キレート鉄

キレート鉄とは

キレート鉄は、植物が成長するために必要な物質である鉄を補給させるためのキレート剤です。

植物は、葉緑素による光合成を行い、成長に必要なエネルギーを作ります。植物が葉緑素を作る際に、鉄が必要となります。つまり、植物が鉄欠乏状態になると、エネルギーを作ることが困難になり、植物の成長が著しく阻害されます。

このような植物の鉄欠乏状態を防ぐために、鉄を含んだキレート鉄が使用されます。EDTAなどのキレート剤で、鉄がキレートされているキレート鉄(EDTA-Fe)は、植物の鉄の吸収を促進します。

キレート鉄の使用用途

上記の通り、キレート鉄は、植物に鉄を補給するために使用されます。

キレート鉄の使用方法を以下に説明します。通常、キレート鉄は、黄色の粉末として市販されているので、まずは、この粉末を水に溶かして、養液栽培用濃縮原液を作ります。その後に必要な濃度に希釈して、肥料として植物に使用します。キレート鉄水溶液の希釈倍率は、各製品の取り扱い説明書を参照して下さい。

使用上の注意点として、pHがアルカリ性になると、植物は、鉄を吸収しにくくなります。そのため、キレート鉄水溶液を作る際には、pHを測定・調整する必要があります。

微粉ハイポネックス

微粉ハイポネックスとは

微粉ハイポネックスとは、株式会社ハイポネックスジャパンによって販売されている肥料の名称です。水に溶けやすい粉末状であり、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)をはじめとする植物の生育に必要な栄養分をバランスよく含む肥料とされています。N:P:K比率は6.5:6:19であり、同社の取り扱う液体肥料であるハイポネックスと比較して、カリウム分の含有量が高くなっています。製品の販売形態は、容量別に数種類があるほかに、あらかじめ小分けされたスティックタイプの製品も販売されています。

微粉ハイポネックスの使用用途

微粉ハイポネックスの使用用途は、植物の生育に必要な栄養分を補うことにより、植物の生育を助けることです。微粉ハイポネックスの適応作物は、草木類、観葉植物、野菜、芝生など広範囲に及びますが、目的とする作物が適応しているか、事前の確認が必要です。

微粉ハイポネックスは生育中の作物の花や葉の色がさえない、生育が遅い、徒長気味で弱弱しいといった問題のほか、植物株の暑さ寒さや病害虫対策、日照不足への対応などにも効果的です。通常の使用方法は所定の倍数の水で溶解・希釈して株元へ与える方法ですが、水耕栽培や寒天培地への使用にも適しているとされています。

チップソー研磨機

チップソー研磨機とは

チップソー研磨機

チップソー研磨機とは、チップソーと呼ばれる丸ノコギリ刃を研磨するための機械です。

チップソーは刃物グラインダーと呼ばれる研磨機を用いて研磨することも可能ですが、円状かつ歯数が多いという形状から研磨には手間がかかり、けがの危険性も増します。チップソー研磨機はチップソーに特化した研磨機であり、通常はチップソーをセットして回転させ、すべての刃を短時間で効率的に研磨することが可能です。

チップソー研磨機の使用用途

チップソー研磨機はチップソーを研磨し、切れ味を維持向上させるために使用します。チップソーは刃の材質や形状、用途にもよりますが、使用するにしたがって摩耗するため、本来適切な頻度で交換する必要があります。

チップソー研磨機を用いて定期的にチップソーを研磨すれば、同じチップソーを繰り返し使うことができるため、チップソーを買い直す必要がありません。

チップソー研磨機の特徴

長所

1. 短時間で均一な研磨が可能
チップソー研磨機を用いることで、短時間で均一にチップソーを研磨することが可能になります。手作業で研磨をするとなると、時間がかかるうえ均一に仕上げるのは簡単ではありません。

チップソー研磨機の利用によりメンテナンスにかかる時間を大幅に削減できれば、作業全体の効率が向上するとともに、作業による疲労感の軽減にも役立ちます。

2. 長く使用することで経済的にメリットがある
チップソーは消耗品です。そのため通常は適切なタイミングで交換することが必要です。その点、チップソー研磨機を用いて消耗したチップソーをメンテナンスすれば、チップソーを長持ちさせることができます。

このように、チップソー研磨機があればチップソーを都度買い換える必要がないので、コスト削減に繋がります。またチップソーの切れ味が良くなると燃料効率が改善するため、燃料コストの削減にも効果的です。

