インラインチェックバルブ

インラインチェックバルブとは

インラインチェックバルブとは、配管の内部に挿入し、逆流を防ぐためのバルブです。

インラインチェックバルブの流れる方向に対して、事前に設定されている圧力以上の圧力の流体がインラインチェックバルブに到達すると、弁が開き、流体が流れます。逆流の場合や設定している圧力以下の流体の流れでは、弁が開かずに流れないような構造になっています。

電力などの外部からの運動量が必要なく、内部の機構のみで動作する製品が多いことが特徴です。

インラインチェックバルブの使用用途

インラインチェックバルブは、化学製品や石油プラントの工場の他、潤滑油や研磨剤などを使用する工作機械、家庭用の製品、水道や水処理場などの公共機関など幅広い範囲で使用されます。

インラインチェックバルブの選定の際には、流体を通過させるための圧力の設定値や、バルブの内径、流体の損失係数の大きさ、構造、許容の流量や圧力、振動、メンテナンス性などを考慮する必要があります。また、使用する流体の種類に応じて、対応する素材かどうかを考慮する必要があります。

インラインチェックバルブの原理

インラインチェックバルブの動作原理を説明します。インラインチェックバルブは、配管の側面に固定し、厚さを持たせるためのシート、ポペットと呼ばれる通常では流れを阻害し、特定の条件下では、流れを透過させる部品、ポペットをシートに接するような向きに力を加え続けるためのばね、そのばねを固定するための配管の側面に肯定するためのシートで構成されています。

インラインチェックバルブの動作時は、流れ方向にばねによって作用する力以上の圧力が流体によって与えられると、ポペットとともにばねが押され、インラインチェックバルブ内を流体が流れるようになります。ばねが押す力以上の圧力が流れによって与えられなければ、ポペットは開きません。また、逆流方向に流れが生じた場合、ポペットはシートの方向に流れによって、押される形になるため、流れによってポペットに作用する圧力が高ければ高いほど、流れを阻害する効果があります。 

参考文献
http://www.khi.co.jp/kpm/pdf/1houkou_11.pdf

ベベルボックス

ベベルボックスとはベベルボックス

ベベルボックスとはモーター用の減速機の一種です。ベベルギアボックスとも呼ばれます。産業用の機械など、動力電源を必要とするような大型の機械設備で使用されることが主であり、モーターから伝わってくる回転軸の方向を上下や左右に90℃入れ替えることが出来ます。
   
種類によってはシャフトが2股~4股に分かれているものもあります。組み合わせ方によって駆動トルクをあらゆる方向へ伝達させることが出来ます。内蔵されているギアによって、モーターの回転トルクを減速させることも可能です。

ベベルボックスの使用用途

産業用機械やトラクターなど、大型の機械に用いられます。駆動源となる動力モーターの軸に取り付けられ、モーターから伝わってくる駆動トルクの回転方向を90℃変えることが出来ます。
     
ベベルボックス内部に取り付けられているギアは種類によってギア比が異なり、そのままの速度で使用することも出来ますし、モーターのトルクより減速させることも出来ます。減速せずに単に回転方向を変えたいだけの場合、ギア比が1:1となっているものを選ぶとよいでしょう。

ベベルボックスの原理

ベベルギアボックスは本体ケースとシャフト、オイルシール、ベアリング、スパイラルベベルギアというかさ歯車によって構成されています。ベアリングがシャフトの回転を補助し、内部に封入されたグリスがスパイラルベベルギア同士の接触を円滑にし、オイルシールがグリス漏れを防ぎます。
   
スパイラルベベルギアのギア比は1:1、1:2の物などがあり、用途に合ったギア比のものを選定することによって、減速させることも、そのままの速度で使用することも可能です。

モーターに取り付ける際は、複数あるシャフトのうち、どれがどの回転方向になるのかよく確認したうえで取り付けなければいけません。

種類によってはシャフトが2股~4股に分かれますが、いずれの場合も内部の構造は大きく変わりません。ただ、シャフトの本数とスパイラルベベルギアの数は増減します。

軸の配置やギアの減速比などもベベルボックスのタイプによって異なるため、本数が増えるたびにそれぞれの回転方向や減速の有無などをきちんと把握しなければなりません。例えばの話ですが、「1軸と2軸は回転方向が一緒で3軸と4軸は逆回転になっており、そのうえ3軸だけが駆動源より減速されている」といったように構造が複雑になりがちです。

