AIカメラ

監修:株式会社小森安全機研究所

AIカメラとは

AIカメラとは、人工知能技術を活用して様々なタスクを自動で実行できるカメラです。

画像や動画の撮影時にAIを用いて、顔認識やオブジェクトトラッキング、自動焦点調整などの機能を自動実行します。撮影した写真の品質を向上させたり、写真に写っている人物や風景を認識して自動的にタグ付けしたりすることが可能です。AI技術の進化に伴ってますます高度化しており、将来的にはさらに多くの革新的な機能が実現されることを期待されています。

AIカメラの使用用途

AIカメラは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. セキュリティ

AIカメラは特定のパターンや動きを学習し、不審な行動を検知することが可能です。建物の周囲を監視して、夜間に動き回る人物を検出したり、特定のエリアに侵入した人物を警告することができます。また、顔認識技術を利用して許可された人物のみを入場させ、不審人物を検知してアラートを発することも可能です。

これらの異常を検知した際、リアルタイムでアラートすることができます。これにより、セキュリティスタッフや警察などが迅速に対応し、犯罪を未然に防ぐことが可能です。

2. 交通管理

AIカメラによって道路や交差点での交通量を監視し、混雑の度合いや車両の動きを把握する場合があります。これにより、交通フローの最適化や交通制御の改善が可能です。また、交通事故が発生した場合にそれを検知し、原因やパターンを分析して、将来の事故を予測することもできます。

赤信号無視や速度違反などの交通違反を検知する場合もあります。これにより、交通違反者への警告や罰則を実施することが可能です。

3. 製造業

製造ラインで製品の欠陥や不良を検出するのにも利用されることが多いです。製品の外観や寸法を検査し、品質が低下した製品を自動的に排除することができます。また、作業者が危険な機械に近づいたり、適切な防護具を着用していない場合に警告を発することも可能です。

AIカメラの原理

AIカメラはレンズやセンサーを使用して周囲の環境から画像やビデオを収集します。これらの画像はデジタル形式でキャプチャされ、ノイズの除去や画像の補正などの処理が行われます。これらの画像から画像処理技術を使用して特徴を抽出し、重要なオブジェクトを特定する仕組みです。

特徴が抽出された後、機械学習アルゴリズムを適用します。ニューラルネットワークやサポートベクターマシンなどのアルゴリズムが使用されることが多いです。学習データからパターンを学習し、未知のデータに対して予測や分類を行います。

学習済みのモデルが画像に対して推論を行い、特定のオブジェクトやパターンを識別することが可能です。これにより、不審な活動の検出などを行います。識別されたオブジェクトやパターンに基づいて、必要なアクションを実行する仕組みです。

AIカメラの種類

AIカメラは機械学習を必要とする場合が多く、導入したい場面に応じて調整する必要があります。ただし、製品の種類によって得意・不得意が存在します。以下は主に利用されるAIカメラの種類の一例です。

1. セキュリティカメラ

セキュリティカメラは建物や施設の監視、不審な活動の検出、侵入者の追跡などのセキュリティ目的に使用されます。AI機能を組み込まれており、動き検知や顔認識、物体検出などの機能を提供し、より効果的に監視する仕組みです。

2. 交通カメラ

交通カメラは道路や交差点での交通量の監視、交通違反の検出、交通事故の記録などの交通管理目的に使用されます。車両の識別や速度の監視、赤信号の検出などが得意で、交通の安全性と効率性を向上させるカメラです。

3. スマートホームカメラ

スマートホームカメラは個人の住宅やオフィスなどの内部および外部の監視に使用されます。顔認識による防犯の身ではなく、ペットの追跡などの機能を有する場合も多いです。セキュリティと便利さを向上させることが可能です。

4. 製造業カメラ

製造業カメラは工場や生産ラインでの品質管理または製品検査などに使用されます。不良品の検出や製品の追跡、作業者の監視が可能です。これにより、生産プロセスを効率化させます。

本記事はAIカメラを製造・販売する株式会社小森安全機研究所様に監修を頂きました。

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ベローズ

ベローズとは

ベローズ

ベローズとは、金属製薄肉で蛇腹構造を持った、伸縮性と曲げ性を有する柔軟性のある部材のことです。

ベローズは、アコーディオンについている、伸縮変形して空気を送り出す波打ち型の部分を、円筒形にした形状をしています。

ベローズの最大の特徴は、2つの装置どうしや配管口どうしの間を接続する際に、両方の接続口の位置をある程度自由に変えられる柔軟性にあります。また、製造方法によって気密性を持たせたり振動吸収性を持たせるなど、様々な機械性能を付加することができます。これらの特性を活かして、ベローズは真空ポンプを始め様々な用途で使用されています。

ベローズの使用用途

ベローズは、高い気密性を持つチューブ、空気や液体を送る管、ケーブルや駆動部分などの保護カバー、装置間の振動や熱の伝道を遮断する接続部材、駆動部品、センサーなど多くの分野で使用されています。

ベローズは、基本的に伸縮や変形が可能な柔軟な構造を持っており、それに様々な機能を付加することで広い用途で使用されています。

1. 気密性を持ったベローズ

ベローズは高い気密性を持たせることが可能です。そのため、真空ポンプとチャンバーの間を繋ぐ配管として使用されています。また、振動を吸収する機能も持っているので、ポンプの振動をチャンバー側に伝えない役割も果たせます。

