ソルダーペースト

ソルダーペーストとは

ソルダーペーストとは、はんだをペースト状にした材料です。

基本的には、細かく粉砕されたはんだ (通常はスズと鉛の合金) とフラックスという樹脂材料を混ぜ合わせた製品です。主に電子機器の基板上に電子部品を取り付ける際に使用されます。

ソルダーペーストが基板上に塗布されると、部品を配置する際にその位置を保持し、加熱によってはんだが溶けて部品と基板がしっかりと接続されます。この過程で形成されるはんだ接合部は、電気的な導通を確保しつつも機械的にも強固な結合を有します。これにより、信号の伝達や電力供給が安定し、長期間にわたって信頼性の高い動作が可能です。

ソルダーペーストの使用用途

ソルダーペーストは電子基板上に部品を取り付ける際の重要な材料です。基板にペーストを塗布し、その上に電子部品を配置した後に加熱することで、はんだが溶けて部品と基板を接続することができます。これにより、電気的な接続が確立します。

特に、ソルダーペーストは表面実装技術 (SMT) において広く使用されます。SMTでは電子部品が基板の表面に直接取り付けられます。ソルダーペーストは、基板上の所定の位置にペーストを塗布し、リフロー炉で加熱することではんだ接合が行われます。

SMTでは基板上に多くの部品を密に配置することができます。これにより、回路基板のサイズを小さくすることができ、コンパクトで高密度な電子機器の設計が可能です。製品製造を自動化することも可能で、電子機器産業で広く利用されている技術の一種です。

ソルダーペーストの原理

ソルダーペーストははんだ粉末とフラックスが混ぜられたペースト状の材料です。最初に基板上の所定の位置にソルダーペーストを塗布します。塗布方法にはスクリーン印刷やステンシル印刷、またはディスペンサーを使った手法を使用します。

ソルダーペーストが塗布された基板上に、電子部品を正確に配置します。部品はペーストの上に置かれることで、基板上の正しい位置に固定されます。ソルダーペーストは部品を動かさずに位置決めする役割も果たします。

基板と部品が配置された後、リフロー炉に入れられます。リフロー炉内では基板が段階的に加熱され、ソルダーペーストのはんだが溶ける仕組みです。加熱のプロセスではフラックスが化学反応を起こし、酸化物や不純物を除去します。これにより、はんだが部品の端子と基板のパッドにしっかりと接着します。

はんだが溶けて液体状態になると、冷却が行われます。冷却過程ではんだが再び固体に戻り、部品と基板との間に強固な接合が形成されます。この固化プロセスにより、部品は基板上でしっかりと固定され、電気的接続を確立します。

ソルダーペーストの選び方

ソルダーペーストを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 組成

ソルダーペーストの主成分ははんだ合金です。主にスズ-鉛合金や鉛フリー合金が使用されます。

スズ-鉛合金 (Sn-Pb) は伝統的な合金で、多くの電子機器で使用されてきました。スズと鉛が主成分で、融点は約183℃と比較的低く、はんだ付けがしやすいです。これにより、基板や部品に優しく、少ない熱で接続が可能です。ただし、鉛は有害であるため、現在では環境規制や健康への配慮から鉛フリーのソルダーペーストが推奨されることが多いです。

鉛フリー合金は鉛を含まない合金です。Sn-Ag-CuやSn-Agなど、スズに銀や銅を加えた製品が一般的です。銀や銅は強度や耐久性を向上させるため、鉛フリーソルダーペーストは環境規制を満たしながらも、信頼性の高い電気接続を実現します。融点は約217-221℃と高めですが、適切なフラックスとプロセスで使用すれば、良好なはんだ付けが可能です。

2. フラックス種類

ソルダーペーストに含まれるフラックスは、はんだ付けプロセスの品質に影響を与えます。

ロジン系のフラックスは一般的に湿潤性が良好で、はんだ付け後の残留物が少なく、クリーニングが容易です。標準的な電子機器の製造で広く使用されています。洗浄が必要ない無残留の製品も販売されています。

水溶性フラックスは強力な活性を持ち、酸化物や汚れを効果的に除去する添加剤です。ただし、はんだ付け後に水での洗浄が必要です。強固なはんだ付けと高い接触性を提供しますが、洗浄工程が追加されるため、製造コストやプロセスが複雑になることがあります。