ウェアラブルカメラ

監修:株式会社谷沢製作所

ウェアラブルカメラとは

ウェアラブルカメラとは、体に装着できる小型で軽量なカメラの総称です。

ウェアラブルカメラは主に頭部、胸元、腕に取り付け、ヘルメットや胸ポケット、帽子、メガネなどに取り付けて使用します。手を使わずに利用でき、動きの自由を保ちながら撮影が可能です。また、頭部に取り付けた時はカメラを装着した人の視点で映像が記録できるのも特徴の一つです。

多くのウェアラブルカメラは、防水・防塵性能を備えており、一部製品は耐衝撃性を備えたタフな設計で、過酷な環境下でも使用可能です。また、広角レンズや高解像度撮影機能を搭載しているモデルもあり、臨場感あふれる映像をリアルタイムで配信、記録できます。

ウェアラブルカメラの使用用途

ウェアラブルカメラに類似するものとして、アクションカメラがあります。両者に明確な定義はありませんが、アクションカメラはスポーツやアウトドア、クリエイティブ用途の製品が多いのに対して、ウェアラブルカメラは業務の遠隔支援を目的とした製品が多くあります。具体例をいくつか挙げます。

1. 工事現場の遠隔業務

これまで現場で立ち会っていた業務を、ウェアラブルカメラで効率化できます。国土交通省では「i-Construction」として、ICT土工への取り組みを推進していますが、遠隔臨場もその一つです。

2. 業務や教育分野

ウェアラブルカメラは、作業工程の記録やライブ配信にも利用されています。例えば、工場や建設現場での作業記録、医療現場での手術映像の記録や共有などです。また、教育分野では、教師が授業の様子を記録し、後から振り返ったり、オンライン授業で活用したりするケースも増えています。

3. 防犯・監視

防犯用として使用する例もあります。小型で目立ちにくいウェアラブルカメラは、警備員や警察官が現場の状況を記録する際に役立ちます。証拠の記録やトラブルの防止が期待できます。

4.カスタマーハラスメント対策

近年問題になっているカスタマーハラスメントの防止や対応などに、ウェアラブルカメラが導入されています。従業員が万が一カスタマーハラスメントに遭遇してしまった際に、証拠として映像を残すことが可能です。

本記事はウェアラブルカメラを製造・販売する株式会社谷沢製作所様に監修を頂きました。

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スパウトパウチ充填機

スパウトパウチ充填機とは

スパウトパウチ充填機とは、スパウトパウチと呼ばれる注ぎ口付きの袋にペースト状製品を充填する機械です。包装袋を自動的に所定位置にセットし、充填ノズルから注入します。充填量は正確に制御されており、一定量がパウチに充填されます。充填後は熱や圧力のシールによって開口部を密封する仕組みです。

近年では、窒素ガス充填機能を備えた機種も増えており、製品の酸化防止や風味の保持に貢献しています。 また、多様なパウチ形状やサイズに対応できるフレキシブルな設計 が求められており、製造ラインの多品種少量生産に対応できる機種も登場しています。

上記の構造により、製品をパウチに正確に充填しつつ、開口部をしっかりと密封します。生産速度に応じて速度調整が可能な製品も多く、大量生産を効率的に実施できます。密封機能や充填の精密性から、外部の汚染や液漏れを防ぎ、製品を清潔で衛生的に充填することが可能です。特に衛生面が求められる食品業界や化粧品業界で重宝されます。

スパウトパウチ充填機の使用用途

スパウトパウチ充填機は効率的かつ衛生的に製品をパウチに充填し、消費者に便利で使いやすいパッケージを提供するために活用されます。特に飲料・食品や化粧品及び化学製品に使用されます。

1. 飲料

飲料は、スパウトパウチの軽量性と携帯性の高さから、外出時や子ども向けの商品に多く採用されています。特に、ジュースや乳製品は、スパウトパウチによってこぼれにくく、小さな子どもでも自分で飲みやすいという点が大きなメリットです。また、スポーツドリンクなど、運動中に手軽に水分補給したい場合にも、スパウトパウチは最適な容器と言えるでしょう。

2. 食品

食品の中でも、ケチャップ、マヨネーズ、ジャムなどの調味料は、スパウトパウチの細口ノズルを活用することで、料理に少量ずつ加えやすく、使い勝手が向上しています。また、ベビーフードにおいては、スパウトパウチの柔らかい素材が、赤ちゃんが自分で持って飲みやすいという特徴があり、離乳食期の子どもの成長をサポートします。

3. 化粧品・洗浄料

シャンプーやボディソープなどの化粧品製品もスパウトパウチに充填されることがあります。液体製品を衛生的かつ効率的に流通させる手段の一つです。同様の理由で、液体シロップやドリンクサプリメントなどの医薬品にもスパウトパウチ充填機が活用されます。