2. 耐高温性に優れたベローズ

耐高温性に優れたベローズは、工場の設備などで高温のガスや蒸気を送り込むための配管として使用されます。さらに、柔軟な引き回しが可能なことから熱風などの排気ダクトとしても使用されます。

3. 保護機能に優れたベローズ

ロボットの関節部分や、精密機械の可動部を外部からの衝撃や、空気中の塵から守るための保護カバーとしてベローズが使用されます。機械の動作に合わせて曲がる一方で、変形しても内径の大きさが変化しない特性が保護カバーの役目を果たしています。

4. バネ性能を活かしたベローズ

伸縮性と気密性能を持ったベローズは、内部を加圧すると伸びます。また、バネの特性を持ったベローズは上部から荷重がかかると縮み、なくなると元に戻ります。このような機能性能を持たせたベローズは、ピストンやセンサーなどに応用されています。

また、ベローズは昔のカメラでは遮光性と防塵性を活かして、カメラとレンズの間を繋ぐ部材として使用されていました。

このようにベローズは柔軟性を持った管というだけではなく、それにプラスの性能を持たせることで使用目的の異なる広い用途を持つ部材です。

ベローズの原理

ベローズは山と谷の部分が交互につながる形状を持つことによって、フレキシブルな管になっています。ベローズにどのような性能を持たせるかによって、ベローズの材料と製法が決まります。

一般的にベローズはステンレス合金、アルミニウム合金、チタン合金などの合金によって作られます。金属の違いによって伸縮性や耐圧性、曲げ耐性、耐久性に違いが出てきます。

代表的な金属ベローズの製法には成形と、溶接があります。

成形ベローズは、金属パイプを加圧成形して作られます。安価で大量生産が可能で、大きな伸縮性が必要でない部位に適しています。

一方、溶接ベローズは、金属製ワッシャーを積み重ね、上下のワッシャーの内縁と外縁を次々に溶接することで作られます。伸縮性が大きく、精密な加工が可能で耐圧力にも優れていますが、高価で大量生産には向きません。

また、ゴムのように合成樹脂でできたベローズもあります。

ベローズの選び方

ベローズは、使用用途の項目で記述したように、様々な用途で使用できます。装置の一部にベローズを採用する際には、どのような目的でベローズを組み込むのかを明確にする必要があります。それによって、ベローズに求められる性能が決まり、それに最適な材質と形状、製造方法が明確になります。

ベローズには広い使用用途があり、ベローズの製造メーカーにもそれぞれ特徴や強みがあるようです。自社の使用目的に合ったメーカーを探してみるのが良いでしょう。

また、ベローズは ”フレキシブル” が特徴の部材ですので、既存の使用用途には無くても、新しい用途でベローズが使えないかと検討中であれば、メーカーに積極的に相談することをお薦めします。

参考文献

http://www.ikc.co.jp/technical/bellows/whats_bellows.html

http://mitsumoto-bellows.co.jp/products/bellows-index.html

http://home.a00.itscom.net/shisan12/bellowsfun.htm

防水板

防水板とは

防水板とは、浸水の恐れがある場所に設置して止水を行うための防災用品・設備です。

集中豪雨や河川の氾濫による水害が予想される地域で、積極的に導入が進んでいます。様々な形状、大きさ、素材の製品があり、多様な建物・施設で利用されている防災用品です。止水板、防水壁などと呼ばれる場合もありますが、特に防水壁は高い洪水水位、広い防水幅に対応できます。

防水板の使用用途

防水板は、主に水害が予想される地域で使用されます。集中豪雨や台風などによる浸水・冠水から建築物や地下施設を守ります。

主な使用場所は、

  • 地下鉄などの地下施設の出入り口
  •  商業施設・店舗の出入り口
  • ビルやマンションの全体防水、又は出入り口部
  • 高齢者施設の出入口
  • 工場の全体防水、又は出入り口部
  • 地下駐車場出入口部
  • 電気室、ポンプ室
  • 変電所、水処理施設などの全体防水、又は出入口部

などです。人の安全を守るのは勿論、工場などにおいては製品在庫や高価な機械などを守るために使用されます。また、地下鉄や地下発電所・地下電源設備などのインフラを水害時にも稼働維持できるよう、インフラや公共性の高い施設でも積極的に導入が進んでいる防災用品です。住宅の入口に簡易的な防水板製品が用いられることもあります。

また、大規模な防水板・防水壁の中には、河川の氾濫の可能性が高い場所に設置されて水害を防いだり、港湾で⾼潮による海⽔の浸⼊を防ぐことに用いられる場合もあります。水害時に各種設備・施設や、個人の財産などを守ることが可能です。

防水板の原理

1. 概要

土嚢は古くより浸水対策として使用されてきましたが、調達や設置は容易ではなく、高い水位にも対応できません。防水板は、パネル状やシャッター状、シート状などの形状をしており、簡単に設置することができます。設置される場所は洪水高さ、防水幅などによりいろいろな選択肢があります。

素材には、ステンレススチール、軽量アルミ合金、ガラスウォール、FRP、特殊合成ゴムシートなどがあります。FRP製は錆や腐食の心配がないという長所があり、シート状の素材は収納時のスペースが少なくて済むことが特徴ですが、経年劣化と言う製品寿命があり、又高い水位には対応できません。