3. 機器トラブルを未然に防げる
チップソー研磨機を用いることで、機器トラブルを防ぐことが可能です。切れ味が悪くなったチップソーを使い続けると、作業効率が悪いだけでなく機器への負担も大きくなり、機器の故障の原因となる場合もあります。

チップソー研磨機を用いて定期的に研磨すれば、このようなトラブルの防止に効果が期待できます。

短所

1. 慣れるまで時間がかかる
チップソー研磨機の短所としては、使いこなすのに経験が必要なことが挙げられます。チップソーは特殊な形状をしているため、角度や位置の調整等、チップソー研磨機を上手に使うためにはある程度の経験と工夫が必要です。

慣れると非常に便利ですが、慣れるまでには少し時間がかかる場合があるので気をつけてください。

2. 値段がやや高い
チップソー研磨機は一般的な研磨機と比較して、値段がやや高めです。さらにチップソー研磨機で研磨できるのはチップソーに限定されているため、他の刃物に対しては使用できません。

一度購入すれば長く使えますが、初期費用が大きいため、よく検討してから購入することが大切です。

チップソー研磨機の種類

チップソー研磨機は、対応しているチップソーのサイズにより種類が区別されます。また、刈払機用チップソーに必要な先端逃げ角・横すくい角・山林アサリ角のうち、どの研磨に対応しているかによっても種類は様々です。

この他、拡大鏡や変速機能が付いているタイプなど、特徴的な性能を持ったチップソー研磨機もあります。

チップソー研磨機の選び方

チップソー研磨機の選び方として、まずは使用するチップソーのサイズに合わせて選定する必要があります。そのうえで製品それぞれの特徴を比較しながら、目的に合ったものを選ぶことが大切です。

例えば、拡大鏡が付属しているものであれば、拡大鏡を覗くことで簡単に刃合わせができるうえ、顔をグラインダーに近づける必要がないので安全に作業することが可能です。また、グラインダーの変速機能により、研磨速度の調節ができるものもあります。

散布機

散布機とは

散布機

散布機とは、農地や作物に対して、肥料や薬剤などを効率的に散布するために使用する機器です。

薬剤などを散布する機器として噴霧器がありますが、散布機との明確な区別はなく、同義と捉える場合もあります。しかし、一般的に噴霧器は主に液体を霧状にしてまくのに対して、散布機は用途別に多様な方式があり、扱える薬剤も液体に限定されません。

散布機には、背負い式タイプや胸側で保持するタイプ、押し車タイプなどがあり、動力も手動式の簡易なものから、バッテリー式、液体燃料式など種類はさまざまです。大規模なものでは、トラクターけん引式や自走式のものがあります。

構造としては単純なものが多く、導入費用も低いため、様々な場面で役に立ちます。

散布機の使用用途

1. 一般的な用途

一般的な用途では、農薬や土壌改良材、肥料、除草剤などを農地に散布するために使用します。散布するものと散布機を持ち込むだけで、作業が可能です。

散布するものの性状は、液体や固体、スラリー (泥状) などがあり、散布を要する農地面積も広狭さまざまです。粉状のものを散布する場合は、複数のノズルが設けられたホースを取付け、2人作業で散布を行うこともあります。

2. その他の用途

散布機は、性能を活かして様々な目的で用いられます。農地で使用する場合は、栽培する種子そのものを散布播種することも可能です。水田で使用する場合、ほ場に入らずに短時間かつ経済的に作業できます。

しかし、飛散距離が散布するものにより変動するため、農地の形状や面積によっては作業性が落ちてしまう可能性があります。散布するものの特徴を考慮した上で、使用することが大切です。

その他、高速で大量の空気を吐き出すことができるため、ブロワ機能のみを使用して落ち葉など比較的軽量なものを吹き飛ばす目的で用いることもあります。

散布機の原理

ポンプもしくはファンを動力により動かすことで、流体へ圧力を高めます。散布したいものをその流体と共にノズルを通して吐出することで、目的領域への散布を行います。液体であれば予め混合した液体を散布できますが、固形であれば押し出される空気に流入させる量を調整するのが一般的です。

固体のものを遠くへ飛ばすためには、速さが必要です。また、固体が接触する流体を共に高速で流すことで、より遠くまで飛ばせるようになります。そのため、飛ばしたいものに合わせた径のホースやノズルを使用することが重要です。