4. その他

スパウトパウチが樹脂製で薬品にも強いため、農薬や肥料などの農業製品も充填して流通することがあります。また、洗浄液や消毒液など、化学製品の包装にもスパウトパウチが使用されます。漏れを防ぎ、取り扱いやすいパッケージとして有用です。

PEI樹脂

監修:株式会社かいたくしゃ

PEI樹脂とは

PEI樹脂

PEI樹脂とは、高温耐性や耐薬品性及び電気的特性に優れたエンジニアリングプラスチックです。

PEIはポリエーテルイミドの略であり、一般的には透明な黄色または琥珀色をしたプラスチックです。射出成形や押出成形などの方法で加工すれば、複雑な形状の部品を製造することも可能です。過酷な環境下でも高い性能を発揮するため、非常に多くの産業で使用されます。

特に優れているのは高温耐性です。使用温度範囲は-100℃~200℃に及び、長時間の使用でも熱変形しにくい点が特徴です。引張強度や衝撃強度にも優れており、強度が求められる部品や構造物にも適しています。

PEI樹脂の使用用途

PEI樹脂は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 航空機

PEI樹脂は軽量かつ機械的強度が高く、樹脂が難燃性である事から燃焼時の発生ガスが少ないため、航空機の内装部品に使用されることが多いです。射出成形や押出成形を活用することで、複雑な形状にも加工することが可能です。燃料や高温ガスにも耐える能力を有するため、エンジン周辺部品にも適しています。

2. 電子機器

PEI樹脂は優れた電気絶縁性を有しているため、電子機器や電気部品にも使用されます。具体的にはコネクターやインシュレーターなどに利用されます。高い耐熱性も特徴であり、過熱が懸念される部品にも最適です。また、PEIは高周波に対しても安定した性能を発揮するため、通信機器や高周波機器にも使用されます。

3. 自動車

自動車内部でのPEI樹脂の用途は、エンジン周りや電装品など多岐に渡ります。特に電気絶縁性能や耐薬品性が求められる部品などで使用されることが多いです。耐熱性や機械的強度及び耐薬品性が高いため、自動車部品の長寿命と信頼性を確保する有用な材料です。また、軽量なため、燃費向上や排出ガス削減のための軽量化にも寄与します。

PEI樹脂の原理

PEI樹脂はエーテル (-O-) とイミド (-C=O-N-) を含む分子が鎖状に結びついた高分子化合物です。この構造により、非常に高い耐熱性や耐薬品性及び機械的強度を有します。エーテル基は柔軟性に関連し、イミド基は高い耐熱性と強度を付与します。

PEIのイミド基に含まれるカルボニル基 (C=O) と窒素原子は強い共有結合を形成しており、これにより樹脂が高温でも安定します。イミド基は特に耐熱性が高いため、高温環境でも形状や機能を維持することが可能です。

PEIは高分子鎖が非常に密に結びついており、この構造が機械的強度の高さに寄与しています。特にイミド基の結合が強力で、ポリマー全体に優れた引張強度や衝撃強度を付与します。この特性により、PEIは機械的に高負荷がかかる部品にも有利です。

エーテル基とイミド基はともに電気的に安定した特性を有するため、PEIは電気絶縁体としても多くの電子機器で使用されます。特に高周波や高電圧環境での使用にも適しています。

PEI樹脂の種類

PEI樹脂は用途に応じて以下のような種類が存在します。

1. 無添加PEI

添加物を使用しない純粋なPEI樹脂です。優れた耐熱性や機械的強度及び電気的特性を有しますが、加工がやや難しいため高温・高圧での成形を必要とする場合があります。電子機器など、様々な用途で利用されます。

2. ガラス繊維強化PEI

PEI樹脂にガラス繊維を添加した製品です。ガラス繊維がPEIの機械的強度をさらに強化し、耐摩耗性や寸法安定性が向上します。特に機械的負荷が高い部品や耐摩耗性が求められる部品に有利で、自動車や産業機械の部品などに利用されます。

3. 充填PEI

PEI樹脂に炭素繊維などを添加した製品です。耐熱性や耐薬品性など、性能を向上させることが可能です。特定の化学薬品に耐えるために充填される場合や、さらに強度を増すために使用されます。

4. 透明PEI

透明性を持つように加工されたPEI樹脂です。通常のPEIは琥珀色や黄色ですが、透明PEIはそのままの物性を保ちながら透明性を付与した製品です。ディスプレイ部品や光学機器の部品など、視覚的に重要な部品や光学機器に利用されることがあります。