2. 止水性能

防水板の止水性能の基準は、「漏水量」と呼ばれます。漏水量の単位は、主に L/(h・m2) が用いられます。これは、1時間に水圧面積あたりで漏水する水量を意味する値です。防水板の止水性能は、漏水量の大小によって評価することができます。

漏水量を評価する規格はいくつかあります。例えば、JIS A 4716規格は、漏水量によりWs-1~6の等級が定められている規格です。但し、JIS A 4716規格は浸水防止用設備建具型鋼製部材用で、シャッター型降下式とドア型スイング式のみを対象とした規格です。止水性が最も高いWs-6の等級では漏水量が1L/(h・m2) 以下と定められており、最も低いWs-1の等級では漏水量が50L/(h・m2) を超え200L/(h・m2) 以下であることが示されます。

脱着タイプ等の防水板、スライド式防水板は規定外で、相当という設定がありますが、設定浸水高さが1.0mの場合のみの相当等級です。起伏式の設定浸水高さは1.5mとなっています。漏水量は浸水高さにより水圧で大きく変わりますので、実際の想定される浸水高さで検討されることが望ましいと思われます。その他にも耐水圧性能、操作の容易性、開閉性能などの規定があります。

防水板の種類

防水板には様々な形状の製品があります。大きな括りでは、平時より建物などに組み込んで常設するものと、非常時のみ収納場所から持ってきて設置するものとに分けることができます。下記は代表的なものの例です。

1. 起伏式

起伏式は、平時は防水板を床などに埋め込んでおき、水害が予想される場合に起こして使用します。手動と電動がありますが、浸水高さ、防水幅に制限があります。電動の場合、スイッチ一つで作動しますが、災害によっては電源喪失のリスクがあります。

2. スライド式

スライド式は、引き戸のようにスライドさせて使うタイプの防水板です。平時は戸袋などに収納されており、浸水の危険が高まった場合に引き出します。間口の広い出入り口などに向いており、手動と電動がありますが、浸水高さ、防水幅に制限があります。

3. 脱着・組立解体式

脱着式の防水板は、普段は倉庫などに保管しておき、必要な時に設置します。製品によって固定方法が異なり、支柱や床レールにパネルを差し込んで固定するものや、開口部に金具で固定するものなどがあります。連結したり2段重ねにするタイプと、多段式に積上げ、中間柱を建てて延長し広い防水幅をカバーするタイプがあります。多段式は要望される現場の洪水高さに合わせることができます。中間柱が取り付けられない現場では天井から支えるタイプや独立式柱で支えるものもあります。

4. シート式

止水シートや防水シートなどと呼ばれるシート式も、広義では防水板の一種に分類されることもあります。シート式の長所は、軽く、収納が手軽という点です。床下などに収納しておいて引き上げるものや、平時は別の場所に保管しておくものなど、いくつかの種類があります。但し、シートは設置しても経年劣化し使用できなくなる場合があります。

ヘルムホルツコイル

ヘルムホルツコイルとは

ヘルムホルツコイルは、均質な磁場を発生させるコイル群の一つです。

ヘルムホルツコイルは、2つの同じ形状の円形のコイルを、コイルの半径と同じだけ離して平行に 、かつ中心軸が同一になるように 配置し、同じ向き・量の電流を流します。ドイツの物理学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ(Hermann von Helmholtz)にちなんで名付けられた名称です。

地磁気を打ち消す目的や、磁場のキャリブレーションなどにおいて使用されていることが多いコイルです。製品によって、発生磁界の強度や、コイル径などは様々であり、多様な製品が提供されています。

ヘルムホルツコイルの使用用途

ヘルムホルツコイルは、均一な磁場を発生させられることから、地磁気を打ち消すために用いられることが多いです。これは、局所的には地磁気は単一方向を向いていると見なすことができ、ヘルムホルツコイルもまた単一方向を向いた磁場を生成するためです。

工業的分野や磁気学、材料科学、生物物理学などにおける研究用途で使用されることが多く、代表的な用途には下記のようなものがあります。

  • 製品、機器、材料の磁気による影響の検査
  • プローブ、センサ、磁力計、ホール効果センサ、その他の磁場センシングデバイスなどの校正における標準磁界の発生
  • ホールIC、ホール素子など、磁気センサの検査
  • 磁気カードなどの磁気による影響の検査
  • 磁気式リードリレーの検査
  • 磁性体の測定
  • 物理学教育における教育ツールおよびデモンストレーション
  • 磁気関連の実験用設備

ヘルムホルツコイルの原理

1. 概要

ヘルムホルツコイルは、巻数、線種、半径が同じ、2つのコイルから構成されます。2つのコイルが、半径と同じ距離で平行かつ同軸に配置される時、コイルに挟まれた空間で、磁場の向きと大きさがほぼ同じになります。電線には、エナメル銅線や中空銅線などが使用され、コイルを巻きつけるボビンの素材には、木や各種の合成樹脂、非磁性体の金属などが使われます。電源は外部電源やバッテリーより供給されますが、ヘルムホルツコイルの磁界の精度は使用する電源の精度に依存しています。

導出は割愛しますが、ビオ・サバールの法則より磁束密度Bを求めると、

B = (4/5)3/2μ0nI/R
0 = 4 π ×10-7 [T・m/A] (真空の透磁率)、コイル半径:R、巻き数: n、電流: I )

