バイオマスボイラ

バイオマスボイラとはバイオマスボイラ

バイオマスボイラとは、木屑や紙屑、廃タイヤなどの産業廃棄物を燃料とし、水蒸気および温水などを生成する熱源機器です。

バイオマスボイラの使用用途

バイオマスボイラは様々な分野で使用されています。中でも代表的な使用用途は、小規模な発電システムです。

バイオマスボイラを使用した発電システムは、バイオマスボイラを利用して蒸気やガスを生成し、この蒸気やガスで発電機内のタービンを回転させて発電しています。水蒸気を生成するバイオマスボイラでは、例えば、1時間におよそ4トンの水蒸気を生成し、発電タービンを駆動させて300キロワットの電力を作り出すことも可能です。

バイオマスボイラでは蒸気だけでなく温水を作り出すことも可能で、農業施設の暖房や温浴施設への温水の供給に利用されています。さらにバイオマスボイラは、大規模な化学工場における蒸気や温水および熱水の供給源として、製材工場における乾燥装置の熱源としてなど、様々な工場に導入されています。

バイオマスボイラの原理

バイオマスボイラの燃焼方式は大きく分けて「直接燃焼方式」「熱分解ガス化方式」「生物化学ガス方式」の3種類です。それぞれの方式のバイオマスボイラが発電に利用されています。

1. 直接燃焼方式

直接燃焼方式は、木屑や間伐材、可燃性ごみなどのバイオマス燃料を直接燃焼させて蒸気および温水を生成する方式です。この方式のバイオマスボイラを発電機に利用した場合は、バイオマスボイラに生成された蒸気がタービンを回転させて発電します。

2. 熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式は、木くずや間伐材および可燃性ゴミなどを燃料として使い、直接燃焼させるのではなく加熱することによってガスを生成します。この方式のバイオマスボイラを発電機に利用した場合は、生成したガスによってガスタービンを回して発電します。

3. 生物化学ガス方式

生物化学ガス方式では、燃料として家畜の糞尿や生ゴミまたは下水の汚泥などを使用します。これらを燃やすのではなく発酵させることが特徴です。発酵によりメタンなどの可燃性のバイオガスを発生させ、これを燃焼させることで蒸気および温水を生成します。この方式のバイオマスボイラを発電機に利用した場合は、生成したガスによってガスタービンを回して発電します。

バイオマスボイラの大きな特徴は、燃料として化石燃料ではなく直接生物圏内にあるものを使用していることです。すなわち、燃料となる木くずなどが成長のために吸収した二酸化炭素と燃焼時に発生する二酸化炭素はプラスマイナスゼロになると考えられ、「カーボンニュートラル」を達成していると言えます。

バイオマスボイラのその他の情報

1. 木質バイオマスボイラ導入の留意点

木質バイオマスボイラを導入する際の留意点は、「燃料費」「設備費用」「燃焼灰の処理」の3つです。順番に説明します。

燃料費
木質バイオマスボイラは化石燃料ボイラと比較して、燃料費が安いといわれています。燃料は、林業から発生するもの、製造業 (木材加工) から発生するもの、建設業 (主に一般家屋建設) から発生するもの、産業廃棄物処理業から調達可能です。

設備費用
木質バイオマスボイラは、化石燃料と比較すると木材燃料の熱量が小さく品質にバラツキがあるため、同じ出力を得るためには設備費用が大きくなることになります。今後普及させるためには、技術的向上とともに、行政からの補助金を拡充することが望まれます。

燃焼灰の処理
木質燃料の場合、投入する燃料に対して10%前後の燃焼灰が発生します。日本の法律では、燃焼灰は産業廃棄物の分類です。このため、燃焼灰の処理のコストが掛かる問題が生じます。しかしながら、実際の判断は各自治体に委ねられており、自治体により異なる判断がされています。

2. 木質バイオマスボイラの燃料について

木質バイオマスボイラの燃料には、薪、木質チップ、木質ペレットなどがあります。薪は、伐採した木材を扱いやすい大きさに切断したもので、燃焼効率を上げるために乾燥させたものです指します。木質チップとは、林業や製造業、建設業から発生した木材端材を破砕したもので、薪よりも輸送し易くしたものです。

木質ペレットは、木質チップやおがくず等を小さく成形し燃焼しやすく加工したものです。それぞれ加工に係わる工数により価格が変わります。

3. 木質バイオマスボイラの可能性

木質バイオマスボイラは、風力発電や太陽光発電と同様に再生可能エネルギーに該当します。今後は世界的に再生可能エネルギーの割合増加が求められますが、他の再生可能エネルギーと比較して天候に左右されない点がメリットです。燃料調達他の課題が解決できれば、非常に有望なエネルギー源となります。

参考文献
https://www.jwba.or.jp/explanation/electricity/
http://www.kankyo.icross.co.jp/biomass/
https://www.jwba.or.jp/explanation/heat/
https://www.jwba.or.jp/database/list-small-woody-biomass-boiler/
https://w-pellet.org/pellet-2/