本記事はPEI樹脂を製造・販売する株式会社かいたくしゃ様に監修を頂きました。

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近赤外分光法装置

監修:フォス・ジャパン株式会社

近赤外分光法装置とは

近赤外分光法装置とは、近赤外光を照射して得られる吸収スペクトル・透過スペクトルを分析する分析装置です。

近赤外線は中赤外線・遠赤外線と比較して吸収が極めて小さい特徴があり、切片化などの前処理を行わずに非破壊検査を実施できます。水分量や成分を迅速に測定することができ、化学・食品をはじめとして幅広い分野で活用されています。

近赤外分光法装置の使用用途

近赤外分光法装置は、前処理を行わずに非破壊検査が可能です。物質の水分量や成分を分析するために様々な分野で活用されています。主な活用分野と用途の例には下記のようなものがあります。

  • 研究・開発: 物質の構造解析や化学反応のモニタリング
  • 食品: 水分・脂肪・タンパクなどの食品の成分分析、品質管理
  • 製薬・化学品 (ポリマーなど) : 原材料の確認や製品の均一性の評価
  • 農業: 作物の成分分析

近赤外分光法分析は、様々な製造業シーンにおける測定、原料の受け入れ試験や品質管理などに有用な装置です。

近赤外分光法装置の原理

1. 近赤外分光法

近赤外光 (英: Near-infrared, NIR) とは、概ね波長800~2,500 nm (波数12,500~4,000 cm-1) の領域の光を指します。この領域は、ちょうど可視光領域と中赤外光領域の中間です。

赤外分光法や近赤外分光法は、分子の振動によって生じる赤外線吸収を観測する分析手法です。分子内の原子を繋ぐ結合部分は結合の種類によって異なった伸縮振動を示すため、吸収された赤外線の波数を調べることで、官能基の種類を判別できます。

分子は赤外線の吸収によって基底状態から励起状態へ遷移しますが、このとき次のような3つの遷移状態があります。

  • 基本音: 基底状態と1種類の量子数が1である励起状態との間の遷移。
  • 倍音: 基底状態と1種類の量子数についてのみ2以上である励起状態との間の遷移。
  • 結合音: 基底状態と2種類以上の量子数が1以上の励起状態との間の遷移。

近赤外分光法では倍音、結合音のみを中心として取り扱います。多数の倍音や結合音が重畳してバンドの帰属が容易でないため、グループ振動数という考え方で解析が行われます。

2. 近赤外分光法装置の特性

近赤外分光法装置は、試料の前処理が不要であり、そのままの状態の試料を測定することが可能であるという特徴があります。

検出器では、試料に吸収 (もしくは反射) されることにより、照射された赤外線からどの程度減少したかを測定しています。これによって得られるIRスペクトル (赤外吸光スペクトル) は、照射した赤外線の波数 (単位の表記:cm-1、読み:カイザー) を横軸に、透過率%Tを縦軸にとります。

定量分析においては、統計的手法によって検量線作成が行われます。検量線作成のための定量モデルとして、主成分回帰分析や部分最小二乗回帰が用いられることが多いです。

近赤外分光法装置の種類

近赤外分光法装置には、分散型とフーリエ変換型 (FT-NIR) があります。一般には、フーリエ変換型が使用されることが多いです。

1. 分散型

分散型の近赤外分光法装置では、分光器に回折格子を用い、試料を透過した後の光を分散させた後、各波長を順次検出器で検出します。

2. フーリエ変換型 (FT-NIR)

フーリエ変換型の近赤外分光法装置 (FT-NIR) では、干渉計を用いて干渉波を作り、これを試料に照射します。非分散で全波長を同時に検出した後、コンピュータ上でフーリエ変換を行って各波長成分を計算する方法です。

本記事は近赤外分光法装置を製造・販売するフォス・ジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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平面ハンドル

監修:株式会社ホシモト

平面ハンドルとは

平面ハンドルとは、工場の機械や産業用装置、配電盤などで使用される取っ手やつまみの一種です。

取り付け面に対して出っ張りがほぼなく、平らで薄い形状をしています。扉を開閉させる際にはハンドル部分を押し込んだり持ち上げたりすることによって、レバーとして操作します。一般的には金属やプラスチックなどの素材で作られ、使いやすさと美観を兼ね備えた取っ手です。

平面ハンドルに明確な定義はありませんが、メーカーによっては「スイングハンドル」「ポップハンドル」なども平面ハンドルとして扱っています。屋外のドアにも使えるよう防犯機能を高め、雨やほこりなどに対しても耐久性を高めている製品もあります。

金属製のものは非常に強く、長期間の使用でもしっかりと機器の扉を開閉できます。平面であるため、筐体に取り付けても場所を取らず、他の機能や収納スペースを圧迫しません。取り付ける機器の重さや使用環境に応じて、適切な強度を持つハンドルを選定する必要があります。

