紙クロスとは
紙クロスとは、原料に紙が使われた壁紙のことです。
欧米ではパルプを原料とした紙クロスの壁紙が多数ありますが、日本ではビニールクロスの壁紙が多いです。紙クロスは、洋風のクロス、和風のクロス、非木材紙のクロスなどに分類されます。この他に、表面がフィルム加工された合成紙もあります。
紙クロスはビニールクロスに比べて薄いため、下処理が重要です。下処理が悪いと下地の目地が出てしまい、とくに凹凸がある壁に張るのが難しくなります。また、膨張・収縮する可能性があり、目地が目立つ場合があるため、施工者の技量が重要です。
紙クロスの使用用途
紙クロスは印刷によって表現が難しい独特の色の深みや本物の布や革のような風合いを出せるため、和洋菓子屋清酒のパッケージを引き立てるための紙材に使用可能です。箔押し加工で、高級感を演出できます。
紙クロスは環境に配慮されているため、近年注目が集まっています。原料が自然素材であり、室内環境に優しく、事務所やオフィスの壁の仕上げに使用可能です。寝室用のクロスに使用される場合も増えています。
欧米の紙クロスは大胆なデザインが多いため、個性的な部屋にする際にも向いています。
紙クロスの原理
紙クロスは含浸紙、非含浸紙、ビニールペーパークロスの3種類に分けられます。
1. 含浸紙
含浸紙はクロスの強度を高めるため、特殊な樹脂をコーティング前の原紙に浸み込ませ、皮革調の型をエンボス加工しています。そのため丈夫で完成が豊かです。
2. 非含浸紙
非含浸紙は極薄紙やクラフト紙をベースにして、顔料の染色塗料を塗布して、エンボス加工によって仕上げています。艶がある独特な感触のクロスです。上製本のパッケージや表紙だけでなく、教科書や銀行通帳のパッケージや表紙などにも使用されています。
3. ビニールペーパークロス
ビニールペーパークロスはクラフト紙をベースにして、アクリル、塩化ビニール、ウレタン、ナイロンのような各種合成樹脂に、着色剤と可塑剤を加えた塗料でコーティングされています。艶があり、引き裂きや摩擦にも強く柔軟です。
紙クロスの種類
紙クロスは洋風クロスや和風クロスなどに分類されます。
1. 洋風の紙クロス
植物のプリントや豪華な柄をエンボス加工したものなど、多くの種類の色やデザインの壁紙があります。輸入材も多数利用されています。
2. 和風の紙クロス
代表的な和紙の原料は、楮 (こうぞ) や三椏 (みつまた) です。ケナフや亜麻などを原料とした紙クロスもあります。
これらのクロスは和紙の持つ独特の風合いを持っています。また、湿気を吸収し乾燥時には水分を放出可能で消音効果もあります。戦後の昭和30年頃から、それまで主流だった塗り壁に代わって紙クロスが普及し始めました。
紙クロスの選び方
和紙の壁紙では独特の風合いを感じますが、欧米の紙クロスには大胆な植物のプリントやゴージャスな柄をエンボス加工など、日本にはない色やデザインの壁紙があります。
非木材紙のクロスは環境保全に役立つと言われています。ケナフや亜麻のような非木材紙の原料になる植物は成長が早く、二酸化炭素を吸収するためです。
しかし紙クロスはビニール製より材料費が高く、張替えに手間がかかります。水に弱いため多くの場合はプラスチックなどの樹脂でコーティングされています。
撥水加工が施されているものの、厚みがないため水拭きや薬品による掃除は難しく、油や水の汚れはシミになりやすいです。紙の膨張収縮によって壁紙の目地が目立つ場合もあり、擦れに弱いためデリケートな取り扱いが必要です。
紙クロスの構造
主に紙クロスは、和紙やケナフなどの非木材紙が原料です。紙は空気を通し音を吸収できる素材であり、環境や健康への配慮がされています。ほとんどが輸入壁紙ですが、手すき和紙の紙クロスもあり注目されています。
ただし水拭きができない紙クロスもあり、手入れには注意が必要です。