HL仕上げ

HL仕上げとは

HL仕上げ

HL仕上げとは、ステンレス製品の表面に研磨剤を付着したベルト研磨機を使って、一定方向へ細かい傷をつけて仕上げる表面処理です。

表面に施される細かい傷が髪の毛のように細いことから、HL (ヘアライン) 仕上げと呼ばれています。ステンレス製品は使用する目的や用途、場所によって要求される表面処理はさまざまです。HL仕上げは表面処理のデザインに属しますが、研磨材によってつけられた傷にはツヤ消し効果があり、金属らしい光沢は控えめで洗練された上質な仕上がりを表現します。

HL仕上げの処理には見た目の素晴らしさの他にも、研磨加工により表面に付いた凹凸が滑り止め機能として役立つ優れた面も備えています。デザイン性と機能性を併せ持つことから、人の目につく場所や人が触れるものに用いられる場合が多いです。

HL仕上げを施したものはいろいろな形に姿を変えて、私たちの身の回りに取り入れられています。HL仕上げは、ステンレス製品の表面処理における代表的な加工のひとつです。

HL仕上げの使用用途

HL仕上げを施した製品の使用用途はさまざまで、身近なものから公共の場に至るまで広い範囲で使われています。

  • 学校、病院、駅構内など公共施設または公共機関
    手摺、門扉、衝突防止柵、タラップなど
  • 飲食店
    厨房、カウンターなど
  • 商業施設、スーパー、コンビニ
    手摺、カートガード、転倒防止柵など
  • 住居、身の回り品、その他
    キッチン、シンク、腕時計や小物類

同じ仕上げ処理のデザインに分類されるもので、鏡面仕上げがあります。名前の通り鏡のように、自分の姿が映るほど表面がピカピカに磨かれた加工です。鏡面仕上げは見た目の美しさはありますが、汚れが目立ちやすいため実用的な使用にはあまり向きません。

HL仕上げは鏡面仕上げとは対照的に、研磨を用いて光沢を抑えた仕上がりです。そのため、使用中にできた傷、手垢や指紋の汚れが目立ちにくく実用性が高いことから、日常に馴染みやすい表面加工として幅広く使われています。

HL仕上げの原理

HL仕上げは、主にベルト研磨機を使って施工されます。ベルト研磨機に装着された研磨ベルトが高速回転をしながら対象物に接すると、表面が磨かれ無数の傷がつきます。この作業を一定方向へ行うことで、表面にHL仕上げが施される仕組みです。

HL仕上げで使用する研磨ベルトには、多くの種類があります。研磨ベルトを使い分けることでラインの幅や形状を自在に選べるため、好みに合わせたヘアラインの模様や質感への仕上がりを実現できます。また、HL仕上げは、対象物の長手方向 (寸法が長い方) に沿ってかけられることが一般的です。

長手へ向かうことで統一感を増し、見た目の向上につながります。製品にもよりますが、HL仕上げはデザインの一種であるため、全面に施すのではなく、人から見える面 (片面) のみに加工される場合も多いです。片面仕上げにすれば製作にかかるコストを抑え、依頼をする側に大きなメリットを生み出すことが可能です。

HL仕上げの種類

HL仕上げは、加工を施すラインの幅や模様を付ける方法によってそれぞれ種類が分けられています。代表的な加工方法は、以下の通りです。

1. ヘアライン

メーカーごとに多少の違いはありますが、一般的なヘアラインとして提示される仕様です。

2. スクラッチヘアライン

一般的なヘアラインに比べて短いラインの模様を施します。少し粗めの仕上がりが特徴的です。

3. ヘアライン・クロス

一般的なヘアラインが一定方向の縦線であるのに対し、ヘアラインの模様をクロス状に付けた加工処理です。仕上がりは和紙をイメージしています。

4. デザインヘアライン

ヘアラインの模様を織物状に施した研磨加工です。編み込んだニットのような仕上がりが柔らかい印象を与えます。メーカーによっては、自身で選定したデザインでHL仕上げを行うことも可能で、その場合はデザインヘアラインに分類されます。

一般構造用圧延鋼材

一般構造用圧延鋼材とは

一般構造用圧延鋼材

一般構造用圧延鋼材 (英: Steel Structure) とは、略名SS材とも呼ばれており、低炭素鋼材の1種です。

炭素量が少なく、熱処理によって強度を高められないため、生材として使用されます。SS材は錆びに弱いという欠点があります。

その一方で、板・H鋼・棒鋼・山形鋼など、さまざまな形状の製品が製造されていたり、高い汎用性を有したりすることから、多様な分野で幅広く利用されています。

一般構造用圧延鋼材の使用用途

鋼材にはさまざまな種類がありますが、鉄=SS材といえるほど幅広い分野で使用されます。鋼材の中でも不良品が少なく歩留まりが良いので、合理性と利便性が良いです。

特に強度が必要な部位には高張力鋼が使用されますが、高額で加工が難しいため、安価で中程度性能のSS材が重宝されます。なお、具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 建築土木製品
    橋梁の支柱や梁、建物の枠組みや屋根、基礎の鉄筋など
  • 工作機械
    旋盤、溶接機、プレス機、機械部品など
  • 生産設備
    容器、金型、鋳造設備など
  • 移動手段
    鉄道や船舶や車両など
  • 電力設備
    送電塔や風力発電機など
  • 家電
    冷蔵庫や電子レンジなど
  • 付帯設備
    ベンチや足場や道路標識など