平面ハンドルの使用用途

平面ハンドルは、主に製品のデザイン性と安全面から採用されるケースが多いハンドルです。以下に代表的な使用例を紹介します。

1. 産業機器や製造機械、医療機器

工場の機械や産業用装置、また医療機器には、操作を簡単にするために平面ハンドルが使われます。これにより、操作員は効率よく機器を扱うことが可能になります。

2. 電子機器の筐体

コンピュータや通信機器、音響機器などのケースに取り付けられ、機器を安全に操作するために使用されます。例えば、サーバーラックの機器などに取り付けられることが多いです。

3. 配電盤、制御盤

配電盤や制御盤の扉を開閉するためのハンドルとして、平面ハンドルが広く利用されています。フラットな形状で、操作性が良く、安全性にも優れているのが特徴です。

4. キャビネット

出っ張りが少ないため、誤ってぶつかったり引っ掛かったりするリスクが低く、オフィスなどの安全性を高めます。また必要な時に開閉がしやすく、金属製のため長期間の使用に耐える耐久性があります。

5. 自動販売機

自動販売機やコインパーキングなど、お金を集めるボックスには「ポップハンドル」が多く用いられています。開錠することによってハンドルがポップアップします。ハンドル自体が極力目立たないよう、コンパクトでシンプルなデザインで設計されている製品がほとんどです。

本記事は平面ハンドルを製造・販売する株式会社ホシモト様に監修を頂きました。

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ケルダール蒸留装置

監修:フォス・ジャパン株式会社

ケルダール蒸留装置とは

ケルダール蒸留装置とは、化学物質内の窒素の量を測ることでタンパク質などを定量する装置です。

サンプルに強酸を加えて加熱し、窒素をアンモニアとして蒸留します。その後、アンモニアを捕集して定量することでサンプル中の窒素量を測定する仕組みです。特に食品、農産物、化学製品の品質管理や研究開発で使用されます。

ケルダール蒸留装置は、非常に高い精度で窒素量を測定できます。サンプル中の有機窒素や無機窒素を効果的に抽出し、正確に定量することが可能です。したがって、品質管理や研究において非常に信頼性の高い分析方法です。

ケルダール蒸留装置の使用用途

ケルダール蒸留装置は以下の用途で使用されます。

1. 食品

食品の窒素含量を測定するために広く使用され、特にたんぱく質含量の測定で活躍します。肉や乳製品などの製品において窒素量を測定し、たんぱく質量を算出します。製品の品質管理や栄養表示に不可欠な分析方法です。

2. 農業・肥料

土壌や肥料中の窒素成分を測定するためにケルダール蒸留装置が使用されます。施肥による窒素の変動を正確に測定することにより、作物の成長に必要な窒素量を評価し、効率的な肥料使用が可能です。

また、肥料の品質管理にも利用され、窒素含量を正確に測定することで製品規格に合致していることを確認します。

3. 化学工業

化学合成物や化学原料の分析においても使用されます。特に化学製品の製造過程で副生成物や不純物が窒素を含んでいる場合、その量を測定するために使用されます。また、無機化学物質や有機化学物質の窒素化合物の特定にも有用です。

4. 環境測定

環境保護や水質管理の分野でケルダール蒸留装置を用いる場合があります。河川や湖沼の水質調査において、窒素の含有量を測定するために使用されます。水中のアンモニアや有機窒素化合物を定量することにより、水質の汚染度や浄化効果を評価することが可能です。

ケルダール蒸留装置の原理

ケルダール蒸留装置は主に窒素を含む化合物を分解し、アンモニアとして蒸留する仕組みです。

まず、試料に濃硫酸を加えて高温で加熱します。これにより、試料中の有機物が分解され、窒素を含むたんぱく質などの化合物がアンモニアに変換されます。触媒としてセレンや銅を使用することもあります。

次に溶液に水酸化ナトリウムを加え、アルカリ性にします。これにより、アンモニアが気体として揮発し、蒸留部に移動させることが可能です。アンモニアが冷却用の捕集液に溶解するため、その濃度を測定することで試料中の窒素量を定量する仕組みです。

窒素含量は滴定に必要な酸の量と試料量に基づいて算出し、たんぱく質量を推定するために使用されます。窒素含量に係数を掛けることで、試料中のたんぱく質含量を求めることが可能です。

ケルダール蒸留装置の選び方

ケルダール蒸留装置を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 電源

ケルダール蒸留装置の電源は、使用する場所の電圧や電力容量に適合する製品を選ぶことが重要です。電灯用の100Vと、業務用の200Vなどに対応したモデルが販売されています。選定の際には装置の電力消費量や必要な加熱能力に応じて、電源の容量が十分であることを確認する必要があります。

