特定小電力無線リモコン

特定小電力無線リモコンとは

特定小電力無線リモコンとは、特に少ない電力で動作する無線リモコンです。

特定小電力無線リモコンは非常に少ない電力で動作します。これにより、リモコン内部のバッテリーの消耗が少なくなり、長期間にわたって使用できます。例えば、照明などのリモコンとして使用した場合、数ヶ月から数年単位でバッテリーを交換する必要がありません。

また、特定小電力無線リモコンは、使用する周波数帯が免許不要であるため、法的な手続きが不要な場合が多いです。このため、設置が非常に簡単で、特別な技術や資格がなくても扱うことができます。また、リモコン自体がコンパクトで軽量なため、設置場所を選ばず、場所を取らない点が利点です。

特定小電力無線リモコンの使用用途

特定小電力無線リモコンは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 商業施設

商業施設では、特定小電力無線リモコンによって照明や音響設備を操作することができます。小売店では店内のディスプレイやプロモーション用の機器をリモコンで管理することで、展示内容の切り替えや調整がスムーズになります。ビル管理分野では、照明や空調をリモコンで制御し、効率的なエネルギー管理を実現することが可能です。

2. 製造業

製造業では、特定小電力無線リモコンが機械設備の操作や監視に利用される場合があります。例えば、機械の起動や停止などをリモコンで行うことで、作業者が手元から簡単に操作でき、作業効率が向上します。また、倉庫管理においては、自動化機器や照明、冷却システムのリモコン制御により、倉庫内の環境を最適に保つことが可能です。

3. 医療機器

医療機器では、特定小電力無線リモコンが患者の快適性を向上させるために使われることがあります。病室内の照明や空調のリモコン制御により、患者のニーズに応じた快適な環境を提供できます。また、リモートモニタリング機能として、特定の医療機器の状態やパラメータをリモコンで確認し、必要に応じて調整が可能です。

特定小電力無線リモコンの原理

特定小電力無線リモコンは無線通信を使用してデータを送受信します。無線通信とは電波を利用して情報を伝達する方法です。リモコンから送信される信号は、電波の形で空中を伝わり、受信用機器で受信されます。

特定小電力無線リモコンは、特定の周波数帯域で動作します。これには、例えば2.4GHz帯や433MHz帯などがあります。これらの周波数帯域は免許不要で使用できるため、広く利用されています。特定の周波数を使用することで、他の無線通信機器との干渉を避け、信号が安定しやすくなる仕組みです。

リモコンは、ボタンを押すと内部の発信器が信号を生成します。この信号は電波としてアンテナから放射され、空中を伝わります。受信機側では専用のアンテナがこの電波をキャッチし、内部のデコーダーによって解読されて機器に指示が伝わります。

リモコンと受信機の間で送受信されるデータは、一般的に特定のプロトコルに従って符号化されています。符号化とは、送信するデータを特定の形式に変換することです。受信機はこの符号化されたデータを復号化し、元のコマンドとして理解します。

特定小電力無線リモコンの選び方

特定小電力無線リモコンを選ぶ際は、以下を考慮します。

1. 通信範囲

リモコンの通信範囲は、受信機との距離によって異なります。使用環境や目的に応じて適切な通信範囲を有するリモコンを選ぶことが重要です。通信距離が長い場合は、許可制の無線機器を使用することも考量する必要があります。

2. 周波数帯域

特定小電力無線リモコンは、一般的に2.4GHz帯や433MHz帯などで動作します。周波数帯域によって通信距離や干渉の影響が異なるため、使用する環境に適した帯域を選ぶ必要があります。例えば、2.4GHz帯は高いデータ転送速度を有し、433MHz帯は干渉が少ない点が特徴です。

3. 操作の簡便さ

リモコンの操作が簡単で直感的であることは、使用の快適さに直結します。ボタンの配置や数、表示の見やすさなど、操作性を確認することが大切です。シンプルで使いやすいデザインのリモコンを選ぶと用途を問わず有利です。

リールラック

監修:JFE商事エレクトロニクス

リールラックとは

リールラックとは、電子部品を格納したテープを巻き付けたものであるテープリールを収納するためのラックです。

半導体や電子部品は、キャリアテープと呼ばれるたくさんのポケットがついているテープを用い、ポケットに1つずつ格納されます。このキャリアテープは、リールに巻き付けて、取り扱われます。リールラックは、このテープリールの保管・収納・整理に使用される収納用品です。リールシェルフなどと呼ばれる場合もあります。

リールラックは、プラスチックや金属 (ステンレス) 製で、リールを格納するための溝やスロットがついています。様々な大きさや種類のテープリールを収納できるように設計されており、ラベルや仕切りなど、内容物の整理に有用な機能を備えている場合もあります。 リールラックを活用することで、電子機器製造の現場で、電子部品の整理整頓や段取り替え工程でのアクセス性を高めることが可能です。

リールラックの使用用途

1. 概要

リールラックは、電子部品を格納するリールを保管・管理するために使用されます。特に、SMT技術 (表面実装技術) で使用される電子部品の取り扱いで活用されています。

リールラックは、テープリールの収納及び、ラベルや仕切りなどを用いた整理整頓、出入庫記録による在庫管理などに活用することが可能です。また、一部のリールラックには電子化された管理システムが搭載されており、誤出庫防止や出庫リストの自動作成、先入れ先出しなどに役立てることができます。

2. SMT (表面実装技術) とは

SMTは、電子部品をプリント基板 (PCB) の表面に直接置いてはんだ付けを行う技術です。PCBの穴に挿入して反対側ではんだ付けする方法 (スルーホール技術) に比べて、下記のような特徴があります。

  • 一般的にスルーホール部品よりも部品が小さい
  • 部品密度が高く、より小さな面積に多くの部品が配置される
  • 製造にかかる時間が短い

このようなSMTに使用される部品はキャリアテープとテープリールを用いて格納されて、基板実装の際はカセットフィーダーにテープリールごとセットされます。セットされた部品は、カセットフィーダーからマウンターへ送られ、基板実装される仕組みです。

