スイーパー

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

スイーパーとは

スイーパーとは、「Sweep(スイープ ほうきで掃く)」を語源とした、ブラシでごみや塵を集めて回収する掃除機の機能を備えた床清掃機で、床洗浄機(スクラバー)とは異なり、水は使いません。

また最近では床清掃機のみならず、刈り込んだ芝生をブラシで掃き込み回収する芝生専用のローンスイーパーという機械もあります

スイーパーは、ほうきとちりとりのようにごみをブラシで掃き上げて回収します。作業者が手で押して走行させる歩行型や、人が乗って運転する乗車型と呼ばれる種類があります。工場、建設現場、物流施設、オフィスなど様々なシーンで清掃に活用されている機械です。

スイーパーの使用用途

スイーパーは、床洗浄機(スクラバー)と同様に、様々な業務用清掃に利用されている機械です。主にプラスチックタイルなどのケミカル床カーペット床、コンクリートなどの平坦な床面に堆積した、粉塵、ホコリ、木屑、紙屑をはじめとする様々なゴミ、粉体の回収はもちろん、スクラバーやポリッシャーなどで床洗浄作業を実施する際、床表面に付着しているホコリや砂などで床表面に傷がつくのを防止するために、事前に清掃する場合にも使用されます。

こうした清掃を頻繁に行う事で、施設内の路面上の砂や小石等のゴミを除去するため、運搬車両のスリップやパンクなどの事故防止に貢献する効果もあります。また、フィルターを備えている機種では回収後、機械の内部でホコリやチリをフィルタリングした後に、排気をするので排気も綺麗に保たれ、作業環境をクリーンに保つことが可能です。

主な使用場所の例には下記のようなものがあります。

  • 工場一般、アスファルト合材工場
  • 建設現場、道路工事現場
  • 産業廃棄物中間処理場
  • 倉庫、物流施設
  • 港湾施設
  • テーマパーク、大型展示会場
  • ショッピングセンター、商業施設
  • 大型ビルなどの駐車場
  • 駅、空港
  • 学校、幼稚園、保育園などの教育機関
  • オフィス、事務室

特に、工業用に特化した製品 (インダストリアルスイーパー) は、物流、鉄鋼、金属加工、建設、セメント工場などの粉塵が堆積しやすい環境での清掃に活用可能です。路面上の砂や小石等のゴミを除去するため、運搬車両のスリップや
パンクなどの事故防止に貢献する効果もあります。

スイーパーの原理

スイーパーは、

  • メインブラシでゴミや塵を掃き上げ、ホッパーやダストコンテナなどと呼ばれる回収ボックスに回収する
  • バキューム装置によって吸い上げられた細かい粉塵を高性能フィルターで捕集する
  • 高性能フィルターによってクリーンにされた排気がスイーパーから排出される

という仕組みで清掃を行い、小石からミクロン単位のチリまで回収することができます。またメインブラシのほかに、壁際のゴミを中央に寄せるためのサイドブラシがついており、効率的な清掃が可能です。

回収したゴミがおさまるホッパーの位置がブラシに対して前方にあるものを「ダイレクトスロー方式」といい、ブラシとホッパーとの位置関係が近いため、小さなものから大きなものまで効率よく捕集。大型の産業用スイーパーに多く採用されている方式です。一方、ホッパーがブラシに対して後方にある方式を「オーバースロー方式」といい、捕集効率はダイレクトスロー方式よりは落ちますが、コンパクトなマシン設計が出来るので、商業系施設を中心に使用される機械に採用されています。

スイーパーの選び方

1. スイーパーには、小回りの利きやすい歩行型、大型店舗や倉庫など広範囲の清掃に適した乗車型、自動で床洗浄をおこなうロボット型など多くの種類の製品があります。スイーパーの選定においては、清掃したい汚れの程度、清掃面積、通路幅などの清掃環境などから適切なものを選択することが重要です。面積が狭くても、粉塵が多いのであればホッパー容量にゆとりを持たせる必要がありますし。総面積が大きくても、通路幅が狭い場合は歩行型など小型機種を複数台使うことを考えなくてはなりません。

