計器用変圧変流器とは
計器用変圧変流器とは、測定機器や保護計器類のために高電圧・大電流を安全に測定するための装置です。
計器用変圧器と計器用変流器が一体となった製品です。近年はVCT (Voltage and Current Transformer) などとも呼ばれます。主に電力会社や大工場などにおいて使用されます。
発変電所で使用される高電圧・大電流は、そのまま計器で測定することが困難です。したがって、計器用変圧変流器を使用して安全なレベルに変換する役割を果たします。一般的には電圧をAC100V程度に落とし、電流を1Aまたは5Aに落とします。
計器用変圧変流器の使用用途
計器用変圧変流器は主に高圧または特別高圧の電力機器に使用されます。以下はその使用用途一例です。
1. 電力測定
計器用変圧変流器は電力測定に使用されることが多いです。計器用変圧変流器が取得した高電圧・大電流を電力量計に接続して、使用または発電電力量を計測します。これにより、正確に電力量を測定して取引などに使用することが可能です。
変圧器部分は高電圧を低電圧に変換し、電力量計に適した電圧を供給します。変流器は高電流を低電流に変換し、正確に電流を測定します。取引用途に使用される場合は計量法に基づいた検定を受けることが必要です。
2. 保護機能
計器用変圧変流器は電力網内で発生する異常な電圧・電流を検知し、需要機器を保護します。落雷や電力網内の機器故障などによって異常が発生した場合、計器用変圧変流器で異常を検知し、保護装置に情報を発信します。これにより、負荷側の装置故障を未然に防ぐことが可能です。
また、負荷側の装置が故障した場合、電力網側の機器に故障影響が波及する危険があります。波及事故が発生した場合、周辺一帯が停電となってしまうため未然に防がなければなりません。計器用変圧変流器で電圧や電流の情報を保護装置に発信することで、負荷装置の故障や過負荷を検知して電力遮断などの措置を講じます。
3. 電力品質管理
計器用変圧変流器によって電力系統内での電圧・電流の品質を監視し、問題を検出します。これにより、電力品質の問題を迅速に特定し、改善策を講じることが可能です。一般的には電圧が不足した場合に、変圧器のタップを切り替えるなどの措置を講じます。
計器用変圧変流器の原理
計器用変圧変流器は電力系統内の高電圧・大電流を計器や保護装置が扱える範囲に変換する装置です。基本的には電磁誘導の法則に基づいています。
変圧器部分は2つの巻線が鉄心巻付いた構成です。高電圧側の巻線に電流が流れると、鉄心内に磁束が生じます。この磁束が二次側の巻線に電圧を誘導する仕組みです。
変流器も同様に、2つの巻線と鉄心によって構成されます。高電流側の巻線に電流が流れる鉄心内に磁束が生じ、二次側の巻線に電流が印可される仕組みです。一次側巻線の巻き数と二次側巻線の巻き数の比に応じて、電流を変換します。
計器用変圧変流器の選び方
計器用変圧器を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。
1. 電流比
電流比は変流器の一次側電流と二次側電流の比率を示す指標です。一例として1000:5の場合は、一次側に1000Aの電流が流れると二次側に5Aの電流が流れます。一次側電流は想定される最大電流よりも上の値を選定し、二次側は需要機器に合わせて選定します。
2. 電圧比
電圧比は一次側電圧と二次側電圧の比率を示す指標です。一例として66000:110の場合は、一次側に66000Vの電圧がかかると二次側に110Vの電圧が印可されます。一般的な計器用変圧変流器の一次側電圧には66000Vや22000V、6600Vなどがあります。
3. 負荷容量
負荷容量は変圧器や変流器に接続可能な計器の負荷を示す指標です。負荷容量を超える機器を接続した場合は過電流となるため注意が必要です。VAなどの単位で表されます。計器用変圧変流器に接続する機器類の合計負荷よりも高い製品を選定します。