プラスチックダンボール

プラスチックダンボールとは

プラスチックダンボールとは、ポリプロピレンやポリカーボネートなどのプラスチック素材を段ボールと同様の中空構造のシートに成型したものです。

省略してプラダンと呼ばれることもあります。紙製の段ボールに比べて強度があり、耐久性や耐水性も格段に優れた特性を持ちます。梱包資材、物流資材をはじめとして、様々な用途で使用されている素材です。

※記事内において、広く使用されている製品名については「プラダン」と記載します。

プラスチックダンボールの使用用途

プラスチックダンボールは、梱包資材や物流資材を中心として様々な用途で使用されています。

1. 梱包資材

プラスチックダンボールを箱状に加工したものは、梱包材として使用され「プラダンケース」などと呼ばれています。繰り返しの使用や重量物の収納に耐えられるため、繰り返し使用する通い箱や、折りたたみのコンテナ、各種保管箱、引越しの際のハンガーボックスなどとしても利用可能です。

2. 物流資材

シート状のプラスチックダンボールは物流現場において建物や荷物を保護する緩衝材として使用されます。主な用途は壁・柱・窓・床などに傷が付くのを防ぐことを目的とした、養生シートやパレットの敷板などです。引越しや荷物搬入などにおいて使用されます。

3. 工業製品

プラスチックダンボールは軽さと強度のバランスが優れた素材であるため、軽量化を図る目的で、工業製品のパーツとして使用されることがあります。主な用途は、自動車の内装部品や機械の絶縁材、ベッドの中芯などです。

4. 看板

プラスチックダンボールは穴あけ加工や印刷ができ、水濡れにも強い性質があるため、看板としても使用されます。選挙ポスターの台紙としても使用される素材です。

5. DIY

プラスチックダンボールは、工作やDIY用途で利用される場合もあります。カッターで切断でき、素手で折り曲げて加工できる素材でありながら、紙製のダンボールよりも耐久性が高く、通常のプラスチックの板よりも軽量で加工しやすいためです。ペットサークル、引き出しの中仕切り、網棚の下敷きなどの他、半透明のプラダンを用いて窓用の断熱シートを作ることもできます。

プラスチックダンボールの原理

1. 概要

プラスチックダンボールは、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンやポリカーボネートなどを材料として製造されます。

プラスチックダンボールは、通常のダンボールと同様に、2枚の平面板の間に中芯を挟んだ中空構造となっています。紙段ボールの中芯の断面が波型なのに対して、プラダンの中芯は真っすぐな柱が等間隔に並び、ハーモニカの吹き口のような断面です。この中芯を「リブ」、表層を「ライナー」と呼びます。

一般的なダンボールの場合は接着剤を用いて成形される一方、プラスチックダンボールは原料を型に流して押し出す「一体押出成形」で製造されます。すなわち、プラスチックダンボールには接着部分がなく、剥がれる心配がありません。

2. 特性

プラスチックダンボール (プラダン) には、下記のような特性があります。

  • 軽い
  • 加工しやすい
  • 強度が高い
  • 緩衝性がある
  • 耐久性・耐水性・耐薬品性に優れる
  • 繰り返し使用することができるため費用対効果が高い
  • 環境に優しい

プラスチックダンボールは中空構造を持つことから、プラスチックの一枚板よりも軽く、カッターなどで切断加工することも容易であるという特性があります。プラスチック素材であることから、熱を加えて溶着を行う成型も容易です。また、中空構造ゆえに衝撃を吸収する緩衝性があります。

紙製ダンボールに加えて水に強いのみでなく、酸やアルカリ、溶剤への耐性もあります。環境面では、長期間リユースできるため、ごみの削減に貢献できます。また、原料として使用されるポリプロピレンは、リサイクルしやすい素材です。軽量素材であることから、輸送時のCO2削減にも貢献できます。

プラスチックダンボールの種類

1. 素材種類

プラスチックダンボールには、1.5mmから7.0mmまで様々な厚みがあり、白・黒・半透明やその他にも青・水色・赤・緑をはじめとする様々なカラーバリエーションがあります。

その他、機能性プラスチックダンボール素材の種類には下記のようなものがあります。

  • 導電プラダン: 製造時に導電性物質であるカーボンブラックを含有させたプラスチックダンボールです。静電気対策に有用であり、特に埃の吸着や物品の静電気破壊を防ぐのに有効です。
  • 表面導電プラダン: 簡易的な静電気対策に使用されるプラスチックダンボールで、表層部分のみにカーボンブラックが含まれています。
  • バイオエコプラダン: 環境に配慮し、原料の一部に植物由来のプラスチック (バイオマスプラスチック) が添加されたプラスチックダンボールです。
  • エコリアルボード: リサイクル原料100% (顔料・添加剤を除く) で製造されたプラスチックダンボールです。

2. 製品形状

プラスチックダンボール製品には、大きな板状のプラダンシートや、プラダンケースとして箱状に成形されたもの、コンテナ型のものなどがあります。用途に合わせたものを選択することができます。

耐アルコールペン

監修:大道産業株式会社

耐アルコールペンとは

耐アルコールペンとは、耐水性・耐溶剤性を持ち、書いた文字がアルコールなどでも消えないペンです。

理化学実験などでは、ガラス器具やマイクロチューブなどの実験器具・研究備品に実験情報を書くことが多くあります。一方で、実験室などではアルコールなどの溶剤を用いることが多いため一般的な油性インクでは消えやすい環境です。そのため、研究開発シーンをターゲットとした耐アルコールペンが製品化されています。インクはにじみにくく、速乾性に優れた特性を持つことが特徴です。