リールラックの原理

1. 概要

リールラックは、一般的にプラスチックや金属製で、部品のリールを入れるための溝やスロットがついています。リールは、プラスチック製や紙製などで、直径は概ね180mm~380mmです。封入される部品によってテープ幅が異なり、最小で約8mm、大きいものでは44㎜を超えます。

ラックは、さまざまなサイズや種類のリールを収納できるように設計されており、ラベルや仕切りなど、内容物の整理に役立つ機能を備えている場合もあります。スマートラックと呼ばれる製品では、位置センサーなどを搭載することでラック内の部品の位置を追跡することが可能です。

2. 主な機能

リールラックに採用されることがある主な機能には下記のようなものがあります。

  • リールのサイズや種類に合わせた収納レイアウトを可能とする調整機能
  • ESD (静電気放電) 保護機能:静電気による電子部品の破損防止
  • 防湿管理機能:電子部品の破損を防ぐため、温度と湿度を安定的に保つ
  • ラベリングと識別:特定の部品のリールを素早く識別し、場所を特定する
  • トレー供給の半導体部品など、異なる荷姿への対応可能なラインアップを持つもの
  • テープリールやトレーに残った端材をカウント出来るⅩ線カウンターなどとデータ連携機能があるもの
  • セキュリティ機能:鍵やアラームなどを用い、保存されている部品への不正アクセスや改ざんを防止する

リールラックの種類

リールラックの種類は、純粋なラック機能のみの製品とスマートラックと呼ばれる在庫管理機能を備えた製品とに大別されます。

1. 通常の収納ラック

純粋な収納機能のみのラック製品は、多くがステンレス製で、リールをセットするためのスロットがついたシンプルな収納用棚です。リールの様々な種類や大きさに対応しており、棚の大きさや収納力にも多様な種類があります。

2. スマートリールラック

スマートリールラックは、電子化されたシステム機能を備えた製品です。入庫リールデータ (品名・数量・入庫日) をサーバーに保存することができ、計画出庫表を利用しての一斉出庫やハンディターミナル経由での出庫などを行うことで、入出庫管理が可能です。また、MES・ERPなどの上位システムや、実装機、電子部品カウンターなどとの連携も可能な場合があります。

LEDランプ点灯により入出庫時に空いているスロットや必要なリールが収納されているスロットが明示されます。先入れ先出しやリールのピックアップ時間の短縮に貢献し、入出庫作業の効率化が可能です。尚、誤ったリールの取り出し時には取り違いミス防止のためアラームが鳴る機能もあります。

また、リールの位置管理システムにより、フリーアドレスで複数種類のリールを1つの棚に収納可能です。これにより、倉庫面積削減の効果も期待できます。

本記事はリールラックを製造・販売するJFE商事エレクトロニクス様に監修を頂きました。

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ソルダーペースト

ソルダーペーストとは

ソルダーペーストとは、はんだをペースト状にした材料です。

基本的には、細かく粉砕されたはんだ (通常はスズと鉛の合金) とフラックスという樹脂材料を混ぜ合わせた製品です。主に電子機器の基板上に電子部品を取り付ける際に使用されます。

ソルダーペーストが基板上に塗布されると、部品を配置する際にその位置を保持し、加熱によってはんだが溶けて部品と基板がしっかりと接続されます。この過程で形成されるはんだ接合部は、電気的な導通を確保しつつも機械的にも強固な結合を有します。これにより、信号の伝達や電力供給が安定し、長期間にわたって信頼性の高い動作が可能です。

ソルダーペーストの使用用途

ソルダーペーストは電子基板上に部品を取り付ける際の重要な材料です。基板にペーストを塗布し、その上に電子部品を配置した後に加熱することで、はんだが溶けて部品と基板を接続することができます。これにより、電気的な接続が確立します。

特に、ソルダーペーストは表面実装技術 (SMT) において広く使用されます。SMTでは電子部品が基板の表面に直接取り付けられます。ソルダーペーストは、基板上の所定の位置にペーストを塗布し、リフロー炉で加熱することではんだ接合が行われます。

SMTでは基板上に多くの部品を密に配置することができます。これにより、回路基板のサイズを小さくすることができ、コンパクトで高密度な電子機器の設計が可能です。製品製造を自動化することも可能で、電子機器産業で広く利用されている技術の一種です。

ソルダーペーストの原理

ソルダーペーストははんだ粉末とフラックスが混ぜられたペースト状の材料です。最初に基板上の所定の位置にソルダーペーストを塗布します。塗布方法にはスクリーン印刷やステンシル印刷、またはディスペンサーを使った手法を使用します。

ソルダーペーストが塗布された基板上に、電子部品を正確に配置します。部品はペーストの上に置かれることで、基板上の正しい位置に固定されます。ソルダーペーストは部品を動かさずに位置決めする役割も果たします。

基板と部品が配置された後、リフロー炉に入れられます。リフロー炉内では基板が段階的に加熱され、ソルダーペーストのはんだが溶ける仕組みです。加熱のプロセスではフラックスが化学反応を起こし、酸化物や不純物を除去します。これにより、はんだが部品の端子と基板のパッドにしっかりと接着します。

はんだが溶けて液体状態になると、冷却が行われます。冷却過程ではんだが再び固体に戻り、部品と基板との間に強固な接合が形成されます。この固化プロセスにより、部品は基板上でしっかりと固定され、電気的接続を確立します。

ソルダーペーストの選び方

ソルダーペーストを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 組成

ソルダーペーストの主成分ははんだ合金です。主にスズ-鉛合金や鉛フリー合金が使用されます。

スズ-鉛合金 (Sn-Pb) は伝統的な合金で、多くの電子機器で使用されてきました。スズと鉛が主成分で、融点は約183℃と比較的低く、はんだ付けがしやすいです。これにより、基板や部品に優しく、少ない熱で接続が可能です。ただし、鉛は有害であるため、現在では環境規制や健康への配慮から鉛フリーのソルダーペーストが推奨されることが多いです。