2. サイズ

ケルダール蒸留装置のサイズは、設置スペースと処理するサンプル量に合わせて選定します。小規模なラボや研究室ではコンパクトな設計の製品が適しています。一方、大量のサンプルを一度に分析する必要がある場合は、オートサンプラーと接続して連続分析を行える装置を選んだ方が効率的です。

3. 自動添加機能

ケルダール蒸留装置には、酸やアルカリなどの試薬を自動的に添加できる製品も販売されています。酸やアルカリを正確かつ一定量で添加できるようなシステム (高精度ポンプなど) が組み込まれており、作業者の負担を減らしつつ分析の精度も向上します。

自動添加機能があれば手動での添加ミスを減らし、操作の一貫性を保つことが可能です。

4. インターフェース

操作インターフェースは使いやすさや効率に大きな影響を与えます。現在はタッチスクリーンディスプレイや、パソコン接続が可能なインターフェースが搭載されていることが多いです。操作が直感的で複雑な設定も簡単に行うことができます。

本記事はケルダール蒸留装置を製造・販売するフォス・ジャパン株式会社様に監修を頂きました。

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水電解装置

水電解装置とは

水電解装置とは、水を電気エネルギーで分解して水素と酸素にを分解生成する装置です。

取り出された水素は、近年カーボンニュートラルの観点から、次世代エネルギーの一つとして注目されています。水素は貯蔵可能であり、必要な時に供給が可能です。そのため天候や時間に左右される太陽光、風力などの再生エネルギーに比べ、製造・貯蔵・運搬まで比較的安定してエネルギーを供給可能であり、脱炭素社会を実現するクリーンなエネルギー源として期待されています。
水電解装置はその水素を作りだす有効な手段として開発が進められています。

水電解装置では、電解槽内で電流を通すことによって、水分子を水素ガスと酸素ガスに分解して、水素を取り出しますが、二酸化炭素や有害物質を排出しません。再生可能エネルギーの電力を供給することでクリーンな水素の供給源となり得るため、近年ではカーボンニュートラルの観点から注目されています。
そのプロセスにおいては温室効果ガスや有害物質を排出しないことから、脱炭素社会を実現するための有効な手段として期待されています。

水素はエネルギーを効率的に貯蔵できるため、余剰の電力を水素に変換して保存し、後で使用することが可能です。これにより、エネルギーの需給バランスを取るために、特に不安定な供給体制である再生エネルギーの需給バランスを補完することができます。

水電解装置の使用用途

水電解装置は以下のような用途で使用されます。

1. 化学産業

水電解装置は水素を生成し、生成された水素は、アンモニアの製造や、石油精製のプロセスで使われる持続可能な原料として利用されます。

2. 自動車

水電解装置で生成された水素を、燃料電池車に供給することができます。燃料電池は水素と酸素を反応させて電気を生成するため、エミッションゼロでクリーンなエネルギー源として注目されています。これにより、交通機関や家庭でのクリーンなエネルギー供給を実現できる可能性があります。

3. エネルギー産業

水電解装置は余剰の電力を水素という形で保存する役割も果たします。特に太陽光や風力などの発電は気象によって出力が不安定なため、余剰電力を水電解装置で水素に変換し、必要なときに使用できるように貯蔵することが検討されています。水電解装置などにより作り出された水素は、貯蔵・輸送も可能です。これにより、将来的にはエネルギーの需給バランスを調整することが可能です。

水電解装置の原理

水電解装置は電気エネルギーを使って水を水素と酸素に分解する装置です。装置内に電解槽という容器を設置し、その中に水を含む電解溶液を入れて電流を流す仕組みです。電解槽には電流を供給するためにアノードとカソードの2電極があり、電流が流れることでそれぞれで異なる反応が起こります。水が電解反応を起こし、水素と酸素に分解されます、。

まず、PEM水電解の場合、アノードでは酸化反応が発生し、水分子が電子を失って酸素ガスと水素イオン (H⁺) に分解されます。これにより、酸素ガスがアノードから放出されます。一方、カソードでは還元反応が起こり、アノードから放出された水素イオンが電子を受け取って水素ガスを生成します。

水の電気分解反応は水が水素と酸素に分かれる原理です。水電解装置の効率を高めるために電解質を使用し、水の導電性を上げて反応効率を向上させることが多いです。

このように、水電解装置は電気エネルギーを利用して水から水素を生成します。再生可能エネルギー源を活用した環境に優しい水素製造の手段として注目されています。

水電解装置の種類

水電解装置には以下のような種類があります。

1. アルカリ電解装置

アルカリ水電解装置はアルカリ電解質を使用した電解方式です。水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液を電解質として使用し、反応効率を高めます。最も一般的で、長い歴史を持つ水電解技術の一つです。