2. また清掃の頻度と動力源との関係も重要なポイントです。バッテリー式の場合、一般的にその連続稼働時間は2~3時間です。また充電には8~10時間程度要します。一日中、使わなくてはいけないといった場合、環境が許せばエンジン式のモデルも検討に加えてみるのも良いですし、複数台での運用を考える等の工夫も必要です。

歩行型の簡易なものは小型で取り回しが良く、狭い面積のちょっとした清掃に適している反面、ホッパー容量が乗車型と比較して小型になるので、ゴミ捨て作業の頻度は高めです。

3. おおよその目安では、清掃作業面積1万m2あたりで、生産施設の通路の清掃に乗車型スイーパーは1台~2台、ラインの床を掃除する歩行型スイーパーは5台~7台必要とされますが、こうした機械の形態による特長、短所を俯瞰した上で、必要な機種や台数を最適化することが、清掃作業の効率を向上させるカギになります

本記事はスイーパーを製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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床洗浄機(スクラバー)

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

床洗浄機 (スクラバー)とは

床洗浄機 (スクラバー) とは、水や洗剤溶液を用いて床をブラシかけし、備え付けのバキュームで汚水回収までを行う機械です。

雑巾やモップで床を拭いたり洗浄したりする手作業と比較してブラシ清掃と同時に汚水回収を行うので床に残水が残ることなく安全に床洗浄作業が行える機械です。

スクラバーの名称は英語のSCRUB (磨く) から由来します。スクラバーは、作業者が手で押して走行させる歩行型や、人が乗って運転する乗車型と呼ばれる種類があります。また最近ではプログラムに沿って自律的に清掃を行う、ロボットタイプも各社から発売されています。清掃面積に応じて利用することで、清掃の効率化が果たせるのはもちろん、機械による洗浄の為、手作業よりも高い洗浄効果が得られます

床洗浄機 (スクラバー) の使用用途

床洗浄機は、様々な業務用洗浄に利用されている機械です。主にビニール、プラスチックタイルなどのケミカル床人造大理石、コーテッドコンクリートなどの平坦な硬質床での使用に適しており、産業用途では、工場施設、倉庫の床などに付着した切削油や、タイヤ痕などの汚れを落とすのにも多く使用されています。

代表的な使用場所には下記のようなものがあります。

  • 物流倉庫
  • 製造工場
  • オフィスビル
  • スーパーマーケット
  • 商業施設、医療施設
  • 駅、空港
  • 学校、幼稚園、保育園
  • 公共スペース

尚、床洗浄機はカーペット床など軟らかい床、不整地、粉塵が多い場所での使用には適していません。粉塵、土砂汚れを除去したい場合は、業務用清掃機(スイーパー)を使用することが必要です。

床洗浄機 (スクラバー) の原理

1. 概要

スクラバーが床を洗浄する基本的な仕組みは下記の通りです。

1.水(または洗剤溶液)を床面に散布する

2. ブラシやパッドが150~200回転/分で回転し、床面の汚れをこすり落とす

3. ブラシ後ろにある備え付けのバキュームで汚水を回収して床面を乾かす

洗浄は水用のタンクに直接投入される場合や、自動投入機能によりブラシヘッドの前部で直接水と混合される場合などがあります。製品によっては、本体内に電解水とナノバブルを生成する装置を備え、これらを洗浄に利用しているものもあります。

2. 構造

床洗浄機 (スクラバー) は、主に

  • 洗浄水を入れる清水(洗浄液)タンク
  • 汚水を回収する汚水タンク
  • 床を擦るブラシヘッド
  • 床面の汚水を回収するスクイージーとバキュームホース
  • 動力源(バッテリー あるいは エンジンが主流)
  • 操作パネル

から構成されています。製品によっては、洗剤の自動投入機能が搭載されているものもあります。各メーカーが発売している大半のスクラバーには車輪がついており、走行しながら洗浄と汚水回収を行います。動力は、マシンの大きさに合わせて歩行型(電源コード式、バッテリー式)、乗車型(バッテリー式、エンジン式)となっているのが主流です。

ブラシヘッドには、円盤状のディスクブラシヘッドや円柱状のローラーブラシヘッドなどの種類があります。ディスクブラシヘッドはブラシ、パッドのどちらでも選択できるのでブラシによる日常洗浄はもちろん、硬いパッドを使用した軽い研磨作業まで対応できるので様々な現場で使用されていますローラーブラシヘッドは、毛先がしっかり凹凸に追従するので溝や凹凸の多い床などには適しています。またローラーブラシを備えた機械の場合、ブラシの後ろにゴミ受けを備えている場合も多く、パレット片など、少量のゴミであれば洗浄と同時に回収が可能です。

