ピンチバルブとは
ピンチバルブとは、ゴムやシリコンなどの柔軟な材料の管路を挟んで流体を制御するバルブです。
特に固形物が含まれる流体を扱う場合に有用です。このような流体では通常の弁を使用すると詰まりやすく、清掃が困難になる場合があります。
一方、ピンチバルブは管路を完全に閉じることができるため、清掃が容易で、メンテナンスが簡単です。ピンチバルブは比較的単純な構造であり、コストが低く、耐久性が高いです。
ピンチバルブの使用用途
ピンチバルブは安価で丈夫なため、多くの産業分野で使用されています。特に、固形物が多少混ざった流体を扱う分野で重宝されています。
1. 医療分野
血液透析機では、血液の流れを制御するために使用されます。また、採血器や注射器にも有用で、正確な液体の供給を可能にします。
2. 食品加工分野
フィルターや粉砕機などの機器にも接続できるため、多様な処理に対応することができます。また、食品加工における衛生管理の観点から、清掃が簡単なピンチバルブが採用されることが多いです。
3. 排水処理プラント・下水処理場
排水プラントの石膏用圧搾機入口弁などに採用されることがあります。ピンチバルブは汚染物質に対する耐性が高く、清掃が容易なため、水処理には適したバルブです。
ピンチバルブの原理
ピンチバルブは、管路を挟むように配置された柔軟な材料を外部から加圧することで開閉します。柔軟な材料とは、ゴムやシリコンを採用する場合が一般的です。バルブ本体は通常の弁のような弁体を持たず、管路自体を閉じることで閉止します。
具体的には、バルブボディの上下に挟まれたゴムチューブを使用します。バルブを開放する場合は外部の圧力が加えずに、ゴムチューブは元の形状に戻ります。一方、バルブを締める場合はバルブボディに加圧されることにより、ゴムチューブが変形し、管路を締めることが可能です。
このような構造から、ピンチバルブは、通常の弁に比べて柔軟性が高く、清掃性に優れています。また、バルブの締め具合を微調整することもできるため、液体の流量や圧力を正確に制御可能です。ただし、高圧力や高温などの過酷な条件下ではゴムチューブが劣化するため、適切な使用条件を守る必要があります。
ピンチバルブの種類
ピンチバルブは操作方法や仕様によっていくつかの種類に分けられます。以下はピンチバルブの種類一例です。
1. ハンドル式ピンチバルブ
ハンドル式ピンチバルブは手動で操作することによって、ゴムチューブを締めるピンチバルブです。ハンドルを回すことでバルブ本体を加圧してゴムチューブが締めます。締め具合を微調整することができるため、液体の流量や圧力を正確に制御可能です。
ハンドル式ピンチバルブは操作が簡単で、シンプルな構造なため、小規模な流量制御に適しています。細かな流量制御をしない場合は、産業用遠心分離機などの大型機器にも適用可能です。
2. ソレノイド式ピンチバルブ
ソレノイド式ピンチバルブは、電磁弁を使用してゴムチューブを締めるピンチバルブです。電磁弁によって制御するため、自動化された流量制御に適しています。液体の供給や排出、反応の制御などに使用されます。
ソレノイド式ピンチバルブは自動操作可能なため、効率的な生産ラインに使用されることが多いです。精度の高い流量制御が必要な場合にも適しています。
3. パルス式ピンチバルブ
パルス式ピンチバルブは一定間隔の収縮によって流量制御を行うピンチバルブです。パルスジェネレーターなどによって制御され、一定間隔でゴムチューブを締めて正確な流量制御を実現します。一定間隔で緩められるため、他のピンチバルブに比べて耐久性に優れます。
血液透析機や自動分注装置など、定期的な液体の供給が必要な場合に使用されます。パルス式ピンチバルブは液体の流量を微調整することができるため、高い精度で流量制御可能です。
参考文献
https://www.ascojp.co.jp/products/medical/pinch.html
https://takasago-elec.co.jp/glossary/post_37/