オイルミスト除去装置

オイルミスト除去装置とは

オイルミスト除去装置

オイルミスト除去装置とは、工作機械にて金属加工する際に使用する潤滑油が高速稼働によって微粒子状になった油を吸引し、整粒したのち液化させ、排油口へ排出させることできれいな空気を外に放出する装置です。現場ではよく「ミストコレクター」とも呼ばれています。

オイルミストの飛散は目に入ったり呼吸器に入ったりすると、人体に有害であり、さらには工場内に「もや」が発生して視界不良を起こしてしまうため、安全上これを除去する必要があるのですが、オイルミストを吸引し、液化させることで工場の安全を保つ役割があります。

オイルミスト除去装置の使用用途

通常、オイルミスト除去装置はコンパクトな物だと工作機械の頭上に取り付けて使用したり、大柄なコレクターは機械に横付けして取り付けます。

機械から発生したミストを吸い上げ、フィルターで油分を除去し、工場内にきれいな空気を送り込むのが一般的な除去装置の使い方です。

フィルターは当然、油分で汚れてしまいますので、定期的なフィルター清掃が必要になります。 種類によってはフィルターレス構造を採用しているため、フィルターそのものがいらないケースもあります。

オイルミスト除去装置の原理

オイルミスト除去装置には、大きく分けて3種類あり、吸引したミストをフィルターを通して吸引し、油分を取り除く「フィルター方式」と、静電気の力で油分に電極を付着させて取り除く「電気方式」。 さらにはコレクター内にあるディスクを高速回転させ、遠心力で油分を分離させる「遠心分離式」の3種類です。

1. フィルター式オイルミスト除去装置

フィルター式オイルミスト除去装置の特徴は、構造が単純な為、安価に設置できますし、構造の簡易さ故に機械の上部に設置することができるため、スペースを取らないのが特徴です。

2. 電気方式オイルミスト除去装置

一方電気方式オイルミスト除去装置は、複雑で高価ですが、フィルターレスなのでフィルター交換が必要ありません。したがって産業廃棄物を出さず、メンテナンス性に優れています。しかし、高電圧を使用するため、取り扱いには注意が必要です。

1. 遠心分離式オイルミスト除去装置

遠心分離式オイルミスト除去装置はフィルター式のように構造が簡単で、尚且つフィルターレスなので、安価でメンテナンス性にも優れています。デメリットは1μm以下の小さな微粒子は捕獲ができないことが挙げられます。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/mist_collector/

ハイトゲージ

ハイトゲージとは

ハイトゲージ

ハイトゲージとは、機械部品や金型などの高さを測定する測定器です。

測定時は基準面を正確に取るために、平面度の担保された定盤などの上に置いて使用する必要があります。主に、目視で測定値を読み取るタイプとデジタルで測定値が表示されるタイプの2種類が存在します。

デジタルタイプの方が測定精度が高く、数値も読み取りやすいですが、一般的に目視タイプに比べて高価になりがちです。

ハイトゲージの使用用途

ハイトゲージは、主に機械部品や金型などの測定やケガキ作業を行う時に使用します。高精度での測定ができるという利点がありますが、接触式の測定なので測定時の力加減などでも、測定値が容易にズレてしまいます。正確に測定したい場合は、複数回測定した平均値を採用するなどの工夫が必要です。

また、接触式の測定器のため、ノギスなどの測定器と同様に、測定時に発生する力によって変形してしまうような素材に対しての測定には向いていません。

ハイトゲージの原理

ハイトゲージは、読み取りタイプに関わらず、主に以下のような部品で構成されています。

  • 本尺目盛の付いたスケール部
  • スケールが固定されたベース部
  • スクライバ (測定部) と一体化したバーニャ目盛部 (または測定値をデジタル表示できるようにした測定部)

基本的な使用方法も読み取りタイプに関わらず同じ手順で、測定時には基準面を正確に取るために、平面度の担保された定盤などの上に置いての使用が必要です。測定手順は以下の通りです。

  1. 基準面とする面 (定盤など) にスクライバ部 (測定部) を密着させ、0点 (基準) とする。
  2. 測定物にスクライバ部を押し当てて測定を行う。

この時、目視で測定値を読み取るタイプでは本尺で1mm単位の数値を読み、バーニャ目盛で小数点以下の数値を読みます。測定値は斜めから読み取ると誤った測定値を読んでしまう原因となるため、真正面から読み取る必要があります。

一方、デジタルタイプでは自動的にデジタル表示される測定値を読むことで測定が可能です。また、ハイトゲージには下記のような様々な原理、種類があります。

1. メカニカル原理

ノギス式ハイトゲージやデジタルカリパーハイトゲージなど、物理的な接触を使用して高さを測定します。

2. レーザー原理

レーザーハイトゲージは非接触で高さを測定し、高い精度と速度で測定することができます。

3. インダクティブ原理

高周波を使用して非接触で測定し、金属の高さ測定に適しています。

4. エンコーダ原理

デジタルエンコーダを使用して高さを測定し、高い精度を実現します。

ハイトゲージの選び方

1. 使用目的

まず、ハイトゲージをどのような物体や材料に使うか決めることが重要です。例えば、非接触で高い精度が求められる場合は、レーザーハイトゲージが適しています。使用目的とハイトゲージの原理とを比較して選ぶ必要があります。