となります。

2. 多軸ヘルムホルツコイル

多軸ヘルムホルツコイルとは、ヘルムホルツコイルの外側に更にヘルムホルツコイルを組み合わせたコイルです。通常、軸が直交するように組み合わせられます。2軸、或いは3軸のコイルの組み合わせにより各軸の磁界を合成し、2次元・3次元的に発生磁界方向をコントロールする事が可能です。

ヘルムホルツコイルの種類

1. 概要

ヘルムホルツコイルには、様々な種類の製品があります。発生する磁界の磁束密度は製品によって大きく異なり、100 µT の製品もあれば、2 mT 前後、7 mT 前後、20 mT 前後の製品まで様々です。200 mT にも達する大型の製品もあります。大型の製品では重さが150 kgや300 kgにもなります。製品によっては、磁場内にワークをセットするステージ付きです。また、コイルのボビンを放熱板にすることで発熱を抑えた製品や、全体がアルミフレームなどのベースに乗っているものもあります。

コイル間隔を調整できる可変型ヘルムホルツコイルや、前述した2次元、3次元型の多軸ヘルムホルツコイルも販売されています。

ヘルムホルツコイルの磁界の精度は使用する電源の精度に依存するため、電源付の製品もあります。

正方形のコイル2つを平行かつ同軸に置き、両者に同じ向きや大きさの電流を流す場合、両コイルの中心間の二等分点から、コイルに近づいていくと、磁束密度が増えます。つまり均一な磁界ではありません。このため、このコイル対は厳密にはヘルムホルツコイルではありません。しかし、このコイル対はヘルムホルツコイルと同様に地磁気キャンセラーとして使えるので、これをヘルムホルツコイルと呼ぶメーカーもあります。

2. 設計・選定

  • ヘルムホルツコイルは、オーダーメイドになる場合も少なく有りません。設計や製品選定の場合には、下記の点をはっきりさせておくことが必要です。コイルが大きいものでは、使用による発熱や安全性などを予め検討しておく必要があります。
  • 必要な均一発生磁場、磁界の範囲と磁界の強さ
  • 磁界の方向 (一方向か多軸か)
  • 連続使用時間
  • 使用される環境温度

組立治具

組立治具とは

組立治具とは、工業生産などで製品を組み立てる際に使用される治具です。

治具とは、加工物を固定して、位置決めをしたり、加工しやすくしたりする補助工具の総称ですが、組立治具は、特に製品・部品の組み立ての際に使用される治具です。

組立治具を用いることで部品を正しい位置を置くことができ、組立を効率良く行うことができます。同じ製品を大量に生産する場合には特に必要です。具体的には、ねじ締め、カシメ治具などがあります。また、対象の加工品や加工内容にあわせた製品では、受注生産されている場合も多いです。

組立治具の使用用途

組立治具は、工業製品製造にあたり、組立工程で使用される治具です。自動車製造、電子機器・部品製造などの分野で使用され、下記のような用途があります。特に、電子部品では、実装基板や液晶、ケースなど様々な部品を組み付けたり張り合わせたりすることに活用されています。

  • 自動車関連の組立 (BODY、ASSY、エンジン部品組付け、足回り部品組付けなど)
  • ネジ締め (ケースに基板を固定するなど)
  • 複雑形状のワークに部品を取り付ける
  • 組立・配線などに使用される置き台
  • パネル貼付
  • 半田付け
  • シール貼付

組立治具を使用することで、組み立てる部品を正しい位置に配置することができ、組立効率を向上させることが可能です。従って、

  • 作業時間の削減
  • 品質を安定させる
  • 作業を簡易にする
  • 人的ミスを削減させる

などの効果を得ることができます。

組立治具の原理

1. 概要

組立治具は、製品組立時に各部品を所定の位置に正しく置く目的で使用される補助具です。加工済みの部品の組立を効率的に進めるため、設計されます。

製品や製造工程に合わせて設計・製造される事が多いですが、組立治具の主な役割は位置決めや、固定です。組立治具を用いて作業を行うことで、精度が向上し、安全で効率の高い組み立てを行うことができます。特に、同一製品を多数生産する場合にばらつきがなくなり、高い効果を得ることができます。

2. 材質

組立治具の材質は、用途や組立工程の性質に応じて異なります。手作業の作業を補助する場合は、材質としてナイロン樹脂など、軽量で柔軟な樹脂が使用されることが多いです。ワークの固定にはクランプが主に用いられ、ワークを置くだけでクランプによってワークが固定されるなど、治具自体が1つの装置となっているケースもあります。

機械で行われる作業を補助する目的の治具は、ステンレスなどの金属製が主流です。SUS420J2やSKD61、耐摩耗鋼などの金属種が例として挙げられます。ネジなどを用いてしっかりと確実にワークの固定が行われる治具が多いです。

組立治具の種類

組立治具は、製造工程にあわせて独自のものが製造されることも多いですが、具体例としては下記のようなものが挙げられます。

1. 圧入・挿入冶具

圧入・挿入冶具とは、ピンなどを圧入・挿入する際に使用される治具です。ピンを指で持ってハンマーなどで叩くと、斜めに入ってしまうことがあります。圧入・挿入治具を用いることで、ワークに対して正確にまっすぐ打つことが可能です。