ベベルボックスを選定する際は、設置する箇所や目的に応じてタイプを間違わないようにしましょう。

参考文献
https://www.makishinko.co.jp/pdf-manual/F54-F61_Bevel-TB.pdf
https://www.makishinko.co.jp/page/products_bgb.html

ピンチバルブ

ピンチバルブとは

ピンチバルブとは、ゴムやシリコンなどの柔軟な材料の管路を挟んで流体を制御するバルブです。

特に固形物が含まれる流体を扱う場合に有用です。このような流体では通常の弁を使用すると詰まりやすく、清掃が困難になる場合があります。

一方、ピンチバルブは管路を完全に閉じることができるため、清掃が容易で、メンテナンスが簡単です。ピンチバルブは比較的単純な構造であり、コストが低く、耐久性が高いです。

ピンチバルブの使用用途

ピンチバルブは安価で丈夫なため、多くの産業分野で使用されています。特に、固形物が多少混ざった流体を扱う分野で重宝されています。

1. 医療分野

血液透析機では、血液の流れを制御するために使用されます。また、採血器や注射器にも有用で、正確な液体の供給を可能にします。

2. 食品加工分野

フィルターや粉砕機などの機器にも接続できるため、多様な処理に対応することができます。また、食品加工における衛生管理の観点から、清掃が簡単なピンチバルブが採用されることが多いです。

3. 排水処理プラント・下水処理場

排水プラントの石膏用圧搾機入口弁などに採用されることがあります。ピンチバルブは汚染物質に対する耐性が高く、清掃が容易なため、水処理には適したバルブです。

ピンチバルブの原理

ピンチバルブは、管路を挟むように配置された柔軟な材料を外部から加圧することで開閉します。柔軟な材料とは、ゴムやシリコンを採用する場合が一般的です。バルブ本体は通常の弁のような弁体を持たず、管路自体を閉じることで閉止します。

具体的には、バルブボディの上下に挟まれたゴムチューブを使用します。バルブを開放する場合は外部の圧力が加えずに、ゴムチューブは元の形状に戻ります。一方、バルブを締める場合はバルブボディに加圧されることにより、ゴムチューブが変形し、管路を締めることが可能です。

このような構造から、ピンチバルブは、通常の弁に比べて柔軟性が高く、清掃性に優れています。また、バルブの締め具合を微調整することもできるため、液体の流量や圧力を正確に制御可能です。ただし、高圧力や高温などの過酷な条件下ではゴムチューブが劣化するため、適切な使用条件を守る必要があります。

ピンチバルブの種類

ピンチバルブは操作方法や仕様によっていくつかの種類に分けられます。以下はピンチバルブの種類一例です。

1. ハンドル式ピンチバルブ

ハンドル式ピンチバルブは手動で操作することによって、ゴムチューブを締めるピンチバルブです。ハンドルを回すことでバルブ本体を加圧してゴムチューブが締めます。締め具合を微調整することができるため、液体の流量や圧力を正確に制御可能です。

ハンドル式ピンチバルブは操作が簡単で、シンプルな構造なため、小規模な流量制御に適しています。細かな流量制御をしない場合は、産業用遠心分離機などの大型機器にも適用可能です。

2. ソレノイド式ピンチバルブ

ソレノイド式ピンチバルブは、電磁弁を使用してゴムチューブを締めるピンチバルブです。電磁弁によって制御するため、自動化された流量制御に適しています。液体の供給や排出、反応の制御などに使用されます。

ソレノイド式ピンチバルブは自動操作可能なため、効率的な生産ラインに使用されることが多いです。精度の高い流量制御が必要な場合にも適しています。

3. パルス式ピンチバルブ

パルス式ピンチバルブは一定間隔の収縮によって流量制御を行うピンチバルブです。パルスジェネレーターなどによって制御され、一定間隔でゴムチューブを締めて正確な流量制御を実現します。一定間隔で緩められるため、他のピンチバルブに比べて耐久性に優れます。

血液透析機や自動分注装置など、定期的な液体の供給が必要な場合に使用されます。パルス式ピンチバルブは液体の流量を微調整することができるため、高い精度で流量制御可能です。

参考文献
https://www.ascojp.co.jp/products/medical/pinch.html
https://takasago-elec.co.jp/glossary/post_37/