一般構造用圧延鋼材の特徴

SS材に含まれる炭素の量が約0.2%の低炭素鋼で含まれる不純物は、リンと硫黄の含有量を0.05%以内とすると決められているほか、明確な基準はありません。また、炭素含有量が0.3%以下では、熱処理による強度上昇は不可能です。

なお、一般構造用圧延鋼材は、引っ張りの強度や降伏度に重点が置かれているため、そのまま生材としても使用されます。加熱による熱脆性の影響が小さく、絞り加工や溶接での製缶品の製作が可能で、規格の鋼材を使用するとコスト低減できます。

ただし、アルミニウムのように酸化被膜を形成しないため、加熱部位や切削部位は錆びやすく、塗装や表面処理が必要です。SS材にはキルド鋼に比べて品質は劣りますが、リムド鋼が使用されます。溶かした鋼を直接鋳込み、リムド鋼は成型するので不純物が残りますが、圧延により内部が圧着するため品質が保てます。

なお、キルド鋼は脱酸処理したものです。添加物を加えることで、ガスや不純物を除去し内部構造を均質にした金属です。

一般構造用圧延鋼材の種類

SS材にはSS330、SS400、SS490、SS540の4種類あります。SSの後ろの数値が最低引張強さを表し、SS400では400〜510MPaと規定されています。

以前は用途によって使い分けていましたが、品質向上によりコストや性能差がなく、ほとんどがSS400です。SS330とSS540は規格としてありますがほぼ流通しておらず、SS490も炭素含有量が多いため使い勝手が悪く、使用されません。

一般構造用圧延鋼材のその他情報

寸法の規格鋼材

L型の山形鋼、U型の溝形鋼、H鋼、平鋼などさまざまな寸法の規格鋼材があります。板材は板材は3.2mm以上でそれより薄いものは冷間圧延鋼板 (SPCCなど) 、似た材料として建築構造用圧延鋼材 (SN材) と溶接構造用圧延鋼材  (SM材) と機械構造用炭素鋼鋼材 (SC材) があります。

炭素鋼は他にも、低炭素鋼 (S15Cなど) 中炭素鋼 (S45Cなど) と高炭素鋼 (SK5など) が挙げられます。

発光塗料

発光塗料とは

発光塗料

発光塗料は、光・電子線・α線等による刺激を受けることによって、りん光や蛍光を発する物質を主要顔料とする塗料のことをいいます。暗所や夜間に光を発するため、別名、夜光塗料とも呼ばれています。

発光塗料には、発光型と蓄光型があります。発光型塗料は、外部から光などの刺激が無い状態でも、自力で発光することができます。一方、蓄光型塗料は、外光などの刺激が無くなることで、塗料自体も発光しなくなります。

発光型塗料は、以前は、時計の文字盤などの用途で、広く使用されていましたが、発光のエネルギー源に放射性物質が利用されていたため、近年では、発光型塗料の替わりに、蓄光型塗料が優先的に使用されるようになっています。 

発光塗料の使用用途

発光塗料は、夜間や暗い部屋などといった環境において、光が必要な夜間標識として使用されています。身近な用途としては、時計の文字盤が挙げられます。また、暗い環境下で使用する計測器の指針や、目盛、文字などの表示にも使用されています。その他にも、道路標識や避難誘導材などとしても、幅広く利用されています。

発光塗料は、広告やイベント会場の展示、インテリアの飾りつけなどにも用いられており、暗い空間をデザインする手法の一つとして、様々な場所で利用されています。

発光塗料は、その他に、釣り具での利用も多く、夜釣りなどにおいて、ウキなどの道具類や仕掛けの一部を発光させるのに使用されることもあります。 

発光塗料の特徴

発光塗料のうち、発光型塗料に関しては、発光のエネルギー源として、放射性物質が使用されます。一般には、放射性物質として、微量のラジウムやウラン等を入れたアルカリ土類金属が使用されており、実際に発光するりん光体としては、亜鉛の硫化物が用いられています。発光は、放射性物質から発生するα線によって、硫化亜鉛などが刺激を受けることで起こります。

一方で、蓄光型塗料は、太陽光や蛍光灯に含まれる光エネルギーの刺激を受けることによって、エネルギーを一時的に蓄え、可視光に変換し、徐々に光を放出させるといった仕組みで発光しています。そのため、発光型塗料に含まれるような放射線物質は全く使用されていません。蓄光型塗料の発光体には、以前は、硫化亜鉛にを付活させた物質が使用されていましたが、発光時間が短いという課題がありました。そういった課題を解決するために、酸化物を結晶母体に持つ蓄光タイプの発光材料が開発されたことで、発光時間を大幅に長くできるようになりました。その結果、発光型塗料の替わりに、蓄光型塗料が広く利用されるようになってきました。