2. 測定範囲と精度

測定したい対象物の高さがハイトゲージの範囲内に収まることを確認します。また、必要な精度に合わせて適切なモデルを選ぶ必要があるため、高精度の測定が必要な場合は高品質で精密なハイトゲージを選択します。

適切ではないモデルの場合は測定値の精度が悪かったり、想定外の結果を表示させたりしてしまいます。

3. 操作性と使いやすさ

ハイトゲージの操作性と使いやすさも、考慮する必要があります。デジタルディスプレイの場合は直感的で操作が簡単なため、効率的に作業が行うことができます。選ぶ前に、実際に使う人が使用感を試し、扱いやすいか確認する事が重要です。

4. メーカーとサポート

信頼性の高いメーカーから、ハイトゲージを選びます。また、アフターサポートや保証についても確認し、問題が発生した際にサポートを受ける体制が整っているかを確認します。

定期メンテナンスや手厚いサポート体制によっては有料の場合もあるため、イニシャルだけでなくランニングでかかるコストも確認しておくことが重要です。

参考文献
https://axel.as-1.co.jp/contents/at/s_tools_heightgauge
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/086/

ドライアイス洗浄機

ドライアイス洗浄機とは

ドライアイス洗浄機とは、ドライアイスを洗浄物の表面に吹きつけて洗浄する装置のことです。

ドライアイスをパウダー状に粉砕したものを圧縮空気で吹き付け、金属面などについた付着物に噴射します。表面温度の急激な低下で熱収縮が起こって付着物の接着力が弱まり、ドライアイスの気化によって表面と付着物の間で750倍に体積が膨張するため剥離可能です。

一般的にコンプレッサをホースで洗浄機と接続し、専用のエアーホースからパウダー状のドライアイスを噴射します。この時安全保護具として、保護メガネ・耳栓・革の手袋・長袖のシャツを着用し、酸欠や二酸化炭素中毒防止のために換気を十分に行いながら作業します。

ドライアイス洗浄機の使用用途

ドライアイス洗浄機は金型洗浄、表面処理、部品仕上げ、接着剤の除去 (塗装面の結合を弱める) 等に使用されています。

例えば自動車業界で、金型工程の洗浄、部品仕上げのバリ取り、接着剤の除去に利用可能です。食品業界では製造ラインの洗浄や接着剤の除去に用いられ、航空分野では安全管理の検査や塗装前の表面処理に使われます。タイヤ・ゴム業界では金型に固着した材料の除去に、織物業界では機械の繊維除去に使用可能です。

洗浄機で当てるのはパウダーであり、傷をつけにくく、手の届きにくい箇所も洗浄可能です。粒子のサイズや量、圧縮空気圧を調整可能であり、幅広い分野と使用者の好みに合わせて使用できます。

ドライアイス洗浄機の原理

ドライアイス洗浄機で表面処理は、溶剤による汚染物質の除去に頼りません。製造ラインで冷却や分解工程を省いて洗浄可能であり、時間が大幅に短縮されて生産性が向上します。

溶剤や分解による作業員の危険性を極力排除し、面倒な廃水処理や製造ラインに残留物を残さないクリーンな洗浄方法のため、食品業界を代表とする幅広い分野で活用されています。

ドライアイス洗浄機の種類

ドライアイス洗浄機には、さまざまな洗浄方式があります。ドライアイスペレット洗浄方式ではエアーと直径3mmのドライアイスペレットを混ぜて吹き付けます。ドライアイスパウダー洗浄方式は洗浄機内やノズル内部で、適切なサイズにドライアイスペレットを粉砕して、エアーと混ぜて吹き付ける方法です。

ドライアイスパウダー洗浄方式には、液化CO2やブロックドライアイスを使用する場合もあります。液化CO2から取り出した粉末状のドライアイスをエアーと混ぜて吹き付けるため、液化CO2タンクがあるといつでも洗浄可能です。ただしペレットやペレット粉砕式よりも威力が小さいです。ブロックドライアイスを削ってドライアイスパウダーを作り出して、エアーと混ぜて吹き付ける方法もあります。

ドライアイス洗浄機の選び方

工場洗浄で溶剤の使用は、作業者の健康管理や環境汚染の問題があります。その一方でドライアイスには毒性がなく、原料は石油精製などの副産物から作られており、環境対策の面でも、今後はますます重要な技術です。

注意点は以下の通りです。

  • 研磨には適しません。
  • 純アルミや紙、木材など軟らかい素材の洗浄には適しません。
  • 換気が必要です。
  • 静電気が発生するため、ガス・蒸気・粉塵などの爆発の危険性がある場所には適しません。
  • エポキシ樹脂系の塗料や接着剤、黒さびの洗浄は苦手とされています。