作業が簡単になるだけでなく、怪我を予防する高価もあります。また、加圧の力によって部品が変形しやすい場合にも、治具の使用によって変形や破損を防止することができます。

2. カシメ冶具

カシメ治具とはカシメ作業を補助するための治具です。カシメ作業とは、加工対象物同士を潰したり締めつけたりして固定する作業 (加締め作業) です。主に、塑性変形を利用して部品を複数接合させます。

剛性や耐摩耗性が必要なため、SKD、SKH材が使用されることが多く、また、カシメする部分は更に硬度の高い超硬合金が使用されることが多いです。カシメ治具を用いることで、カシメ作業が簡単になり、安全かつ正確に行えるようになります。

3. ねじ締め治具

ねじ締め治具は、ねじ締めの補助・ガイドを行う治具です。ねじ締め治具を用いることで、ねじの頭のなめや傷を防止したり、締付精度の向上を行うことができます。また、ロット、担当者によるバラツキも減らすことが可能で、製造効率が向上します。

水冷機

水冷機とは

水冷機とは、冷媒として水を用いる冷却機器です。

装置の内部に冷却用の液体を循環させる冷却機器では、循環液を冷却する必要があります。水冷機とは、この循環水や循環液を冷やすために、外部から取り込んだ水を冷媒として用いる冷却機器です。また、冷却用の循環液自体に水が使われる場合もあります。

水冷機に分類される製品には、水冷チラー、水冷式冷却水循環装置など、様々なものがあります。空冷式の冷却機と異なりファンを内蔵しないため、低騒音、クリーン、室内への排熱がない点が特徴です。

水冷機の使用用途

水冷機は、循環液 (または循環水) を繰り返し循環させることにより、対象物・装置から熱を奪って冷却する装置です。研究機器、金属加工、食品加工、医療機器など、様々な分野・産業で使用されます。主な使用用途は下記の通りです。

  • 各種研究機器、計測機器を冷却し、一定の温度に保つ (ロータリーエバポレーター、電子顕微鏡、X線回折装置や赤外分光光度計など)
  • 食品加工工場での製造工程上の冷却や、洗浄・成形工程における冷却
  • 工作機械の温度調節
  • 金属加工において、加工による発熱を抑えるための冷却
  • プラスチックの射出成形における、成形物の冷却・固化
  • 印刷機のローラー部分の冷却 (印刷の精度を向上させる)
  • レーザ加工機や高周波加熱装置などの発熱部を冷却する
  • MRIで使用されるヘリウムガスの冷却
  • 医薬品を製造する際に発生する反応熱の除去
  • 成形機の金型温調
  • リフロー炉 (リフローはんだ付け装置) における冷却
  • その他産業機器の冷却

水冷機の原理

1. 概要

水冷機は、循環液などと呼ばれる液体が内部を循環して、冷却対象の装置から熱を奪います。一度排熱に使われた循環液は温度が上がってしまうため、外部から冷水を流して循環液を冷却し、排熱を行う仕組みです。循環の動力にはポンプや圧縮機 (コンプレッサー) などが用いられ、循環液には、純水、蒸留水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの混合物が主に用いられます。

冷水としては、工業用水や水道水などが使用されます。また、水道水などは水温が安定しないため、クーリングタワー水などの一次冷却水を用いる場合もあります。また、通常は安全装置として、温度プロテクタ、過電流継電器、水圧センサなどが搭載されていることが多いです。

2. 特徴

空冷式と異なり、室内に排熱が出ないため、室内が上昇しないという点が長所です。空冷式の冷却機よりも効率が良く、短時間で冷却が可能であるという特徴があります。ただし、水を通すための配管などが必要であるという点には注意が必要です。冷水を通す配管経路上に水槽を用意するケースもあります。

水冷機の選び方

水冷機は、冷却能力や対応可能温度が製品によって異なります。具体的には、下記のような点を検討し、製品決定を行います。

  1. 循環液の温度を決める
  2. 設置場所を決める (製品によっては屋外も可能) 
  3. ワークの温度変化や、循環水の流量・温度差などから冷却に必要な能力を算出する
  4. ポンプの能力を決める

冷却能力は、低いものでは1kW程度から、高いものでは14kW〜15kW程度の製品まであります。循環液温度は5℃〜40℃の範囲で対応している製品や、-10℃〜80℃の範囲まで対応している製品など、様々です。外部から水を流す配管が必要であり、比較的スペースも必要なため、設置場所を決める際は注意が必要です。製品によっては、屋外に設置することもできます。

このように、水冷機の選定にあたっては、様々な観点が必要ですが、用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

水冷機のその他情報

その他水冷機のように水を冷媒とする冷却用品として、水冷服などの熱中症対策用品があります。例えば、水冷服では、リチウムイオンバッテリーなどを動力として少量の冷水を循環させ、冷凍ペットボトルや氷、保冷剤などを用いて水を再冷却する仕組みなどが用いられます。

勤怠管理システム

監修:HOUSEI株式会社

勤怠管理システムとは

勤怠管理システムとは、従業員の労働時間や勤務状況を管理するためのシステムです。

手作業で勤怠管理を実施すると時間がかかり、間違いなどが生じる可能性があります。一方、勤怠管理システムを導入することで、勤怠の誤入力などを抑制することが可能です。従業員は勤怠情報を簡単に入力し、管理者はデータを自動的に集計して処理することができます。