床洗浄機 (スクラバー) の選び方

床洗浄機 (スクラバー)には、小回りの利きやすい歩行型、大型店舗や倉庫など広範囲の清掃に適した乗車型、自動で床洗浄をおこなうロボット型など多くの種類の製品があります。スクラバーの選定においては、洗浄したい汚れの程度、洗浄面積、通路幅などの清掃環境などから適切なものを選択することが重要です。

洗浄したい汚れが床にこびりついたひどい汚れであるならば、多少大きくても、ブラシの接地圧が大きいものを選ぶ必要があります。また総面積が大きくても、通路幅が狭い場合は歩行型を複数台使うことを考えなくてはなりません。

また洗浄の頻度と動力源との関係も重要なポイントです。バッテリー式の場合、一般的にその連続稼働時間は2~3時間です。また充電には8~10時間程度要します。一日中、使わなくてはいけないといった場合、環境が許せばエンジン式のモデルも検討に加えてみるのも良いですし、複数台での運用を考える等の工夫も必要です。

歩行型の簡易なものは小型で取り回しが良く、狭い面積のちょっとした洗浄に適している反面、清水タンクが乗車型と比較して小型になるので、水の入れ替え作業の頻度は高めです。

おおよその目安では、清掃作業面積1万m2あたりで、生産施設の通路の清掃に乗車型スクラバーは1台~2台、ラインの床を掃除する歩行型スクラバーは5台~7台必要とされますが、こうした機械の形態による特長、短所を俯瞰した上で、必要な機種や台数を最適化することが、洗浄作業の効率を向上させるカギになります

本記事は床洗浄機 (スクラバー)を製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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転写機

監修:セルカム株式会社

転写機とは

転写機とは、熱や圧力をかけて図案を対象物に転写するための機械です。

衣服などの布地や、ポリエステルコーティングされた陶器製品やプラスチック製品など、様々な製品に図案を移すために用いられる機械です。熱と圧力をかける熱転写機、曲面への転写に適しているロール転写機、エアー式熱転写機などの種類があります。一般的には、昇華インクが用いられ、昇華転写機と呼ばれる場合もあります。

転写機の使用用途

転写機は、主にポリエステルをはじめとする布地への図案転写に適しています。主な用途の例に下記のようなものが挙げられます。

  • 一般衣料 : Tシャツ、トレーナー、ウィンドブレーカー、インナー
  • 衣料小物: 帽子・バッグ、靴、手袋
  • スポーツ用品: ユニフォーム、スポーツウェア、体操服、水着、ゼッケン

また、輪転式転写機などの大型転写に対応している製品を用いることで、

  • アパレル用テキスタイル生地
  • タペストリー
  • 大型のホームテキスタイル (カーテン・シーツ・カバー)
  • のぼり旗、横断幕

などの図案転写も可能です。

また、布地以外にもポリエステルコーティングされた陶器や木材、アルミなどの素材を用いた製品に印刷が可能です。具体的な用途には、下記のようなものがあります。

  • マグカップ、タンブラー
  • ICカード、磁気カード、プラスチックカード
  • 化粧品容器
  • 自動車部品
  • 携帯電話、デジタルカメラ、スマートフォンケース
  • アミューズメント部品
  • 筆記具、文具製品

転写機の原理

転写機は、一旦転写用紙と呼ばれる専用の用紙に昇華型プリンターでイメージを印刷したものを転写用紙から目的の布地に転写を行う仕組みです。転写用紙の印刷には専用の昇華転写インクが用いられ、反転したイメージが印刷されます。この際、転写紙にプリントした段階では、仕上がりの色とは異なる色味です。

印刷の目的物であるポリエステルの布地などに、印刷された転写用紙を当て、プレス機で熱と圧力を加えます。プレスの際、転写用紙の染料インクが気化すると同時に、熱によってポリエステルのポリマー分子の結合が緩み、一時的にすき間ができ、染料インクの気体が入り込みます。このようにして入り込んだインクの分子が繊維のなかに拡散することにより、布地の染色が行われるという仕組みです。

