ベローズとは
ベローズとは、金属製薄肉で蛇腹構造を持った、伸縮性と曲げ性を有する柔軟性のある部材のことです。
ベローズは、アコーディオンについている、伸縮変形して空気を送り出す波打ち型の部分を、円筒形にした形状をしています。
ベローズの最大の特徴は、2つの装置どうしや配管口どうしの間を接続する際に、両方の接続口の位置をある程度自由に変えられる柔軟性にあります。また、製造方法によって気密性を持たせたり振動吸収性を持たせるなど、様々な機械性能を付加することができます。これらの特性を活かして、ベローズは真空ポンプを始め様々な用途で使用されています。
ベローズの使用用途
ベローズは、高い気密性を持つチューブ、空気や液体を送る管、ケーブルや駆動部分などの保護カバー、装置間の振動や熱の伝道を遮断する接続部材、駆動部品、センサーなど多くの分野で使用されています。
ベローズは、基本的に伸縮や変形が可能な柔軟な構造を持っており、それに様々な機能を付加することで広い用途で使用されています。
1. 気密性を持ったベローズ
ベローズは高い気密性を持たせることが可能です。そのため、真空ポンプとチャンバーの間を繋ぐ配管として使用されています。また、振動を吸収する機能も持っているので、ポンプの振動をチャンバー側に伝えない役割も果たせます。
2. 耐高温性に優れたベローズ
耐高温性に優れたベローズは、工場の設備などで高温のガスや蒸気を送り込むための配管として使用されます。さらに、柔軟な引き回しが可能なことから熱風などの排気ダクトとしても使用されます。
3. 保護機能に優れたベローズ
ロボットの関節部分や、精密機械の可動部を外部からの衝撃や、空気中の塵から守るための保護カバーとしてベローズが使用されます。機械の動作に合わせて曲がる一方で、変形しても内径の大きさが変化しない特性が保護カバーの役目を果たしています。
4. バネ性能を活かしたベローズ
伸縮性と気密性能を持ったベローズは、内部を加圧すると伸びます。また、バネの特性を持ったベローズは上部から荷重がかかると縮み、なくなると元に戻ります。このような機能性能を持たせたベローズは、ピストンやセンサーなどに応用されています。
また、ベローズは昔のカメラでは遮光性と防塵性を活かして、カメラとレンズの間を繋ぐ部材として使用されていました。
このようにベローズは柔軟性を持った管というだけではなく、それにプラスの性能を持たせることで使用目的の異なる広い用途を持つ部材です。
ベローズの原理
ベローズは山と谷の部分が交互につながる形状を持つことによって、フレキシブルな管になっています。ベローズにどのような性能を持たせるかによって、ベローズの材料と製法が決まります。
一般的にベローズはステンレス合金、アルミニウム合金、チタン合金などの合金によって作られます。金属の違いによって伸縮性や耐圧性、曲げ耐性、耐久性に違いが出てきます。
代表的な金属ベローズの製法には成形と、溶接があります。
成形ベローズは、金属パイプを加圧成形して作られます。安価で大量生産が可能で、大きな伸縮性が必要でない部位に適しています。
一方、溶接ベローズは、金属製ワッシャーを積み重ね、上下のワッシャーの内縁と外縁を次々に溶接することで作られます。伸縮性が大きく、精密な加工が可能で耐圧力にも優れていますが、高価で大量生産には向きません。
また、ゴムのように合成樹脂でできたベローズもあります。
ベローズの選び方
ベローズは、使用用途の項目で記述したように、様々な用途で使用できます。装置の一部にベローズを採用する際には、どのような目的でベローズを組み込むのかを明確にする必要があります。それによって、ベローズに求められる性能が決まり、それに最適な材質と形状、製造方法が明確になります。
ベローズには広い使用用途があり、ベローズの製造メーカーにもそれぞれ特徴や強みがあるようです。自社の使用目的に合ったメーカーを探してみるのが良いでしょう。
また、ベローズは ”フレキシブル” が特徴の部材ですので、既存の使用用途には無くても、新しい用途でベローズが使えないかと検討中であれば、メーカーに積極的に相談することをお薦めします。
参考文献
http://www.ikc.co.jp/technical/bellows/whats_bellows.html