発光塗料には、他にも、塗膜に通電することによって発光するタイプもあります。このタイプの発光塗料には、外部からの光や放射線などの刺激を用いずに発光できるといった特徴があります。 

合成樹脂エマルジョンパテ

合成樹脂エマルジョンパテとは

合成樹脂エマルジョンパテとは、合成樹脂エマルジョン、顔料、充てん材などを主な原料とし、ペースト状に混合したものです。

合成樹脂エマルション系パテは、ペースト状ですが、時間が経過することによって、乾燥され、硬化します。乾燥時間は、合成樹脂エマルジョンパテを使用した環境の温度や湿度によって異なるので、乾燥度合いを触って確認するのが良いでしょう。

メリットは取り扱いが容易であることで、デメリットは強度が弱く、使用できる場所が限定されることです。

合成樹脂エマルジョンパテの使用用途

合成樹脂エマルジョンパテは、強度が弱いことから、仕上げ材や下地として使用されることが多いです。

主に合板、石綿スレート、せっこうボード、モルタル、コンクリートのような素材の表面を合成樹脂エマルジョンペイントで、仕上げる場合の下地として使用されます。建築現場では壁紙を貼る前のせっこうボードの釘穴やせっこうボードの取り合いとなっている継ぎ目部分の目地を埋めるためによく使われます。

仕上げ材として使用する場合は、雨水などの水分が当たることが少ない場所で使用されます。特に一般家庭の壁の補修を目的とされることが多いです。

合成樹脂エマルジョンパテの種類

合成樹脂エマルジョンパテには、一般形と耐水形の2種類が存在します。これらは、JIS K 5669によって、品質規格が全て定められたものです。

1. 一般形

一般形は付着強度が、2.5kgf/cm2以上 (24.5N/cm2以上) であることが特徴です。合成樹脂エマルジョンパテの弱点でもある耐水性や耐アルカリ性について基準が設けられていないため、水分などに弱いものが多いといえます。

2. 耐水形

耐水形は、付着強度が、5.0kgf/cm2以上 (49.0N/cm2以上) と一般形より強いだけでなく、耐水性や耐アルカリ性にも規格があります。そのため、合成樹脂エマルジョンパテの中でも、耐水性や耐アルカリ性に特化させた商品であるといえます。

3. 薄付け用・厚付け用

その他にも、一般形と耐水形は、1回の塗付け膜厚が最大0.5mmとなる薄付け用と、1回の塗付け膜厚が最大1.5mmとなる厚付け用にも分類されます。それぞれ乾燥までにかかる時間が異なり、薄付け用が5時間以内、厚付け用は24時間以内となっており、大きく異なります。使用するものによっては、厚付け用でも薄付け用として使えるものもあるため用途に合わせて使い分けることも可能です。

合成樹脂エマルジョンパテの特徴

合成樹脂エマルジョンパテは使用できる場所とできない場所、用途、取り扱い、作業性などメリットとデメリットがあるため、目的に合わせて使用する必要があります。

長所

合成樹脂エマルジョンパテは屋内での使用に適した材料です。水で練る必要がないものもあり、調合割合などを気にせず使用できるため、取り扱いが容易であることからDIY初心者の方でも使用しやすいです。

ビスの穴埋めや目地埋め時にパテが乾燥によって痩せにくいものやひび割れがしにくいものがあります。また、研磨性が高く、サンドペーパーで研磨がしやすいものもあり作業性が高い充填剤になります。

短所

合成樹脂エマルジョンパテは屋外や外部で使用することができません。屋外や外部で使用すると結露により合成樹脂エマルジョンパテが剝がれてしまうためです。そのため、屋外のモルタル面やコンクリート面の素地ごしらえには使用することができません。強度自体はないため、仕上げ面には使用できるものの、無収縮モルタルのような構造体自体の強度を求められる補修の用途では使用不可です。

化学反応で硬化をする材料ではないため、一度容器を開けて使い始めると乾燥してしまい、使いまわすことができなくなる可能性もあります。そのため、使用する量や保管方法に注意する必要があります。

合成樹脂エマルジョンパテの使い方

合成樹脂エマルジョンパテは上水で希釈をするものや無希釈で使用できるものがあります。多くは容器を開けてからすぐ使えるものが多く、中には作業性をあげるために無希釈で使用できるものでも希釈をしてパテを柔らかくしてから使うこともあります。

使用箇所はせっこうボードのビス穴や目地、屋内のコンクリート面の凹凸や不陸のある場所です。下地を作りたい箇所にヘラなどを用いて合成樹脂エマルジョンパテを塗布します。
塗布した合成樹脂エマルジョンパテが乾燥した後、サンドペーパーにより研磨を行うことで不陸のない下地が仕上がります。

