組立治具

組立治具とは

組立治具とは、工業生産などで製品を組み立てる際に使用される治具です。

治具とは、加工物を固定して、位置決めをしたり、加工しやすくしたりする補助工具の総称ですが、組立治具は、特に製品・部品の組み立ての際に使用される治具です。

組立治具を用いることで部品を正しい位置を置くことができ、組立を効率良く行うことができます。同じ製品を大量に生産する場合には特に必要です。具体的には、ねじ締め、カシメ治具などがあります。また、対象の加工品や加工内容にあわせた製品では、受注生産されている場合も多いです。

組立治具の使用用途

組立治具は、工業製品製造にあたり、組立工程で使用される治具です。自動車製造、電子機器・部品製造などの分野で使用され、下記のような用途があります。特に、電子部品では、実装基板や液晶、ケースなど様々な部品を組み付けたり張り合わせたりすることに活用されています。

  • 自動車関連の組立 (BODY、ASSY、エンジン部品組付け、足回り部品組付けなど)
  • ネジ締め (ケースに基板を固定するなど)
  • 複雑形状のワークに部品を取り付ける
  • 組立・配線などに使用される置き台
  • パネル貼付
  • 半田付け
  • シール貼付

組立治具を使用することで、組み立てる部品を正しい位置に配置することができ、組立効率を向上させることが可能です。従って、

  • 作業時間の削減
  • 品質を安定させる
  • 作業を簡易にする
  • 人的ミスを削減させる

などの効果を得ることができます。

組立治具の原理

1. 概要

組立治具は、製品組立時に各部品を所定の位置に正しく置く目的で使用される補助具です。加工済みの部品の組立を効率的に進めるため、設計されます。

製品や製造工程に合わせて設計・製造される事が多いですが、組立治具の主な役割は位置決めや、固定です。組立治具を用いて作業を行うことで、精度が向上し、安全で効率の高い組み立てを行うことができます。特に、同一製品を多数生産する場合にばらつきがなくなり、高い効果を得ることができます。

2. 材質

組立治具の材質は、用途や組立工程の性質に応じて異なります。手作業の作業を補助する場合は、材質としてナイロン樹脂など、軽量で柔軟な樹脂が使用されることが多いです。ワークの固定にはクランプが主に用いられ、ワークを置くだけでクランプによってワークが固定されるなど、治具自体が1つの装置となっているケースもあります。

機械で行われる作業を補助する目的の治具は、ステンレスなどの金属製が主流です。SUS420J2やSKD61、耐摩耗鋼などの金属種が例として挙げられます。ネジなどを用いてしっかりと確実にワークの固定が行われる治具が多いです。

組立治具の種類

組立治具は、製造工程にあわせて独自のものが製造されることも多いですが、具体例としては下記のようなものが挙げられます。

1. 圧入・挿入冶具

圧入・挿入冶具とは、ピンなどを圧入・挿入する際に使用される治具です。ピンを指で持ってハンマーなどで叩くと、斜めに入ってしまうことがあります。圧入・挿入治具を用いることで、ワークに対して正確にまっすぐ打つことが可能です。

作業が簡単になるだけでなく、怪我を予防する高価もあります。また、加圧の力によって部品が変形しやすい場合にも、治具の使用によって変形や破損を防止することができます。

2. カシメ冶具

カシメ治具とはカシメ作業を補助するための治具です。カシメ作業とは、加工対象物同士を潰したり締めつけたりして固定する作業 (加締め作業) です。主に、塑性変形を利用して部品を複数接合させます。

剛性や耐摩耗性が必要なため、SKD、SKH材が使用されることが多く、また、カシメする部分は更に硬度の高い超硬合金が使用されることが多いです。カシメ治具を用いることで、カシメ作業が簡単になり、安全かつ正確に行えるようになります。

3. ねじ締め治具

ねじ締め治具は、ねじ締めの補助・ガイドを行う治具です。ねじ締め治具を用いることで、ねじの頭のなめや傷を防止したり、締付精度の向上を行うことができます。また、ロット、担当者によるバラツキも減らすことが可能で、製造効率が向上します。