ドライアイス洗浄機の構造

ドライアイス洗浄機には2ホース式と1ホース式があり、それぞれ構造が異なります。

1. 2ホース式

2ホース式は洗浄機本体とガンを繋ぐホースが2本あり、構造がシンプルです。ただしホースの取り扱いが難しく、ドライアイスの消費量をコントロールしにくいです。

2. 1ホース式

それに対して1ホース式は、洗浄機本体とガンを繋ぐホースが1本だけあります。構造は複雑ですが、ドライアイスの消費量をコントロールでき、自由にノズルを設計できるため、威力が強いです。ノズル噴出口の形状、口径、曲がり角にも複数あり、洗浄箇所によって使い分けられます。

参考文献
https://www.coldjet.com/ja/
https://www.coldjet.com/ja/84/
http://www.greentech-japan.co.jp/whatis/feature.html

チラーユニット

チラーユニットとは

チラーユニット

チラーユニットとは、水を始めとした熱媒体を冷却する装置です。

チリングユニットとも呼ばれています。空冷タイプ、水冷タイプ、冷凍タイプがあり、必要とする熱媒体温度や用途、使用環境によって選定されます。産業機械をはじめとする各種設備から発生した余剰発熱を取り除いたり、ある温度に一定に保つ用途や、セントラル空調等、幅広い分野で広く活用されています。チラー (英: chiller) と名前はついていますが、冷やすだけではなくヒーターを内蔵した温水チラーもあり、温水循環が必要な設備でも利用可能です。

チラーユニットの使用用途

チラーユニットは下記の通り多様に用いられており、現代の産業や社会基盤には不可欠な設備です。

  • 一般産業設備における余剰熱処理
  • 樹脂成型金型の温調
  • 金属加工機における切削時の過熱抑制
  • メッキ設備における反応熱による加熱抑止
  • 回転部の軸受けの加熱抑止
  • ビルや各種施設のセントラル空調
  • 水耕栽培の供給水の温度管理
  • 養殖場の水温管理
  • 温水プールやビニールハウス内の空調および水温管理

チラーユニットの原理

チラーユニットは、温度調整の必要な目的物に対して熱媒体を用いて冷却 (加温) します。同様の役割を担うものとして熱交換器という設備があります。

チラーユニットと熱交換器の最大の違いは設計です。チラーユニットが熱媒体の循環経路に熱媒体用の冷却設備を備えているのに対し、熱交換器は熱媒体冷却用設備がなく流体と熱媒体の間で直接熱交換がなされます。チラーユニットの冷凍機の冷却方式には、蒸気圧縮方式と熱吸収方式があります。

費用の面では一般的に冷却設備を必要としない熱交換器の方が安い傾向です。コスト制限がある場合でも、設備の選定に際しては熱交換能力や熱交換プロセスの安定性、ランニングコストやメンテナンスコストなど、運用開始後に不具合が出ないように細心の注意を払いながら選定する必要があります。

チラーユニットには上述した大別して3種類のタイプがあります。 このタイプ別以外に循環させる熱媒体量、熱交換能力等によって幅広い製品が存在します。 タイプごとの原理と特徴は下記の通りです。

1. 空冷チラーユニット

熱媒体を冷却する為の熱交換器を備え、内蔵されたファンによって熱交換機を空冷する事で熱媒体の顕熱を奪い冷却します。 奪われた顕熱は大気中へ放出されます。熱媒体には水が多用され、3~35℃程度の冷水を循環させるのが一般的です。

2. 水冷チラーユニット

熱媒体を冷却する為の熱交換機を空冷と同じように備えますが、熱交換器の冷却には水を使用します。空冷式と異なりファンを内蔵しないので低騒音、クリーン、熱の排出がない為、屋内で利用することも可能です。冷却水循環の為の配管や弁体が必要になる為、内部構造は複雑になります。

3.冷凍チラーユニット

熱媒体を冷却する為に冷凍サイクル機構を備えた冷凍機を内蔵し、熱交換器で冷却するタイプとなります。冷凍機を備える為、熱媒体の温度は‐70℃以下まで冷却する事も可能です。熱媒体は凍結しない様にエチレングリコールやフッ素系のフロリナート等を用います。 熱負荷が高い場合や、冷却対象を氷点下以下にしたい場合に用いられます。 冷凍機を備え、冷媒循環の為の配管などが必要となる事から最も複雑な構造となります。

チラーユニットのその他情報

チラーユニットの熱媒体冷却方式

チラーユニットの熱媒体冷却方式には以下の手法に分けることができます。

  • 蒸気圧縮方式
    蒸気圧縮式冷凍機は、加熱された気化した冷媒を冷却された液体に変換して冷却するコンプレッサーユニットで構成されています。蒸気圧縮システムは通常、空冷式、水冷式、または蒸発式のコンデンサーと一緒に設置されます。

  • 熱吸収方式
    吸収式冷凍機は、単相冷却サイクルの加熱プロセスで冷媒を誘導することで、より安価で低エネルギーな冷却ユニットを使用します。これらのユニットは、主に吸収剤に臭化リチウムを使用した水性冷媒で構成されています。