耐アルコールペンの使用用途

1. 概要

耐アルコールペンは主に研究・開発・試験などにおいて、実験器具に実験情報などを筆記するために用いられる筆記用具です。

例えば、バイアルやマイクロチューブなどにサンプルを保管する際に内容物の番号や情報などを筆記したり、フラスコや試験管などに重量などの一時的なメモを筆記する用途などがあります。化学、生物学などに関係する研究分野で特に一般的に需要があります。

2. 筆記する対象物など

筆記される器具や備品には主に次のようなものがあります。

  • ラベル
  • ビーカー
  • 試験管
  • 遠沈管
  • フラスコ
  • バイアル
  • スライドガラス
  • カバーガラス
  • シャーレ
  • マイクロチューブ

また、耐アルコールペンは、紙・木材・段ボール・布・金属・磁器などの一般的な素材にも筆記することが可能です。耐水性に優れており水と混ざりにくい素材のインクであるため、凍結面や結露面にも筆記することができます。研究開発においては、冷凍庫から取り出したサンプルチューブや水で濡れた器具などに筆記する場合もあるため、このような特性は役に立ちます。

耐アルコールペンの原理

1. 耐水性・耐溶剤性

耐アルコールペンは、油性顔料インクなどが使用され、下記のような物質に対して消えにくい性質を持ちます。

  • アルコール (エタノール、イソプロパノールなど)
  • クロロホルム
  • キシレン
  • 耐酸性
  • 耐アルカリ性

実験室で用いられる様々な溶剤に対して耐性を発揮する筆記用具です。

2. 筆記特性

耐アルコールペンは、ガラス、各種樹脂 (ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABSなど) 金属などに特に優れた筆記特性があります。

滑面およびフロスト面への筆記が可能です。各素材について充分な耐性、強度を得るための目安となる乾燥時間は概ね下記のとおりです。

  • ガラス滑面: 3〜5分
  • 樹脂滑面: 3分
  • ガラス・樹脂のフロスト面: 30秒
  • フィルム: 30秒

また、製品によっては紙・布・ビニール・木材・段ボール・磁気へも筆記を行うことができます。オートクレーブの使用は、材質や表面状態によって、筆記した文字が消えることがあります。

3. その他の特性

耐アルコールペンは、耐溶剤性以外にも次のような特性があります。

  • 耐熱性
  • 耐冷性
  • 耐摩擦性
  • 耐候性
  • 耐光性

ただし、これらの性質は製品にもよります。耐熱性では、インクが乾いたあとであれば一般的に220℃から400℃程度の熱に耐えることができます。耐冷性では-50℃よりも低い温度まで対応しており、ディープフリーザーなどでも使用可能です。凍結面や結露面に筆記することができるため、フリーザーから出したばかりのサンプルなどにも筆記することができます。

耐アルコールペンは、十分に乾燥したあとは簡単には落ちなくなりますが、落としたい場合はウエスに中性洗剤を含ませこすり落とすことで落とすことができます。

耐アルコールペンの種類

耐アルコールペンは、様々なメーカーから複数の製品が販売されています。

色の種類には、黒・赤・青などが有ります。細さは0.3mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmなどです。両頭タイプのものもあり、細いものから太いものまで用意されています。細いものは特にマイクロチューブの蓋など狭いところに筆記することに最適です。細い製品では、ペン先に硬い素材が用いられ、筆記しやすさを実現しています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事は耐アルコールペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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撥水ペン

監修:大道産業株式会社

撥水ペンとは

撥水ペンとは、主に生化学実験である免疫組織化学染色法やその他の蛍光抗体反応において、スライドガラス上の試料周囲に撥水性のサークル (囲い) を作製することに用いられるペンです。

免疫組織化学染色法とは、抗体を用いて組織切片中のタンパク質やその他の抗原の位置を検出する生化学手法です。抗原を抗体で標識した後、蛍光色素を用いた蛍光検出法などにより、抗原抗体複合体を可視化します。撥水ペンは、スライドグラス上の試料周囲に疎水性サークルを作製することで、抗体や検体の流失を防ぐことが可能です。一般的な蛍光抗体法の一つであるペルオキシダーゼ-抗ペルオキシダーゼ複合体 (Peroxidase Anti-Peroxidase; PAP) の名前を取って、PAPペンと呼ばれる場合もあります。

撥水ペンの使用用途

撥水ペンは、主に顕微鏡用のスライドグラスを用いる、免疫組織化学染色法やin situハイブリダイゼーション法などの生化学実験で使用されます。

試料周囲に撥水性のサークルを筆記することで、検体の囲いを作製し、スライドグラス上から試料や抗体などが流れ出ることを防ぐことが可能です。「ペン」ではありますが、一般的な文字などの筆記には適しておらず、このような実験用途専門に使用されます。

撥水ペンの原理

1. 免疫組織化学染色法

免疫組織化学染色法とは、特異的な抗原-抗体反応を用いて細胞および組織内の抗原物質を特異的かつ再現性良く検出する手法です。蛍光抗体法や酵素抗体法などが含まれます。

  1. 標本調製
  2. 抗原賦活化
  3. 抗体染色
  4. 抗体検出

免疫組織化学染色法は、上記のステップから成ります。撥水ペンは、標本調製の段階で撥水サークルを作製することで、スライドグラス上からその後のステップで試料や試薬が流出するのを防ぐ役割があります。