使用する合成樹脂エマルジョンパテの種類によって、塗り厚や希釈度合いからパテが痩せたり、ひび割れたりします。実際に作業をする際は、使用する合成樹脂エマルジョンパテの特徴を確認することを推奨します。

ボイル油

ボイル油とは

ボイル油 (英: Boiled Oil) とは、乾性油と金属酸化物を煮沸して酸化させた油です。

金属酸化物との反応によって、より早い乾燥性を持つように改良されています。製法としては、通常、亜麻仁油、大豆油、もしくは荏油にマンガン、鉛、コバルトなどの金属酸化物を添加し、酸素を吹き込みながら、温度を120℃〜150℃に保ちながら煮沸します。

この過程により、油中の水分が蒸発して除去され、乾性油の性質が向上します。この改良された乾性油がボイル油です。

ボイル油の使用用途

1. 木材の保護と仕上げ

ボイル油は木材の表面に塗布されることで、木材の保護や仕上げに使用されます。ボイル油の高い乾燥性によって、木材表面が迅速に硬化し、美しい仕上がりを実現が可能です。

また、木材を外部の要因から保護し、耐久性を向上させる効果もあります。

2. 金属の錆止め塗装

金属の表面にボイル油を塗布することで、金属の錆を防ぐ効果が得られます。ボイル油中の金属酸化物が金属表面を保護し、腐食や酸化を防ぐことが可能です。

これにより、金属の寿命を延ばし、耐久性を向上させる役割を果たします。

3. 工業製品の塗装

工業製品の表面にボイル油を塗布することで、表面の保護と耐久性向上が図られます。金属部品や機械の外観を美しく仕上げるだけでなく、長期間の使用においても品質を保つために利用されます。

4. アーティストの顔料

アーティストや画家は、ボイル油を絵の具や顔料として使用することがあります。ボイル油は、絵具の乾燥性を向上させるために添加され、作品の仕上がりや耐久性を向上させる役割を果たします。

5. 家具の仕上げ

家具制作においても、ボイル油は木材の仕上げに活用されます。木材表面に塗布されることで、家具の美観を引き立てるとともに、長期間の使用に耐える耐久性を持たせます。

ボイル油の特徴

1. 高い乾燥性

ボイル油は亜鉛や他の金属酸化物を含むことにより、極めて高い乾燥性を持ちます。これにより、塗布された表面が迅速に硬化し、保護被膜を形成します。そのため、木材や金属などの表面を迅速に仕上げることが可能です。

2. 耐久性向上

ボイル油が表面に形成する保護被膜は耐久性が高く、外部の環境からの影響や腐食を防ぎます。金属に対しては錆や酸化を防ぎ、木材に対しては湿気や紫外線から守ります。

3. 乾燥時間の短縮

通常の乾性油に比べて、ボイル油の乾燥速度は非常に速く、乾燥までの時間を大幅に短縮します。これは製品の製造工程や作業効率向上に寄与します。

4. 多様な用途

ボイル油は木材の仕上げや金属の錆止め塗装、工業製品の保護など、さまざまな分野で幅広く利用されます。その多様な用途から、産業やアート、日常生活において重要な役割を果たしています。

5. 効果的な密封効果

ボイル油が形成する保護被膜は表面を密閉し、空気や水分の浸入を防ぐ効果があります。これにより、素材の劣化や腐食を防ぎ、長寿命化を実現します。

ボイル油の種類

1. 亜麻仁油ボイル油

亜麻仁油をベースにして製造されるボイル油です。亜麻仁油は高いリノール酸含有量を持ち、乾燥性があります。この種類のボイル油は木材の仕上げに利用されることが多く、耐久性を向上させる効果があります。

2. 大豆油ボイル油

大豆油を基にしたボイル油は、金属への塗布や木材の保護に広く使用されます。大豆油は豊富なリノール酸とリノレン酸を含み、これに金属酸化物を加えて煮沸することで効果的なボイル油が得られます。

3. 荏油ボイル油

荏油 (えごまあぶら) から作られるボイル油は、木材の仕上げや保護に利用されることがあります。荏油はα-リノレン酸を含むため、乾燥性があり、ボイル油としての性質に適しています。

 

ボイル油の種類は、加える金属酸化物の組成によっても異なります。例えば、マンガン、鉛、コバルトなどの金属酸化物を使用することで、それぞれ異なる特性を持つボイル油が得られます。

フタル酸樹脂エナメル

フタル酸樹脂エナメルとは

フタル酸樹脂エナメルとは、有色塗装に適した酸化乾燥性の液状塗料の一種です。

乾性油変性フタル酸樹脂を主成分としており、自然な乾燥過程中に塗膜が形成されるように設計されています。塗料中の乾性油変性フタル酸樹脂は、空気酸化の影響を受け、塗膜が形成されるプロセスを経ます。

フタル酸樹脂エナメルの製造は、混合炭化水素系溶剤に乾性油変性フタル酸樹脂を溶解し、その後顔料を分散させる流れです。このプロセスによって、均一な塗料が形成されます。