タイヤキャスター

タイヤキャスターとはタイヤキャスター

タイヤキャスターとは、主に移動台車、棚、オフィスチェアなどに取り付けて用いられる車輪の1種です。

これらの機器に取り付けることで、移動や向きの変更を容易にします。タイヤキャスターは取り付け方法、タイヤの素材、車輪の大きさなど、多種多様な設計が存在し、それぞれの使用状況や運搬物の重さ、地形などに合わせて適切に選択することで、最適な性能を発揮します。

また、一部のタイヤキャスターにはストッパー機能が付属しており、台車の位置を固定したい場合や、安全確保が必要な場合に有用です。

タイヤキャスターの使用用途

タイヤキャスターは、タイヤの素材の違いにより、特定の地形に適したものや特定の荷重に耐えうるものなど、さまざまな用途に使用することができます。

1. 弾性の高いタイヤキャスター

多少の段差などがあってもスムーズに移動できることから、主にデコボコな路面での使用が必要となる場面に使われます。代表的な素材は、「ゴム」「ウレタン」「エラストマ」などです。

中には油や薬品に弱く長期使用において劣化してしまうものも存在するため、工場で使用する台車などの場合は、素材を選定する際に注意が必要です。また、自動車用のタイヤと同様に中に空気を入れて使用するタイヤを使ったタイヤキャスターも存在し、屋外で使用する場合などに多く採用されています。

2. 剛性の高いタイヤキャスター

弾性のある素材に比べて衝撃を吸収する性能が低いため、デコボコな路面では振動しやすいなどの欠点はあります。しかし、重たいものでもスムーズに移動できるという利点があり、倉庫での重量物の運搬などに使用されています。

代表的な素材は、「ナイロン」「イモノ」「フェノール」などです。弾性素材に比べ、油や薬品への耐性も高いものが多いため、使用場所の都合から採用されることもあります。

タイヤキャスターの原理

タイヤキャスターは、主に「取付部」「本体部」「車輪部」の3つで構成されています。

1. 取付部

取付部は装置へのキャスター取り付けを担っています。取り付け方により、平付けタイプ (プレートをねじで固定する) 、ねじ込みタイプ (キャスターそのものをねじ込む) 、差し込みタイプ (角パイプや丸パイプに差し込む) などが存在します。

2. 本体部

本体部は取付部と車輪部を接続し、多くの場合は板金を曲げて作られています。その素材や形状によって耐荷重が変わるため、用途に応じた選定が必要です。

3. 車輪部

車輪部はタイヤキャスターの中心となる部分で、移動の主要な機能を担っています。車輪の大きさと素材によって、転がり抵抗や地形適応性、耐荷重などが変わります。

通常、車輪径が大きいほど転がり抵抗が少なく、デコボコした路面でもスムーズに移動が可能です。ただし、装置全体の大きさに制約がある場合も多く、用途とサイズを考慮して最適なタイヤキャスター選びが必要です。

タイヤキャスターの種類

タイヤキャスターは、使用目的、設置環境、耐荷重などにより、さまざまな種類が存在します。以下に主要なタイプをいくつか紹介します。

1. 旋回式キャスター

旋回式キャスターは、360度自由に回転するタイプのキャスターで、移動方向を自在に変えられます。様々な状況下での使用に対応可能で、取り扱いが容易です。

2. 固定式キャスター

固定式キャスターは、前進と後退のみを行うタイプのキャスターです。旋回はできませんが、直線的な移動が必要な場合には固定式キャスターが適しています。

3. ストッパー付きキャスター

ストッパー付きキャスターは、キャスターの動きを固定する機能が付いています。移動させたいときだけ移動させ、ストッパーで固定させることも可能です。斜面や風などで台車が動いてしまうのを防ぐために役立ちます。

4. 二輪キャスター

1つの軸に2つの輪が設置されているキャスターで、荷重分散や安定性を高めることが可能です。

5. エアーキャスター

エアーを使用したキャスターで、空気圧によって高さを調節したり、非常に重い荷物を移動したりすることができます。

 

これらのキャスターは一部であり、サイズ、材質、取り付け方法などにより、さらに多くのバリエーションが存在します。ニーズに最も合ったキャスターを選ぶことが大切です。

参考文献
https://www.hammer-caster.co.jp/products/choose.html
https://www.chubu-sangyo.co.jp/caster/caster.htm

セラミック接着剤

セラミック接着剤とは

セラミック接着剤

セラミック接着剤 (英: Ceramic adhesive) とは、有機材料を一切含まず、ファインセラミックスを基礎とした接着剤です。

セラミック同士やセラミックと金属の接着、さらにはコーティングやネジの緩み止めなどの用途で幅広く利用されています。また、独特な性質である耐熱性を保ちつつ、高温環境でも接着力を維持することが可能です。

さらに、半導体部品の接着など、新たな用途も増えつつあります。このため、将来的な用途拡大が期待される画期的な接着剤と言えます。

セラミック接着剤の使用用途

セラミック接着剤は特殊な特性により、多様なアプリケーションで利用されています。主に、セラミック同士やセラミックと他の金属との間の接着、またはコーティングとして使用が可能です。