転写機は、複雑な形をした物に対しても転写印刷を行うことが可能です。IDカードの印刷や表面がデコボコした雑貨への印刷にも使用され、Tシャツやユニフォームなど、ファブリック製品の印刷にも汎用される手法です。ただし、例えばマグカップの表面にプリントするための「マグカッププレス機」など、対象によっては商品の形に合わせたヒートプレス機が必要となります。

転写機の種類

転写機には様々な種類の製品があります。一般的な熱プレス転写機は、加熱天板で対象素材と転写紙をプレスして圧着し、転写します。手動で圧力をかけるハンド式や、エアーコンプレッサーで圧力をかけるエアー式などの種類があります。製品によっては、ハンド式であっても温度・プレス時間・圧力をデジタル表示することが可能です。Tシャツなどのウェアをかけやすい様、下台の形状が工夫された製品もあります。最大圧力は、製品によって様々ですが、大型の製品で1000kgfにも達します。

ロール転写機は、ローラーを用いて転写を行う転写機であり、平面の他、円筒や曲面へ装飾することが可能です。平面用と円筒用とに種類が分かれています。真空プレス機は、真空と高熱によって特殊な形状の素材に昇華転写を行うことができる装置です。

輪転式昇華転写機は、転写紙や素材をロール状でセットする転写機です。長尺に対応しており、作業効率が高いため大量プリントも容易です。カーテン・シーツ・カバーや、のぼり旗や横断幕、タペストリーなどの大型製品の転写に用いられます。

それぞれの種類について、大きさなどにも様々な種類があります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事は転写機を製造・販売するセルカム株式会社様に監修を頂きました。

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アイボルト

アイボルトとは

アイボルトとは、頭部にリングのついたボルトであり、重量のある物を吊り上げる際に取り付けられる吊りボルトのことです。

JIS規格では重要保安部品として取り扱われており、リングの部分が破断したりリングに変形が生じないように保証荷重が定められています。通常のボルトのように部材を締結する目的で使用されるのではなく、リングの部分にワイヤーやチェーンを掛ける為に下の部材に固定する目的で使用されます。アイボルトの「アイ」とは、英語の”eye”であり、リングが丸い目のようであることに由来します。

アイボルトの使用用途

アイボルトの主な使用用途は重量物の吊り上げです。人の手では持ち上げられない筐体や設備などの上面にアイボルトを取り付けて使用されます。リング部にフックや金具、ワイヤーやロープなどを通します。吊り上げに用いられる機材は、クレーンやホイスト、チェーンブロックなどです。

例えば、工場で製造した重量のある制御盤を吊り上げて車両に積み込み、設置場所でもクレーンで吊り上げて搬送と設置を行う、という用途例などがあります。

また、アイボルトにチェーンなどを繋げる為に部材側に取り付けられる場合もあります。この場合のアイボルトはものを吊る為ではなくチェーン等を繋げる為に取り付けるので保証荷重は気にする必要はありません。

アイボルトの原理

1. 概要

アイボルトは、垂直吊りもしくは45度吊りで使用されます。垂直吊りとは、1つのアイボルトで真上に吊り上げる吊り上げです。

45度吊りとは、2つのアイボルトを1つのクレーンなどで吊り上げる (1つのアイボルトにかかる紐などが45度になる) 吊り方です。この際、リングの向きが同一平面内 (2個のアイボルトの軸を含む平面から5度以上傾いてはならない) におさまっている必要があります。尚、JIS規格では、45度吊りの使用荷重を規定していますが、安全性の上では、曲げモーメン
トが小さくなる60度以上の角度で吊り上げることが好ましいとされます。

尚、1つの吊り荷に複数のアイボルトを使用した場合でも使用荷重は1個のアイボルトを使用する場合と同じとなります。これは、すべてのボルトに均等の荷重がかかるとは限らないためであり、運搬の過程で1つのアイボルトに全荷重がかかる場合も考えられるためです。

2. 使用上の注意

アイボルトは、ねじの軸に対して縦の方向に荷重をかけるように設計されています。そのため、対象物の側面にアイボルトを取り付けての横吊りや引き起こしは大変危険であり、禁止されています。