ビーズミル

ビーズミルとは

ビーズミルとは、ビーズと呼ばれる粒子を使って、ナノレベルにまで非常に細かく粉砕を可能にさせる湿式の粉体などの媒体を攪拌粉砕する機械です。

ビーズミルの歴史は、戦後の日本において、五十嵐機械製造(現在のAIMEX)がデュポン社の持つ技術をベースにして、独自の技術を織り交ぜて、日本初のビーズミルを完成させたのが、国内創成期になります。その後、国内の高度成長に伴う拡大期、平成以降の成熟期を経て、現在の最新型ビーズミルに至っています。

ビーズミルの使用用途

ビーズミルの市場における使用実績例としては、各種対象物の粉砕が主な使用例ですが、対象物は食品、陶磁器の表面にあるガラス層用金属酸化物、磁気テープ酸化鉄、積層のセラコン用チタン酸バリウムなど様々なものが対象になっており、多くの粉砕用途に活用されています。

最近では、ナノ分散ニーズが増加しており、例えば、液晶のカラーフィルターに使用する有機顔料の分散、ハードコート用ジルコニアの分散、化粧品用の酸化チタンの分散などでは、100mm以下の粒子を分散させるために、ビーズミルが活用されています。

ビーズミルの原理

ビーズミルの構造

図1. ビーズミルの構造

湿式ビーズミルは、ビーズと粒子が分散したスラリーを容器内に充填させ、攪拌ローターで高速攪拌させることでビーズとスラリー中の粒子が衝突することで粒子を微細化します。ビーズミルは、使われるビーズのサイズを変えることで、粒子に付与するエネルギー量の調整が可能になります。

例えば、硬い粒子の粉砕やより小さい粒子径への粉砕には強いエネルギーが必要であり、そのためには比較的大きいビーズを高速で接触させる必要があります。一方で、小さいビーズでは衝突エネルギーは小さくなりますが、ビーズ量が多くなることで粒子との衝突回数が増えるため、処理速度を高めることが可能です。

また、大きいビーズによる強い粉砕では粒子が過剰に粉砕されることで粒子が再凝集されてしまうため、分散においてもより小さいビーズの方が適しています。このように、粉砕や分散のエネルギーは、細分化できる粒子の大きさと硬度や処理速度にも影響し、さらにビーズと粒子がぶつかり合う頻度は、処理する速度にも影響を与えています。また、ビーズの動くスペースの大きさは、も大きな影響を与える重要な要素です。

ビーズミルの選び方

原理ではビーズの大きさや速度が粉砕性能に及ぼす影響について言及しました。一方で、ビーズと粉砕した粒子を分離する必要がありますが、この方式もビーズミルの性能が重要となります。分離方式は主に三つあり、スリット方式、スクリーン方式、遠心分離方式があります。

スリット方式

スリット方式は狭い隙間にスラリーを通すことで分離する方法です。基本的に0.3mm以上のビーズを使用し、粘性のあるスラリーにおいても安定して使用できます。スクリーン方式はスリット方式と同様に隙間を用いて分離する方式であり、0.1mm以上のビーズが使用されます。

遠心分離方式

遠心分離方式は遠心力によりスラリーとビーズを分離する方式で0.1mm以下の微小ビーズにも適用可能です。上記で説明したように、ビーズの大きさは粉砕能力に大きく影響を及ぼします。スリット方式やスクリーン方式はサブミクロンレベルの粉砕などで採用されることが多く、遠心分離方式ではナノサイズの粉砕や分散に採用されることが多いです。

ヒューガルポンプ

ヒューガルポンプとは

ヒューガルポンプとは、羽根車の遠心力を活用する遠心ポンプの一種です。

このポンプは特に渦巻き型の構造を持ち、流体を羽根車の中心から外周に向けて加速させることによって、水やその他の液体にエネルギーを付与します。ヒューガルポンプは、その運転中に羽根車を高速で回転させ、この運動から生じる遠心力を利用して圧力を生み出します。

この種のポンプには、渦巻き型のほかにもタービンポンプ、ボアホールポンプ、プロペラタイプのポンプなどがあります。これらはすべて羽根車を用いて流体を動かし、異なる応用で利用されるポンプです。ヒューガルポンプを含むこれらのポンプは、特に液体を効率よく移送するために設計されており、多くの産業で広く使われています。

ヒューガルポンプの使用用途

ヒューガルポンプの主要メーカーには日立、川本ポンプ、三相電機などがあります。これらの各メーカーはそれぞれ独自の特徴を持っていますが、ヒューガルポンプの一般的な特性としては、設置スペースが限られている場所での使用に適した小型で高速回転するポンプです。このため、騒音が特に問題とならない環境での利用が推奨されます。

