フィルムコンデンサ

フィルムコンデンサとは

フィルムコンデンサ

フィルムコンデンサは、プラスチックフィルムを誘導体として利用するコンデンサのことです。技術ルーツは19世紀後半に発明されたペーパーコンデンサにまで遡ります。ペーパーコンデンサでは油やパラフィン紙をアルミニウム箔にはさみ、ロール状に巻き取ります。

紙に直接金属を蒸着させて巻き取ったタイプは、MP(メタライズドペーパー)コンデンサと呼ばれます。フィルムコンデンサは、これらの技術をベースとして1930年代に開発されました。

フィルムコンデンサは内部電極のつくりによって箔電極型と蒸着電極型(金属化フィルム型)に分けられ、さらに構造の違いによって巻回型と積層型、誘導型と無誘導型に分けられます。

フィルムコンデンサの使用用途

フィルムコンデンサは民生品から産業機器まで多種多様な製品で使用されます。民生品の例としては、冷蔵庫などの家電機器やカーナビ・カーオーディオ・ETCといった車内搭載電子機器です。産業機器の例としては、パワーエレクトロニクス機器などに使用されます。

フィルムコンデンサは絶縁抵抗が強く、安全性も高いという特徴があります。また、無極性かつ高周波特性に優れ、温度特性も良好です。さらに、静電容量に高精度で対応できる上に長寿命です。

ただし、フィルムコンデンサは積層セラミックチップコンデンサと比較して大型化します。そのため、セラミックコンデンサではカバーできない電圧・容量域や高性能・高精度危機に使用される傾向があります。

フィルムコンデンサの原理

コンデンサとはそもそも、電気を蓄えたり放出したりする電子部品です。対向する導電体間に電圧を加えるとそれらに挟まれた絶縁体または空間に静電誘導作用が起こります。静電誘導作用によって、絶縁体に誘電分極が発生して充電します。

その誘導体にフィルムを使っているのがフィルムコンデンサです。フィルムコンデンサは内部電極のつくりや構造の違いによっていくつかに分けられます。

1. 箔電極型フィルムコンデンサ

内部電極となる金属箔にプラスチックフィルムを重ねて巻き取った巻回型のフィルムコンデンサです。金属箔の材料はアルミニウムやスズ、などを用います。

箔電極型フィルムコンデンサには誘導型と無誘導型があります。誘導型の場合は内部電極にリード線を付けて巻き取りますが、無誘導型は端面にリード線または端子電極を取り付けます。無誘導型は誘導型に比べてインダクタンス成分が小さくできるため、高周波特性に優れます。

2. 蒸着電極型フィルムコンデンサ

プラスチックフィルムに金属を蒸着させて内部電極をつくるタイプのフィルムコンデンサです。金属材料にはアルミニウムや亜鉛を用います。蒸着膜は非常に薄いので、箔電極型フィルムコンデンサより小型化が可能です。

フィルムコンデンサのその他情報

1. フィルムコンデンサの極性

フィルムコンデンサには極性はありません。つまり、フィルムコンデンサは無極性のコンデンサです。固定コンデンサには無極性コンデンサと有極性コンデンサの2種があります。

無極性コンデンサ
端子にプラスとマイナスの区別がないコンデンサが無極性コンデンサです。どちらの端子がプラスであっても問題がありません。端子に加える電圧の極性が規制されません。無極性コンデンサであれば、交流回路でも直接使用することができます。

フィルムコンデンサは無極性コンデンサの主流の1つです。無極性コンデンサは、他にセラミックコンデンサや紙コンデンサ、マイカコンデンサ、空気コンデンサなどがあります。

有極性コンデンサ
2つの端子のどちらをプラス側とするかが決まっているコンデンサが有極性コンデンサです。端子の極性を誤って使用すると、コンデンサが壊れます。

2. フィルムコンデンサとオーディオ

オーディオ機器は、音を自分の好みのものにするために、自作やカスタマイズをすることが可能です。音の質を左右する要因は複数ありますが、使用パーツも音質を左右します。コンデンサは、そのパーツの1つです。

オーディオアンプに使うコンデンサに要求される特性は、次のようなものが挙げられます。

  • 高周波特性が良いこと
  • 高調波歪が少ないこと
  • いわゆる鳴きが少ないこと

フィルムコンデンサは電解コンデンサと比べて、上記の特性について優れています。音質についても、電解コンデンサに対してフィルムコンデンサの方が音の透明感や解像度が勝っています。

参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b3
http://www.rubycon.co.jp/products/film/technote.html

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