また、勤怠管理システムを導入することで、労働基準法や労働契約に基づいて従業員の労働時間などを管理するため、法的な規制に適合できます。これにより、企業が労働関係法令を違反するリスクが軽減し、労働法規制を遵守することができます。

勤怠管理システムの使用用途

勤怠管理システムは以下ののような用途で利用されることが多いです。

1. 労働時間の記録

勤怠管理システムは従業員の出勤時間や退勤時間、休憩時間などを正確に記録します。手書きや紙ベースの方法よりも信頼性が高く、誤った情報や漏れがないため、労働時間の監視や管理が容易です。また、労働時間の傾向やパターンを把握しやすくなり、効率的に会議などのスケジュールを管理することが可能です。

2. 給与計算

勤怠管理システムによって従業員が働いた時間や残業時間、休暇などの情報を基に給与を計算するために利用されます。従業員の勤怠データを自動的に集計しすることで手作業での給与計算作業が不要になり、時間と労力を節約できます。また、従業員の残業時間や休暇の取得状況を管理するためにも利用されます。

3. シフト管理

勤怠管理システムによって従業員のシフトを作成し、必要に応じて変更や調整を行う機能も有する場合があります。これにより、企業側が効率的にスケジュールを確保し、適切な人員配置を行うことが可能です。従業員のシフトの希望や要望を管理することで満足度が向上し、人員の定着率が向上します。

勤怠管理システムの特徴

勤怠管理システムは従業員の出退勤時間などのデータを自動的に収集する製品が多いです。手作業でのデータ入力が不要なため、時間と労力を節約できます。勤務時間や休暇の取得状況などを正確に記録します。

また、企業や組織のニーズや要件に応じてカスタマイズすることが可能です。シフト管理や休暇管理などの機能を追加したり、特定の業種や労働条件に適した機能を組み込むことができます。アクセス制御やデータの暗号化などのセキュリティ対策を施すことも可能です。

モバイルアプリと連携するシステムも多く、従業員がスマートフォンやタブレットからも勤怠情報を入力したり、シフトを確認したりすることができます。これにより、場所や時間に制約されずに勤怠情報を管理することが可能です。給与計算やシフト管理などの人事管理機能と統合し、データを一元化できる製品も存在します。

勤怠管理システムの選び方

勤怠管理システムを選定する際は、以下の要件について考慮することが重要です。

1. 機能

従業員の出退勤時間を記録する機能はもちろん、出勤時のスタンプやGPSによる場所確認機能なども便利です。また、従業員の休暇申請機能や承認機能も必要です。勤怠情報をもとに給与を計算する機能や、税金・社会保険などの法定控除の自動計算機能もあると有利となります。

2. カスタマイズ性

システムが柔軟にカスタマイズ可能であることが重要です。企業・組織によって業務フローが異なるため、システムを自社の環境に合わせて調整できる必要があります。また、将来的に新しい機能やモジュールを追加したり、既存の機能を拡張したりすることができるも確認します。

3. 使いやすさ

直感的で使いやすいインターフェースであることが重要です。従業員や管理者が素早く操作できるように、メニューやボタンの配置などが工夫されているかを確認します。サポート体制が整っているかも確認する必要があります。

4. セキュリティ

適切なアクセス制御を実施していることが重要です。従業員や管理者ごとにアクセス権限を設定し、必要な情報にのみアクセスできるようにすることが望ましいです。個人情報や勤務データなどの機密情報が保護されているかどうかも確認が必要です。

本記事は勤怠管理システムを販売するHOUSEI株式会社様に監修を頂きました。

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計器用変圧変流器

計器用変圧変流器とは

計器用変圧変流器とは、測定機器や保護計器類のために高電圧・大電流を安全に測定するための装置です。

計器用変圧器と計器用変流器が一体となった製品です。近年はVCT (Voltage and Current Transformer) などとも呼ばれます。主に電力会社や大工場などにおいて使用されます。

発変電所で使用される高電圧・大電流は、そのまま計器で測定することが困難です。したがって、計器用変圧変流器を使用して安全なレベルに変換する役割を果たします。一般的には電圧をAC100V程度に落とし、電流を1Aまたは5Aに落とします。

計器用変圧変流器の使用用途

計器用変圧変流器は主に高圧または特別高圧の電力機器に使用されます。以下はその使用用途一例です。

1. 電力測定

計器用変圧変流器は電力測定に使用されることが多いです。計器用変圧変流器が取得した高電圧・大電流を電力量計に接続して、使用または発電電力量を計測します。これにより、正確に電力量を測定して取引などに使用することが可能です。

変圧器部分は高電圧を低電圧に変換し、電力量計に適した電圧を供給します。変流器は高電流を低電流に変換し、正確に電流を測定します。取引用途に使用される場合は計量法に基づいた検定を受けることが必要です。

2. 保護機能

計器用変圧変流器は電力網内で発生する異常な電圧・電流を検知し、需要機器を保護します。落雷や電力網内の機器故障などによって異常が発生した場合、計器用変圧変流器で異常を検知し、保護装置に情報を発信します。これにより、負荷側の装置故障を未然に防ぐことが可能です。