散布機を使用した作業は、作業者が散布量を的確にコントロールすることが求められます。散布された部分をきちんと把握する必要があり、視覚的にはっきりと確認できないことが多いです。操作に難がなくとも質の良い散布を行う場合には、熟練した技術が必要になります。

散布機の種類

散布機もいろいろな状況に対応できるように、小型なものから大型のもの、汎用のもの、特殊なものまで、さまざまな種類があります。

1. 背負い式動力散布機

背負い式動力散布機とは、タンクとエンジンとが一体になった散布機のことです。タンクを背負った状態で作業をします。この散布機は、エンジン駆動によるファンの回転で風を起こし、その風圧でもって、専用ノズルから薬剤などを広範囲に飛ばします。

薬剤、肥料を問わず散布することが可能で、散布物の性状 (液体や粒状など) もノズル交換によって対応できるため、最も普及している散布機です。エンジンの大きさとタンクの大きさの組み合わせで種類があります。

基本的には2ストロークエンジンが用いられており、排気量は30ccから80cc程度です。タンクの大きさも10Lを下回るものから30L程度まで用意されております。

もちろん大型になれば重量が10kg以上となり、肉体的負荷は増します。その代わりに強力な動力があるため、長い距離のホースが用いれるほか、大きなタンクがあれば一度に多く散布することができます。

2. 手動式の散布機

動力を用いずに手動で散布を行う機械です。動力散布機同様に手動でファンを回して粉末状のものを散布する小型の機械をはじめ、上部に設けたタンクから落ちる粒剤などを手動で回転させた羽に乗せて飛ばすタイプの散布機もあります。

どちらも動力を持たないため軽量ですが、多くの作業をこなすことはできません。小規模な使用に限られます。

アゼシート

アゼシートとは

アゼシートは、あぜ板、あぜ波(平)シート、あぜ波とも呼ばれ、主に田畑の畦畔(けいはん)周りで用いられる農業資材です。田の漏水防止をはじめ、さまざまな用途に利用されています。

アゼシートは、フィルム状タイプと薄板状タイプに分けられます。特に薄板状タイプのものは種類が豊富で、使用目的に応じて高さや厚み、形状を選ぶことができます。

フィルム状タイプは軟らかい材質で厚みも薄いため、あぜの表面に覆いかぶせるような形で使用します。一方、薄板状タイプは厚みとハリがあるので、あぜのきわなどに差し込むようして設置します。

アゼシートの使用用途

田畑の周囲や境界に設けられる盛土部分を「畦畔(けいはん)」や「あぜ」といいます。あぜは、境界としての役割のほか、通行路、休憩場などいろいろな機能を持っています。中でも、田に引き入れた水が、用水路や隣の田に流出しないようにせき止めておく最も重要な役割を担っています。

水田の漏水対策として、あぜの法面を土でしっかり固める作業をしますが、これだけでは自然に亀裂が入ったり、徐々に水が浸透するなどしてあぜがもろくなり、完全な漏水防止ができません。また、モグラやザリガニの作った穴から漏水が起こる場合もあります。

アゼシートを設置すれば、水を透過しない材質でできているため、水の浸透によるあぜの崩壊を防ぎ、万が一あぜに亀裂が入ったとしても漏水には至りません。また、薄板状のアゼシートであれば、厚みや強度があるので、モグラやザリガニの掘削行動を阻害することができます。

シーリングテープ

シーリングテープとは

シーリングテープ

シーリングテープとは、テフロン製を主としたテープ状のシール材です。

シールテープとも呼ばれ、JIS名称はシール用ふっ化エチレン樹脂未焼成テープです。空気管や水道管、油圧の配管など、気体や液体の通り道となる配管の接続部分に生じる隙間を埋めるために使用されています。

シーリングテープの使用用途

シーリングテープは、気体や液体、油圧の配管の接続部分に巻きつけ、隙間を丁寧に埋めるために使用されています。気密性を高め、配管を通る物質の漏れを防止することが可能です。

接続部分には、お互いにネジ式にカットされており、両方を合わせることにより接続しています。ネジ山の部分を完全にかみ合わせるのは、材質問わず非常に難しく、わずかな隙間が生じるのが一般的です。

配管を通過する気体や液体は、そのわずかな隙間でも容易に通過できるため、これが漏気や漏水、漏油の原因となります。

シーリングテープの特徴

長所

シーリングテープの長所は、簡単な配管接続の場合、素人でも簡単に補修ができることです。耐久性の高いものを選び、適切・適所に使用することにより、配管の漏れを防げます。