フタル酸樹脂エナメルの使用用途

1. 金属の塗装

フタル酸樹脂エナメルは、金属製品の塗装に広く用いられます。金属表面に塗布されることで、耐食性や耐久性を向上させることが可能です。屋外で使用される金属製品や構造物の塗装に特に適しています。

2. 工業製品の仕上げ

工業製品の仕上げや保護のためにも利用されます。金属以外の素材にも塗布可能であり、プラスチックや木材などの製品の表面保護や美観向上に貢献します。

3. 家庭用塗装

家庭内での塗装にも使用されます。家具やインテリアアイテム、装飾品などの塗装に利用され、美しい仕上がりと耐久性を提供します。

4. 自動車の塗装

自動車の一部やアクセサリー部品の塗装にも応用されます。耐久性や外観の向上を図り、車両の寿命を延ばす助けとなります。

5. 建築物の塗装

建物や建築物の外装塗装にも使用されます。耐候性や耐久性を高め、外観の美しさを維持します。

6. 工業設備の塗装

工場や施設の設備や機器の塗装にも適しています。これにより、設備の寿命を延ばし、劣化や腐食を防ぎます。

フタル酸樹脂エナメルの特徴

1. 高い付着性

フタル酸樹脂エナメルは、多くの素材に強い付着性を持ちます。金属、プラスチック、木材など、異なる素材の表面に均一かつ堅固に密着する能力があります。

2. 耐久性と耐候性

このエナメル塗料は、耐久性と耐候性に優れています。外部環境の影響から素材を保護し、色褪せや劣化を防ぐことができます。

3. 自然乾燥

フタル酸樹脂エナメルは、自然乾燥するタイプの塗料です。空気中の酸素と反応して徐々に硬化し、均一な塗膜を形成します。

4. 幅広い色彩

豊富な顔料と組み合わせることで、幅広い色彩を表現できます。これにより、様々な用途やデザインに対応できる多彩な色の選択が可能です。

5. 簡易的な塗装方法

フタル酸樹脂エナメルは、刷毛やスプレー、ローラーなどさまざまな塗装方法で塗布できます。これにより、用途や作業条件に合わせた柔軟な塗装が可能です。

6. 経済的

コスト面でも魅力的であり、比較的低コストで大面積を塗装できることから、産業用途から個人用途まで幅広く利用されています。

7. 素材の保護

フタル酸樹脂エナメルは、塗膜を形成することで素材を保護し、摩耗や腐食から守ります。これにより、寿命を延ばす効果があります。

フタル酸樹脂エナメルの種類

1. スタンダードタイプ

これは一般的なフタル酸樹脂エナメルであり、幅広い用途に適したタイプです。耐久性や付着性があり、屋内外の表面に使用されます。通常、低価格帯で提供されており、一般的な家庭用塗装に適しています。

2. 耐熱タイプ

この種類のフタル酸樹脂エナメルは、高温に耐える性能を持っています。高温での使用や直射日光の下での塗装に向いており、屋外での耐久性を強化が可能です。自動車部品や屋外の金属製品に使用されることがあります。

3. 食品接触適合タイプ

食品容器や調理器具など、食品との接触がある場所で使用するために特別に設計されたフタル酸樹脂エナメルです。安全基準を満たす素材を使用し、食品との相性に配慮されています。

4. 水性タイプ

環境への配慮から開発された水性のフタル酸樹脂エナメルです。有機溶剤をほとんど含まず、揮発性有機化合物 (VOC) の排出を低減しています。屋内塗装や狭い空間での作業に適しています。

5. 特殊効果タイプ

パール、メタリック、フレークなどの特殊効果を持つフタル酸樹脂エナメルも存在します。これにより、装飾的な塗装やデザインを実現が可能です。車のカスタムペイントやアート作品に利用されることがあります。

タールエポキシ樹脂塗料

タールエポキシ樹脂塗料とは

タールエポキシ樹脂塗料とは、エポキシ樹脂塗料に改質目的で、石油系・石炭系樹脂を用いて変性させたエポキシ樹脂のことです。

防食性に優れた黒褐色の塗料で、腐食の激しい環境で重宝されていました。しかし、1990年代にタール成分の健康被害への懸念から、徐々に採用が減少していき、2009年4月にJIS規格が廃止されています。