抗体標識には直接標識法と間接標識法があり、直接標識法では、酵素または蛍光プローブで直接標識した一次抗体を用います。間接標識法は、一次抗体と二次抗体を使います。二次抗体は一次抗体に特異的に結合する抗体で、酵素または蛍光プローブで標識されています。検出は、「発色または酵素による検出 (酵素抗体法) 」と「蛍光に基づく検出方法 (蛍光抗体法)」などで行われます。

2. 撥水ペンの機能

撥水ペンは、ペン形状のため、試料の大きさや形状、個数に合わせてスライドガラス上に撥水ラインを引くことが可能です。

撥水ペンのインクは撥水性を持ち、アルコールやアセトンに不溶です。一方、キシレンに容易に溶解するため、キシレンやその代替品で完全に除去することができます。大抵の撥水ペンにおいては、120℃までの耐熱性があります。

3. 撥水ペンの使い方

  1. 初回使用時は、ペンのキャップを外し、ペン先を上にして固い面に置きます。手袋をはめた指などで先端を押し込み、ペンからガスを放出します。
  2. 使用前によく振ります。
  3. ペン先を顕微鏡のスライドに置き、チップ先端にインクが染み込むまでスライドに対して先端を数回押し下げます。
  4. 顕微鏡スライドの各試料の周囲に線を引きます。
  5. ペンキャップを元に戻し、チップを下にして室温で保管します。

インクが出過ぎるとスライドに過剰な試薬が溜まる可能性があるため、インクが出すぎてしまった場合は、不要な紙などに押し当て、余分なインクを拭き取ることが必要です。

撥水ペンの種類

撥水ペンは、それほど製造メーカーは多くないものの、複数のメーカーで製造されています。撥水ペンの線の太さには、2mm、3mm、4mmなどの種類が有ります。

インク容量は、2mmの細線タイプで2.5mLまたは3mL、4mmの太線タイプで5mLです。細線タイプは約500回、太線タイプで約1000回使用することが可能です。インクの色は、通常、薄い緑または水色です。

一般的には撥水ペンはガラス上に界面活性剤が残っていると機能しませんが、中には界面活性剤 (Tween 20、Triton X-100など) を含んだバッファーに対しても安定な種類の撥水ペンも有ります。

本記事は撥水ペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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ダインペン

監修:大道産業株式会社

ダインペンとは

ダインペンとは、物体の表面のぬれ特性 (表面張力、ダインレベル) を簡易的に図るためのペンです。

テンションチェッカー、ぬれ性チェックペンと呼ばれる場合もあります。ダインレベルとは、物体表面の接着性を表す指標です。ダインペンを用いることにより、インク、ニス、プライマーなどがプラスチックや金属などの素材表面にどれだけ接着するかを測ることができます。蛍光ペンのように手軽に塗って確認できることが特徴です。

ダインペンの使用用途

1. 概要

ダインペンは、様々な物質の表面張力やぬれ特性を測定したり、表面エネルギーの値を測定するために使用されます。主な用途例は下記の通りです。特に、印刷・塗装・接着が必要となる産業分野で多く使用されます。

  • プラスチックやその他の無孔質基材の表面張力の測定
  • 印刷前の印刷対象物の表面状態 (印刷適性) の確認
  • 光洗浄など各種洗浄後の対象物の状態の確認
  • プラズマ表面処理をはじめとする、表面改質後の素材表面の接着性、親和性の確認 (PE・PP・プラスチックフィルムなど)
  • 金属加工部品の脱脂洗浄後の油分残渣テスト

これらが行われる主な分野には下記のようなものがあります。

  • 自動車内外装部品
  • 電子機器・電子部品
  • 樹脂製品・セラミック製品
  • 鉄鋼・非鉄金属等の製造部門・研究開発部門
  • 各種印刷 (グラビア印刷、オフセット印刷、UV印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェットプリンタ)
  • ドライラミネーター、押し出しラミネーター
  • インフレーションフィルム、Tダイフィルムシート、延伸フィルム
  • コーティング

ダインペンの原理

1. 濡れ性とは

濡れ性とは、液体と固体表面の親和性です。液体が固体表面上で分子間力の作用によって均一に広がる現象を「濡れ性が高い」と評価します。

濡れ性には表面張力が関係しており、主に液体と固体の表面エネルギーによって決まります。液体が固体表面上で広がるための条件は、液体の表面エネルギーが固体の表面エネルギーより小さいことです。すなわち、固体の表面エネルギーは高ければ高いほど濡れ性が高くなります。表面エネルギーはダイン数と呼ばれる場合もあり、その単位は、SI単位系でmN/m (ミリニュートン毎メートル) 、CGS単位系でdyn/cm (ダイン毎センチメートル) が使用されています。

このような指標である濡れ性は、インクやのり・ニスなどが、プラスチックや金属の表面にどれだけ接着するかを測ることに用いられます。

2. ダインペンによる濡れ性の測定の方法

ダインペンは、測定するダイン数ごとにペンが用意されており、離散的にダイン数を測定することができます。使い方の概要は下記の通りです。

  1. 希望するダイン数のテストペンでテストする素材表面を塗布します。
  2. 塗布後、約2〜4秒後の液膜の状態で適正を判断します。液膜に破れや収縮が起きていなければ塗れているため、更に高いダイン数のインクで順次テストし、判定します。逆に液膜に破れや収縮が起きているときは低いダイン数のインクで順次テストし判定します。 
  3. 2を繰り返し、液膜に破れや収縮が起きなかった最も高いダイン数が素材表面のダイン数となります。