短所

耐候性のシーリングテープも存在しますが、屋外で使用する場合は、経年劣化により都度補修が必要になります。普段使用する際に、漏れがないかをチェックしなければなりません。

屋内においても、トイレやキッチンの水回りで漏れ始めると使用の妨げになり、補修に時間を要します。そのため、屋外同様チェックと補修は不可欠です。

シーリングテープの種類

シーリングテープは種類が多く、幅と厚さが異なります。一般的な水道管のシーリングテープの幅は8mmと1.3cmが基本ですが、ダクト用のものだと5cm近くあるテープも存在します。

厚みは0.1~1mmまでさまざまです。長さはメーカーにもよりますが、1、5、10、15mがあります。基本的に簡単に手でちぎれるので、片手での作業が可能です。−100~260℃前後でも耐えられるような耐熱・耐候性のあるもの、耐薬性、耐溶剤性のもの、自己癒着に優れたものも存在します。

材質は、テフロン製が主になりますが、高強度ポリエステル製のもの、ポリエステルメッシュが入ることにより強度を増したものもあります。

シーリングテープの選び方

シーリングテープは、幅と厚さが基本となります。初心者の場合、幅が比較的広く、厚さがある程度あるものが扱いやすいです。

屋外で使用する場合は、雨風にさらされたり、寒暖の差を考慮して、耐候性のあるものを選びます。ダクト用には、強度を持たせるために、高強度ポリエステル製のものや、ポリエステルメッシュが混在したものが望ましいです。

シーリングテープの使い方

まず、シーリングテープの粘着力が低下してしまわないように、ネジ山に入り込んだホコリやゴミを取り除いておきます。配管の接続部分にはオスネジとメスネジが存在します。シーリングテープをオスネジの先端から、2山から3山程度あけたところから巻き始めます。

巻き始めで数回程度巻いた後、配管本体側に向かってシーリングテープが適度に重なるように巻きつけます。シーリングテープはネジ山と同じ方向に向かって、緩まないように巻きつけるのがポイントです。

逆方向に巻いてしまうと、ネジを接続する際に巻いたテープが外れてしまいます。また、ネジの先端からテープがはみ出した状態で巻き始めると、管内でテープの切れ端が混入する恐れがあり、配管つまりや機械の故障の原因となるため注意が必要です。

一度接続したものを再度緩めると、シーリングテープの効力がなくなり、漏れにつながります。そのため、再度外して新しいものを使って巻きなおす必要があります。外した際は、シーリングテープの断片がネジの両側に付着している可能性があり、断片をきれいに取り除いておかないと、トラブルの原因になりやすいです。新しく巻きなおす場合は、古いものを除去したうえで巻く必要があります。

潅水チューブ

潅水チューブとは

潅水チューブ

潅水チューブとは、主に大規模農場やハウス栽培で用いる水やり用の農業資材です。

潅水チューブには一定間隔の小さな「孔」が開いており、主に塩化ビニールやポリエチレン製樹脂で作られています。農作物の栽培に重要な潅水作業を軽減できるため、多くの農家が取り入れています。

潅水チューブの使用用途

潅水チューブは、野菜や果樹などの農作物への水やりを自動的に行う際に使用します。ビニールハウスだけでなく、畑でも活用可能です。

また、潅水チューブと専用の留め具を併用し、ポットやトレーでの育苗などにも使用されています。大規模農場での水やりを人力で行うのは手間がかかりますが、潅水チューブを設置することで、労力の削減や病気の予防につながります。

潅水チューブの特徴

長所

1. 作業労力削減
潅水チューブの最大の長所は、自動で潅水できることから作業にかかる時間や労力を削減できる点にあります。空いた時間を有効に使えるため、効率的な農業に役立ちます。

2. 農作物の病気予防
潅水チューブの使用により、ハウス内に必要以上の水がたまって高湿度になるリスクを軽減できます。そのため、高湿度による病気の発生リスクを下げることが可能です。

3. 水のコスト削減
人力での散水量に比べ、潅水チューブでは水量を調節できるため、水道代の軽減につながります。

4. ハウス内の土壌乾燥対策
ハウス内は雨が入り込まないため、土壌が乾燥しがちです。潅水チューブで散水することで、適度な湿度を維持できます。

短所

1. 初期投資がかかる
潅水チューブの価格は、幅や長さ、種類によって異なります。通販商品の一例を挙げてみると、散水幅4m/100m×2巻の価格は3.7万円程度です。