しかし、これらの用途はその表面に過ぎず、実際にはそれぞれの分野で異なる要件に対応するための特化した利用方法が存在します。1つの例として、宇宙船のアルミニウムパネルをX線から保護するコーティングとしての用途が挙げられます。

宇宙空間は地球の大気による保護が無いため、船体は常に強烈なX線や宇宙線に晒されますが、セラミック接着剤は、このような厳しい環境下でも効果的な保護層を提供することが可能です。

セラミック接着剤の原理

セラミック接着剤は一液型と紛液混合型の2つの主要な形式があり、それぞれの使用環境や条件に適した形式が選ばれます。

1. 一液型

これは液状の接着剤で、塗布が直接可能です。セラミック同士やセラミックと他の金属を結合する場合に一般的に利用されます。

2. 紛液混合型

この形式では、パウダーと硬化剤 (あるいは水) を混合して使用します。宇宙船のアルミニウムパネルをX線から保護するような特殊なコーティング用途においては、この型が主に用いることが多いです。

セラミック接着剤の特徴的な点は、非常に高い温度でも使用可能であることです。素材により、その耐熱温度は理論上2,800℃までとなります。

また、使用目的は主に汎用接着、特殊材料の接着、補修、シール用途の4つに区分されます。これらの各目的に対して、適切なセラミック接着剤の選択は重要な要素です。

セラミック接着剤の種類

セラミック接着剤は主に一液型と紛液混合型の2種類があります。これらは接着剤の形状、特性、そして利用環境により異なります。

1. 一液型

一液型の接着剤は、その名の通り1つの成分から成る接着剤です。塗布が直接可能であり、セラミック同士やセラミックと他の金属を結合するのに一般的に利用されます。

2. 紛液混合型

紛液混合型の接着剤は、パウダーと硬化剤 (あるいは水) を混合して作られます。このタイプの接着剤は、特に高熱環境や厳しい環境下での使用に適しており、例えば宇宙船のアルミニウムパネルをX線から保護するような特殊な用途に用いられます。

セラミック接着剤の選び方

セラミック接着剤を選ぶ際には、以下の点を考慮すると良いです。

1. 用途

何に使うのかを明確にすることが最も重要です。接着剤の種類はその用途により異なります。例えば、一液型の接着剤はセラミック同士の結合やセラミックと他の金属との結合に適しており、紛液混合型の接着剤は特殊なコーティング用途に適しています。

2. 環境条件

接着剤が使用される環境を考慮する必要があります。例えば、高熱環境や化学薬品にさらされる環境などでは、それに耐えられる接着剤を選ぶ必要があります。

3. 耐熱性

セラミック接着剤は非常に高い温度の環境下でも使用できますが、製品によって耐熱性は異なります。そのため、使用予定の温度範囲に対応する製品を選ぶ必要があります。

参考文献
http://www.twc-net.co.jp/products/pdf/ResbondSeries.pdf
https://www.audec.co.jp/products/bond/

セラミックベアリング

セラミックベアリングとは

セラミックベアリング

セラミックベアリングとは、素材としてセラミックを採用したベアリングです。セラミックを用いているため、金属ベアリングと比較し軽量です。

また、腐食や摩耗に対しても金属ベアリングより耐性があります。そのため、セラミックベアリングは腐食環境や電磁気雰囲気下で使用します。

セラミックベアリングの使用用途

セラミックベアリングは民生品にも広く使用されます。代表例は冷蔵庫や洗濯機、掃除機などです。食品や人体に近接する機器には、衛生面を考慮してセラミックベアリングが使用される場合があります。

産業用途ではクリーンルームや真空環境、高温環境、水中などで使用されます。高温耐性や摩耗耐性が高い特徴から上記環境下の機器に適応されます。産業用途での使用例を下記します。

  • 食品や薬品の製造装置
  • 発電機やタービンの軸受部
  • 液体燃料輸送ポンプ
  • 半導体製造装置や宇宙産業装置
  • 検査機器や工作機器

セラミックベアリングの原理

セラミックとは、金属元素と非金属元素を組み合わせて合成される無機化合物です。金属と非金属を組み合わせているため、軽量で腐食耐性と高温耐性を有します。硬度も高く、摩耗耐性もあります。

セラミックベアリングは素材にセラミックを使用するため、過酷な環境でも利用できます。組み合わせる元素の種類や配合比によって特性が変化するため、使用目的に合わせてさまざまなセラミックベアリングが販売されています。

その他の特殊素材ベアリングには、樹脂ベアリングステンレスベアリングウレタンベアリングなどがあります。それぞれ用途に合わせて使用されます。

セラミックベアリングのその他情報

1. セラミックベアリングの寿命

セラミックベアリングの材質は一般的に窒化ケイ素が使用されており、金属ベアリングの材質である高炭素クロム軸受鋼と比較して剛性が高い特徴があります。そのために接触応力が高く、材質による剛性の差が単純に寿命の差にはなりません。