さらに、ヒューガルポンプは吐出量や揚程が広範囲にわたり調整可能であり、他のポンプと比較して高性能です。故障が少ないという点も、ヒューガルポンプの大きなメリットの一つです。これらの特性により、産業界で広く利用され、多様な液体の移送に活躍しています。

ヒューガルポンプの原理

ヒューガルポンプは、渦巻き状のエンボリュート曲線を基にしたインペラ(羽根)を使用しています。このポンプは、水やその他の流体が羽根車によって付与された速度から得たエネルギーを、渦巻きケース内の圧力エネルギーに変換し、吐出口から押し出す構造を持っています。

ヒューガルポンプはその胴体が渦巻型をしているため、渦巻ポンプとも呼ばれています。このポンプでは、回転する羽根車の周囲に配置されたボリュートと呼ばれるケーシング (渦巻き室) を通じて、羽根車から放出された水の速度が徐々に減速し、圧力に変換されます。

ヒューガルポンプの特長は、コンパクトで高速回転に適しており、広範囲にわたる吐出量と揚程で使用できる点です。また、吐出量が連続して均等であるため、非常に効率的です。さらに、故障が少なく、取り扱いが容易で、運転中の性能が他のポンプと比較して優れている点もメリットとされています。

ヒューガルポンプの選び方

ポンプの使用目的を明確にします。一般的な水の移送、化学薬品の取り扱い、熱水系統など、用途によって選ぶべきポンプのタイプが異なります。ヒューガルポンプは特に液体の流量と圧力を均等に維持する必要がある場面での使用に最適です。

必要な流量と揚程も考慮します。使用する液体の量と、その液体を移送する際に必要な圧力を把握し、それに応じたポンプの能力を選定することが重要となります。ヒューガルポンプは高速で運転されるため、特に大流量や高揚程を必要とする場合に有効となっています。

また、液体の性質も選定において重要な要因です。腐食性のある化学物質や高温の液体を扱う場合は、材質がそれに耐えうるポンプを選ぶ必要があります。ヒューガルポンプは多様な材質で提供されているため、液体の特性に合わせて適切なものを選べます。

設置スペースも考慮に入れるべきです。利用可能なスペースが限られている場合は、コンパクトなモデルが適しています。ヒューガルポンプはその設計がコンパクトであるため、スペースが制約される場所にも適しています。

ポンプの効率はエネルギー消費を直接的に影響します。高効率のポンプは運転コストを低減し、長期的に見て経済的です。また、ポンプの耐久性や寿命も重要な選定基準であり、長持ちするポンプは初期投資以上の価値を提供します。耐久性が高いポンプは、頻繁なメンテナンスや修理の必要が少なくなり、運用の中断が少なくて済みます。

パワーロック

パワーロックとは

パワーロック

パワーロックとは、主に軸とボスを締結させるための摩擦式締結具です。

パワーロックでは摩擦力を得るために、くさびの原理が使われており、ボルトの締め込みだけで2つの部品をノンバックラッシで締結可能なのが特徴です。バックラッシとは、歯車の噛み合いによる遊びであり、ノンバックラッシは歯車の遊びがないことをいいます。

パワーロックの使用用途

パワーロックの使用用途は、様々な産業用機械の回転軸とプーリ、歯車と言った機械要素同士の締結です。また、半導体製造デバイス、食品加工マシン等にも汎用されています。摩耗式の締結デバイスという特徴を活かして搬送や包装、印刷機械と言った分野で主に使用されています。

これら使用部位においては、プーリ及びスプロケットと言ったパワートレインの最終位置決め等、その位相レベルをボルト1本だけで調整できます。さらに、回転部品の側面から調整できるため、スペースも少なく設計することが可能です。また、クリーンルームでのニーズにも応える耐環境シリーズも揃っています。

パワーロックの原理

パワーロックは摩擦力によって2つの部品を締結しますが、摩擦力はくさびの原理を応用して得ています。パワーロックにはダブルテーパタイプと、シングルテーパタイプの2つがあります。ダブルテーパタイプは、2つのテーパによって摩擦力をえる方式です。

締結ボルトを締め付けると、テーパリングAとテーパリングBが近接して、それぞれテーパー形状で接しているアウターレースとインナーレースを押し広げます。アウターレースやインナーレースは軸部品やハウジング部品との接触部に高い面圧を生じ、摩擦力が発生します。