潅水チューブ設置に関連して継ぎ手や末端止め、吊り具などのパーツも必要なので、初期投資がかかるのは短所と言えます。

2. 適切に設置しないと生育不良の可能性
潅水チューブから出る水がうまく作物に当たっていないと、適切な潅水が行われず、作物の生育不良を起しかねません。

3. 目詰まりを起こす
潅水チューブを使用する際は、孔に目詰まりがないかなど、管理にも気を配る必要があります。潅水スタート時に目詰まりしていないかを確認するなど、メンテナンス作業が大切です。

メーカーによっては、目詰まり防止の「ろ過器」を販売しているので、確認することをおすすめします。

潅水チューブのその他情報

潅水チューブの潅水方法

また、潅水チューブを用いた潅水方法には、「噴霧潅水」「散水潅水」「点滴潅水」の3つがあります。それぞれ、潅水チューブの孔からの水の出方などが異なります。

1. 噴霧潅水
噴霧潅水チューブは孔から極微小の水が出るタイプで、ハウス内の頭上潅水として多用されています。霧状の水なので、葉の表面を傷めたり土壌を削ったりする心配がありません。

噴霧潅水チューブは、薬剤散布や湿度調整、ハウス内の暑さ対策などにも活用されています。ただし、霧状の水は風の影響を受けやすいため、ハウス内に風が入らないように注意が必要です。

2. 散水潅水
散水潅水チューブは雨粒状の水が出るタイプで、地表に設置するのが一般的です。潅水だけでなく、土中やハウス内の水分コントロールを目的に利用される場合もあります。

散水孔の位置や数、孔径のバリエーションも豊富なので、農作物の種類や栽培面積などに応じて使い分けできます。広範囲に多くの水を潅水できる一方で、ハウス内で使用した場合は湿度が高まるリスクがあることに注意が必要です。

3. 点滴潅水
点滴潅水は、ドリップのようにゆっくりと潅水するタイプで、ドリップチューブとも呼ばれており、無駄に水が飛散するのを抑えられます。点滴潅水チューブを地表もしくは地中に設置して使うため、農作物の株元やハウス栽培による育苗などに用いられることが多い潅水方法です。

なお、点滴潅水チューブは特殊な構造をしていることから、ほかの潅水チューブよりも価格が高い傾向にあります。

防獣ネット

防獣ネットとは

防獣ネット

防獣ネットとは、イノシシやサルなどの害獣が、農地や畑に侵入してこないように使用するネットです。

近年、害獣による被害が拡大していることもあって、侵入や食害を防ぐ対策が重要になりつつあります。手軽に設置できることが特徴です。

防獣ネットの使用用途

防獣ネットは、害獣の侵入や侵入による作物への食害を防ぐために使用されます。害獣の対策にはさまざまですが、基本的な対策として防獣ネットは検討しやすいです。

比較的手軽で、確実に遮ることができる方法であるため、害獣対策の最初に実施される場合が多いです。

防獣ネットの特徴

長所

防獣ネットの長所として、獣害を防止できることが挙げられます。害獣が侵入すると農地や畑の作物を荒らされるため、防獣ネットを張ることで、農地への侵入を防ぎ、獣害に対応することができます。

また、農地の面積に合わせて、ネットの範囲を調整することもできるため、各自で手軽に獣害対策を行えます。

短所

防獣ネットの短所として、コストがかかることが挙げられます。防獣ネットで囲う農地の面積が広ければ広いほど、防獣ネットの囲う範囲が多くなるため、コストが大きくなります。

また、防獣ネットを張ったとしても、害獣が防獣ネットを通り抜けて、敷地に入ってしまうと、防獣ネットは大丈夫なものと学習してしまいます。学習から今後の害獣対策の効果が弱まる可能性があるため、害獣に絶対に入られないような工夫が必要です。

