監修:有限会社中央バフ製作所
フェルトバフとは
フェルトバフとは、羊毛などを圧縮して布状にしたフェルトのことで、金属などの研磨に使うものです。
フェルトバフを回転機械に取り付け、研磨剤を使用して、金属・貴金属・セラミック・ガラスなどの表面を磨き、艶出し・研磨仕上げなどを行います。対象物の表面を鏡面のように仕上げることができます。
フェルトバフの用途は、ステンレス製の食品機械などの表面研磨、宝飾品などの艶出し、ガラス製品の表面仕上げなどです。
フェルトバフの使用用途
フェルトバフは、各種産業で使われますが、一例を次に示します。
1. 食品機械の表面研磨
ステンレス製部品・容器などの表面を研磨して滑らかにします。加工時に付いたバリや傷を除去して、素材表面に光沢を出します。バフ研磨で表面の凸凹が減り平滑度が上がって、製品の摩擦の減少が可能です。
2. 宝飾品の艶出し
貴金属やガラス製の指輪・ネックレス・ブローチなどの宝飾品の表面を磨いて、光沢を出すために、バフ研磨を行います。
3. メッキ前の小物部品の表面仕上げ
メッキをする前に表面をバフ研磨してメッキをきれいに行えるようにします。
フェルトバフの種類
1. フェルトディスクバフ
フェルトを円盤状にしたもので、乾式研磨及び湿式研磨に対応が可能です。硬さは5種類以上あり、対象品の種類などから選定します。
厚みは、2~25mmまで即可能で、30mm以上も対応できます。用途は、ステンレスや金属部品の最終仕上げや部分研磨仕上げなどで、必ず油脂研磨剤を塗布して研磨します。
2. 軸付きフェルトバフ
きめの細かい羊毛を高密度に圧縮して成形したもので、円筒型・砲弾型・球形などの形状があります。外径・厚みの種類が豊富で、小型の対象物や内径部分の研磨が可能です。
回転させるための軸があり、軸径は、2.35、3.0、6.0mmなどです。油脂研磨剤を使用しますが、酸化クロムやアルミナ砥粒を含浸させたフェルトバフは、そのままで研磨ができます。
3. フェルト豆バフ
マンドレールに取り付けて使用する小型のバフです。細部形状のものの研磨に使用します。両面テープやマジックテープ付きもあります。
4. その他のフェルトバフ
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樹脂加工フェルトバフ
バフに研磨剤保持力と耐久性を強め、高圧研磨に向いています。
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研磨剤含浸フェルトバフ
仕上げ専用のバフで、バフ研磨の粉じんの減少をはかり、作業環境を改善します。
フェルトバフの特徴
バフ研磨には多くの種類があり、目の粗さは数字で表します。数字が大きいほど細かくなり、800番のバフは鏡面仕上げができます。
バフの目的は、本来の研磨以外に、バリ除去・キズ除去・付着物除去・溶接ビード除去・平滑性向上・光沢感向上などです。
バフ研磨は、広い面に他、細部や曲面も容易に磨けるため、ステンレス、アルミ、チタンなどの金属、プラスチック、ガラスなどの研磨ができ、各種工業部品の製作の際に使用されます。
フェルトバフのその他情報
1. バフ研磨に使用する研磨剤
バフ研磨用の研磨剤の種類は、固形と液体が使われ、両者研磨用ですが、切削効果は少ない特性があります。これらにはあらかじめ研磨剤として粒子が練り込まれており、固形研磨剤にはスティック状の「青棒」や「赤棒」などの呼称がついています。
液体研磨剤は家庭用から工業製品用まで種類が多彩で、配合されている研磨材は、酸化クロム、アルミナ、酸化鉄などの粒子です。
固形研磨剤は次のような種類があります。
- トリポリ:粗仕上げに用いられる研磨剤
- ライム系研磨剤:中仕上げに使われる研磨剤
- 白棒:中仕上げ~鏡面仕上げ用に使われる研磨剤
- 青棒:鏡面仕上げ用の研磨剤
- ノークロム:クロムが含まれていない鏡面仕上げ用
- 油棒:研磨砥粒の配合は無く、油の多い、焼け防止研磨剤
2. 研磨剤の選び方
バフ研磨では、表面が粗い状態では鏡面仕上げ用の研磨剤を使いません。工程を粗仕上げ→中仕上げ→鏡面仕上げとして適切な研磨剤を選ぶことにより、対象物の研磨が優れた状態になります。
このため、粗仕上げではトリポリ、中仕上げにはライム系の研磨剤か白棒 、鏡面仕上げはノークロムか青棒を選択します。この工程を繰り返して何度も研磨し、最終的に優れた鏡面加工が可能です。
本記事はフェルトバフを製造・販売する有限会社中央バフ製作所様に監修を頂きました。
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