3. ダインペンの成分

ダインペンの成分としては、ホルムアミドが用いられることが多いです。一方で、非毒性・非刺激性の観点からホルムアミドを含まないダインペンも販売されています。

ダインペンの種類

ダインペンは、異なるダイン数のペンが4本〜8本前後のセットで販売されていることが一般的です。30番台や40番台のダイン数のペンが最も汎用されますが、50番台や60、70も販売されています。

インクカラーは、赤、青、緑などがあり、通常の容量 (50mLなど) のペンタイプの他、使い切りの少量タイプ (10mLなど) もあります。ホルムアミドなどを含まない非毒性・非刺激性の製品もありますが、キシレンやホルムアミドなどの有機化合物を含むものでは製品安全データシート (SDS) を確認することが必要です。

本記事はダインペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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ヘラ絞り加工

監修:株式会社天吉

ヘラ絞り加工とは

ヘラ絞り加工とは、素材となる金属板を回転させながらへらと呼ばれる棒を押し当てて変形させる加工手法で、塑性加工の一つです。

金属を回転させながら加工することに由来して別名ではスピニング加工と呼ばれたり、ヘラ押しと呼ばれることもあります。アルミニウム・鉄・ステンレス・銅・真鍮など幅広い金属素材で加工が可能です。金型が安価で済む、なめらかで均一な加工が可能、対応範囲が広い (深絞りや大型製品など) などのメリットがあります。また、他の加工方法と組み合わせて、複雑な造形を製作することも可能です。

ヘラ絞り加工の使用用途

ヘラ絞り加工は、金属製のシェル状製品の製造一般に広く使用されている加工法です。ヘラ絞り加工によって製造される製品の一部には下記のようなものが有ります。

  • 家庭用容器 (洗面器、洗い桶などの各種家庭用金物)
  • 調理器具 (ケトル、フライパン、ボールなど)
  • 照明器具 (店舗用照明、スポットライト、ダウンライトや、新幹線ライトなど)
  • 装飾工芸品
  • 車・バイク部品 (エンジン部品、タイヤホイールなど)
  • 通信機器 (パラボラアンテナなど)
  • ボイラ、タンク、ノズル
  • 産業用部品
  • 研究用部品
  • 楽器 (シンバル)
  • 医療機器 (レントゲン、消毒機、医療品調合器、検査用皿)

また、ヘラ絞り加工は、高度なものづくりの技能としても注目されており、例えばH2ロケットの先端カバーもこの加工法によって製作されました。

ヘラ絞り加工の原理

1. 概要

ヘラ絞り加工は、マンドレルと呼ばれる回転する成形型に、板状や管状の金属素材 (ブランク・ワーク)を、ヘラで押し付けて成形を行う加工方法です。加工の際は、熟練工によって、手作業でヘラに加える力を加減しながら加工されます。回転中心から外側へ向かって、型に沿って少しずつ変形させます。

2. ヘラ絞り加工と職人の技能

ヘラ絞り加工は、ヘラから手に伝わる感触で素材の変形状態を確認しながら微妙な力加減の下で作業する加工法です。職人の技術や経験、感覚などに左右される加工法であるとも言えます。大型製品の加工においては、5-6名の熟練工が一緒にヘラを操作することもあります。

3. ヘラと加工素材の材質

ヘラ絞り加工で一般に使用されるヘラの材質は工具鋼です。先端部には焼入れが施され、素材とへらとの接点はグリース等で潤滑させます。形状によっては表裏から2つのヘラを当てることもあります。

加工する金属材の板厚が大きい場合や、難加工素材 (モリブデンやチタンなど) を加工する場合には板を加熱しながら加工する場合もあります。 大きく変形させる加工を行うためには複数回にわたって少しずつ変形させる必要があり、必要な場合は焼きなましが施されます。

4. ヘラ絞り加工の特性

ヘラ絞り加工には、下記のような特色があります。

  • プレス加工と比べ、金型コストが安く、製作期間の短縮化が可能
    局部変形の繰り返しのため、他の加工法よりも加工力が小さく、設備がコンパクト

プレス加工は金属をプレスするための上下の金型が必要です (オス型とメス型) 。設計から金型製作、金型組み立て、プレス加工まで、短くても10日程度の納期を要します。一方、ヘラ絞りの場合、オス型の金型のみで金属加工ができるため、金型コストも低く、短納期での製作が可能です。

ヘラ絞り加工の種類

前述の通り、ヘラ絞りは数mm単位の極めて小さい製品から、数m規模の大きい製品の製造まで幅広く使用されている加工手法です。そのため、ヘラ絞り用の装置は小型のものから大型のものまで幅広くあります。

また、ヘラ絞り加工の応用事例には、下記のようなものがあります。

  • ネッキング: 円筒、円錐筒および各種のパイプ状の金属を部分的に細くする加工
  • バルジング: 肉厚パイプ等の押し延しやスエージングを行う加工
  • カーリング: 成形製品の縁を巻き込む加工
  • ビーディング: 成形された製品の外周及び底部に絞目を入れる加工