また、アイボルトは必ず手で回して取り付けることがJIS規格で定められています。リング部にパイプなどを通して締め付ける締め付け方は破損の原因になる可能性があり、禁止されています。座面と対象物は密着させる必要があります。これは、着座面が対象物から離れると、吊り上げ・吊り下げ・移動の際に、曲げモーメントやせん断力が加わり、変形や破断の原因となる恐れがあるためです。

アイボルトの種類

アイボルトは、様々な呼び径 (サイズ) の製品があります。各呼び径に応じて吊り上げることのできる使用荷重が決まっています。例えば100㎏の重量物に対して使用する場合にはM10以上のサイズが必要です。

アイボルトはおねじ類と異なり、1つの呼び径に対してねじ部の長さの種類は、標準と足長と呼ばれる2種類のみです。これは、一般的なボルト類は頭部とナットで部材を挟んで締結する用途で用いられる (様々な部材の厚みに対応するため様々な長さがある) のに対して、アイボルトは部材の上面に固定して吊り上げるため、長さのバリエーションを必要としないためです。

2. 回転アイボルト

回転アイボルトとは、アイボルトの一種であり、リング部分が回転するようになっています。通常のJISアイボルトでは危険を伴う荷重時の横吊、反転、引起しが可能です。また、JISアイボルトよりも使用荷重が大きい傾向にあります。

流量計校正

流量計校正とは

流量計校正とは、測定の不確かさを特定して必要に応じて調整を行い、測定から出力についての機能が正しく行われているかどうかを確認する作業です。

流量の測定に使用される機器の出力と、基準となる流量計の出力との比較を行うことにより、機器の出力を調整します。様々な種類の流量計の校正に対応しています。

流量計校正の使用用途

流量計校正は、計測器の性能の最適化と、製品やサービスの品質を担保するために重要な製品です。主に下記のような目的で行われます。

  • 精度の維持と信頼性の向上
  • 国際基準への準拠した品質管理の一環
  • 事故や品質リスクの軽減

不正確な流量計は、生産プロセスにおける流量の不足または過剰を引き起こし、事故や品質問題につながる可能性があります。定期的な校正をすることで、このようなリスクを避け、安定した生産プロセスの維持が可能です。また、ISO 9001に準拠する企業は、流量計の校正記録を品質監査の際の証拠として提出することが一般的です。このように、流量計校正は、品質管理の一環として重要となっています。

流量計校正の原理

1. 流量計校正の方法

流量計校正の代表的な方法には、マスターメーターを利用する方法があります。国際標準に準拠したマスターメーターを基準として校正対象の流量計の不確かさを比較・評価します。不確かさとは、ばらつきを特徴づけるパラメータで、ある確率で真の値が存在するであろうと考えられる範囲を表すものです。例えば、k=2 約95%の信頼の水準で、不確かさが±0.1%である場合、測定値から±0.1%の幅の中に、真の値が、約95%の確率で存在するということを表しています。この方法は、実際の運用環境に近い条件で実施されるため、高精度での校正が可能です。

また、気体流量計の校正などでは、グラビメトリック式の参照用標準器とラミナフロー式の常用標準器などが使用されます。予め質量が測定された気体ボトルを用い、消費される気体の質量を測定して単位時間あたりの質量流量を定義します。

2. 流量計校正の流れ

流量計校正は下記のような流れで行われます。

  1. 準備: 校正設備の事前点検を行い、校正対象機器を校正設備に取り付けます。
  2. 試験: 実流量による校正試験を行います。
  3. 校正: メーカーより提示されている校正表に基づき、調整ギアの選定、調整作業を行います。
  4. 校正後のデータ収集: 校正結果を確認するため、再度校正試験を実施し、データが基準値に入らない場合、再度校正作業を行います。
  5. 校正記録・報告書作成: 流量計校正で行われた作業、結果値を記録し、報告書を作成します。

流量計校正の種類

1. 認定基準と計量計測トレーサビリティ

流量計校正の認定の一つに、JCSS認定があります。JCSS認定とは、計量器を校正する事業所の技術能力や計量計測トレーサビリティ、品質管理の認定制度です。国際規格であるISO/IEC17025に従って運営され、認定機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構の認定センターが審査・認定します。

JCSS校正事業者による校正は、JCSS標章付校正証明書を発行することが可能です。更に、JCSS校正事業者の中で、国際MRA対応認定事業者として認定されると、国際的にも通用するJCSS認定シンボル付の校正証明書を発行することができます。