現在は、コールタールなどの発がん性が認められない変性樹脂を用いた変性エポキシ樹脂塗料が、タールエポキシ樹脂塗料の代用塗料として広く用いられています。

タールエポキシ樹脂塗料の使用用途

1. 船舶や海洋施設の防食塗装

海水や塩害などの環境から船舶や海洋施設を保護するために使用されます。その耐食性と耐水性によって、長期間の耐久性を提供し、腐食や劣化を防ぎます。

2. パイプラインのコーティング

地下パイプラインや油田施設などの金属部品を防食するために広く用いられます。これにより、パイプラインの寿命を延ばし、維持コストを低減することが可能です。

3. タンクや貯蔵施設の内部コーティング

タンクや貯蔵施設の内部コーティングにも適しています。これにより、内部の金属表面を保護し、腐食や化学薬品による影響から守ります。

4. 鋼構造物の防食塗装

建築物や橋、鉄塔などの鋼構造物の防食塗装としても利用されます。長寿命なコーティングを提供し、外部の気象条件や環境から鋼材を守ります。

5. 舗装材の防水コーティング

アスファルト舗装材に塗布されることで、防水性を高めます。これにより、道路や駐車場の耐久性を向上させることができます。

6. 産業施設の床塗装

工場や倉庫などの産業施設の床にも利用され、耐摩耗性や耐薬品性を向上させる役割を果たします。また、滑り止めとしての機能も提供します。

タールエポキシ樹脂塗料の特徴

1. 耐食性

その特殊な樹脂組成によって優れた耐食性を持ちます。海水や化学薬品などの腐食因子に対して耐性を示し、金属表面を長期間保護します。

2. 耐水性

水に対する耐性が高く、湿潤環境下でも劣化しにくい特徴を持ちます。このため、水槽や貯蔵施設、船舶などの防食コーティングに適しています。

3. 密着性

金属やコンクリートなどの表面に優れた密着性を示します。これにより、均一な保護膜を形成し、補強効果を持つことができます。

4. 耐熱性と耐摩耗性

高い耐熱性と耐摩耗性を持ち、高温環境や摩擦の影響からも表面を保護します。工業施設や機械部品のコーティングに適しています。

5. 化学耐性

多くの化学薬品や溶剤に対して耐性を持ちます。これにより、薬品処理施設や工業環境での使用に適しています。

6. 電気絶縁性

電気絶縁性が高く、電子部品や電気設備の絶縁コーティングに使用されることがあります。

タールエポキシ樹脂塗料の種類

1. 一般的なタールエポキシ樹脂塗料

一般的なタールエポキシ樹脂塗料は、耐食性や耐水性に優れています。金属の防錆塗装や海洋施設の保護に使用され、また、耐熱性もあり、高温環境での使用に適しています。

2. 防食性の高いタールエポキシ樹脂塗料

この種類の塗料は、特に金属の腐食を防ぐことに特化しています。塩害や酸性環境などの腐食因子に対する優れた耐性を持ち、橋梁やパイプラインなどのインフラストラクチャーの保護に使用されます。

3. 耐熱性の高いタールエポキシ樹脂塗料

この種類の塗料は高温環境下での使用に適しており、熱風炉や煙突などの部位の防食や断熱コーティングに使用されます。耐熱性に優れているため、表面が高温にさらされる状況でも性能を維持します。

4. 電気絶縁性の高いタールエポキシ樹脂塗料

この種類の塗料は電気絶縁性が高く、電子部品や電気設備の保護コーティングに使用されます。電気的な絶縁を提供しながら、表面を耐食性のある膜で覆います。

5. 床面用のタールエポキシ樹脂塗料

この種類の塗料は床面に使用され、耐摩耗性や耐薬品性を提供します。工業施設や倉庫、駐車場などで床の保護と安全性を向上させるために使用されます。

エッチングプライマー

エッチングプライマーとは

エッチングプライマーとは、金属塗装に使用される最初の防錆塗料です。

別名として、ウォッシュプライマーとしても知られています。金属表面に対して化学的な変化をもたらし、塗料の密着性を高めるだけでなく、金属の防錆効果も提供します。

エッチングプライマーは、JIS規格に基づいて、短期暴露用と長期暴露用の2つのタイプに分類されます。

エッチングプライマーの使用用途

1. 金属表面の処理

エッチングプライマーは、金属表面の処理に広く用いられます。金属表面に塗布することで、表面の酸化皮膜や不純物を取り除き、塗装や接着のための適切な基盤を形成します。これにより、塗膜の密着性や耐久性が向上が可能です。

2. プラスチックの接着促進

プラスチック製品の表面は、通常非極性であり、塗装や接着が難しいことがあります。エッチングプライマーはプラスチック表面の親水性を高め、塗料や接着剤の密着を改善します。

3. ガラスやセラミックスの前処理

ガラスやセラミックス表面にエッチングプライマーを塗布することで、これらの滑らかな表面に対しても塗料や接着剤がしっかりと密着します。これにより、ガラスやセラミックス製品の塗装や接着が可能です。

4. 複合材料の処理

複合材料は異種材料の組み合わせで構成されているため、その界面の処理が重要です。エッチングプライマーは複合材料の異種材料間の密着性を向上させ、強度や耐久性を高めます。

5. 自動車の塗装

自動車の塗装においても、エッチングプライマーは広く使用されています。車体表面に塗布することで、塗装の密着性を高め、長期間にわたって塗膜の剥離や浮き上がりを防止できます。

6. 金属加工工程の前処理

金属の切削加工や溶接などの工程前に、エッチングプライマーを使用して表面処理を行います。これにより、加工後の金属表面に塗装やコーティングを施しやすくなります。

エッチングプライマーの特徴

1. 親水性の向上

エッチングプライマーは表面の親水性を高める効果があります。これにより、塗料や接着剤の密着性が向上し、均一な塗膜や接着が実現します。特に非極性表面への塗装や接着の際に有用です。