防獣ネットの種類

防獣ネットの種類は、いくつかあります。一般的に出回っている種類は、以下のとおりです。

1. ポリエチレンネット

ポリエチレンネットは、敷地周辺に支柱を立てて、ネットを張ることで設置をします。コストが安く、初心者でも設置しやすいです。

しかし、簡単に設置できる分、強度が弱くなります。ネット柵は、手軽で小規模な家庭菜園などにおすすめです。

2. 金属ネット

金属ネットは、ネットの材料がステンレス線などの金属素材になっています。強度が高く、害獣に嚙み切られてしまうこともありません。

その分、コストがかかってきますが、大規模農家など、獣害を受けている方には心強い対策です。

防獣ネットの選び方

防獣ネットを選ぶ際は、以下の3つのポイントに注意が必要です。

1. 対象動物

防獣ネットは、対象動物の種類に応じて選ぶことが大切です。例えば、対象動物と比べて、ネットが大きすぎると、間をすり抜けて侵入されます。一方で、対象動物と比べて、ネットが小さすぎると、ネットを倒して侵入してきます。

一般的に、イノシシは1m、シカは1.5m程の柵を超えることができるとされています。そのため、イノシシは1.5m以上、シカは2m以上の高さの防獣ネットが望ましいです。

また、ネットの目穴についても、細かいものから、広いものまで、数多くの種類があります。対象動物に応じて、適切な製品を選ぶことで効果を最大限に発揮します。

2. 畑の大きさ

防獣ネットは、農地や畑の面積を把握したうえで、購入することが大切です。防獣ネットによってはサイズが決まっていて、カットできないものもあります。

また、ネットを敷地に設置する際、支柱も用意しなければなりません。支柱の本数は、畑の大きさによって変わります。ネットと支柱がセットになっている便利な製品も販売されており、初心者におすすめの防獣ネットです。

3. コスト

防獣ネットは、ポリエチレンやステンレスなど、素材によってコストに差があります。使用用途に応じて選ぶことも重要ですが、コストのことも考えて選びます。

防獣ネットは、長期的に使用できますが、素材によっては雨などによる劣化も考えられます。導入時のコストだけではなく、長期的にみたときのコストも含めて、製品を選定することが大切です。

温室ガラス

温室ガラスとは

温室ガラス

温室ガラスとは、温室に使用されるガラスを言います。ガラス製の温室を含める場合もあります。ガラスは可視光線から近赤外線域まで、ビニールや透明樹脂に比べ透過性に優れ、遠赤外線域の吸収性が良く、耐候性が優れているので、ガラスを使用した温室は寒い時期あるいは寒冷地での植物栽培に適しています。

温室ガラスは、普通のフローティング製法のガラスが使われますが、ガラスに特殊フィルムを張り付けた温室用ガラスもあります。このガラスは、赤外線の透過を減少させて室温の上昇を抑え、植物の光合成に必要な紫外線を透過させます。破損したとき破片が飛び散らないのも利点です。

温室ガラスの使用用途

温室ガラスは、農作物の栽培、植物園、研究設備、及び観光農園、植物工場、魚介類の養殖などを目的とする温室の屋根や壁部分に使われます。ガラスの固定にゴムパッキンを使うことで気密性を上げ、耐風性を良くする工法もあります。

温室には換気設備が重要です。最上部の天窓、桁面妻面の突き上げ窓、及び引き違い窓、換気扇などが使われます。室内の気流にも配慮が必要で、暖房設備や灌水設備も必要です。

室内用の小形温室は、温度調節のほか、土ほこりが部屋の中を飛ばない、害虫が飛ばない、ガラスケースできれいに鑑賞できるなどのメリットがあります。

スライドハンマー

スライドハンマーとは

農業用のスライドハンマーは、作物を育成するハウスの支柱用パイプや単管を地面に打ち込むための道具です。打撃を受ける部材をパイプ外面の中間に固定し、パイプ外面をスライドするハンマーを人力で上下させて打撃することにより、パイプを地面に打ち込みます。

パイプに固定した打撃部を打撃するので、パイプの先端がつぶれない特色があります。パイプ長手方向の中間にセットするので、長尺のパイプも打ち込めます。また脚立を使用しなくてよいので、安全面でもメリットがあります。

スライドハンマーの使用用途

スライドハンマーは、農業用の支柱の打ち込みに多く使用されています。屋根部が曲がっているアーチ形パイプにも使用でき、またハウス内などで高さに制約がある場合にも、単管の地面打ち込み作業に使えます。鳥獣害を防止する柵、作物などを運搬するモノレールの支柱、及び畑のあぜ道に使う囲い止めの支柱や、はさ掛け用支柱の打ち込みにも、スライドハンマーが使用できます。

スライドハンマーの打撃部は、二つ割れで出来ており、ボルトで締め付けることでパイプの途中に固定が出来ます。またハンマー部も開いてクランプで閉じることで、上下に軽く動くようになっています。