鉛フリー合金は鉛を含まない合金です。Sn-Ag-CuやSn-Agなど、スズに銀や銅を加えた製品が一般的です。銀や銅は強度や耐久性を向上させるため、鉛フリーソルダーペーストは環境規制を満たしながらも、信頼性の高い電気接続を実現します。融点は約217-221℃と高めですが、適切なフラックスとプロセスで使用すれば、良好なはんだ付けが可能です。

2. フラックス種類

ソルダーペーストに含まれるフラックスは、はんだ付けプロセスの品質に影響を与えます。

ロジン系のフラックスは一般的に湿潤性が良好で、はんだ付け後の残留物が少なく、クリーニングが容易です。標準的な電子機器の製造で広く使用されています。洗浄が必要ない無残留の製品も販売されています。

水溶性フラックスは強力な活性を持ち、酸化物や汚れを効果的に除去する添加剤です。ただし、はんだ付け後に水での洗浄が必要です。強固なはんだ付けと高い接触性を提供しますが、洗浄工程が追加されるため、製造コストやプロセスが複雑になることがあります。

梱包箱

梱包箱とは

梱包箱とは、商品の輸送や保管のために使用される箱です。

梱包箱の主な役割は商品を外部の衝撃や振動から守ることです。特に梱包箱には緩衝材や衝撃吸収材が使われることが多く、輸送中や保管中に商品の破損や傷つきを防ぎます。電子機器やガラス製品などは専用の梱包箱に入れることで、安全性を大きく向上させることが可能です。

また、箱の形状やサイズにより、商品を積み重ねたり、移動させたりする際に適切に収納できるようになります。これにより、物流コストの削減や作業効率の向上が期待できます。梱包箱にはハンドルやラベルが付けられることもあり、取り扱いや識別が容易になることも多いです。

梱包箱の使用用途

梱包箱は様々な場所で使用されます。以下はその一例です。

1. 製造業

製造業では製品を工場から出荷する際や、部品や原材料の輸送・保管に使用されます。電子機器や機械部品などの精密な製品は、衝撃や振動から保護するために特別な梱包箱が使われることも多いです。これにより、製品が損傷することなく、安全に顧客へと届けられます。

2. 小売業

小売業では商品の店舗への納品や、消費者への配送の際に梱包箱が使用されます。衣料品や家庭用品などが梱包箱に入れられ、店頭に陳列されたり、オンラインで購入された商品が消費者に届けられたりします。小売業ではブランドのイメージやプロモーションを強調するために、デザインやロゴが印刷された梱包箱が使われることも多いです。

3. 食品業

食品業界では食品の安全性を確保するためにも重要です。冷凍食品や生鮮食品には保温や防湿の機能を持つ梱包箱が使われることも多いです。また、食品の鮮度を保つために、通気性や保護機能を備えた箱が設計されることもあります。

4. 化粧品

化粧品業界では、梱包箱は商品の保護だけでなく、見た目の美しさやブランドの価値を高める役割も果たします。高級感のあるデザインや印刷が施された梱包箱が多く、消費者に対して製品の魅力を伝えるために使用される重要な部材です。商品の陳列やプレゼント用のパッケージとしても利用されます。

梱包箱の原理

梱包箱の材質には、 段ボールやプラスチック及び木材など、商品の特性や輸送条件に応じて適切な材質が選ばれます。例えば、段ボールは軽量で強度が高く、一般的な輸送用途に適しています。

箱の設計は外部からの衝撃や圧力に耐えられる構造を採用されることが多いです。商品にぴったり合うように設計されており、空間を最小限に抑えることで、商品が動くのを防ぎます。また、角や辺の強化が施され、衝撃を分散させる役割を果たします。

梱包箱には緩衝材が使用されることも多く、内部の商品の保護が強化されています。一般的には発泡材やエアキャップ、紙の詰め物などを採用します。これらは輸送中の衝撃を吸収する役割を果たす部材です。

取り扱いの便利さも考慮して設計された製品も多いです。取っ手がついている箱は持ち運びが簡単になるように工夫されています。また、あらかじめ切れ目の入った梱包材などは開封しやすいため、利便性に優れています。

梱包箱の種類

梱包箱には様々な種類があります。以下はその一例です。

1. 段ボール箱

段ボール箱は最も一般的な梱包箱で、多層の紙を圧縮して作られた素材です。軽量でありながら強度があり、様々なサイズで利用可能です。商品の保護と輸送に広く使用されており、保管の際にも便利です。

2. 木箱

木箱はその耐久性の高さから、重い商品や高価な品物の輸送に使用されます。非常に頑丈で、大型機械や家具などの重い商品を安全に輸送することが可能です。また、長期間の保管にも適しており、堅牢な作りで商品をしっかり保護します。

3. フレキシブルパッケージ

フレキシブルパッケージはポリ袋などのフィルム素材を使用した梱包材です。柔軟性が高い上に密閉性が高く、湿気から内容物を保護することができるため、食品の包装や保存に適しています。また、小さな部品や商品をまとめるのにも役立ちます。

4. エコパッケージ

エコパッケージは再生紙などの使用によって環境に配慮したパッケージです。企業の持続可能性を意識した選択肢で、消費者に対しても環境への配慮を示すことが可能です。環境意識の高い消費者への購買意欲を高めつつ、企業のブランディングに役立ちます。

フェルトバフ

フェルトバフとは

フェルトバフとは、羊毛などを圧縮して布状にしたフェルトのことで、金属などの研磨に使うものです。

フェルトバフを回転機械に取り付け、研磨剤を使用して、金属・貴金属・セラミック・ガラスなどの表面を磨き、艶出し・研磨仕上げなどを行います。対象物の表面を鏡面のように仕上げることができます。