シングルテーパタイプは1つのテーパで摩擦力を得る方式です。締結ボルトを締め込むと、テーパ面で接するアウターリングとインナーリングが締結ボルトによって内外径に広がろうとするため、軸部品とハウジング部品との間に摩擦力が生じます。

中には、パスカルの原理を応用したハイドロ油圧方式もあります。ハイドロ式ではスリーブの内部に封入された圧力媒体に対して、ねじによって加圧、圧縮し、軸部品とハウジング部品の間に摩擦力を発生させます。

パワーロックの特徴

パワーロックのようなくさびを利用したの摩擦締結具の特徴は、安価で汎用性が良好であることです。一方で取付けや取外しの作業に手間や時間を要します。

ハイドロ油圧方式は、くさびメカ方式に比べると若干高価になりますが、メンテナンス性に大変良く、その取り付けや取り外しの容易さや迅速かつ高精度であることもハイドロ油圧方式のメリットです。くさびメカ方式は、比較的小型でも高いトルクまで対応可能です。

取り付け部分の加工公差も比較的大きく、キー溝などがある場合でも使用できますが、ねじをたくさん使うため、取り外しに多くの時間を要したり、ネジの締め忘れにも注意しなければなりません。これに対して、ハイドロ油圧方式は、取り付け取り外しが楽で、精度も高く、コスト面を度外視すればメカ式よりも優秀です。

パワーロックのその他情報

1. パワーロックの締め付けトルク

パワーロックは軸との摩擦によってトルクを伝達するので、締め付けが弱い場合、規定の伝達トルクが出ません。規定の伝達トルクを発揮するには、締め付けボルトの締め付けトルクと、軸の寸法公差を管理する必要があります。

ボルトの締め付けトルクはメーカーの技術資料に記載されていますが、軸径20 mmで11.1~18.4 Nmとなっており、型式毎に異なります。この時の伝達トルクが61.7~62.7 Nmです。軸の寸法公差は、φ38以下でh6、φ40以上でh8が推奨されており、寸法が小さすぎる場合は伝達トルクが小さくなります。逆に大きすぎると取付ができなくなるため注意が必要です。

ボルトの締め付けは対角で少しずつ締めていき、締め込みが均一になるようにしていきます。最後にトルクレンチを規定のトルクに設定し、全ボルトを締めこみます。これにより過剰締め込みを防止することが可能です。

パワーロックは1つの軸に複数取り付けることができますが、伝達トルクは単純に数量に比例しないことに注意が必要です。メーカー資料では、2個で1.55倍、3個で1.85倍とされています。

2. パワーロックの外し方

パワーロックを外す時には、加圧ボルトを緩めてくさびによる締め付けを開放します。ただし、締め付け期間が長いものは固着している場合があり、ボルトを緩めただけでは外れないことがあります。この時、加圧ボルト穴の横にある抜きタップにボルトをねじ込み、締め付け具を強制的に引きはがします。

また、取外しの際はパワーロックに荷重やトルクがかかっていないことを確認しなければなりません。取外しの最中にパワーロックが飛び出したり回転するなど、大きな事故になる場合があります。

参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/shaft-hub-locking/friction/power-lock/
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Products/ETPBushingsAndPOSILOCK/about.html
https://kikaikumitate.com/post-4321/

ハンマーキャスター

ハンマーキャスターとは

ハンマーキャスターとは、テーブルや椅子や棚や仕切り板や台などのあらゆるものを移動したり固定したりする際に便利な概ね動かしたい対象物の4本脚部分に付いている車輪部
(通称キャスターと呼ばれる)を専門で取り扱っている業界トップの製造販売会社です。ハンマーキャスター株式会社で扱うキャスターにもは色々なものがあり、その選択方法は、主に本体形状、取り付け方法、走行状態およびストッパーによる停止方法、車輪及びそのサイズなどを選んでいくのがオーソドックスな採用手順になります。

ハンマーキャスターの使用用途

ハンマーキャスターの扱っているキャスターは、机やいすや棚や仕切りや貨物等、ありとあらゆるものを対象にキャスターを取り付けて、動かせるようになる便利な補助器具ですが、その使用用途には、注意しなければならない条件がいくつかあります。それは総荷重と段差を乗り越えられるか、速度及び使用環境の4点になります。これら4点の条件を、クリアさせた後に、長期間、安心して満足したハンマーキャスター社のキャスターの使用が可能です。

