AI外観検査

監修:TDSE株式会社

AI外観検査とは

AI外観検査とは、人工知能 (AI) を使用して製品などの外観を自動的に検査することです。

人による目視検査の代替としてカメラやセンサーなどのデバイスが製品の外観を撮影し、AIアルゴリズムがこれらの画像を解析して欠陥や異常を検出します。主に製造工程の最後に行われ、製品の品質管理を向上させるために使用されます。

AI外観検査は高度なパターン認識や画像処理によって実施され、非常に高い精度で欠陥や異常を検出できます。また、自動化されていることが多く、人間の目視速度よりもはるかに高速で一貫した検査を行うことが可能です。これにより、製造プロセス全体の効率と出荷製品の品質が向上します。

AI外観検査の使用用途

AI外観検査は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 自動車産業

自動車の製造では部品や製品の品質が重要です。AI外観検査は部品や製品の傷やへこみ、色ムラなどの欠陥を高速かつ正確に検出します。これにより、不良品の早期発見と、顧客へ高品質な製品提供が可能です。

2. 食品産業

食品への異物混入や品質は消費者の信頼と購買意欲に直結します。AI外観検査によって商品の傷や変色また異物混入などを検出し、高品質な商品のみを提供することが可能です。また、パッケージの封口やラベルの正確性も検査できます。

3. 電子機器産業

電子機器においては、機器の信頼性が顧客満足度に大きく影響します。AI外観検査によって、はんだ付けの不良や部品未実装などを検出し、高品質な製品を提供することが可能です。

4. コネクタ/プラスチック成型品産業

様々な製品に組み込まれるコネクタやプラスチック成型品においては、多品種小ロットのものが多く、特に目視検査では課題が多く聞かれる産業になります。

このような多品種小ロットの外観検査においては、人の配置が難しく、特にAIでの代替が期待されています。

AI外観検査の種類

AI外観検査に用いられるアルゴリズムは、大きく分けて異常画像を学習し、類似の異常を異常として検知する教師あり学習モデルと、近年大幅に精度が向上した良品画像を学習し、学習した良品にない画像を異常として検知する教師なし(良品)学習モデルがあります。

教師あり学習モデルの課題であった異常画像の収集においては生成AIを用い、似た異常画像を作成するなど、より精度を高める方法が研究されています。

AI外観検査は、従来の目視検査や人がルールを作成し、そのルールを用いて検査するルールベースモデルを置き換えるものとして近年急速に発展してきています。

AI外観検査の選び方

AI外観検査のシステムは以下のような要素を考慮して選定する必要があります。

1. 検査対象の特性や異常の種類

AI外観検査には様々な手法があり、それぞれ得て不得手があります。そのため、まず、どのような種類の製品を検査するかを考慮する必要があります。検査対象の形状やサイズ、表面の特性。また、どのような異常が発生するのかという2つの側面を考慮して、適切な検査システムを選択する必要があります。

2. 撮像環境と工程全体の管理

AI外観検査は画像を元に検知しますので、正しく撮影が可能かというカメラや照明、設置場所の有無などAI以外の面でも考慮が必要になります。また、検査結果を元に自動で異常製品を排出するなどの工程の変更なども必要になります。

3. 検査対象に応じた拡張性

検査対象となる数量が増減したり、期間限定商品など検査対象が時期によって変化したりする場合は、検査システムがこれらの変更に対応できるかを考慮する必要があります。また、メーカーのサポート体制なども検討する確認する必要があります。

4. データ

機械学習ベースの検査システムにて精度を出すためには、AIモデルを構築するための学習データが必要です。一般的に学習するためのデータが多ければ多いほど精度は向上しますので、適切なデータを取得することが重要になります。

本記事はAI外観検査を行うTDSE株式会社様に監修を頂きました。

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