本記事はヘラ絞り加工を提供する株式会社天吉様に監修を頂きました。

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作業着

作業着とは

作業着とは、作業や労働を行う際に着用される衣服一般を指します。

作業服と呼ばれる場合もあります。広義の意味では作業中に着用していればどんな衣服でも作業着とされますが、一般的に作業着として販売されている製品は、効率的かつ安全な作業を目的として動きやすさや機能性、生地の丈夫さなどが配慮されたウェアです。尚、業務内容に合わせて付加される機能性には、防寒性や難燃性、静電防止加工などがあります。作業者の衣服を統一するという制服的役割で使用する場合もあります。

作業着の使用用途

1. 概要

作業着は、工事現場や作業場などにおいて労働・作業時に着用されています。作業着を着用する主な目的は下記の通りです。

  • 危険から身を守り安全確保を行う
  • 動きやすく機能的な服装をすることで作業効率を上げる
  • ユニフォーム的な役割で統一感を持たせる

作業着は、伸縮性が有る適度な厚みの生地で作られており、引っかかりの原因となるような装飾を持たないシンプルな衣服です。そのため、作業中の怪我から身を守ることができ、動きやすさのために作業効率を上げることができます。服装を統一することで現場の士気を高める効果も期待できます。

2. 主な業種

作業着は、身体を動かして作業する様々な業界で使用されています。作業着が着用される業種には主に下記のようなものがあります。

  • 製造業一般
  • 自動車整備
  • 土木、建設、建築業
  • 溶接、鉄鋼、機械業
  • 運送業、配送業
  • 林業
  • 漁業
  • 造園業
  • 交通整理、線路整備
  • 清掃業
  • 飲食店

また、身体を動かして作業する職種以外でも、事務などにおいて服装の統一のため、作業着が着用される場合があります。

業務用以外にもタウンユースで使用できるデザインの製品が増えているため、アウトドアやスポーツなど、家庭用でも使用されることが多くなっている製品です。

作業着の原理

作業着は、作業中の安全を確保し、効率的な作業のために着用される衣服です。

  • 肌の露出を抑える
  • ほこりや汚れの侵入を防ぐ
  • ストレッチ性が高いため、様々な身体の動きに対応する
  • 作業に合わせた機能性 (防炎・撥水・防汚など) により快適に作業を行う

などの基本機能が挙げられます。また、大きなポケットが付いているカーゴパンツなどでは、工具などを収納・装着できるというメリットも挙げられます。

作業着の効果を適切に得るためには、正しく着用することが必要であり、主には

  • 身体にピッタリと合うサイズを選ぶ
  • ほころびは修繕する
  • 肌を露出しない

などに気をつけることが必要です。

作業着の選び方

作業着は用途が多岐に渡るため、付加される機能性にも下記のような様々な種類があります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

1.撥水・防水

撥水加工や防水加工付き作業着は、農作業や漁業などの水を扱う現場や造園業などの雨風にさらされやすい屋外作業などにおいて選択されます。

2.防炎

溶接や鉄鋼など、火花や電気光を使用する現場では、防炎加工された作業服を着用することが必要です。また、帯電防止機能付き作業着も静電気火災などの予防のために使用されます。

3.帯電防止

静電気の発生で引火や、システムに影響が起こりえる職場では、安全上の理由で静電気に強い作業着が求められることがあります。特定の職場では着用が義務付けられていることもあります。日本産業規格「JIS」によって標準化されたJIST8118という、「静電気帯電防止作業服」の規格があります。

4.防汚加工

防汚加工とは、汗、油、泥、皮脂、化粧品など様々な汚れをつきにくく、また、落ちやすくした加工です。フッ素樹脂コーティング、ポリマー樹脂加工、ソイルリリース加工などがあります。清掃業で特に重宝されます。

5.ファン付き

ファン付き作業着とは、服に取り付けた小型ファンで服の中に外気を取り込み、汗の気化熱で身体を冷やす仕組みを備えた作業着です。真夏や暑さの厳しい現場などの暑さ対策に着用され、その中でも上記のような撥水・防水・防炎などの機能を付加した様々な種類があります。

作業着のその他情報

様々な業界・作業において使用されることから、多様な種類があります。形状の種類は主に下記の通りです。

形状

  • つなぎ
  • ジャケット
  • シャツ
  • ワークパンツ

つなぎタイプは、上下がつながっていることから、ほこりや汚れの侵入を最も防ぐことができます。ベルトが不要となり、安全性もより高いです。一方、ジャケットタイプは着脱が容易で、脱ぎ着が多い現場などに適しています。

ファン付き作業着

ファン付き作業着とは

ファン付き作業着とは、服に取り付けた小型ファンで服の中に外気を取り込み、汗の気化熱で身体を冷やす仕組みを備えた作業着です。

ファン付き作業着は、ウェア・ファン・バッテリーの3つがセットになって使用されます。真夏や暑さの厳しい現場などの暑さ対策に着用される作業着です。風によって温度を下げるのではなく、風を取り込むことで汗の蒸発を促し、汗の蒸発によって身体の表面の温度を下げる仕組みとなっています。尚、一般的に知られている「空調服(R)」は、株式会社空調服の登録商標です。

ファン付き作業着の使用用途

1. 使用にあたって期待される効果

ファン付き作業着は、暑さの厳しい現場や、炎天下での作業などにおいて暑さ対策に着用される作業着です。身体を冷やすことで快適に過ごすことができ、熱中症などの予防効果が期待されます。また、無駄な汗をかかなくなるため体力の消耗が抑えられる、汗臭が減る、あせもなどの皮膚疾患の予防ができるなどのメリットがあります。

