監修:株式会社DIT JAPAN
MIM (金属射出成形) とは
MIMとは、金属粉末とワックスなどを混合して射出成形機で成形する加工方法です。
Metal Injection Moldingの略であり、金属射出成形などとも呼ばれます。複雑な形状や高精度を要求される部品の製造に広く利用されます。様々な金属や合金を使用することができるため、最適な材料を選択することが可能です。
また、MIMは大量生産に向いている点も特徴の一つです。一度に多くの部品を一貫して製造することができ、労力と時間を節約できます。他の製造方法と比較して低コストで生産できるため、コストメリットにも優れています。
MIMの使用用途
MIMは様々な機械部品の製作に使用されます。以下は主な用途の一例です。
1. 自動車産業
自動車産業において、インジェクターの製造などで使用されます。インジェクターは燃料をエンジンシリンダーに噴射するための部品で、高い精度が必要です。MIMは微細な孔や複雑な形状を持つ部品の製造に適しているため、使用される場合も多いです。
また、ギアやシャフトなど、複雑で高強度が要求される部品の製造にも使用されます。様々な材質を適用することもできるため、耐久性の高い金属で部品を製造することも可能です。
2. 医療機器産業
医療機器産業において、微細な外科手術用の器具を製造するために使用されます。これらの器具は高い精度と耐久性が必要なため、MIMが適した製造技術です。また、歯科用インプラントなどの金属部品も複雑な形状であるため、MIMを適用することが多いです。
3. 金属工業
金属工業部品としては、ドリルビットやエンドミルなどの切削工具の製作にMIMが使用される場合があります。これらの部品は複雑な形状である上に高い硬度が必要です。MIMであれば高強度の合金を使用し、精密加工が可能です。
また、その他にもベアリングや歯車などの製造にも適用されることがあります。これらは摩耗する部品であり、高い精度と耐久性が必要なため、MIMが適しています。
MIMの原理
MIMは粉末冶金加工技術の一種で、粉末冶金と射出成形のプロセスを組み合わせたものです。金属粉末とポリマーバインダーの混合物を使用します。この混合物は射出成形プロセスで使用される前に均一に混合されます。
混合物は高圧で射出成形機に供給されることが多いです。金属粉末とバインダーの混合物を高圧で金型に注入し、所望の形状を持つ部品を形成します。成形された部品はバインダーを除去するために高温で加熱し、燃焼させて除去します。
脱バインダー処理後、金属粉末の部品は高温で焼結されます。焼結プロセスによって金属粒子同士を固定し、密度を増やして部品を強化します。
最終的な部品は必要に応じて仕上げ処理を受けます。研磨やめっき、塗装などがその一例です。上記プロセスを一連で実行することにより、複雑な形状の金属部品を効率的に製造することが可能です。
MIMの選び方
MIM部品のメーカーを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. 対応材質
MIMプロセスは多くの種類の金属材料に適用できますが、すべてのメーカーが同じ材料を取り扱っているわけではありません。どのような材料に対応しているかを確認し、適した材料を提供できるかを確認する必要があります。
2. 信頼性
メーカーの信頼性は非常に重要です。過去の顧客との関係やレビュー、業界での評判などを確認する必要があります。信頼性が高い業者は、品質管理が厳格である場合が多いです。
3. 納期・コスト
納期とコストは、多くのプロジェクトにとって重要な要素です。納期はプロジェクト進行に影響を与えるため、正確な納期のメーカーを選択することが重要です。また、MIM部品の製造コストは材料や設備などの要因に影響されるため、競争力のある価格設定のメーカーを選ぶことも重要です。
4. その他
他の追加サービスや機能も考慮することも重要です。設計支援や試作支援、部品の仕上げ処理などのオプションを確認する必要があります。メーカーが提供するこれらの追加サービスが有益であるかも確認します。
本記事はMIM (金属射出成形)を行う株式会社DIT JAPAN様に監修を頂きました。
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