2. 表面のクリーニング

エッチングプライマーは、表面の酸化皮膜や不純物を取り除く効果があります。これにより、表面が清潔な状態になり、塗膜や接着剤の密着が改善します。

3. 化学的結合の形成

エッチングプライマーは、基材表面と化学的な結合を形成する能力があります。これにより、塗料やコーティングが基材と強固に結合し、剥離や浮き上がりを防ぎます。

4. 耐久性の向上

エッチングプライマーが形成する膜は、通常耐候性や耐薬品性が高いです。これにより、塗膜やコーティングが外部の環境要因から保護され、長期間にわたって効果が持続します。

5. サブストレートの適用幅

エッチングプライマーは金属やプラスチック、ガラス、セラミックスなどさまざまなサブストレートに適用できます。これにより、異なる材料間の接着や塗装が可能です。

6. カスタマイズ性

エッチングプライマーの組成は調整可能であり、さまざまな要件に対応することができます。特定の基材や環境に合わせて特性を調整することで、最適な接着や塗装を実現します。

エッチングプライマーの種類

1. 金属用エッチングプライマー

金属表面の処理に使用されるエッチングプライマーです。金属表面の酸化皮膜や不純物を取り除き、表面の親水性を向上させる効果があります。金属への塗装や接着を効果的に行うための下地処理に用いられます。

2. プラスチック用エッチングプライマー

プラスチックやポリマー表面の処理に適したエッチングプライマーです。プラスチックの表面は非極性であるため、塗装や接着が難しいことがあります。プラスチック用エッチングプライマーは、表面の親水性を向上させ、塗膜や接着の密着性を向上させます。

3. ガラス用エッチングプライマー

ガラス表面の処理に使用されるエッチングプライマーです。ガラス表面は平滑で非極性であるため、塗装や接着が難しいことがあります。ガラス用エッチングプライマーは、表面に微細な凹凸を形成し、塗膜やコーティングの密着を向上します。

4. セラミックス用エッチングプライマー

セラミックスや陶磁器などの表面処理に使用されるエッチングプライマーです。セラミックス表面は硬質で平滑なため、塗装や接着が難しいことがあります。セラミックス用エッチングプライマーは、表面の凹凸を形成し、塗膜や接着の密着性を高めます。

5. 多目的エッチングプライマー

上記に挙げた用途以外にも、さまざまな基材や用途に対応するための多目的なエッチングプライマーが存在します。これらのプライマーは、さまざまな表面処理や接着のニーズに合わせて調整されます。

アルミニウムペイント

アルミニウムペイントとは

アルミニウムペイントとは、アルミニウム粉末を主成分とする塗料です。

アルミニウムの持つ特有の光沢や耐久性を利用して、さまざまな用途に使用されています。アルミニウムの粉末は細かい鱗片状に加工されており、塗布することで表面に均一なメタリックな膜を形成します。

アルミニウムペイントの使用用途

1. 金属の保護

アルミニウムペイントは、金属表面に均一な膜を形成することで酸化や腐食から保護します。船舶の船体や建築物の金属部分、橋梁など、外部環境からの影響を受けやすい構造物の防錆塗装に広く使用されています。

2. 断熱材

アルミニウムペイントは耐熱性に優れており、高温環境に耐える能力があります。このため、建築物や工業施設の断熱材として使用されることがあります。アルミニウムの反射特性によって、熱を反射して室内の温度を調整し、エネルギー効率を向上させることが可能です。

3. 装飾用途

アルミニウムの光沢は美しく、装飾材料としても用いられます。家具や装飾品、工芸品などに塗布され、特有のメタリックな輝きが演出され、建築物の外観を飾る目的で使用されることもあります。

4. 遮熱塗料

アルミニウムペイントは、太陽光を反射する特性を持っています。そのため、建築物の外壁や屋根に塗布することで、屋内の温度上昇を抑え、冷暖房の効率を向上させる効果があります。

5. 航空機や自動車の外装

アルミニウムペイントは、航空機や自動車の外装にも使用されています。耐久性と軽量性が求められるこれらの分野で、アルミニウムペイントは外部からのダメージや劣化から保護するために用いられています。

アルミニウムペイントの特徴

1. 耐久性

アルミニウムペイントは耐候性に優れており、外部環境からの影響に対して長期間にわたって保護を提供します。これは、金属部分や建築物の表面に塗布される際に特に重要です。

2. 反射特性

アルミニウムは光を効果的に反射する能力があります。そのため、アルミニウムペイントは太陽光を反射し、建築物や構造物の表面温度の上昇を抑えることが可能です。これにより、室内の温度を調整し、エネルギーコストを削減する効果があります。

3. 腐食抑制

アルミニウムペイントは金属表面に均一な膜を形成し、酸化や腐食から保護します。金属部分が外部環境や化学的な影響にさらされる場合、その表面を保護するバリアとして機能します。