ハンマーキャスターの原理

一般的に「キャスター」の構成は、取り付け部分、車輪部分、車輪と取り付け部を接続する本体部分の3要素によって構成される構造となっています。よって、キャスターを手配
する際には各々の要素において、どのようなものを選ぶべきなのかを、慎重に検討して、最適なものを選ばなければなりません。キャスターの仕様を決めるにあたっての注意点は、
4本足脚の総荷重の80%以下であること、使用環境によってはその環境に耐えられる素材の選定や潤滑油の補給を要する場合もあり、キャスター使用時間と寿命の確認が必要です。又、ストッパーも見逃しがちなので、要求仕様を満たすか否かを事前に確認しておく必要があります。キャスターの取り付けに際しては、専用の工具でしっかり固定されていること、過度の締め付けは故障の原因になるため、適正トルク電締め付けること、組立完成後の水平が保たれていること、旋回軸は垂直に取り付け、固定軸は各々平行になる様に取り付けるというような注意が必要です。

参考文献
https://www.hammer-caster.co.jp/
https://www.hammer-caster.co.jp/products/choose.html

医療廃棄物容器

医療廃棄物容器とは

医療廃棄物容器

医療廃棄物容器とは、主に病院や診療所の医療関係機関等における医療行為によって発生した廃棄物を保管・運搬した後、処理するための容器です。

医療行為後の廃棄物は、一般の産業廃棄物とは区別され、特定の容器に収容しておく必要があります。これは血液や体液等が付着している場合があり、感染の恐れがある病原体やウィルスが含まれている可能性があるためです。

このような医療関係機関等で発生した廃棄物を感染性廃棄物と呼びます。感染性廃棄物は自らが処理するか、認可を受けた専門業者によって回収及び処理される必要があります。

専門業者による回収は随時行われるわけではなく、一般的には月に一度という低い頻度のため、回収日まで感染性廃棄物を安全に保管しておかなければいけません。

医療廃棄物容器の使用用途

医療廃棄物容器は、医療関係機関等で発生する感染性廃棄物の保管・運搬を目的に使用されています。また、大学や研究所で排出される実験系廃棄物の一部も感染性廃棄物として扱われる場合があります。

特定の実験では、シリンジやニトリルグローブ (俗に言うゴム手袋) 等の医療行為を想像させるような器具を使用せざるを得ません。そのため、廃棄の際にこれらを知らない人が見ると、医療行為に使用された危険なものであると誤解される恐れがあります。

こうした誤解を防ぐために一部の大学や研究所では、医療行為を想像させる器具を廃棄する際には感性性廃棄物とみなして医療廃棄物容器に収容し、医療廃棄物として処理するように配慮しています。

医療廃棄物容器の特徴

医療廃棄物容器は、収納する廃棄物によって様々なタイプがあり、プラスチック製容器とダンボール製容器が主流です。プラスチック製容器は密閉用の蓋が付属しているため、血液等の付着の度合いが高く、匂いの蔓延や空気感染の恐れがある廃棄物の収納に対応可能です。

また、針付き注射器や点滴針等の鋭利物が容器を突き破らないように、ある程度の強度が担保されています。ダンボール製容器は血液等の付着が少なく、感染の恐れが比較的低い廃棄物を収納します。

内容物の漏出を防ぐためにビニール袋と併用して、内容器としてビニール袋、外容器としてダンボールを使用する容器です。

医療廃棄物容器の種類

医療廃棄物容器には、感染性廃棄物が収納されていることがひと目で分かるように、バイオハザードマークが記されています。バイオハザードマークは、赤色、黄色、オレンジ色の3種類に色分けされています。

  • 赤色
    血液や体液等の液体物
  • オレンジ色
    血液や体液等が付着した固形物
  • 黄色
    注射針やメス等の鋭利物、分別排出が困難な廃棄物

そのため、プラスチック製の医療廃棄物容器には赤色または黄色、ダンボール製の医療廃棄物容器にはオレンジ色のバイオハザードマークが表示されています。

医療廃棄物容器の選び方

医療廃棄物容器は、プラスチック製容器やダンボール製容器のような素材以外にも、容量によって適切な容器を選ぶことができます。鋭利物専用の容器や注射針の廃棄に特化した容器もあり、感染性廃棄物の種類に応じた容器の選択も可能です。