フェルトバフの用途は、ステンレス製の食品機械などの表面研磨、宝飾品などの艶出し、ガラス製品の表面仕上げなどです。

フェルトバフの使用用途

フェルトバフは、各種産業で使われますが、一例を次に示します。

1. 食品機械の表面研磨

ステンレス製部品・容器などの表面を研磨して滑らかにします。加工時に付いたバリや傷を除去して、素材表面に光沢を出します。バフ研磨で表面の凸凹が減り平滑度が上がって、製品の摩擦の減少が可能です。

2. 宝飾品の艶出し

貴金属やガラス製の指輪・ネックレス・ブローチなどの宝飾品の表面を磨いて、光沢を出すために、バフ研磨を行います。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキをする前に表面をバフ研磨してメッキをきれいに行えるようにします。

フェルトバフの種類

1. フェルトディスクバフ

フェルトを円盤状にしたもので、乾式研磨及び湿式研磨に対応が可能です。硬さは5種類以上あり、対象品の種類などから選定します。

厚みは、2~25mmまで即可能で、30mm以上も対応できます。用途は、ステンレスや金属部品の最終仕上げや部分研磨仕上げなどで、必ず油脂研磨剤を塗布して研磨します。

2. 軸付きフェルトバフ

きめの細かい羊毛を高密度に圧縮して成形したもので、円筒型・砲弾型・球形などの形状があります。外径・厚みの種類が豊富で、小型の対象物や内径部分の研磨が可能です。

回転させるための軸があり、軸径は、2.35、3.0、6.0mmなどです。油脂研磨剤を使用しますが、酸化クロムやアルミナ砥粒、酸化セリュームを含浸させたフェルトバフは、そのままで研磨ができます。

3. フェルト豆バフ

マンドレールに取り付けて使用する小型のバフです。細部形状のものの研磨に使用します。両面テープやマジックテープ付きもあります。

4. その他のフェルトバフ

  • 樹脂加工フェルトバフ
    バフに研磨剤保持力と耐久性を強め、高圧研磨に向いています。

  • 研磨剤含浸フェルトバフ
    仕上げ専用のバフで、バフ研磨の粉じんの減少をはかり、作業環境を改善します。

  • フェルトディスクバフ (粗目)
    獣毛で作られたフェルトバフであり、通常の羊毛フェルトバフより切削力に優れています。用途は金型鋼材の研磨等です。

フェルトバフの特徴

バフ研磨には多くの種類があり、目の粗さは数字で表します。数字が大きいほど細かくなり、800番のバフは鏡面仕上げができます。

バフの目的は、本来の研磨以外に、バリ除去・キズ除去・付着物除去・溶接ビード除去・平滑性向上・光沢感向上などです。

バフ研磨は、広い面に他、細部や曲面も容易に磨けるため、ステンレス、アルミ、チタンなどの金属、プラスチック、ガラスなどの研磨ができ、各種工業部品の製作の際に使用されます。

フェルトバフのその他情報

1. バフ研磨に使用する研磨剤

バフ研磨用の研磨剤の種類は、固形と液体が使われ、両者研磨用ですが、切削効果は少ない特性があります。これらにはあらかじめ研磨剤として粒子が練り込まれており、固形研磨剤にはスティック状の「青棒」や「赤棒」などの呼称がついています。

液体研磨剤は家庭用から工業製品用まで種類が多彩で、配合されている研磨材は、酸化クロム、アルミナ、酸化鉄などの粒子がです。

固形研磨剤は次のような種類があります。

  • 青棒:鏡面仕上げ用の研磨剤
  • ピンク棒:クロムが含まれていない準鏡面仕上げ用
  • 白棒:中仕上げに使われる研磨剤
  • グリーンライム:白棒と青棒の中間特性を有する研磨剤
  • トリポリ:粗仕上げに用いられる研磨剤
  • むらさき棒:トリポリと白棒の中間特性を有する研磨剤
  • 油棒:油の多い、焼け防止研磨剤

2. 研磨剤の選び方

バフ研磨では、表面が粗い状態では鏡面仕上げ用の研磨剤を使いません。工程を粗仕上げ→中仕上げ→鏡面仕上げとして適切な研磨剤を選ぶことにより、対象物の研磨が優れた状態になります。

このため、粗仕上げではトリポリ、中仕上げには白棒 、鏡面仕上げは青棒を選択します。この工程を繰り返して何度も研磨し、最終的に優れた鏡面加工が可能です。

リューターバフ

リューターバフとは

リューターバフとは、リューターに取り付けて対象物を磨くバフです。

リューター (英:Leutor) は、本来日本精密機械工作株式会社が製造する電動切削工具のブランド名ですが、ハンドグラインダーに類似した精密グラインダーを指す一般名称としても使われます。ルータと呼ばれる場合もあります。

バフは、綿やフェルトなどで作られた工具であり、精密グラインダーなどに取り付けて、金属・セラミック・樹脂・宝石・ガラスなどの研磨に使われます。

リューターバフの使用用途

リューターバフは、多くの産業に使われていますが、一例を次に示します。

1. ステンレス製の食品機械や小物部品の表面研磨

表面に残る微小な加工傷や凹凸などをリューターバフで除去する場合などに使われます。適切なバフを選定してバフ加工を行います。鏡面加工が可能です。

2. 宝飾品などの研磨

指輪・ブローチ・ネックレスなどの表面をリューターバフで磨いて、光沢を出します。このほかの用途は、彫金、木彫、模型製作、ネイルアート、ガラス工芸などの研磨です。

3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ

メッキの付着力を増して仕上げをよくするために、メッキ面を研磨します。

リューターバフの種類

1. 布バフ

研磨剤を選ばない基本のバフです。新品の場合は、バフかきやへら先などで、布のケバ取りをまずした後、研磨に使います。キャラコ製の布バフはリューター用です。

2. 皮バフ

セーム皮で作られたバフで、硬くて研磨力が強い特性があります。布バフに比べ、対象物の細部にあたるのが少ないので、曲面を明確に表現する場合に便利です。

皮バフは、大きなバッファ用と手作業用の小型豆バフがあり、豆バフは布バフの下バフに多く使われます。

3. フェルトバフ

フェルトバフは羊毛を圧縮し成形して作られます。用途は、比較的面積が広い面、小さい傷やヤスリ目が多い部分の研磨です。

各種の形状があり、円筒形、円錐形、コーン形、円盤形、砲弾形が多く使われます。円盤形は面積が広い面の仕上げに、コーン形は指輪の内側などバフが届きにくいところに、円錐形は円盤形が入らない細部に、各々使用されます。