比較的低い温度と圧力で動作し、長期間の安定性が求められる大規模な水素製造に有利です。コストが比較的低く、技術が成熟しているため、現在広く利用される方式です。

2. PEM水電解装置

PEM水電解装置は固体高分子を使用した電解方式です。PEMはProton Exchange Membraneの略であり、非常に高い効率を有する点が特徴です。

電解質が固体であるため、液体電解質を使用するアルカリ方式に比べて、コンパクトで高い反応速度を有します。特に、再生可能エネルギーを利用した水素製造に適しており、電力の変動に迅速に対応できるという利点があります。

3. 高温水電解装置 (水蒸気電解 (SOEC) )

高温水電解装置は高温の水を電解する方式です。700°C以上の水を電解することにより、エネルギー効率を向上させる原理です。高温を利用することで電解に必要なエネルギーを削減し、効率的に水素を生成できます。

高温水電解は原子力や廃熱などの高温熱源と組み合わせて使用することが多いです。長期的には水素の生産コストを低減できる可能性があり、研究開発が進んでいる分野です。

4. AEM型水電解

電解質にアニオン交換膜 (AEM:Anion Exchange Membrane) を使用した電解方法です。
AEM型水電解では、アルカリ性の水溶液 (KOHなど) を使用するため、非貴金属触媒 (NiやFeなど) が使用可能で、PEM型と比べてコストを抑えた水素製造が可能です。

化粧品充填機

化粧品充填機とは

化粧品充填機とは、多様な様態の化粧品を適切に包装へ充填する機器の総称です。

化粧品充填機は、充填物の幅広い特性と、バリエーション豊かな包装の多様性に対応し、製品品質を保ったまま正確に充填できます。

例えば粘性の高い製品の場合、充填後の糸引きによって容器が汚れる可能性や、気泡の混入によって充填が上手く進行しない可能性があります。化粧品充填機は、真空充填などの方法を用いて、製品特性上で生じるこのような問題に適切に対応しています。

他に搭載される機能としては、正確な温度管理を行う機能 (温度による変質を防止するため) や、高粘性製品を対象とする油圧加圧などの強力な押込機などがあります。

化粧品充填機の使用用途

化粧品は製品特性上、包装・ボトルのデザイン性が高く、他の製品に比べて多種多様です。化粧品充填機は、このような様々な特性を持った製品を、正確に充填するために用いられます。下記は主な使用用途とその特徴です。

1. 基礎化粧品

化粧水、乳液、美容液、クリームなど水性から油性まで、粘度が大きく異なる製品が多く、ピストン式、ノズル式、計量式など、製品の粘度や充填量によって適した方式が異なり、高精度な充填量管理が求められます。

2. メイクアップ製品

ファンデーション、口紅、アイシャドウ、マスカラなど液体、固体、パウダーなど、製品形態によって、ピストン式、ノズル式、計量式、パウダー充填機など、様々な方式が採用されます。また色の混ざり込みを防ぐための配慮が必要です。

3. ヘアケア製品

シャンプー、コンディショナー、ヘアトリートメントなど比較的粘度の高い液体製品が多く、ピストン式、ノズル式が一般的です。泡立ちや使用感を損なわないよう、充填時の空気を極力減らす工夫が必要です。

4. ボディケア製品

ボディローション、ボディクリーム、ハンドクリームなど基礎化粧品と同様に、水性から油性まで、粘度が大きく異なる製品が多いです。ピストン式、ノズル式など、製品の粘度によって適した方式が異なります。大容量の製品も多く、高効率な充填が求められます。

レーザーダイシング加工機

レーザーダイシング加工機とは

レーザーダイシング加工機とは、レーザーを用いてダイシング (ウェーハ上の集積回路を1つずつ切り出して、チップ化する加工) を行うことができる加工機です。

レーザーのエネルギーを利用して非接触で加工を行うため、接触加工法よりもダメージを抑えながらダイシングを行うことが可能です。

レーザーダイシング加工機の使用用途

レーザーダイシング加工機で行われるダイシングとは、ウェハ上の集積回路 (IC) を切り出して、チップ化する工程です。1ウエハあたり数百~数万チップの素子を切り出す必要があり 、非常に高い加工精度が要求されます。