また、医療廃棄物容器の使用場面によって、付加機能が付属した容器を使い分けることもできます。容器を固定した場所において使用するタイプが一般的ですが、移動式キャスターを併用できるタイプ、足で踏むペダル式で直接蓋に触れずとも開閉が可能なタイプ、プラスチック製容器で内蓋と外蓋の二重密閉になっているタイプなど、種類は様々です。

感染性廃棄物の処理は、できるだけその廃棄物を移動させずに医療廃棄物容器に収納することがふさわしいため、使用場面に応じて医療廃棄物容器を使い分けるのも、感染性廃棄物の安全な処理につながります。

参考文献
https://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/hkdqj200000vgpa6.html

ネットシート

ネットシートとは

ネットシートとは、落下防止保護用のシートのことです。

メッシュタイプやネットタイプのシートが一般的で、建設現場や高層ビルや高層マンションや大型ショッピングモールなどの高層建築で、万が一の落下防止保護用として、広く利用されています。

また、安全性向上の目的だけでなく、環境保護、プライバシー確保、美観維持まで多くの役割を果たします。

ネットシートの使用用途

ネットシートは、主に安全性を高めるために使用されています。従来のネットタイプの他、見た目が良いメッシュタイプのものも一般的です。

工事中の養生ネットやゴルフ場などで使用されるグリーンネットや防球ネットと言ったものもありますが、目的に合わせてさまざまな製品が展開されています。

1. 安全性向上の目的

ネットシートの主な機能の1つは、安全性の向上です。例えば、足場の上に設置されたネットシートは、高所からの落下物を防ぐためのバリアとして機能します。

これにより、作業員の安全を確保するだけでなく、周囲の環境や通行人を保護する役割も果たすことが可能です。さらに、ネットシートは風や雨からも建設現場を保護し、気象条件に左右されることなく作業を進めることができる環境を提供します。

2. プライバシー保護の目的

ネットシートはプライバシーの確保にも最適です。建設プロジェクトはしばしば公共の視線にさらされることがあり、これはセキュリティ上の懸念を引き起こす可能性も高いです。

ネットシートは建設現場を遮蔽し、プロジェクトの進捗や詳細などを外部から見られないようにすることで、プライバシーを保護することができます。

3. 気象条件に対する保護

風や雨が建設作業に悪影響を及ぼすことを防ぎ、作業環境を安定させる助けとなります。これにより、気象条件に左右されずに作業を続けることが可能です。

他にも、防災用や防音用、土木作業安定用、雑草の防草防根用などにもネットシートは使われています。

ネットシートの原理

ネットシートは高所からの物体の落下や飛散を防いだり、自然環境から守るために、ネットシートは高い強度を持つ必要があります。そのため、特殊な織り方や補強が施され、シート全体が均一に強力なバリアを形成します。落下物の衝撃を分散し吸収することで、シートは破損を最小限に抑え、人々や物品を保護することが可能です。

メッシュの網地の材料は、より丈夫な構造であるため安全性の確保が期待できますが、素材は合成繊維でかつ難燃性のもの又は防炎加工を施したものでなければなりません。さらに、日本工業規格A8952 (建築工事用シート) に定めている防火性も必要です。これにより、炎が接触しても容易に燃え広がらず、火災の拡大や延焼を防げるようになります。

ネットシートの種類

ネットシートには、簡単に安全フックの取り外しが可能なネットハンガータイプや工事中の景観対策用の養生ネットシートがあります。その他にも、塗装工事対応メッシュおよびネットシートや防音対策用ネットシート、光を入れながら防音をさせるネットシート、防災用ネットシートなどさまざまです。

使用環境に応じて、ネットシートの種類は豊富にあります。また、使い勝手や素材や条件によっては、専用のネットシートも注文可能です。このように、工事や高所作業用と言った一般的な使用方法の他にも、快適なトイレに対応したものや最新特許製品、仮設工業会が認定したもの、地域限定品など、さらに進化し続けています。

ネットシートの選び方

ネットシートメーカーは、各メーカー毎に様々なサイズや形状で提供されており、建設プロジェクトのニーズに合わせて選ぶことが重要です。

1. 素材

素材は耐久性と強度を持つものが求められます。例えば、合成繊維や特殊なポリマーです。これらは外部の要因に対して耐性を発揮し、長期間にわたって効果を保ちます。

2. 通気性

また、通気性も考慮すべきポイントです。ネットシートが風や空気を適切に通すことで、湿気や汚れの蓄積を防ぎ、建設現場の環境を快適に保ちます。通気性のあるデザインを選ぶことで、作業効率や作業員の快適性が向上します。