セラミックベアリングの定格荷重は金属ベアリングと同等と定められていますが、寿命試験では金属ベアリングと同等以上の寿命が確認されています。そのため、計算値よりも寿命が長くなる傾向があります。寿命に到達したベアリングには金属ベアリングと同様に疲労によるフレーキングが発生します。

また、窒化ケイ素は高炭素クロム軸受鋼の半分程度の質量です。そのため、回転時の遠心力が小さく発熱も少量であり、熱変形がほとんどありません。高温下で高速回転させる場合は金属ベアリングよりも優れた特性を示します。

2. セラミックベアリングの精度

セラミックベアリングの精度もベアリングの精度等級が使用されます。技術的にはISOのGrade3以上の製品も製作可能ですが、高価になります。ISO-Grade3は直径12.7 mm以下で、直径のバラツキ、真球度が0.08 μm以下の超高精度です。そのため、回転速度100,000 RPM以上の超高速高精度スピンドルなどの特殊用途に使用されます。

また、セラミックベアリングは金属ベアリングと比較して熱膨張や熱変形が少ないため、高温下でも精度を維持できます。そのため、高温環境での使用に適しています。

ベアリングの回転精度はベアリング単体の精度も必要ですが、ハウジングや回転軸の影響がかなり大きくなります。高精度のベアリングを使用するだけでなく、ベアリングの周辺部品も高精度に加工する必要があります。組立によっても精度が変わるため、高精度回転機器には熟練の組立技術が必要です。

参考文献
https://www.ngk.co.jp/academy/course01/00.html
https://koyo.jtekt.co.jp/products/exsev/lineup/ncfa/
http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2008_08_01.pdf
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/jtekt-exsev/book/jtekt-exsev-P0011.pdf
https://tsubaki-nakashima.com/jp/products/ceramic_balls/silicon_nitride/

セラミックコーティング剤

セラミックコーティング剤とはセラミックコーティング剤

セラミックコーティング剤(英語:Ceramic coating agent)とは、有機材料を全く含まずにファインセラミックスを原材料としたコーティング剤です。

セラミックスとは、無機物を焼き固めたものを総称する言葉です (狭義には陶磁器を指すこともあります)  。セラミックコーティング剤の一般的な成分は、炭化物、窒化物、ホウ化物などの、無機化合物の成形体・焼結体です。一般的には、クルマやトラックの車体や灯火機材保護のために表面処理として施工されます。また耐熱温度が高いため調理機器、その他高温設備用治具などの表面処理剤として使用されることもあります。昨今の環境ニーズの高まりに伴い、環境にやさしいコーティング剤として注目されている物質です。

セラミックコーティング剤の使用用途

1. 車両の表面処理

セラミックコーティング剤の主な用途は、乗用車やトラックの車体や灯火機材を保護する目的での表面処理剤です。車両表面にセラミックコーティング施工を行うことにより、下記のような効果が得られます。

  • 塗装表面の強化、改善
  • 薬品耐性
  • 防汚性・撥水性
  • 軽微な自己修復性
  • 多重層化による光沢の向上
  • 紫外線ダメージの軽減

2. 調理機器、その他工業用設備など

セラミックコーティング剤は、調理機器やその他高温設備用治具などに硬度を持たせる目的で表面処理剤として使用されることもあります。下記は、調理用具・調理器具における具体的な使用例です。

  • 家庭用オーブンの焼き台プレートの表面処理
  • 菓子型で焼いた際にくっつかないようにするための表面処理
  • たこ焼き型の熱伝導性向上による焼き時間短縮のための表面処理
  • フライパン表面の表面処理

それ以外では鉄鋼、ステンレスの耐熱保護、絶縁、耐腐食などの用途もあります。

セラミックコーティング剤の原理

1. 成分

セラミックコーティング剤は、セラミックスを原材料としますが、前述の通りセラミックスとは無機物の焼結体一般を指すため、様々な成分があります。用いられる具体的なセラミックスは、チタン 、シロキサン、炭化ケイ素、シラザン、シラン、シリコン、シリカ (二酸化ケイ素) 、グラフェンなどです。チタン、クロム、アルミ、ケイ素などの窒化物や炭化物が用いられることもあります。

チタン系のセラミック材料は耐摩耗性の向上に優れており、クロム系のセラミック材料は耐腐食性や摺動性の向上に優れている傾向があります。また、アルミやケイ素の化合物は耐熱性に優れた素材です。近年では、比較的新しい素材としてアモルファスカーボンもセラミックコーティングに用いられています。

2. 物性

セラミックコーティングはガラスコーティングよりも硬度・耐久性・耐薬品性などに優れていることが特徴です。これは、セラミックコーティングが分子レベルでの結合力が強いコーティング剤であることによります。

セラミックコーティング剤は重ね塗り (積層)  を行うことが可能です。1層のコーティングで1~3H程度硬度が増加すると言われているため、5層程度塗り重ねることで最高硬度9Hを達成することができます。被膜の厚みは最大22μです(ガラスコーティングは0.3〜1μ)。尚、基本的に薬品や溶剤によって被膜が剥がれることはなく、剥がす際には研磨が必要です。