チップとして切り離されたウェハは更に加工され、汎用ICチップとして、一般的な電子機器のCPUやメモリー、車載ICなどに幅広く使用されます。

レーザーダイシング加工機は、このようなダイシングを行う加工機として利用されます。ダイシングにはレーザーダイシングの他に円形刃で直接ウェーハを切断するブレードダイシングもありますが、ブレードダイシングの場合、切断する際に冷却水による冷却を行ったり、切断完了後に切削屑を洗浄する必要があります。また、ブレードを接触させる接触加工法であることから、接触させた時の衝撃によってウェハの欠陥が起こるリスクや破損したダイシングブレードがウェハの汚染を引き起こす可能性などがあります。一方、レーザーダイシングは、レーザーを用いた非接触加工法であり、接触加工法における問題点を回避したい場合に有効です。

レーザーダイシング加工機の原理

レーザーダイシング加工機は、レーザーのエネルギーを利用してダイシング加工する加工機です。動作原理は大きく分けて、「レーザーアブレーションダイシング」、「ステルスダイシング」の2種類に大別されます。

どちらについても、非接触加工法であることからブレードダイシングで発生しやすいチッピングやクラックを減らすことができます。

1. アブレーションダイシング

アブレーションダイシングでは、レーザーを用いてウェーハの一部を蒸発・昇華させることにより切断を行います。単パルスレーザーと集光レンズを併用することにより、高エネルギーのレーザーを加工対象物表面の狭い範囲に集中して照射します。加工対象物の硬さに影響されない加工であるため、加工難度が高い硬質なワークにも対応できる点がメリットです。

接触加工法であるブレードダイシングほどではないにせよ、アブレーションダイシングでは、加工の際に微細な加工屑が発生します。加工屑による不具合を防止するため、アブレーション加工前に加工対象物の加工面に水溶性樹脂をスピンコートなされることが一般的です。水溶性樹脂により加工屑の付着が防止され、加工後は純水洗浄のみで水溶性樹脂と加工屑が共に除去されます。

2. ステルスダイシング

ステルスダイシングとは、透過性レーザーを用い、ウェハの内部にレーザーを集光させて改質層 (結晶性が乱れた層) を形成し、改質層形成後、外力を加えることにより切断を行う加工方法です。尚、ステルスダイシング/STEALTH DICINGは浜松ホトニクス株式会社の登録商標です。

ステルスダイシングでは、加工対象物に対して透過性の波長を持った単パルスレーザーが用いられ、集光レンズを通して集中的に照射されます。このとき改質層の形成と共にウェハの表面・裏面に向かって亀裂も形成され、レーザ光をスキャンすることで、亀裂を切断予定ラインに沿って繋げます。改質層形成後、テープエキスパンドを用いて外部応力を加えると、ウェハ内部の亀裂に引張応力が加わります。これによって亀裂が表裏面に伸展して切断が起き、小片化される仕組みです。

ステルスダイシングは、加工対象物の内部を加工するため、加工対象物の表裏面に傷が付かず、加工屑の発生も抑制されます。冷却水・洗浄水を必要としないドライプロセスです。MEMSなど負荷に弱い加工対象物の加工に適しており、加工幅を細くすることができることも特徴として挙げられます。

レーザーダイシング加工機の種類

レーザーダイシング加工機は多くの製品が提供されており、多様な製品があります。動作原理別では、前述のアブレーションダイシングとステルスダイシングに大別されます。

対応するウェハサイズではΦ200mmやΦ300mmなどの種類があることが一般的です。多くの製品はフルオートマチック式であり、アブレーションダイシングのフルオート機種では、水溶性樹脂の塗布から、ダイシング、洗浄まで一連の工程を自動で行うことができます。

製品によってはウエハ厚み測長機能など、オプション機能を備えている場合もあります。Low-kグルービングやストリート上のTEG除去、Si・化合物半導体のフルカットなどの幅広いアプリケーションに対応している製品や、加工スキャン数を調整することで、様々な厚みのウェハに対応可能な製品など、製品によって様々な機能があります。

横断幕

監修:KANATAサービス株式会社

横断幕とは

横断幕とは、情報やメッセージを視覚的に伝達するための大型シートです。製造業や研究機関、行政などでは、展示会やセミナーでの告知、設備の安全表示や注意喚起に活用され、視認性を高めるために使用されます。素材には、屋外設置で耐久性に優れた「ターポリン」や、軽量かつ取り扱いやすい「トロマット」があり、目的や環境に応じて選定が可能です。工場や研究室の機材表示、イベント用の案内表示、広報活動など、効率的な情報伝達ツールとして、多様な現場で役立てられています。

横断幕の使用用途

横断幕は、製造業や研究機関、大学法人、行政機関において、情報の明確な表示や効果的なメッセージ伝達に役立つツールです。以下にその主な用途を説明します。

展示会や製品発表会での情報掲示

製造業のエンジニアや仕入れ担当者が参加する展示会や発表会では、装置や機材の特長、企業名、技術情報を大きく表示することで、来場者の注目を集めます。視認性に優れた横断幕は、限られた時間で効率的に情報を伝達する手段として重要な役割を果たします。