また、エアコンと異なり、人体だけをピンポイントで冷却するため、エネルギーコストを抑えることが可能です。作業員一人あたりの作業効率が上昇すると考えられるため、作業人員のコストも下げられると考えられます。

2. 具体的な使用シーンの例

ファン付き作業着には様々な種類があることから、様々な業界・分野で使用されています。下記は具体的な例の一部です。

  • 建設現場
  • 建築業界
  • 道路工事
  • トンネル工事
  • 自動車整備
  • 林業
  • 漁業
  • 造園業
  • 溶接など火気を扱う製造現場
  • 高所作業
  • 交通整理、線路整備
  • 守衛業務、駐車場誘導
  • イベントスタッフ

また、業務用以外にもカジュアルで家庭用に普段使いできるようなデザインのファン付き作業着も多く販売されており、

  • 各種レジャーやアウトドア (キャンプ・ゴルフ・釣りなど)
  • DIYやガーデニング、犬の散歩などの趣味

などでも着用されることが多くなっています。

ファン付き作業着の原理

1. 冷却の仕組み

ファン付き作業着において、ファンにより取り込まれた空気は作業着と身体を平行に流れます。風が流れる過程で、身体にかいた汗を蒸発させ、身体が気化熱により冷える仕組みです。汗が気化して生じる、身体の表面の暖かく湿った空気は襟元と袖口より排出されます。かいた汗が瞬時に蒸発され続けている状態を保ち、身体の状態に応じた適切な冷却を行うことが可能です。汗 (水) 100mLが蒸発すると、氷800gが解けるときと同じ熱量を体から奪うことができます。

2. ファン付き作業着の構成

ファン付き作業着は、着用するウェアの他、専用バッテリーと、空気を取り込むファン2個、それらを繋ぐケーブルで構成されます。ウェアの洗濯時には簡単にファンの取り外しが可能です。

裾には風を逃さないよう、裾ゴムが入れられています。また、製品によっては襟の内側に調整紐があり、調製紐を留めることで、首元とウェアの間に空気の通り道が生まれ、より涼しくすることができます。

ファン付き作業着の種類

1. 形状

ファン付き作業着は、様々な現場で使用されることから、現場に合わせて、豊富な種類があります。

  • ベスト
  • 長袖ブルゾン
  • 半袖
  • つなぎ

などの基本的な形状のほか、

  • フード付き (ヘルメットを被ったまま着用可能)
  • フルハーネス対応 (高所作業用)
  • 防炎素材 (火気取扱)
  • 防水・撥水機能を持つレインウェアタイプ
  • 高視認証安全服 (交通整理など)

などの機能性を持った製品があります。現場の特性に合わせて最適なものを選択することが可能です。

2. 素材

ファン付き作業着には、主に、綿やポリエステルが使用されます。

綿100%のファン付き作業着は、火に強く、吸水性や吸湿性に優れています。ただし、洗濯によって、生地の緩みや、色落ちが発生する場合があります。

ポリエステル100%は、最も涼しく感じられる素材です。撥水や透湿、UVカットなどの加工がしやすい人工素材です。ただし、熱に弱いため火気を扱う現場では使えません。

綿とポリエステルの混紡は、綿の着心地のよさと、ポリエステルの優れた冷却性能を合わせ持った素材です。

ロボットパッケージ

ロボットパッケージとは

ロボットパッケージとは、協働ロボットなどの産業用ロボットとその周辺機器をまとめてセットにして、すぐに業務開始できるようにしたパッケージ製品です。

溶接ロボット、ピッキングロボットなどの協働ロボットを実際に生産ラインで使用するためには、ロボット本体の導入だけでなく、架台やビジョンセンサなどの周辺機器を揃え、配線、セットアップを行う必要があります。協働ロボットは、従来の産業ロボットとは異なって安全柵を導入することなく、人と作業場を共有して作業を自動化することが可能ですが、周辺機器やレイアウトの事前検討の煩雑さが導入のネックになっている場合がありました。

ロボットパッケージとは、必要な周辺機器、配線、アプリケーションをパッケージ化し、配線やセットアップをわかりやすく整えた製品です。ロボットパッケージを活用することで、生産現場の自動化・効率化を手軽に行うことができます。

ロボットパッケージの使用用途

ロボットパッケージは、生産現場における産業用ロボットの導入の敷居を下げるため、様々なロボットで製品化されています。従来ロボットを導入していなかった製造現場での導入推進を特に進める狙いから、人と作業場を共有する協働ロボットでのパッケージ製品が多いです。代表的な用途としては、

  • パレタイジング
  • ピッキング
  • ハンドリング
  • ねじ締め
  • モビリティ
  • 粉体塗装
  • アーク溶接

などが挙げられます。

ロボットパッケージの原理

ロボットパッケージは、中心となる協働ロボットに周辺機器一式と配線、制御用アプリケーションがセットになっている製品です。用途別にパッケージ化されており、周辺機器には、架台や台車、レーザースキャナやコントローラなど、協働ロボットに合わせた製品が含まれます。

配線やアプリケーションのセットアップが簡便に行えるように整えられている製品や、初期設定を既に済ませた状態で納品される製品などがあります。レイアウト検討や周辺機器の手配などの手間を掛けることなく、開梱後ほぼ電源を入れるだけで使用できるというのがパッケージのコンセプトです。幅広い産業分野で手軽にロボット導入を行えるよう、製品設計がなされています。

