プリズムミラー

プリズムミラーとは

プリズムミラー

プリズムミラーとは、プリズムとよばれる三角柱の形をしたガラスデバイスの斜面もしくは直角同士の2面に光を反射するためのコーティングが施されたミラーです。

斜面にコーティングをした斜面コートタイプは、45°傾けての設置する際の光軸調整時間を短縮することができます。また、直角な2面をコーティングした直角構成面コートのタイプは、きた光を反転させて反射させることが可能です。

目的にあわせてコーティング (例えば広帯域誘電体や金属) 、基材となるガラスなど選択する必要があります。

プリズムミラーの使用用途

1. 斜面コートタイプ

斜面コートタイプは、光を45°傾けて反射させたいときに使用されます。平面ミラーでも実現可能ですが、光軸調整の時間を短縮することができ、例えば、分光光度計などの計測機器で使用されています。

2. 直角構成面コートタイプ

直角構成面コートタイプは、イメージの反転を高速に行う時や干渉計など来た光の光軸に平行な方向に反射させたい時に使用されます。また、太陽光採光で光を取り入れるためのミラーとしても有用です。

3. BBARコーティングを使ったタイプ

広帯域の反射防止BBARコーティングを使ったプリズムミラーは、幅広い低出力レーザーラインアプリケーションで使用されています。プリズムミラーの大きな特徴は、外部の機械応力に対してミラーよりも強い (変形が少ない) ので、音響や慣性負荷が厳しい用途に適しています。

プリズムミラーの原理

直角構成面コートタイプは、空気とガラス間の屈折率差を利用して光を波長ごとに分散 (分光) させる機能をもたせることもできます。ミラー面には、コーティングと呼ばれるガラスとは異なる材質の膜を塗布します。

なお、コーティングの種類は、金属コーティングと広帯域誘電体コーティングなどさまざまです。

1. 金属コーティング

金属は光の反射率が高いため、コーティングをした面への入射光は全反射します。入射光をプリズムミラーに当てることで、角度を変えることが可能です。

2. 広域誘電体コーティング

広域誘電体コーティングとは、入射光のガラス面に対する反射を抑えて、ガラス体の中へ突き進んでいく光の透過を助ける働きを持つコーティングです。空気からガラス面へ透過する際、入射光の一部は反射してしまいます。これは空気とガラス面の屈折率の差が激しいため生じてしまう現象です。

そこで、空気とガラス面の間に中間の屈折率を持つ素材をコーティングします。空気から誘電体、誘電体からガラス面へと入射光が進む際に、意図しない反射光を抑えることが可能です。

1枚の誘電体コーティングでも反射光を抑える効果を見込めますが、複数の異なる屈折率を持つ誘電体をコーティングすることでさらなる透過率を取得することができます。

プリズムミラーのその他情報

1. プリズムミラーの接着

プリズムを接着固定する際は、線膨張係数の違いに注意が必要です。線膨張係数の違いが大きいと温度をあげたり下げたりしたときに、プリズムが割れてしまうリスクが発生します。

柔軟性のある接着剤を使うことで回避できますが、その場合は柔軟性がある分、接着時の安定性が悪くなるリスクも発生するので注意が必要です。

2. 全反射

異なる屈折率を持つ媒質に入射しようとする光は一部は屈折し、一部は反射する性質を持ちます。入射角が一定以上になると屈折光が無くなり、全ての光が反射光となります。この現象が全反射です。入射角を徐々に上げていった際に、初めて全反射が起こる角度を臨界角と呼びます。

全反射は臨界角以上の入射角で発生し、金属コーティングされたプリズムミラーはこの全反射の原理を利用して入射光の角度を変えています。

3. 金属コーティングの種類

金属コーティングでは、紫外域に強いアルミや赤外域に強い金など、一般的なミラーで使用されているコーティングを行うことができます。母材となるプリズムは光を通す必要がない場合はBK7、精密形状ができるN-BK7、紫外域を透過させる必要がある場合は合成石英などが使用されます。

温度変化に強くする必要があれば、線膨張係数が低いガラス材を使用することも可能です。

参考文献
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/chuo-sougou/book/chuo-sougou-P0943.pdf

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