工場や研究施設での安全表示や注意喚起

製造現場や研究施設では、安全基準や注意事項を表示する必要があります。横断幕を用いることで、作業員や研究者に対し、危険区域の警告、装置操作時の注意点、作業ルールなどを明確に伝えられます。耐久性に優れた素材を使用すれば、長期間の設置も可能です。

学会や研究発表でのアピールツール

大学教授や研究者が学会やセミナーで研究成果や技術発表を行う際、横断幕は研究タイトルや内容を目立たせる役割を果たします。簡潔で分かりやすい表示により、聴衆の興味を引き、発表の効果を向上させることも可能です。

行政イベントや広報活動での案内表示

行政機関では、地域イベントや啓発活動の案内表示に横断幕が活用されています。特に大勢の人が集まる場所では、注意喚起や指示を一目で伝えることができ、効率的な情報提供が可能です。このように、横断幕は製造業や研究機関、大学、行政の現場において、情報掲示注意喚起広報活動などの用途で効果的に活用されています。設置環境や目的に応じて最適な素材を選ぶことで、視認性と耐久性を兼ね備えたツールとして機能します。

横断幕の種類

横断幕に使用される素材にはさまざまな種類があり、その中でも「ターポリン」と「トロマット」は特に代表的です。それぞれの特徴や用途について以下に説明します。

ターポリン

ターポリンは、ビニール系の素材で作られた丈夫な素材を用いた生地のことです。ポリエステルの基布に塩化ビニールをコーティングしており、高い耐久性と防水性といった特徴があります。屋外で使用される横断幕によく用いられ、雨風や紫外線に強いため、長期間の使用に耐えるということが特徴です。また、発色が良く、印刷した文字やデザインが鮮やかに映えるため、遠くからでも視認性が高いことがメリットとして挙げられます。主にスポーツイベントの応援幕や企業の広告看板として重宝され、風雨にさらされる環境でも安定した品質を保ちます。

トロマット

トロマットはポリエステル素材で作られた比較的軽量な布生地です。ターポリンと比較すると柔軟性があり、取り扱いやすく、屋内外どちらの用途にも適しています。布ならではの風合いがあり、折りたたんでコンパクトに収納できるのが利点です。また、しわになりにくく、印刷した際にも色がきれいに表現されるため、見栄えが良い横断幕が作成できます。主に室内での大会出場祝いや学校行事、短期間のイベントなどに使用されることが多く、コストパフォーマンスにも優れています。

横断幕の選び方

横断幕を選ぶ際のポイントは、おもに「使用環境」、「素材」、「サイズ・デザイン」の3つです。

使用環境

横断幕を選ぶ際には、まず使用環境を考慮することが重要です。屋外で使用する場合は、風雨や紫外線など自然環境の影響を受けるため、耐久性や防水性に優れた素材が求められます。例えば、スポーツイベントや建設現場、工場の安全表示などでは、長期間の掲示にも耐える屋外向けの素材が適しています。一方、屋内で使用する場合は、天候の影響を受けないため、軽量で持ち運びやすい素材や設置しやすいタイプを選ぶと良いでしょう。展示会や学会、セミナー、行政イベントなど、短期間の使用であればコストパフォーマンスも考慮する必要があります。

素材

横断幕の素材には主に「ターポリン」と「トロマット」があります。ターポリンは、ポリエステル生地に塩化ビニールをコーティングしたもので、耐久性と防水性に優れているため、屋外使用に適しています。印刷面の発色が鮮やかで、遠くからでも視認性が高いのが特徴です。一方、トロマットは、ポリエステル製の布素材で、軽量かつ柔軟性に優れ、折りたたんで持ち運ぶことが可能です。屋内や短期イベント向けに多く使用され、柔らかな風合いとしわになりにくい点がメリットです。用途や掲示場所に応じて、適切な素材を選ぶことが求められます。

サイズ・デザイン

横断幕のサイズやデザインも、効果を高めるための重要なポイントです。設置場所に合わせてサイズを選定し、必要に応じてカスタマイズすることが可能です。特に屋外では、遠くからでも見やすい大きなサイズや文字が推奨されます。デザインにおいては、視認性を高めるために背景と文字のコントラストを明確にし、シンプルで分かりやすいレイアウトを心がけます。また、ハトメ加工やロープ、バンド固定など設置方法も考慮し、使用環境や重量に合わせた安全性と耐久性を確保することが重要です。

本記事は横断幕を製造・販売するKANATAサービス株式会社様に監修を頂きました。

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