スプリングピンコネクタ

スプリングピンコネクタとは

スプリングピンコネクタとは、異なる部品間において電気を流すための接点として使われる電気コネクタ部品の1つです。

基本的にピン、チューブ、スプリングで構成されています。ピンとつながっているチューブの中にスプリングが入っているので振動に強く、揺れがあっても接触の障害が起こりにくいことが特徴です。

細かいピッチのコネクタや低抵抗のモジュラーコネクタ、ハウジング付きなど種類が多くあります。極数や接点数、接点高さなども豊富で、耐久性もよく、ワンタッチで着脱できる製品も多いです。

スプリングピンコネクタの使用用途

スプリングピンコネクタは、モバイル機器や輸送機器に利用されています。スプリングピンコネクタはばねによって振動を受けても接触が維持されやすいため、振動を受ける製品には欠かせません。

私たちの日常生活では、ワイヤレスイヤホンの充電ボックス、2in1タブレットPCのタブレット端末とキーボードとの接続、スマートウォッチの充電、電気自動車の充電コネクタなどに使われています。スプリングピンコネクタは、機器の小型化にも貢献します。

例えば、基板同士や基板とバッテリーをつなぐ用途にも適しています。そのほか、クレードル、内部アンテナ接続も用途の1つです。表面実装型やスルーホール型、ソルダーカップ型があり、はんだで基板と接続します。

スプリングピンコネクタの原理

スプリングピンコネクタは、スプリングの力で電気の接点同士の接触を維持し続けます。基本的には3部品で構成され、本体となる中空状のバレル、バレルの内部に格納されるコイルタイプのスプリング、スプリングによって相手部品に押し付けられるプランジャの3部品です。

スプリングとプランジャとの間に、ボールやシェル、インシュレータという部品を入れた4部品構造のタイプもあります。スプリングピンコネクタの構造は、ポゴピン構造とも呼ばれます。

ばねで反発する構造が、ポゴスティックという、ハンドルとステップをつけて、バネの力でジャンプする棒状の遊具に似ているところから名付けられました。プランジャ、バレルは真鍮が多く使われ、スプリングにはSUSやピアノ線が多く使用されています。また、接触面の表面処理は金メッキが主流です。

スプリングピンコネクタのその他情報

1. スプリングピンコネクタの嵌め合わせ方向

スプリングピンコネクタを用いた部品の嵌合は、垂直方向に嵌合させることが望ましいです。垂直方向ではなく水平方向に部品同士をスライドするように接続すると、プランジャはスプリングを押し下げる方向とは90°ずれた方向に、バレルに対して倒れこもうとする力が作用します。

もしスプリングが押し下げれなければ、バレルの縁の損傷につながりかねません。ただし、水平方向の嵌合を考慮した対策を施すことによって、水平方向の嵌合も可能です。

それでも一般的に耐えられる嵌合回数は少なくなり、スライドによってメッキの摩耗も大きくなるため、スライド距離は極力短くする、またはメッキを厚くするなどの対策が必要です。

2. スプリングピンコネクタの仕様

スプリングピンコネクタには、用途に応じて特別な機能を向上させた仕様があります。代表的な仕様として3つ紹介します。

防水対応
製品が濡れる可能性がある場合には、防水仕様のスプリングピンコネクタが選ばれます。防水のためにポッティング、Oリング、ラバーシートなどの防水部品が使われます。

高速伝送対応
電子機器では情報伝達が行われ、機器の性能向上のためにデータの高速伝送が不可欠です。スプリングピンコネクタを用いて大量のデータを高速伝送する際には、コネクタ電磁界解析によって、ピン配列などの仕様が設計されます。

高電流対応
スプリングピンコネクタには、高電流の接続に使われるものもあります。小型のスプリングピンコネクタでも大量の電流が流れるよう、接触面積の確保や発熱を抑えるためにボールやインシュレータなどの部品が組み込まれます。

参考文献
https://www.yokowo.co.jp/project/connector/
https://www.yokowo-connector.jp/products/spring-loaded-connector/jseries/

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