また、負荷側の装置が故障した場合、電力網側の機器に故障影響が波及する危険があります。波及事故が発生した場合、周辺一帯が停電となってしまうため未然に防がなければなりません。計器用変圧変流器で電圧や電流の情報を保護装置に発信することで、負荷装置の故障や過負荷を検知して電力遮断などの措置を講じます。

3. 電力品質管理

計器用変圧変流器によって電力系統内での電圧・電流の品質を監視し、問題を検出します。これにより、電力品質の問題を迅速に特定し、改善策を講じることが可能です。一般的には電圧が不足した場合に、変圧器のタップを切り替えるなどの措置を講じます。

計器用変圧変流器の原理

計器用変圧変流器は電力系統内の高電圧・大電流を計器や保護装置が扱える範囲に変換する装置です。基本的には電磁誘導の法則に基づいています。

変圧器部分は2つの巻線が鉄心巻付いた構成です。高電圧側の巻線に電流が流れると、鉄心内に磁束が生じます。この磁束が二次側の巻線に電圧を誘導する仕組みです。

変流器も同様に、2つの巻線と鉄心によって構成されます。高電流側の巻線に電流が流れる鉄心内に磁束が生じ、二次側の巻線に電流が印可される仕組みです。一次側巻線の巻き数と二次側巻線の巻き数の比に応じて、電流を変換します。

計器用変圧変流器の選び方

計器用変圧器を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 電流比

電流比は変流器の一次側電流と二次側電流の比率を示す指標です。一例として1000:5の場合は、一次側に1000Aの電流が流れると二次側に5Aの電流が流れます。一次側電流は想定される最大電流よりも上の値を選定し、二次側は需要機器に合わせて選定します。

2. 電圧比

電圧比は一次側電圧と二次側電圧の比率を示す指標です。一例として66000:110の場合は、一次側に66000Vの電圧がかかると二次側に110Vの電圧が印可されます。一般的な計器用変圧変流器の一次側電圧には66000Vや22000V、6600Vなどがあります。

3. 負荷容量

負荷容量は変圧器や変流器に接続可能な計器の負荷を示す指標です。負荷容量を超える機器を接続した場合は過電流となるため注意が必要です。VAなどの単位で表されます。計器用変圧変流器に接続する機器類の合計負荷よりも高い製品を選定します。

計器用変圧器

計器用変圧器とは

計器用変圧器とは、電気計器や制御装置などに電圧信号を発信する装置です。

電力会社の送電電気は6,600V以上の高電圧であり、電圧が高すぎるため、このまま計測器で測定することができません。したがって、計器用変圧器を使用して電圧を100V付近に低下させた後に測定します。これにより、電圧測定計器に直接接続できる仕組みです。

計器用変圧器は絶縁の役割も果たします。送電線網で異常が発生した場合にも、計器用変圧器で回路を絶縁しているため、測定計器の故障を防止することが可能です。これにより、安全性及び信頼性を向上させることができます。

計器用変圧器の使用用途

計器用変圧器は電力を取り扱う場合、様々な場面で使用されます。以下はその用途一例です。

1. 電力計測

電力を計測したい場合は、電源系統の電圧と電流を測定して算出します。計器用変圧器は高電圧の電力系統から計器が取り扱える電圧に変換する役割を果たします。計器用変圧器の二次側配線を電力計に接続することで、正確な測定を行うことが可能です。

2. 保護機能

電力系統における保護継電器などは、異常電流や異常電圧を検出した際に遮断器などの電力制御装置へ信号を発信します。計器用変圧器は電圧を変換して保護継電器へ入力する装置です。これにより、保護継電器に安定かつ正確な電圧を供給し、正確で迅速な保護判断を下すことができます。

3. 電源供給

保護継電器や電力計に電源が必要な場合、計器用変圧器によって供給する場合も多いです。これにより、系統電源から計器動作用の電源を取り出すことが可能です。

4. 電力品質保証

電力会社の送配電網では、電圧や周波数について基準が定められています。計器用変圧器によって電圧を測定することで、電力の品質を評価することが可能です。電圧の低下や上昇を検知した場合は、変圧器のタップを切り替えるのなどの改善処置がとられることがあります。

計器用変圧器の原理

計器用変圧器は通常の変圧器と同様に、電磁誘導の作用を利用して電圧を変換します。主に筐体、巻線、鉄心などで構成されます。

計器用変圧器は金属やプラスチックでできた筐体に収められていることが多いです。この筐体は外部から変圧器内部を保護し、安全性や耐久性を確保します。また、外部から触れられないようにすることで、感電災害の防止などの役割も果たします。

巻線は電圧を受け渡しする部分です。銅線などで構成され、鉄心の周りを巻かれています。一次巻線に電圧を印加すると、電磁誘導作用で二次巻線に巻線比相当の電圧が印可される仕組みです。

鉄心は鉄製で環状構造となっており、磁束の経路となる部分です。これにより、一次側からの入力電流が磁束として二次側に誘導され、電圧が変換されます。

計器用変圧器の選び方

計器用変圧器を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 変圧比

変圧比は入力電圧と出力電圧の比率を示す指標です。変圧器に入力された電圧を、変圧比に従って出力電圧に変換します。接続する制御機器や計器の電圧要件に合わせて選定することが重要であり、変圧比が適切でない場合は機器の破損などを招くため危険です。