2. 現地校正と校正設備での校正

流量計校正には、使用している場所で行う現地校正 (オンサイトキャリブレーション) と、校正設備での校正とがあります。現地校正では、より使用環境に近い状態で校正を行うことができ、輸送のための手間が省け、より短時間での校正が可能です。

一方、試験所などの校正施設では、よりシステム化されており、効率的な校正ができる場合があります。質量法・体積法・比較法など、流量計に合わせて、試験方法を選択することが可能です。また、半導体機器や宇宙関連、医療機器などに使用される流量計は、校正環境においても高い清浄度が要求されるため、クリーンルームなどを校正施設に備えている場合もあります。

3. 対応流量計の種類

流量計校正では、提供企業にもよりますが、様々な流量計の校正に対応しています。主なものには下記のようなものがあります。

  • 電磁流量計
  • 超音波流量計
  • コリオリ式質量流量計
  • 面積式流量計
  • 容積流量計
  • タービン流量計
  • 差圧式流量計
  • 気体流量計
  • 湿式ガスメータ
  • マスフローメータ
  • マスフローコントローラ

マグネットカップリング

マグネットカップリングとは

マグネットカップリングとは、磁石の吸引・反発を利用した仕組みのカップリングです。

磁気継手、磁気カップリングと呼ばれる場合もあります。偏心・偏角の許容値が大きく、着脱が簡単であるという特徴があります。磁力による非接触式動力伝達のため隔壁伝達によって液漏れを防ぐような用途も可能です。メカニカルギアで発生する振動音を軽減することができるというメリットもあります。

マグネットカップリングの使用用途

マグネットカップリングは、

  • 液漏れ・空気漏れを防止するためにシーリングを無くして隔壁越しで回転を伝達する
  • 清潔性を保つなどの目的により部品の取り外し・メンテナンスを頻繁に行う
  • 通常のカップリングよりも振動・音を軽減する

などの用途において使用されることの多いカップリングです。使用される主な製品等には下記のようなものがあります。

  • クリーンルーム
  • 食品撹拌機をはじめとする食品機械
  • マグネットポンプ (化学液や食品の撹拌、循環) 
  • 真空ポンプ
  • 真空装置内へのトルク伝達

特に、ポンプ類では、浄水場などで使用される消毒用の次亜塩素酸ソーダや、各種化学薬品などの危険液や腐食性の高い液体を移送する場合に、液漏れの無いマグネットカップリングが有効活用されています。

マグネットカップリングの原理

1. 概要

マグネットカップリングは、基本的永久磁石が使用され、N極とS極を交互に着磁させた多極構造になっています。 この構造により異極同士の吸引と同極同士の反発を利用して回転伝達が可能です。非接触での回転伝達が可能であることから、水槽や真空装置などの非磁性体隔壁越しの回転伝達などに使用されます。

接合部分の接触が無いので、磨耗による発塵が無く、クリーン環境での使用が可能です。また、非接触であることから静音性も高くなっています。脱着が容易であることから、食品など清潔性が高く頻繁なメンテナンスが必要な用途にも適しています。

2. 使用上の注意

マグネットカップリングの使用にあたって、いくつか注意するべき点があります。

1つ目は、脱調現象です。磁力によって予め設計された伝達トルクを超えると、駆動マグネットと従動マグネットが同期しなくなり、動力伝達ができなくなります。この現象を脱調現象と呼びます。

移送液の粘度と温度も注意が必要です。粘度が高すぎると、内輪表面に移送液の粘性摩擦トルクが発生し、伝達動力が低下してしまいます。また、高温環境下では磁力が落ち、伝達動力が低下してしまうため適正温度で使用することが必要です。また、各種部品の許容圧力を超えないよう使用する必要があります。

3.ベアリング

マグネットカップリングの外輪側は、モーターの軸受を利用するなど、一般的な軸受が使用されます。一方、液中に浸漬する内輪側は、受ける荷重方向によりラジアルベアリング、スラストベアリングと呼ばれる軸受を設けます。

薬品などを移送液とする場合は、軸受にもエンジニアリングプラスチック、セラミックスなどの高い耐食性をもつ材質が使用されます。用途によりさまざまな材料が使用されますが、経年的に摩耗や化学変化を受けるため、定期的なメンテナンスが必要です。