3. 耐熱

耐熱温度が高いためフッ素樹脂コーティングでは耐えられない環境下においても使用が可能です。中には1,100℃もの高温に耐えるものもあります。耐熱性特性の強みを活かす形で調理機器やその他高温設備用治具などの表面処理剤として活用されるケースも多いです。また、食品衛生法に適合しています。

セラミックコーティング剤の種類

セラミックコーティング剤は複数のメーカーより販売されています。液体状でガロンやリットルなどの単位で販売されているものや、簡易的コーティング用にスプレー剤などとして販売されているものなどがあります。主には、車両用など、用途別の分類です。

前述の通り成分は様々であり、成分によって耐熱性や防汚性、撥水性など性能が異なるため、用途に合わせて適切に選択することが必要です。例えば、親水性コーティング剤は、高い硬度と耐熱性と共に防汚性に優れているため、キッチン周りのステンレスなどへのコーティングに使用されます。

参考文献
https://car-beauty-navi.com/coating-type
https://www.nipponcoating.co.jp/?utm_source=Google&utm_medium=cpc&utm_campaign=pr

スラッジ回収装置

スラッジ回収装置とは

スラッジ回収装置とは、金属切削加工や内燃機関の動作の際に出てきてしまう金属や樹脂などの屑や塵、粉などの総称である「スラッジ」を回収するための装置です。

スラッジは通常の清掃などで除去されるため、発生すること自体に問題はありません。しかし、この清掃を怠っているとスラッジがどんどん蓄積していきます。

蓄積したスラッジは、製品自体に悪い影響を及ぼしたり、切削機械の場合の加工精度を落としたりする可能性があります。このようなスラッジによる不具合を出さないために使用されるのが、スラッジ回収装置です。

スラッジ回収装置の使用用途

スラッジ回収装置は、スラッジの発生しやすい現場、例えば切削加工を中心とした金属加工工場や、コンクリート、樹脂、油などを扱う各種プラントの排水系現場などで、清掃を目的として使用されています。ただし、スラッジは特定の産業のみならず、さまざまな業種で発生するものです。

前述の金属加工の現場の他に、車両のエンジン内部、排水用のタンクの液中など、発生する場所とスラッジの構成物質はさまざまです。排水用タンクの液中に発生したスラッジをそのまま放置していると、発生したスラッジがタンク内を圧迫して水量が減ってしまう原因になったり、また中身を腐らせる原因にもなったりします。

そして、タンク自体の腐敗してしまうと、修理に何百万円もの費用がかかります。このような事態を避けるためにも、スラッジ回収装置を使用して定期的な清掃を行うことが大切です。

スラッジ回収装置の原理

スラッジ回収装置の原理は、掃除機と同じと考えて問題ありません。ただし、スラッジの構成物質に合わせてさまざまな製品が販売されています。

例えば、金属屑が中心の場合は、マグネット (磁石) を活用し、スラッジを引き寄せて除去します。油成分が中心の場合は、液相分離を併用して液中に浮遊しているスラッジや、タンク底に沈殿しているスラッジを吸い込んで清掃します。スラッジ回収装置は、各種各様の回収手法があるのが特徴です。

ろ過装置が付いていることがほとんどで、液をろ過しながら清掃を行います。また、スラッジ回収装置のフィルターの粗さ等も変更することが可能で、細かなスラッジも回収できます。しかし、車のエンジンなど自分で清掃するのが難しいものは、業者に依頼してメンテナンスを行わないと、スラッジが蓄積してエンジンのオーバーホールの修理費用が多額になってしまう可能性もあります。

スラッジ回収装置のその他情報

1. マイクロバブル方式での回収事例

比較的大きなスラッジは使用したクーラント液や洗浄液の上面に浮遊しますが、細かい成分は一般に排水タンク内の使用済クーラント液・洗浄液中の内部に残存します。そのため、全てを回収できず、蓄積されていくのが課題となっていました。

この対策として、クーラント液・洗浄液そのものを浄化する「マイクロバブル方式」を用いる回収装置が開発されています。電荷を帯びたマイクロバブルを液内部に発生させて液中に細かな内部のスラッジを吸着させ、クーラント液・洗浄液と液相分離させることにより、効率的にスラッジ回収を図る装置です。

2. マグネット方式での利便性改善

金属屑系のスラッジは強磁石を活用したマグネット方式での回収も効果がありますが、そのあとの清掃処理に一工夫入れている装置も開発されています。

独自の手動ないしは、自動処理により吸い付けた金属屑系のスラッジを強磁石フィルターから簡便除去でき、再び再利用可能なタイプの回収装置であり、その利便性から注目されています。

参考文献
https://www.sanki-technos.co.jp/sludgevacuumer
http://www.eishin.info/products/sludge.html
http://www.nikken-net.co.jp/sludge_skimmer/
https://www.goo-net.com/pit/magazine/30408.html