2. 耐圧性能

耐圧性能は変圧器の絶縁性能を示す指標です。耐圧性能が高いほど、一次巻線と二次巻線および変圧器の筐体との間の絶縁性能が高い値となります。耐圧性能が不足していると、絶縁破壊や漏電が発生し、安全性が脅かされる可能性があります。

3. 容量

容量は計器用変圧器が供給できる電力の量を示す指標です。通常はVAなどの単位で表されます。接続される計器の電力消費量に合わせて選定する必要があります。

容量が不足していると、過電流となるため計器用変圧器の故障を招きます。一般的には容量が高いほど性能が高く高価です。ただし、大型化する傾向にあります。

4. ヒューズの有無

ヒューズは変圧器を過電流や異常電流から保護するための安全装置です。計器用変圧器にはヒューズが付属する製品も多く販売されています。ヒューズがある場合、変圧器や機器が異常な電流によって損傷を受けることを防ぎます。安全性を確保するために重要な要素です。

耐水紙

監修:株式会社田村商店

耐水紙とは

耐水紙とは、特殊な加工や素材によって水に強い性質を付加した(耐水性が高い)紙です。

耐水紙は、水や湿気のある環境でも劣化しにくく、水に濡れる場所や屋外での使用に優れています。水に強いだけでなく、耐久性、摩耗性にも優れ、変形しにくいことも特徴です。また、耐水紙の中には、コーティングの効果により、対候性や耐油性に優れたものもあります。耐水紙は表面が滑らかなため、美しい仕上がりの紙製品を作製することが可能です。

耐水紙の使用用途

耐水紙は、屋外を始めとする水がかかる可能性のある場所や湿気の多い場所などで多く用いられています。具体的には下記のようなものが挙げられます。

  • 飲食店等におけるメニュー
  • カタログ
  • 食品包装 (冷凍食品、冷蔵食品、生鮮食品、スナック菓子、弁当箱など)
  • 食品や瓶ボトルのラベル
  • 農業資材や園芸用品など、屋外で使用されるタグ
  • 機械装置の警告タグ
  • アミューズメントパーク・イベントにおける、チケットやパスポート
  • 地図や旅行ガイドの印刷
  • 建設現場や工場のマニュアル、図面
  • 屋外看板・ポスター
  • 病院などにおける採血管のラベル、リストバンドなど
  • 医療機器など水や汚れ(血液など)が掛かる可能性のある場所で用いられるマニュアル

耐水紙は、主に、水や各種の汚れ(飲食店における食品の汚れ、医療分野における血液、建設現場等の作業現場における汚れなど)が付着する可能性があるシーンや、包装などの内容物を保護するために使用するシーンなどで多く用いられている紙であると言えます。

耐水紙の原理

耐水紙は、製造にあたって特殊な製造方法、薬品、加工や素材を用いることにより、耐水性が付与されています。

例えば、素材では、一般的な紙が木材パルプや植物繊維を原料などを原料とするのに対し、耐水紙はポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂を使用していることがあります。こうした合成樹脂を用いた耐水紙は耐水性とともに耐久性を向上させることが可能です。中でも、ポリエステル製の耐水紙は、特に強度が高いという特徴があります。また、コーティング加工を施すことにより、表面を滑らかにすることが可能です。このため、水分や油分、汚れが付着しにくくなります。

耐水紙の種類

1. 概要

耐水紙には、様々な種類の製品があり、それぞれ多様な用途で利用されています。下記は代表的な例です。

1. ユポ

ユポ、もしくはユポ紙、は、ポリプロピレンの樹脂を用いた合成紙です。表面が滑らかで、光沢があり、豊かな色彩表現が可能です。特に耐久性・耐水性に優れています。また、油や特殊な溶剤に対しても耐性を持つ耐水紙です。原料に木材を使用しないため、森林保全の観点でも優れています。

2. 耐水耐油紙ポエム-S

耐水耐油紙ポエム-Sは、ECFパルプ(無塩素漂白)を100%使用している耐水紙です。無塩素漂白のため、リサイクルが可能なことも特徴です。ベースの紙の強度が高いため、加工適性に優れています。

3. OKレインガード

OKレインガードは、コア部分に上質紙を使用している耐水紙です。白色度が高く、高い印刷効果を得ることができます。また、鉛筆や油性ペンで書いても、仕上がりが美しいことも特徴として挙げられます。

4. ストーンペーパー

ストーンペーパーは、石灰石とポリプロピレン樹脂を原料として製造される耐水紙です。色彩表現が豊かで、滑らかです。製造工程において木材を使用せず、水も殆ど使用しません。CO2の排出も紙より少ないため、環境に配慮された耐水紙といえます。

耐水紙のその他情報

耐水紙は、加工や印刷を行うことが可能です。耐水性や耐久性に優れた製作物を作製することができます。ただし、耐水紙の種類によっては、可能な加工が限定される場合があります。下記は、代表的な加工の例です。

  • 断裁加工 (一般的には専用の断裁機械やレーザー加工機を使用)
  • 穴あけ加工 (専用の穴あけ機を使用)
  • 印刷加工 (種類や用途によっては特殊なインクや特殊な印刷機器が必要)
  • 貼り合わせ加工
  • 折り加工
  • ミシン目加工
  • 型抜き加工
  • 箔押し加工
  • エンボス加工

本記事は耐水紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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