繊維壁

繊維壁とは

繊維壁とは、パルプや紙の綿状繊維、木粉等の粒状物や糸状にした化学繊維、および無機質材料などを糊と水で練って塗り付けた壁です。

ソフトな仕上がりが特徴で、吸音性が高く室内湿度の調整能力もありますが、耐久性に少し難があります。繊維壁のもう一つの特徴は、施工が比較的容易なことであり、熟練した左官職人の手を煩わす必要がないことです。仕上げるのに高度な熟練技能を必要としないことで、建売住宅などに広まった経緯があります。

繊維壁の使用用途

繊維壁は、パルプや紙の綿状繊維、化学繊維などを糊と水で練り、壁に塗布して仕上げる壁材です。その柔らかな質感と優れた吸音性、調湿性から、主に以下の用途で使用されています。

1. 住宅の内装仕上げ

繊維壁は、和室や洋室を問わず、住宅の内壁や天井の仕上げ材として広く使用されている壁です。その多様なテクスチャーと色合いにより、さまざまなインテリアスタイルに適応します。また、施工が比較的容易で、仕上がりにムラが出にくいため、技術が未熟でも施工可能です。

2. 商業施設や公共施設の内装

オフィスビル、店舗、学校、病院などの商業施設や公共施設でも、繊維壁はその吸音性や調湿性を活かして使用されています。特に、音響環境が重要な施設では、音の反響を抑えるために効果的です。

3. リフォームや改修工事

古い住宅や施設のリフォーム時に、既存の壁材を取り替える際に繊維壁が選ばれることがあります。その柔らかな仕上がりと調湿性から、快適な室内環境を提供します。例えば、古い戸建て住宅のトイレのリフォームで、繊維壁の上に珪藻土を塗る事例もあります。

4. 伝統的な和室の内装

繊維壁は、和室の内装仕上げとしても使用されてきました。その柔らかな風合いと温もりが、和の空間に調和します。かつて和室の内装仕上げに流行した素材です。

繊維壁の原理

繊維壁は、柔らかな質感と優れた吸音性、調湿性を持つ壁材です。パルプや紙の綿状繊維、木粉、化学繊維、無機質材料などを糊と水で練り合わせ、壁面に塗布し乾燥させることで固めます。この過程で繊維が絡み合い、壁面にしっかりと定着するため、特有の柔らかさと機能性が生まれます。

しかし、繊維壁は耐久性に難があり、施工時に汚れやすく、乾燥に時間がかかるのがデメリットです。施工後はメンテナンスや乾燥時間の確保が重要です。また、和室や洋室を問わず、多様な室内に適用でき、調湿性や防カビ性能、有害物質対策が施された新しい製品も開発されています。

専門業者と相談し、適切な施工方法とメンテナンスを行うことで、繊維壁の特性を活かし、快適な室内環境を実現できます。

繊維壁の種類

繊維壁は、パルプや紙の綿状繊維、木粉、化学繊維、無機質材料などを糊と水で練り合わせて作られる塗り壁材です。その種類は多岐にわたり、使用する素材や仕上げの方法によってさまざまなバリエーションがあります。主な繊維壁の種類と特徴は以下の通りです。

1. 土壁風仕上げA (聚楽風)

特徴: 聚楽土の落ち着いた色合いと風合いを高品質に再現した仕上げです。

施工効率: 4~5㎡/人日

2. 土壁風仕上げB (錆聚楽風)

特徴: 土壁の錆入り仕上げを表現し、天然素材の豊かな質感と味わいを短期間で提供します。

施工効率: 5㎡/人日

3. 土壁風仕上げC (藁聚楽風)

特徴: 藁スサという天然素材を用いた、素朴で落ち着いた表情が魅力の仕上げです。

施工効率: 5㎡/人日

4. 綿壁風仕上げ

特徴: 綿の柔らかな風合いと温もりを表現した仕上げで、かつて和室の内装仕上げとして流行しました。

施工効率: 5㎡/人日

5. 砂壁風仕上げ

特徴: 砂壁の落ち着いた色合いとテクスチャーを活かした仕上げです。

施工効率: 4㎡/人日

これらの繊維壁は、和風・洋風を問わず、さまざまな内装デザインに適応できる柔軟性を持っています。また、施工が比較的容易で、コストパフォーマンスにも優れているため、内装仕上げ材として実用的な性能を備えています。近年では、調湿性や防カビ性能、有害物質対策などが改善された製品も登場しており、繊維壁の選択肢はさらに広がっています。

参考文献
https://kenchiku.click/material/textile-wall%E2%86%92-types-characteristics-and-construction-methods-explained/?
https://www.eco-inc.co.jp/natural-material/2012/04/post_156.php?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です