セラミックベアリング

セラミックベアリングとは

セラミックベアリング

セラミックベアリングとは、素材としてセラミックを採用したベアリングです。セラミックを用いているため、金属ベアリングと比較し軽量です。

また、腐食や摩耗に対しても金属ベアリングより耐性があります。そのため、セラミックベアリングは腐食環境や電磁気雰囲気下で使用します。

セラミックベアリングの使用用途

セラミックベアリングは民生品にも広く使用されます。代表例は冷蔵庫や洗濯機、掃除機などです。食品や人体に近接する機器には、衛生面を考慮してセラミックベアリングが使用される場合があります。

産業用途ではクリーンルームや真空環境、高温環境、水中などで使用されます。高温耐性や摩耗耐性が高い特徴から上記環境下の機器に適応されます。産業用途での使用例を下記します。

  • 食品や薬品の製造装置
  • 発電機やタービンの軸受部
  • 液体燃料輸送ポンプ
  • 半導体製造装置や宇宙産業装置
  • 検査機器や工作機器

セラミックベアリングの原理

セラミックとは、金属元素と非金属元素を組み合わせて合成される無機化合物です。金属と非金属を組み合わせているため、軽量で腐食耐性と高温耐性を有します。硬度も高く、摩耗耐性もあります。

セラミックベアリングは素材にセラミックを使用するため、過酷な環境でも利用できます。組み合わせる元素の種類や配合比によって特性が変化するため、使用目的に合わせてさまざまなセラミックベアリングが販売されています。

その他の特殊素材ベアリングには、樹脂ベアリングステンレスベアリングウレタンベアリングなどがあります。それぞれ用途に合わせて使用されます。

セラミックベアリングのその他情報

1. セラミックベアリングの寿命

セラミックベアリングの材質は一般的に窒化ケイ素が使用されており、金属ベアリングの材質である高炭素クロム軸受鋼と比較して剛性が高い特徴があります。そのために接触応力が高く、材質による剛性の差が単純に寿命の差にはなりません。

セラミックベアリングの定格荷重は金属ベアリングと同等と定められていますが、寿命試験では金属ベアリングと同等以上の寿命が確認されています。そのため、計算値よりも寿命が長くなる傾向があります。寿命に到達したベアリングには金属ベアリングと同様に疲労によるフレーキングが発生します。

また、窒化ケイ素は高炭素クロム軸受鋼の半分程度の質量です。そのため、回転時の遠心力が小さく発熱も少量であり、熱変形がほとんどありません。高温下で高速回転させる場合は金属ベアリングよりも優れた特性を示します。

2. セラミックベアリングの精度

セラミックベアリングの精度もベアリングの精度等級が使用されます。技術的にはISOのGrade3以上の製品も製作可能ですが、高価になります。ISO-Grade3は直径12.7 mm以下で、直径のバラツキ、真球度が0.08 μm以下の超高精度です。そのため、回転速度100,000 RPM以上の超高速高精度スピンドルなどの特殊用途に使用されます。

また、セラミックベアリングは金属ベアリングと比較して熱膨張や熱変形が少ないため、高温下でも精度を維持できます。そのため、高温環境での使用に適しています。

ベアリングの回転精度はベアリング単体の精度も必要ですが、ハウジングや回転軸の影響がかなり大きくなります。高精度のベアリングを使用するだけでなく、ベアリングの周辺部品も高精度に加工する必要があります。組立によっても精度が変わるため、高精度回転機器には熟練の組立技術が必要です。

参考文献
https://www.ngk.co.jp/academy/course01/00.html
https://koyo.jtekt.co.jp/products/exsev/lineup/ncfa/
http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2008_08_01.pdf
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/jtekt-exsev/book/jtekt-exsev-P0011.pdf
https://tsubaki-nakashima.com/jp/products/ceramic_balls/silicon_nitride/

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