マグネットカップリングの種類

マグネットカップリングには様々な製品があります。磁石の配置には、ディスクタイプやスラスト軽減タイプ、イン・アウトタイプなどがあり、8極の場合や12極の場合などがあります。

大きさや、伝達トルクにも様々な種類があり、用途にあったものを選択することが必要です。動作には通常の突き合わせ軸タイプの他、円筒平行軸タイプ、直交マイタタイプなどの種類があります。マグネットを樹脂や、ステンレスのケースに入れて埋め込み、密封したものは、水中や薬液中、または高真空中などでの利用が可能です。選定の際には前述の通り最大トルクなどに注意して、用途に合った適切な製品を選択することが必要です。

フッ素系洗浄機

フッ素系洗浄機とは

フッ素系洗浄機とは、フッ素系洗浄剤を用いて工業洗浄を行う装置です。

フッ素系洗浄剤は、油分の溶解性が高く、油汚れなどの洗浄に適しています。精密洗浄や光学部品、プラスチック、プリント基板などの洗浄に使用されます。

フッ素系洗浄機の使用用途

1. 概要

フッ素系洗浄機は様々な工業製品の洗浄に使用されます。フッ素系洗浄剤は、金属部品を腐食させることなく、プラスチック部品へのダメージも少ない洗浄剤です。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 精密部品の除塵洗浄
  • 水や炭化水素洗浄剤の置換・リンス・乾燥
  • 金属切削加工・プレス加工部品の脱脂洗浄
  • 電子部品、プリント基板のフラックス洗浄
  • プラスチック、ゴム部品洗浄

2. フッ素系洗浄が行われる主な製品・部品

フッ素系洗浄が行われる主な製品・部品には下記のようなものがあります。

  • カメラモジュール部品、光学レンズ
  • 自動車部品、モーター部品、ベアリング
  • 航空機関連部品
  • リレー、コネクター
  • 半導体製造装置部品
  • 電気、電子部品
  • 医療用品 (注射針、中空糸、カテーテル等) 
  • HDD部品

フッ素系洗浄機の原理

フッ素系洗浄機は、蒸気洗浄や真空洗浄、超音波洗浄などにより、フッ素系洗浄剤を用いて洗浄を行います。フッ素系洗浄の特徴には下記のようなものがあります。

  • 不燃性で毒性が低いため安全性が高い
  • 比熱、蒸発潜熱が小さくエネルギー負荷が少ない
  • フッ素系混合溶剤を用いることで油分溶解力が強くなる一方で、製品に対する溶解力が弱い
  • 低温で乾燥でき、樹脂系部品にも利用可能
  • 速乾性が高く、水系等に比べて乾燥時間を短縮できる
  • 表面張力が小さく浸透性が良い
  • 蒸留再生が可能であり、洗浄剤を再生することができる

フッ素系洗浄剤は50~60度で沸騰するため、比熱、蒸発潜熱が低い性質があり、エネルギー消費を抑えることができます。また、他の有機溶剤と異なり不燃性であり、PRTR法、消防法、有機溶剤中毒予防規則となどの主な法令にも該当しないため、安全管理が容易です。

一方でフッ素系洗浄剤には、比較的高価であり、洗浄剤の消費量が多いという特徴もあります。これらの点をカバーするために、多くのフッ素系洗浄機では、密閉により溶剤蒸発を防いだり、蒸留再生によって洗浄剤の回収を行ったりする仕組みが取り入れられています。

フッ素系洗浄機の種類

フッ素系洗浄機には、主に超音波洗浄機、蒸気洗浄機や真空洗浄機、などの種類があります。それぞれの特徴を理解して剪定することが必要です。

1. 超音波洗浄機

超音波洗浄機は、フッ素系洗浄剤で満たした浸漬槽の中に被洗浄物を入れ、超音波を発生させてその波動を利用して汚れを除去する洗浄機です。

超音波洗浄機の効果の1つにキャビテーション効果があります。キャビテーションは液体中の空洞や気泡が急速に生成・収縮する現象です。これにより、気泡の収縮や崩壊が汚れの表面で発生し、物理的な力が働いて汚れを剥がしたり、細かな隙間に浸透したりします。