フェルトバフは、自由な形に削れるので、対象物に合わせて削り出すことにより、効率良い作業が可能です

4. ビニールバフ

アランダム・カーボンをビニールで固めたものです。用途は、荒みがきが必要な面仕上げなどです。グレー色の砥石は、120番から800番まで揃っており、白色の砥石は、1,000番と1,500番があります。軸が付いているものもあり、手作業用は「PVA軸付き砥石」と呼ばれます。

また、青粉が入ったみがき用PVA砥石もあり、白棒を使った後の工程に使うと便利です。

リューターバフのその他情報

1. リューターバフの駆動法

  • リューター
    リューターは、モーター部分を手で持ちやすくした工具、即ちマイクログラインダーです。リューターの先端に取り付ける工具は、用途によって入れ替えることが可能です。穴あけや切削、研磨用など、各種先端工具が取り付けられます。リューター用のバフは、直径16~24mmくらいです。
  • フレキシブルシャフトモーター
    モーターを吊り下げて使用します。駆動軸がフレキシブルなのでリューターバフの取り付けは容易です。

  • バッファー
    円盤状のリューターバフをバッファーモーターに取り付け、研磨作業を行います。研磨力が強く、一気に磨きを完了することが可能です。バフは直径が75~240mmくらいまでの種類があり、バッファー本体のほか、集塵機も必要になります。

2. リューターバフの研磨剤

研磨剤は仕上がりに大きく影響するので、研磨剤の選定が重要です。

  • トリポリ
    トリポリの原料は、珪石のキズ取り用の油脂研磨剤でモース硬度は7程度です。切削力がとても強い研磨剤です。

  • 青棒
    酸化クロムを原料にして作られる青棒は、油脂研磨剤の1つです。高度が高く、粒度も細かいので、貴金属すべての仕上げに広く使われます。

  • 赤棒
    赤棒はトリポリに使う原料より上質な酸化鉄を使って作られ、最終仕上げに多く使われます。銀や金を青棒で研磨した後の仕上げ用に使用されます。

  • 白棒
    原料にホワイトアランダムを使用する白棒は、種類が多いのが特徴です。中みがき用として多く使われる研磨剤であり、研磨力が強く、適宜に使用しないとダレが生じる恐れがあります。

肌チェッカー

監修:株式会社ヤヨイ

肌チェッカーとは

肌チェッカーとは、皮膚の状態を詳細に分析評価する機器です。

肌チェッカーは、皮膚の水分・皮膚バリア機能・光老化・コラーゲン量・弾力・はり・色・油分・pH・温度など様々な皮膚の特性を詳細に測定し分析評価することができます。

手軽に家庭で測定ができるスキンチェッカーと呼ばれるものから、詳細に分析を行う肌分析機まで様々なものがありますが、ここでは主に業務用で肌分析を行う機器について記載します。

肌チェッカーは、化粧品や医薬品の分野や皮膚組織の研究など肌に関係する様々な分野で活用されています。

化粧品や医薬品などの分野で皮膚に効果的な商品を開発するためには、皮膚の特性を詳細に把握する必要があります。開発時に肌チェッカーを使用することにより、皮膚への有効性の評価を始め、重要項目である安全性の評価を可能にします。

また、それぞれ機能の違いはありますが、医療機関の診察や、美容サロンや化粧品売り場のカウンセリングで利用されることもあります。

肌チェッカーの使用用途

以下に、肌チェッカーの代表的な使用用途について記載します。

1. 化粧品の開発

肌チェッカーは、肌タイプの評価、化粧品の有効性の評価など、スキンケア化粧品の開発の中で使用されています。

乾燥肌、脂性肌、敏感肌などの肌タイプの評価を行い、エイジングケア製品の研究開発にも活用されています。皮膚の弾力性や保湿力、バリア機能、メラニン量など多数の項目を、製品が目指す効能に応じて分析評価を繰り返すことにより最適化した製品を開発しています。

2. 医薬品・機能性食品などの開発

アトピー性皮膚炎治療薬や、軟膏、日焼け止め、抗炎症剤、サプリメント、機能性食品などの開発の中で、肌チェッカーを使用して有効性評価を行い最適化しています。

化粧品や医薬品、機能性食品などの開発においては、安全性の評価が大変重要です。皮膚に対する刺激やアレルギー反応が無いかを評価し、安全性を確認してから製品を市場に提供します。

4. 医療機関

美容クリニックや皮膚科などで、皮膚の状態を分析することにより、皮膚科学に基づいた最適な治療やスキンケアを提案する際に利用することがあります。

5. 化粧品カウンセリングコーナー

化粧品売り場には肌チェッカーを設置している売り場があり、分析後肌状態に合わせて化粧品のカウンセリングを受けることができます。

6. その他

服やおむつ・生理用品などの開発における皮膚のかぶれや摩擦による皮膚バリア機能の評価の他、皮膚組織の力学特性の研究にも肌チェッカーを使用しています。

肌チェッカーの種類

肌チェッカーは評価・測定するパラメーターに応じてさまざまな機能の機器があります。単一のパラメーターだけを評価・測定する機器もあれば、1台で複数のパラメーターを評価・測定できる機器もあります。一般的には、肌チェッカーを用いる評価目的に応じて、評価・測定するパラメーターを各種組み合わせて利用されています。以下に、肌チェッカーで測定できる代表的なパラメーターについて記載します。

1. 角層水分量

皮膚の表面のツヤ、ハリ、柔らかさに大きな影響を与える角層の水分含有量を測定します。角層は十数の層をなしており、一般的に乾燥肌と呼ばれる状態では角層のごく表層部だけが乾燥しており、表皮と直接接する下層は乾燥肌であっても水分量が高い傾向にあります。