ロボットパッケージの種類

ロボットパッケージは、前述の通り様々な協働ロボットを中心とした製品の種類があります。

1. パレタイザ

パレタイザ (パレタイジングロボット) とは、製品が梱包された箱をパレット上の決められた位置に積み上げるロボットです。パレタイジングロボットには、標準ハンドのほか、マニピュレータ、制御盤、給電ケーブル、プログラミングペンダントと、架台などがセットとしてパッケージングされます。

2. ピッキング

ピッキングロボットとは、商品や部品などを倉庫内でピッキングするために用いられるロボットです。特に、アパレルのピッキングではTシャツ、下着等の柔らかいワークのピッキングにも用いられ、作業を自動化することができます。

3. ハンドリング

ハンドリングロボットとは、ロボットハンドでワークを所定の位置に移動させるために使用される産業用ロボットです。ハンドリングロボットのパッケージでは、ロボットコントローラ、ロボットツールやレギュレータなどが台車とともにパッケージングされている他、スマートペンダントを標準搭載させ、必要な現場に移動させることができるようになっています。

4. マルチ検査ロボットパッケージ

マルチ検査ロボットパッケージとは、組立工場における完成品検査を自動化するロボットパッケージです。寸法測定、外観検査、機能検査などの検査が含まれ、治具を交換するだけで様々なワークの検査が可能となっています。

5. マシンテンディングシステム

マシンテンディングとは、旋盤、MC、プレス、ワイヤ放電をはじめとする加工機にワークを投入する作業を自動化することができるロボットシステムです。マシンテンディングのロボットパッケージは、ビジョンセンサなどの周辺機器を揃え、作業のロボット化を簡単に行うことが可能になっています。

空間デザインサービス

監修:Primal Design.Labo合同会社

空間デザインサービスとは

空間デザインサービスとは、住宅、オフィス、商業施設、展示施設や複合施設など様々な場で総合的な空間演出・空間提案を行うサービスです。

家具や内装施工などをトータルでデザインし、室内外を問わず幅広く手掛けます。提供企業によっては、デザインにとどまらず内装工事までをワンストップで完結させることが可能です。また、近年のオンライン会議、展示会などのトレンドにより、オンラインスペースも空間デザインサービスの対象になる場合があります。オフラインスペースにおいても、必要な場合はDXやICT、メタバースなど、最新のテクノロジーを取り入れた領域横断的な空間設計が効果的に行われます。

空間デザインサービスの使用用途

空間デザインは、社会の中の様々な施設において活用されているサービスです。イメージに合わせた意匠性を実現するだけでなく、施設・使用空間の機能に合わせた機能性と両立するデザイン演出が行われます。空間デザインサービスが利用される主な施設等には下記のようなものがあります。

  • オフィススペースや商談スペースなど、オフィスにおける業務空間
  • 店舗やショーウィンドウの外装や内装など商業施設における空間
  • 美術館や博物館など公共の展示施設
  • ホテルのロビーなど公共空間
  • 居住空間、モデルルーム
  • 各種施設におけるキッズスペース
  • 企業等のPR施設 (ショールームやミュージアム、工場の見学施設など)
  • 学校などにおけるICTを備えた機能的な学習空間
  • 展示会、ポップアップストアなどをはじめとする各種イベント
  • ライブ配信やバーチャル展示会などのオンラインイベント

空間デザインサービスは、これらにおいて、人や組織が十分に能力を発揮できるような効果的な空間を実現することを目的として活用されます。

空間デザインサービスの原理

1. 概要

空間デザインは、空間の各要素である形・素材・光・色彩を決定し、空間設計をトータルに行うサービスです。具体的には、

  • 照明
  • カラーコーディネート
  • 家具
  • 内装 (場合によっては外装)
  • 配置

などの要素があります。顧客の希望を聞き取り、最適なデザインを提案し、制作・施工を行います。また、DX技術やサステナブル視点など、新しい技術・視点をクロスオーバーさせて設計されることも盛んになっています。

2. サービスの流れ

空間デザインサービスは、様々なサービスがありますが、主な流れは下記の通りです。

  1. ヒアリング・調査: 顧客から基本構想やイメージ、コンセプトなどをヒアリングし、現地の状況や各種設備の確認を行います。また、店舗の場合は、地域や業態のマーケティングを行う場合もあります。
  2. デザイン・設計・図面作成: 顧客イメージや予算とのすり合わせを行いながらデザイン・設計図を完成させる段階です。分かりやすいようにパースが作成されることもあり、基本計画・コンテンツ設計・照明・演出など全てが計画されます。
  3. 制作・施工: 内装・外装施工や、コンテンツ制作が行われます。
  4. アフターフォロー: 保守・メンテナンスだけでなく、イベントなどの場合は運営・管理なども含まれます。

空間デザインサービスの種類

空間デザインサービスは、様々な企業より提供されており、それぞれの特色を生かした空間実現が行われています。

例えば、企業によっては、デジタルコンテンツとの融合的な空間提案を得意としている場合があります。例えば、

  • センシング、AR、AIなどのDX技術
  • メタバース
  • 没入型体験演出
  • ライブストリーミング
  • ICT技術を機能的に配した空間実現

などを効果的に活用し、オフラインとオンラインが融合する機能的な空間実現が可能です。

一方、また別の企業では、通常のオフライン空間の設計において、家具メーカーとのコラボレーションにより、効果的に家具選定・配置を行っている場合もあります。SDGsの考え方は、近年多くの企業で内装マテリアルの選定やUD (ユニバーサルデザイン) 設計などに導入されている視点です。それぞれの特性を理解して選定することが必要と言えます。

