フローティングナット

フローティングナットとは

フローティングナットはタップの位置をある範囲内で自由に動かすことができ、固定する部品同士の中心がずれていてもねじを締めることができるナットのことを言います。

基本的には板金のような薄板に穴をあけるだけで専用工具を使うことなく取付が可能で、タップの動く範囲は中心値±2mm以下程度です。バネ構造をもち、幅広い板厚に対応できるナットもあり、着脱可能なので、外して別のところで再利用することも可能です。

フローティングナットの使用用途

産業用機械の内部およびパネル取付部などで使用されています。特に寸法精度がでにくい部品同士、もしくは公差の累積によりタップ位置の調整が必要な箇所で効果を発揮します。タップ位置を調整できるため、精度が必要な箇所へのタップ追加工の代わりに使用されています。また、薄物板金やアルミなど強度が弱い部品に対してねじ止めする際にタップを強化するために使用されることもあります。

タップの位置が安定しないため、部品間の位置精度が必要な箇所にはむきません。

フローティングナットの原理

丸穴を空けるだけでタップ機能を持たせることができます。おねじのタップ加工がなくなり、部品の加工時間を短縮することができます。また、位置調整が可能なため、穴加工の位置精度も不要です。ただし、フローティングナットの部品代は100円を超えるものが多く、単純なタップ加工よりは高価になるため、費用対効果を考慮する必要があります。

取付方法によってさまざまな種類がラインナップされています。クリップやフック、ラックと呼ばれる横方向にはめ込むタイプだけでなく、角穴に押し込み固定するケージと呼ばれるタイプもあります。クリップ系のフローティングナットはクリップが外れる方向への力に弱いので取付箇所には注意が必要です。また、かしめによりとりつけるセルフクリンチングタイプのフローティングナットもあります。

材質はステンレスや鉄材+めっき品などがあり、基本的には並目ネジに対応しています。

参考文献
http://www.japan-drive-it.co.jp/flo-flo.html
https://neji-one.com/lineup/6R001289.htm

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