スキンチェッカーでチェックできる皮膚構造模式図

図1. 皮膚構造の模式図

角層水分量測定方法には、コンダクタンス測定法とキャパシタンス測定法があります。

コンダクタンス測定法は、高周波の交流電流に対する電気伝導度を測定する方法で、水分が多いと電気が流れやすいという性質を利用しています。高周波の交流電流の持つ表皮効果により、角層のごく表層部の水分量とよく相関した値を測定することができ、乾燥肌の測定に適しています。

キャパシタンス測定法は電荷を蓄積する能力 (静電容量) を測定する方法で、水分が多いと電気をよく蓄積するという性質を利用しています。静電容量の性質から測定範囲は深くなり、角層だけでなく表皮上層部分の水分量の影響も大きく受けます。角層全体の水分量を測定する場合に適しています。

2. 経皮水分蒸散量 (TEWL) 

経皮水分蒸散量 (TEWL) の測定は、皮膚バリア機能評価をする上で重要です。

中が空洞になった円筒形プローブのチャンバー内部に設置された複数の温湿度センサーにより、皮膚からの水分蒸散によって生じる湿度変化を計測し濃度勾配からTEWLを算出します。より自然な環境に近い状態で計測できるオープン型プローブと、外部の空気の動きの影響を排除するためのクローズド型プローブがあります。頭皮、爪、唇などの狭い測定面でのTEWLの測定を可能にした製品もあります。

図2のように、バリア機能の保たれた健康な肌は角層の上層も下層も水分量が保たれており、水分蒸散量も低めに抑えられます (上図) 。一方、角層に損傷を受けてバリア機能が保たれていない肌は水分蒸散量が上昇し、角層の上層の水分量が低下しますが、顆粒層に直接接している下層の水分量は上層よりは高いまま維持されます。 (下図)

角層水分量と蒸散量

図2. 角層水分量と蒸散量

3. 皮膚超音波

超音波を用いて皮膚内部の様子を非侵襲的に可視化します。光老化による真皮へのダメージ、健康なコラーゲン状態の評価、真皮の厚さの計測、皮下脂肪の評価などさまざまな評価に用いられます。

図3のように、真皮内でコラーゲン繊維が健康な状態であると超音波が反射しやすくエコー強度が上がります (上図) 。一方コラーゲン繊維が不健康な状態であると超音波を反射させる繊維が少なくなりエコー強度が下がります (下図) 。

超音波で測定する肌チェッカーの仕組み

図3. 超音波皮膚測定

4. 粘弾性

皮膚の弾力、はり、硬さを測定します。

機器内部に陰圧機器を搭載し、減圧して皮膚を吸引することによる単位時間あたりの皮膚の変位量から計算して評価したり(一般的にやわらかさや硬さの評価となります)、減圧を開放した際に皮膚がもとに戻る際の単位変位量あたりの時間を測定したりする(一般的にはりの評価となります)ことで評価します。

5. メラニン・紅斑

皮膚の色を構成するメラニン色素とヘモグロビンを測定します。

メラニンとヘモグロビンに対して吸収率の異なる波長の光を照射し、その反射光の比を測ることで算出します。

6. 皮脂

皮膚の油分を測定します。

皮脂採取材で皮脂を吸着したサンプルの光透過性の変化を計測し、分泌された皮脂量を算出します。皮脂だけを正確に測定するために、汗などの水分を吸収しない皮脂採取材を採用した機器があります。

7. その他

pH測定、表面温度測定、摩擦力測定など様々な機器があります。

肌チェッカーのその他の情報

皮膚分析に関する今後の展望について記載します。

1. 皮膚分析評価の標準化

皮膚分析評価パラメーターは、皮膚弾力パラメーターなど多数の論文に記載されているものもありますが、大多数は技術の異なる装置や方法でデータが取られています。信頼性の高い皮膚分析評価を行うには、データの一貫性が求められます。

2. 皮膚分析と持続可能な化粧品開発

近年、自然で持続可能な製品のニーズがあり、植物ベースの成分を使用した化粧品の開発が急がれます。皮膚分析により、植物エキスやオイルなどの植物由来の成分が皮膚に与える影響を研究し、持続可能な製品開発が求められています。

3. 個人固有のスキンケア

皮膚分析データに基づいた個人固有のスキンケアの実現が期待されています。将来的には、AIやビッグデータ解析を活用し、個々の皮膚状態に合ったスキンケアが可能になることが期待されます。

本記事は肌チェッカーを製造・販売する株式会社ヤヨイ様に監修を頂きました。

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振れ止め金具

監修:株式会社アルティマ

振れ止め金具とは

振れ止め金具とは、建物の天井から吊り下げられている様々な機器や配管などが横振れすることを抑制するために用いられる建築資材の一つです。

振れ止めは建築業界で使われる用語で、天井から吊り下げられているワイヤーや吊りボルトなどと併せて使用されます。

振れ止め金具は、天井から吊り下げられて使用する振れ止め以外にも用いられるものがあります。例えば配管を壁面などに固定するU字ボルトや、断面がL字形状をしているアングル材を組み合わせて作られるスチールラックのコーナー部分で部材同士を固定する金具も、振れ止め金具と呼ばれる資材です。

振れ止め金具の形状や使われる部位は様々ですが、多くはねじで固定される部品です。振れを止めるという外力が作用することが前提の部品のため強度も必要であり、ほとんどが鉄鋼材料で作られています。

振れ止め金具の使用用途

振れ止め金具は主に建築物で、天井から吊り下げられた機器や配管類の横揺れを抑制するために使用されます。鉄骨や鉄筋コンクリート造の大型施設の天井を見ると、様々な配管や照明などが天井から吊り下げられているのを見かけることがあります。振れ止め金具はこのような天井から吊り下げられた部材が横揺れを防止するために用いられる資材です。斜め方向にワイヤーや吊り金具と呼ばれる鉄製の棒材の両端におねじが切られた部材などを固定するために用いられます。

