リールラック

監修:JFE商事エレクトロニクス

リールラックとは

リールラックとは、電子部品を格納したテープを巻き付けたものであるテープリールを収納するためのラックです。

半導体や電子部品は、キャリアテープと呼ばれるたくさんのポケットがついているテープを用い、ポケットに1つずつ格納されます。このキャリアテープは、リールに巻き付けて、取り扱われます。リールラックは、このテープリールの保管・収納・整理に使用される収納用品です。リールシェルフなどと呼ばれる場合もあります。

リールラックは、プラスチックや金属 (ステンレス) 製で、リールを格納するための溝やスロットがついています。様々な大きさや種類のテープリールを収納できるように設計されており、ラベルや仕切りなど、内容物の整理に有用な機能を備えている場合もあります。 リールラックを活用することで、電子機器製造の現場で、電子部品の整理整頓や段取り替え工程でのアクセス性を高めることが可能です。

リールラックの使用用途

1. 概要

リールラックは、電子部品を格納するリールを保管・管理するために使用されます。特に、SMT技術 (表面実装技術) で使用される電子部品の取り扱いで活用されています。

リールラックは、テープリールの収納及び、ラベルや仕切りなどを用いた整理整頓、出入庫記録による在庫管理などに活用することが可能です。また、一部のリールラックには電子化された管理システムが搭載されており、誤出庫防止や出庫リストの自動作成、先入れ先出しなどに役立てることができます。

2. SMT (表面実装技術) とは

SMTは、電子部品をプリント基板 (PCB) の表面に直接置いてはんだ付けを行う技術です。PCBの穴に挿入して反対側ではんだ付けする方法 (スルーホール技術) に比べて、下記のような特徴があります。

  • 一般的にスルーホール部品よりも部品が小さい
  • 部品密度が高く、より小さな面積に多くの部品が配置される
  • 製造にかかる時間が短い

このようなSMTに使用される部品はキャリアテープとテープリールを用いて格納されて、基板実装の際はカセットフィーダーにテープリールごとセットされます。セットされた部品は、カセットフィーダーからマウンターへ送られ、基板実装される仕組みです。

リールラックの原理

1. 概要

リールラックは、一般的にプラスチックや金属製で、部品のリールを入れるための溝やスロットがついています。リールは、プラスチック製や紙製などで、直径は概ね180mm~380mmです。封入される部品によってテープ幅が異なり、最小で約8mm、大きいものでは44㎜を超えます。

ラックは、さまざまなサイズや種類のリールを収納できるように設計されており、ラベルや仕切りなど、内容物の整理に役立つ機能を備えている場合もあります。スマートラックと呼ばれる製品では、位置センサーなどを搭載することでラック内の部品の位置を追跡することが可能です。

2. 主な機能

リールラックに採用されることがある主な機能には下記のようなものがあります。

  • リールのサイズや種類に合わせた収納レイアウトを可能とする調整機能
  • ESD (静電気放電) 保護機能:静電気による電子部品の破損防止
  • 防湿管理機能:電子部品の破損を防ぐため、温度と湿度を安定的に保つ
  • ラベリングと識別:特定の部品のリールを素早く識別し、場所を特定する
  • トレー供給の半導体部品など、異なる荷姿への対応可能なラインアップを持つもの
  • テープリールやトレーに残った端材をカウント出来るⅩ線カウンターなどとデータ連携機能があるもの
  • セキュリティ機能:鍵やアラームなどを用い、保存されている部品への不正アクセスや改ざんを防止する

リールラックの種類

リールラックの種類は、純粋なラック機能のみの製品とスマートラックと呼ばれる在庫管理機能を備えた製品とに大別されます。

1. 通常の収納ラック

純粋な収納機能のみのラック製品は、多くがステンレス製で、リールをセットするためのスロットがついたシンプルな収納用棚です。リールの様々な種類や大きさに対応しており、棚の大きさや収納力にも多様な種類があります。

2. スマートリールラック

スマートリールラックは、電子化されたシステム機能を備えた製品です。入庫リールデータ (品名・数量・入庫日) をサーバーに保存することができ、計画出庫表を利用しての一斉出庫やハンディターミナル経由での出庫などを行うことで、入出庫管理が可能です。また、MES・ERPなどの上位システムや、実装機、電子部品カウンターなどとの連携も可能な場合があります。

LEDランプ点灯により入出庫時に空いているスロットや必要なリールが収納されているスロットが明示されます。先入れ先出しやリールのピックアップ時間の短縮に貢献し、入出庫作業の効率化が可能です。尚、誤ったリールの取り出し時には取り違いミス防止のためアラームが鳴る機能もあります。

また、リールの位置管理システムにより、フリーアドレスで複数種類のリールを1つの棚に収納可能です。これにより、倉庫面積削減の効果も期待できます。

本記事はリールラックを製造・販売するJFE商事エレクトロニクス様に監修を頂きました。

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