脂、皮革など硬度の高い素材から柔軟性の高い素材まで幅広く印刷可能です。この特徴を活かして以下の用途で使用されます。
- スマートフォンケース
- キーホルダーやブックカバー
- スイッチ用銘板や看板
- ボールなどの曲面への印刷
UVプリンターの原理
UVプリンターは、UV硬化樹脂が硬化する原理を応用しています。UVインクに紫外線を照射するとラジカル重合が開始し、瞬時に硬化します。
インクジェットプリンターはインクを浸透させた後に乾燥させて固定化しますが、UVプリンターはインクを浸透させる必要がないためあらゆる素材に対応可能です。ただし、UVインクの硬化時に特有のにおいが発生するため、脱臭装置の併用が推奨されます。
UVプリンターのその他情報
1. UVプリンターの歴史と市場
UVプリンターは2000年以降に、インクジェットプリンターに次ぐ次世代技術として各社で研究・開発が進められてきました。その結果、多くのUVプリンターがマーケットに導入されてきました。
開発当初はメタルハライドランプで紫外線を照射しており、高い消費電力や短寿命などのデメリットがありました。2008年頃になるとLEDランプをUV光源とする製品が登場し、性能が劇的に向上したことからUVプリンターの需要は増加しています。
印刷処理の高速化・印刷メディアの多様化・環境適合のメリットなどから、UVプリンター市場は今後も伸長していくと考えられています。近年では、立体印刷技術の研究・開発も盛んです。小型立体メディアへの印刷が可能な小型UVプリンターも販売されています。
2. UVプリンターの課題
UVプリンターとインクジェットプリンターを比較した際、UVプリンターの市場拡大には下記の課題解決が必要です。
価格
水性・溶剤系インクと比較した際にUVインクは高価であり、UV-LED専用のインクはさらに高価です。そのため、溶剤系インクと比較してランニングコストが高くなる点は課題と言えます。UVプリンターは本体価格も高く設定されており、導入するには金銭面でのハードルが高い製品です。
光沢性
水性・溶剤系インクと比較した際、光沢感のないマットな印象を与えます。ただし、本来の印刷の上から透明なクリアインクで印刷すると光沢を表現できます。クリアインクの硬化タイミングを変えることで光沢度合いも変更可能です。
3. UVプリンターの苦手な素材
UVプリンターにも、プリントが困難な条件がいくつかあります。
撥水性の高い素材
硬化前のインクは液体のため、撥水性が高い素材はインク塗布時に弾かれます。素材との密着性が非常に低くプリントは困難です。
油分や添加剤の多い素材
材料表面に油分が存在するとインクの密着性が低下します。特に樹脂では可塑剤や添加剤がインクの密着性を阻害するため注意が必要です。多くはアルコールで脱脂することにより改善します。
平滑性の高い素材
平滑性が極めて高い素材のプリントは困難です。微小な凹凸があるほどインクの密着性が高くなります。そのためサンドペーパーなどで意図的に凹凸をつける場合もあります。
また、UVプリンターではインクを硬化させる性質上、印刷箇所がひび割れを起こす可能性があります。特に柔軟な素材への印刷時に発生しやすく、変形させると印刷がぼろぼろになる場合もあります。
参考文献
https://www.large-format-printer.jp/blog/uv-business/ink_structure/
https://www.rolanddg.co.jp/products/printers/how-uv-printer-works
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/201206/100442.html