本記事は空間デザインサービスを提供するPrimal Design.Labo合同会社様に監修を頂きました。

Primal Design.Labo合同会社の会社概要はこちら

化学品の受託製造

化学品の受託製造とは

化学品の受託製造とは、主に低分子化合物の有機合成を中心として、顧客の希望する化合物を合成、提供するサービスです。

新規化合物の合成や、誘導体化などの反応開発、および、ラボスケールの合成をプロセススケールへスケールアップするなど、様々なニーズに応えることができます。また、ばあいによっては、化合物提案・合成経路提案などの研究開発提案を依頼することが可能な場合です。反応開発化合物持ち込みによる分析のみの受託も可能な場合もあります。

顧客依頼での製造となるため、製造に当たって、化合物・合成方法・分子設計をはじめとする一切の情報は機密事項として秘密保持により守られます。

化学品の受託製造の使用用途

1. 概要

化学品の受託製造は、医薬、電子・半導体、樹脂、機能性材料、溶剤など、化合物を扱う様々な分野で活用されています。低分子化合物だけでなく、高分子ポリマーの製造を委託することが可能な企業もあります。化学品の製造委託が行われる場合の主なニーズとしては、

  • 自社生産のための生産設備や、人員が不足しているため外部委託を行いたい
  • 化学品開発や既製品改良を専門の化成品メーカーに依頼したい
  • 生産品のロット数やコスト面で不満があるため、合成方法の改良を依頼したい
  • ラボスケールの合成方法を改良してプロセススケールへスケールアップしたい
  • 危険物の取り扱い・充填などを外部委託することでリスク分散を行いたい

などのニーズがあります。

2. 製造物の例

化学品の受託製造で製造される主な物質として、下記のようなものが挙げられます。

  • 各種合成中間体 (医薬、農薬、香料、写真薬など)
  • 歯科用材料
  • 半導体、液晶パネル、電子部品などの材料 
  • 機能性樹脂、感光性樹脂、添加剤
  • 洗浄剤、剥離液、エッチング液、表面処理剤
  • 探傷剤 (染色浸透探傷剤、蛍光浸透探傷剤)
  • 漏洩検査剤、発泡漏れ検査剤
  • 加工油、切削油、研削油、プレス油、熱処理油
  • 防錆剤
  • 離型剤
  • 染料、顔料、プライマー

水系、炭化水素系、アルコール系、ハロゲン系 (塩素、フッ素、臭素) などを問わず、幅広い化合物が合成対象として取り扱われています。

化学品の受託製造の原理

1. 委託フロー

化学品の受託製造では、一般的に下記のようなフローで受託製造が行われます。

  1. 顧客からの相談
  2. 合成可否の机上検討及び秘密保持契約 (NDA ) の締結
  3. 見積もり提示
  4. ラボトレース試作試験
  5. 実機試作
  6. 受託生産
  7. 納品

製造にあたって、分子構造や合成方法などほぼすべての情報が機密事項となるため、秘密保持契約は早い段階での締結です。また、見積もりについては、正式見積もりが実機試作後になる場合もあります。ラボトレース試作試験では、実機での製造を念頭に置いて、工程管理手法の確立、実機プロセス・設備の提案などが行われます。

2. 製造の流れ・装置

化学品の受託製造における、具体的な製造の流れは下記の通りです。

  1. 製造準備 (必要に応じて原料の溶解・乾燥)
  2. 撹拌機での合成 (混合・撹拌)
  3. 充填 (丸缶、石油缶、ドラム、その他)
  4. 製品品質の分析

プロセススケールの合成となるため、合成に先立っては、温水槽、温蔵庫などを用いながら、加温して原料を必要に応じて溶解させます。窒素発生装置や、イオン交換水発生装置も適宜使用されます。撹拌機は通常、様々な大きさが用意されており、様々なバッチサイズに対応可能です。分析にあたって用いられる主な分析装置は下記の通りです。

  • ガスクロマトグラフ (GC) ・ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS)
  • イオンクロマトグラフ
  • 高速液体クロマトグラフ (HPLC) ・液体クロマトグラフ質量分析計 (LC-MS)
  • 核磁気共鳴装置 (NMR) 
  • X線回析装置
  • キャピラリー電気泳動
  • 電位差自動滴定装置
  • 紫外可視分光光度計 (UV-Vis) 
  • カールフッシャー水分計

化学品の受託製造の種類

化学品の受託製造は、様々な企業より提供されているサービスです。基本的にどの企業でも酸化還元などの一般的な反応に対応していますが、企業によって得意としている反応・分野は少しずつ異なります。例えば、変性シリコーン合成技術やスルホン化、エステル化、高圧反応などを特に得意としている企業や、低分子よりも高分子ポリマーなどを得意としている企業などがあります。

企業によっては、顧客から提示された合成ルートに自社経験を踏まえた条件を提案し、収率アップ・生産時間短縮・コストダウンを図るなど研究開発的なサービスの提供も可能です。アウトソーシングやリスク分散のニーズに応えて、危険物・劇物などの充填作業を行っている場合もあります。製造規模はメーカーによって異なり、小〜中規模を中心としているメーカーや、大規模スケールを得意とするメーカーなど、様々です。目的・用途・分野に合わせて吟味し、選定することが必要です。