天井から吊り下げられたもの以外には、まず壁に沿って垂直に配置された配管を壁に固定するものがあります。さらにアングル材を組み合わせて作られるスチールラックのコーナー部分で、複数の部材の位置関係がブレないように固定するための部材も、振れ止め金具に分類される資材です。

振れ止め金具の種類

振れ止め金具は用いられる部位や振れ止めの対象となる部材によって、様々な形状をしており、適した製品を選ばなければなりません。

天井から空調機器や配管の振れを止めるために用いられる振れ止め金具では、主に振れを止めるための吊りボルトの設置の仕方によって用いられる振れ止め金具が異なります。

例えば四角形上の空調機器を天井から吊り下げた場合、隣の頂点と交差するように吊りボルトを配置する場合、4つの頂点の外側にそれぞれ平行に触れ止めの吊りボルトを配置する場合、4つの頂点から放射状に吊りボルトを配置する場合などがあります。振れ止め金具は吊りボルトと天井との固定に使われますが、天井面と吊りボルトとの角度がそれぞれ異なるため、両者の固定に適した振れ止め金具を選ぶことが必要です。

天井から吊り下げられた空調機器や配管以外の振れ止め金具は、配管を壁面に固定するU時金具、アングル材を組み合わせて作られるスチールラックなどに用いられる振れ止め金具があります。

振れ止め金具のその他情報

振れ止め金具の表面処理

振れ止め金具は主に建物の内部で用いられますが、天井や壁面の内部など、室内よりも過酷な条件で用いられる部材です。湿気が多い場所で使われることもあるため、メッキや塗装が施されたり、ステンレス材で作られています。

メッキは電気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキ、ユニクロメッキなどが用いられています。振れ止め金具は日頃は点検しにくい場所に用いられるのが一般的です。使用される環境に適した製品を選ぶことが重要です。

振れ軽減機能付き防振吊り金具

振れ止め金具の中には、振れを積極的に吸収する防振機能を加えた製品もあります。振れ止め金具と吊りボルトを直接固定せずに、両者の間にゴム製のダンパーの役割を果たす部材を挟んだものです。機械の稼働によって細かな振動が常に発生する場合、機械振動を伝えたくない場合には効果が期待できる金具です。

 

本記事は振れ止め金具を製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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放送設備

監修:東京エレクトロンデバイス長崎株式会社

放送設備とは

放送設備とは、テレビやラジオ、インターネットを通じて情報を伝えるための機器です。

マイクやカメラによって取得した情報を、アンテナやスピーカーを活用して外部に発信する装置群を示します。

放送設備は近代にかけて発展した分野であり、19世紀末にマルコーニによる無線通信の発明が放送技術の基盤を築きました。これにより、無線通信による信号の送受信が可能となり、初期のラジオ放送の基盤ができました。この時代の放送設備は、真空管によるトランスミッターなどです。

1930年代にはテレビ放送が開始され、戦後の1950年代には急速に普及しました。この時期にアナログテレビカメラやスタジオの音響設備、そして大型の放送用アンテナが放送設備として使用されています。1960年代に入ると、カラー放送が導入され、テレビ放送の品質が大幅に向上しました。

1980年代後半から1990年代にかけてデジタル技術が放送設備に導入されるようになり、映像や音声の品質が向上し、放送帯域の効率も改善されました。衛星放送やケーブルテレビの普及により、放送の受信方法も多様化しました。2000年代以降はインターネットの普及とともに、放送設備にストリーミングサーバーやコンテンツ配信ネットワークなどが加わり、オンデマンドのコンテンツ配信が可能になりました。

放送設備の使用用途

放送設備は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. メディア

メディア業界ではテレビ放送やラジオ放送が主な使用用途です。テレビ局ではニュースやバラエティ番組の制作に放送設備が必要であり、スタジオ内では複数のカメラやマイクが使用されます。ラジオ局では音楽番組やトークショーを放送するための設備が整えられており、音声ミキサーやマイクを使って生放送や録音、編集が行われます。

2. 教育

教育業界では教育コンテンツの制作や遠隔授業に放送設備が利用されます。教育ビデオの撮影や編集、オンライン配信のためにカメラやマイク、編集ソフトウェアを使用することが多いです。また、遠隔授業やウェビナーでは、ライブ配信を行うためのストリーミング設備や録画機器が必要です。

3. 製造業

製造業の現場では、製造プロセスの監視と管理に放送設備が活用されます。例えば、大規模な工場や生産ラインでは、カメラを用いてリアルタイムで作業の様子を監視し、問題が発生した場合には即座に対応します。これにより、生産効率の向上や品質管理の強化が図られます。

また、大規模工場などでスピーカーが各所に設置され、従業員へ広域通達をする場合も多いです。緊急時には避難誘導などにも使用され、安全の観点から重要設備となっている場合があります。

放送設備の原理

放送設備が音声や映像の信号を収集するためには収録機器が必要です。音声収録にはマイクロフォンが使用され、映像収録にはカメラが使用されます。これらの機器でアナログ信号を電気的な信号に変換します。

収録されたアナログ信号は、アナログ-デジタル変換器を用いてデジタル信号に変換されます。デジタル信号は二進数で表現され、コンピュータやデジタル機器で処理するのに適しています。ノイズに強く、信号の劣化を防止できる点が特徴です。

これらの信号は送信機を通じて伝送されます。テレビ放送では地上波や衛星放送などの送信方法があり、ラジオ放送でもAM・FM・デジタルラジオなどの方式があります。送信機は信号を適切な周波数や波長に変調し、アンテナを通じて空中に放射する仕組みです。

視聴者や聴取者は、受信機を使って放送された信号を受け取ります。テレビやラジオは信号をデジタル-アナログ変換器を用いてアナログ信号に戻し、画面やスピーカーを通じて音声や映像を再生します。デジタル受信機は信号のエラーチェックや復号を行い、品質の高いコンテンツを提供することが可能です。