4. 均一な仕上がり

アルミニウムペイントは均一な膜を形成するため、塗布した表面に美しい仕上がりをもたらします。そのメタリックな輝きは、装飾的な要素としても重要な役割を果たします。

5. 熱反射

アルミニウムの反射特性によって、建築物や構造物の外壁や屋根に塗布することで、太陽光を反射し熱を効果的に遮断します。これにより、屋内の温度上昇を抑え、快適な室温を維持することができます。

6. 多様な用途

アルミニウムペイントはその特性を活かして、防錆塗装から装飾用途までさまざまな分野で使用されます。その汎用性と高い効果は、多くの産業や用途において求められる要素となっています。

アルミニウムペイントの種類

1. 単一成分アルミニウムペイント

これは1つの成分からなるアルミニウムペイントで、通常は水性であり、乾燥後にアルミニウム粒子が均一に分散した膜を形成します。主に金属部品や建築物の外壁などに使用され、耐候性と防錆効果を提供します。

2. 二成分アルミニウムペイント

このタイプのアルミニウムペイントは、ベースと硬化剤を別々に混ぜて使用するタイプです。硬化剤の添加により、耐久性や化学的耐性が向上し、厳しい環境下で使用されることがあります。

3. ヒートリフレクティングアルミニウムペイント

この種類のアルミニウムペイントは、高い熱反射性能を持っており、建築物の屋根や壁に塗布されて太陽光熱を遮断します。これにより、室温を低減しエネルギーコストを削減する効果があります。

4. 装飾用アルミニウムペイント

一部のアルミニウムペイントは、その美しいメタリックな輝きを活かして装飾的な目的に使用されます。特に建築物の外観や内装の装飾に用いられ、独特のエレガントな雰囲気を醸し出します。

5. 防錆アルミニウムペイント

アルミニウムペイントは、金属表面を保護するために広く使用されます。その中でも特に防錆効果を重視したアルミニウムペイントは、金属部品や構造物の表面を酸化や腐食から守ります。

アミノアルキド樹脂塗料

アミノアルキド樹脂塗料とは

アミノアルキド樹脂塗料は、アルキド樹脂とアミノ樹脂の混合物を塗膜の主要素とする、焼付け塗料のことをいいます。アミノアルキド樹脂塗料に使われる、主なアミノ樹脂としては、ブチル化メラミンや尿素樹脂が挙げられます。

アミノアルキド樹脂塗料は、低温環境下において、短時間で焼付けができるといった利点があります。また、アミノアルキド樹脂塗料には、塗膜が硬いといった特徴や、美しい光沢が出るといった特徴もあります。さらに、変色が少なく、耐候性・耐薬品性・耐磨耗性に優れており、電気的性質も良く、難燃性である、といった利点も有しています。このような優れた特徴がある一方で、アミノアルキド樹脂塗料には、エポキシ・ビニル・アクリル樹脂塗料に比べて、付着性や耐アルカリ性に劣るといった欠点があります。 

アミノアルキド樹脂塗料の使用用途

アミノアルキド樹脂塗料は、現場塗装が必要な大型の構築物を除き、焼付け可能な物に対して、下塗り用や上塗り用として、「表面処理鋼板などの建材」「自動車」「電気材料」「機械」「金属家具」「事務用機器」「その他の金属製品」などの塗装に利用されています。

酸硬化型のアミノアルキド樹脂は、塗膜が硬く、対擦り傷性に優れています。そのため、フローリングや木製の家具などといった木製品の塗装に、幅広く使用されています。なお、酸硬化型のアミノアルキド樹脂塗料は、酸性の硬化剤を使用することから、金属製品の塗装には用いることができません。 

アミノアルキド樹脂塗料の種類

焼き付け型のアミノアルキド樹脂塗料は、目的物に塗装された後、焼き付けする際の過程で、アルキド樹脂のOH基とアミノ樹脂のCH2OH基がエーテル結合することにより、硬化塗膜を形成します。

一方で、酸硬化型のアミノアルキド樹脂は、硬化剤を加えることによって、硬化が進みます。主な硬化剤としては、塩酸、もしくは、パラトルエンスルホン酸が用いられています。これら2種類の硬化剤のうち、塩酸は揮発性を有するため、硬化乾燥後に、塗膜中に残りにくく、耐クラック性・速乾性・コスト面において優れています。ただ、塩酸による腐食作用によって、鉄などが錆びる恐れがあるため、塗装機を使用する場合など、取り扱いには注意が必要です。対して、有機酸であるパラトルエンスルホン酸は、金属に対しての発錆作用が少ないことが特徴です。そのため、機械の塗装を行う場合には、パラトルエンスルホン酸を用いることが多いです。

アミノアルキド樹脂塗料の塗膜の性質は、原料樹脂の種類やその配合比、硬化条件などによって大きく左右されます。例えば、樹脂の濃度や焼き付け温度が高いほど、硬化皮膜の橋かけ密度が高くなり、硬さや耐薬品性が大きくなるなどといった違いが生じます。