ACファンモーター

ACファンモーターとは

ACファンモーターとは、交流電源で動くファンに使われているモーターのことです。

電気には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源は電流の向きが常に一方向の電源で、交流電源は電流の向きが周期的に入れ替わる電源です。

英訳すると、直流がDirect Currentで交流がAlternate Currentです。それぞれ頭文字を取ってDC電源、AC電源と呼びます。ACファンモーターはAC電源を使用し、駆動負荷がファンのモーターを指します。

ACファンモーターの使用用途

ACファンモーターは民生品から産業機器まで幅広く使用されています。最も身近な例が扇風機です。扇風機の一部はACファンモーターを搭載しています。家庭用コンセントはほとんどAC電源であり、扇風機には構造が簡単なACファンモーターが使用されます。

産業用途としては、局所排気用のファンなどがあります。地下や汚水タンクなど、酸欠が懸念される場所内での作業の際に使用されます。

ACファンモーターの原理

ACファンモーターは、ACモーターのシャフト軸にファン(羽根)を取り付けたものがACファンモーターです。ACモーターの動作は固定子と回転子によって構成されています。固定子に電流を流した際に発生する磁界の変化で回転子に渦電流が発生します。

その結果、いわゆる「フレミング右手(発電機)の法則」で誘導電流が起こります。その誘導電流と磁界による「フレミング左手(モーター)の法則」で動力が発生します。

ACファンモーターには交流電源が単相と3相の2種類があります。ACモーターは単相のみでは通常は動きません。したがって、単相ACファンモーターは位相を進角させるためのコンデンサを内蔵したものや、隈取りと呼ばれる構造のモーターが主流です。

3相電源は電源内に3種類の位相が存在するため、電源をそのまま印加すれば動く誘導モーターが主流です。ACモーターの利点は、構造が簡素かつ部品点数が少なく堅牢で長寿命な点です。欠点は、DCモーターに比べて運転速度の調整が難しい点です。

ACモーターは商用電源で動作し、堅牢で保守が簡単なため、用途に応じて今後も広く使用されると考えられます。

ACファンモーターのその他情報

1. ACファンモーターとDCファンモーターの違い

ACファンモーターとDCファンモーターの違いはファンの駆動電源の違いです。ACファンモーターは交流電源で動作し、DCファンモーターは直流電源で動作します。

ACファンモーターは交流電源の周波数によって、ファン(羽根)の回転速度が一定となりますが、DCファンモーターは回路によって回転速度を安価に可変できます。ACファンの中には、AC電源でDCモーターを動作させるAC/DCファンもあります。

2. AC軸流ファンとは

AC軸流ファンとは、ACモーターで駆動する軸流ファンです。軸流ファンとはファンを使って風を送る方向が軸方向にあるファンを指します。風を起こす羽根の回転方向と垂直方向(軸方向)に風が発生します。

用途としては、発熱する機械の冷却に使用される場合が多いです。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンのほか、風を送る方向が異なる遠心ファン、斜流ファンなどがあります。

遠心ファンとは軸流ファンと直交するように風を起こすファンで、遠心方向に風が起こります。斜流ファンは、軸流ファンと遠心ファンの間のようなファンです。軸方向から吸気し、軸の斜め方向に排気送風します。小型・軽量になることが特徴です。

3. ACファンの構造

代表的なファンの構造としては、羽根車、ケーシング、主軸、軸受からできています。

  • 羽根車
    風をつくる部分でファンにおいて心臓部となる部品です。送風の効率に関わり、用途や環境などに応じて様々なものがあります。
  • ケーシング
    ファン自体の外枠と内側の風の流れ道をつくるもので、ファンの吸入部や吐出部をつくる部分です。
  • 主軸
    ファンの中心の軸になる部分で、羽根車を支える強度をもちます。
  • 軸受
    主軸の回転運動を受ける部分で、その作用をスムーズにしつつ主軸を支える部分です。軸受があることにより、摩擦や摩耗を軽減することができます。この部分の品質が悪いと機械的な摩耗などにより故障につながるため重要な部分です。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/ac_kiso_1_1/
https://www.eminebea.com/jp/product/airmover/fanmotor/ac/
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/002/index.html
https://fan-blower-soufuuki.com/handbook1_1/handbook1_9