放送設備の選び方

放送設備を選ぶ際には、目的や使用環境などを総合的に考慮することが大切です。

まず、収録する内容によって必要な機器が異なります。音声のみを収録する場合、マイクや音響ミキサーが重要です。一方で、映像と音声を同時に収録する場合は、カメラやマイク、音響ミキサーなど、複数の機器が必要です。

次に、制作環境に応じた機器選びも重要です。スタジオ内での放送や録音には、照明機器や音響パネル、スタジオモニターなどが必要です。一方、外部ロケや移動中の収録では、持ち運びが容易で耐久性のある機器が適しています。

技術的な要件も重要な要素です。映像の品質については、テレビやオンラインストリーミング用であれば、HDや4Kの解像度をサポートする録画機器を選ぶと有利です。また、音声については高音質を求める場合、サンプリングレートやビット深度が高い音声機器が適しています。

放送設備のその他情報

テレビやラジオの放送は、複数のステップを経て視聴者の元へ届けられます。

まず、番組の制作は演奏所と呼ばれるスタジオで行われます。ここではニュースやドラマ、音楽番組などが作られ、それが電波に変換されます。

次に、電波は送信所という場所から放送されます。送信所は非常に強力な電波塔で、高い場所に設置されていることが多いです。この送信所から発せられる電波が、視聴者のテレビやラジオに直接届きます。

しかし、送信所からの電波が山や建物などの障害物に妨げられることがあります。このような場合、中継局が役立ちます。中継局は、送信所からの電波をキャッチして増幅し、さらに遠くまで届ける役割を果たしています。

これにより、山間部や電波が届きにくい地域でも、テレビやラジオを楽しむことができるのです。この一連の仕組みによって、視聴者は安定して高品質な放送を受け取ることができています。

本記事は放送設備を製造・販売する東京エレクトロンデバイス長崎株式会社様に監修を頂きました。

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シンタリング装置

監修:アルファエレクトロニクス株式会社

シンタリング装置とは

シンタリング装置とは、高温で圧力をかけて材料を焼結させる装置です。

半導体製造におけるシンタリングプロセスは、材料を加熱して粒子間の結合を促進し、その後に冷却して結合させるプロセスです。これにより、材料の密度を高めたり、接合部を強化したりすることが可能です。シンタリング装置はこのプロセスを制御するための温度管理や圧力調整などを行う機能を備えています。

加熱を均一に行うための炉や、均一に圧縮するためのプレス機構で構成されます。電子部品の基板やチップの製造において、導電性や耐熱性、機械的強度などが要求される場面で重要となる装置です。

シンタリング装置の使用用途

シンタリング装置は主に半導体業界において使用されます。電子部品の製造におけるシンタリングプロセスは、半導体チップや集積回路、特にパワー半導体などで重要です。高精度な部品の製造を可能にするプロセスで、デバイスの性能や信頼性を大きく左右します。

パワー半導体では、近年はシリコンカーバイド (SiC) などの接着に使用できる装置も開発されています。SiCは高温・高電圧に耐えるパワー半導体デバイスとして、電力変換器や高電圧スイッチなどのデバイスに使用されます。シンタリング装置により、耐熱性や耐電圧が向上し、エネルギー効率を改善させることが可能です。

シンタリング装置の原理

シンタリング装置の原理は、材料を高温で加熱しつつ圧力をかけて固化または結合させるプロセスに基づいています。接合には、シンターペーストと呼ばれる銀ペーストや銅ペーストなどを使用します。

シンターペーストは微細な銀粉などがバインダーと呼ばれる結合剤と混合された製品です。電子部品の製造やその他の高精度な材料加工で使用されます。このペーストがシンタリングプロセスによって固体の銀に変わり、強固で導電性のある結合部分を構成する仕組みです。

まず、シンターペーストが成形され、特定の形状やパターンが作られます。この段階でのペーストは柔らかく、柔軟性がありますが、強度は十分ではありません。成形したシンターペーストを、接合対象の半導体チップや基版と共にシンタリング装置へ導入します。

シンタリング装置は高温で加熱するための炉が基本となります。加熱プロセス中にバインダーが揮発し、粉末粒子同士が接触し始めます。さらに温度が上昇することで、粉末粒子が互いに溶けて融合し、さらに加圧することで、より強固な金属構造を形成します。最終的に、全体が均一に固化し、所望の物理的特性を持つ部品が完成します。これがシンタリング装置の原理です。

シンタリング装置の選び方

シンタリング装置を選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. サイズ

シンタリング装置のサイズは、処理する材料の量や製品のサイズによって決まります。小型の装置は試験や少量生産に適しており、ラボや研究施設で使用されます。一方、大型の装置は大量生産や大型部品の処理の際に有利です。装置のサイズを選ぶ際には、将来的な生産量や製品サイズの変化も考慮することが重要です。

2. 加熱温度

加熱温度は材料の種類やシンタリングプロセスの要求に応じて選ぶ必要があります。装置が必要とする最高温度をサポートしていることや、温度均一性を確認することが重要です。均一な加熱が行われることで、製品の品質が向上します。

3. プレス圧力

プレス圧力は材料が成形される際に必要な圧力を示します。特に、高密度の基板や複雑な形状の部品を作る場合は、適切なプレス圧力が必要です。装置には、圧力の調整が可能な機能や、安定した圧力を維持できる機能、広範囲を均一に加圧できる機能が求められます。

4. 電源・熱源

シンタリング装置の電源や熱源は、装置の効率と運用コストに直接影響します。熱源にガスなどを使用する製品も製造可能ですが、一般的には電気を使用することが多いです。電気炉は精密な温度制御が可能で、均一に加熱できる点が特徴です。

電源にはAC電源を使用する製品が多いです。中型以上の機器では3相200Vを使用した製品が多く販売されています。

本記事はシンタリング装置を製造・販売するアルファエレクトロニクス株式会社様に監修を頂きました。

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