2. 蒸気洗浄機

蒸気洗浄機は、洗浄に用いるフッ素系洗浄剤を加熱沸騰して蒸気を発生させ、その蒸気に被洗浄物をさらすことで洗浄を行う機械です。超音波洗浄と併用されている機器も多く、超音波蒸気洗浄機と呼ばれる場合もあります。

蒸気洗浄→浸漬超音波洗浄→蒸気リンス→乾燥、もしくは、浸漬超音波洗浄→蒸気洗浄→蒸気リンス→乾燥の順で洗浄が行われます。多くの機器では、蒸発した洗浄剤を冷却によって回収し、浸漬槽へ戻す仕組みによって効率的な洗浄剤使用が可能です。

3. 真空洗浄機

真空洗浄機とは、洗浄槽が真空になる洗浄機です。真空により、フッ素洗浄剤中の空気が抜けることで超音波が効きやすくなり、高い洗浄力が発揮されます。密閉式となることから、開放型洗浄機に比べて揮発による洗浄剤ロスも抑えられます。

洗浄に使用したフッ素洗浄剤は蒸留再生機で汚れと溶剤を分離し、回収して再利用することが可能です。

PFAS除去装置

PFAS除去装置とは

PFAS除去装置とは、水道水などに残留するPFAS (有機フッ素化合物) を除去するための装置です。

PFAS (有機フッ素化合物) とは、炭素-フッ素結合を持つ有機化合物の総称であり、様々な機能性物質に活用されている一方で、自然界や人体における残留性と蓄積性が懸念されています。地下水や河川などにおいてPFASが検出されており、様々なPFAS除去装置・除去技術が開発されています。

PFAS除去装置の使用用途

PFAS除去装置は、主に

  • 地下水、井戸水
  • 水道水
  • タンク貯留水
  • 処分場浸出水
  • 半導体関連製造現場の排水をはじめとする工場排水一般
  • 浄水場

などにおけるPFAS除去に使用されています。

PFAS除去装置の原理

1. PFASとは

PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物またはポリフルオロアルキル化合物の総称です (英: Per fluoro alkyl substances) 。有機フッ素化合物であり、C-F結合を有します。PFASには数千にも及び非常に多くの種類があり、特にPFOS、PFOA、PFHxSが代表的なPFASとして知られています。耐熱性や耐薬品性、紫外線耐性があり、水と油の両方をはじくという特徴があることから、下記のような様々な機能性製品に活用されています。

  • フライパンコーティング
  • 防虫剤
  • 雨具の撥水加工
  • 耐油・耐水性の食品包装紙
  • 化粧品
  • 汚れを弾くソファやカーペット
  • スマートフォン
  • 半導体産業におけるフォトレジスト (感光剤)
  • リチウムイオン電池におけるセパレーター
  • 泡消火剤

一方で、PFASは、自然界や体内で分解されにくく蓄積しやすい性質があります。特に、水溶性が高いことから工場排水による地下水や水道水の汚染が問題です。PFASの中でも特にPFOAやPFOSは発がん性のおそれがある物質として、現在では製造や使用が禁止されています。数千にも及ぶPFAS全体の毒性や人体への影響は明らかになっていませんが、PFOSやPFOAによる影響としては、免疫力の低下や低出生体重児、コレステロール値の上昇、腎臓がん、前立腺がんなどが指摘されています。

2. PFAS除去技術の原理

PFAS除去装置では、活性炭や樹脂などに吸着させたり分離膜を用いることでPFASを除去することができます。

PFASは通常の浄水器や煮沸消毒によって除去することができません。特に、煮沸の場合、煮沸によってPFASの濃度が高まってしまいます。また、凝集沈殿ろ過、オゾン処理なども効果がありません。

PFAS除去装置に用いられる除去技術には主に下記のようなものがあります。

  • 活性炭などの機能性粉体に吸着させる
  • イオン交換樹脂に吸着させる
  • 逆浸透膜 (RO膜) を利用する
  • 泡沫分離法による浄化

PFAS除去装置の種類

PFAS除去装置は、除去機構の種類によって分類することができます。どの製品も、主に水の浄化を目的とした装置です。

1. 機能性粉体

活性炭などの機能性粉体は、PFASを吸着させて除去することができます。プリーツ型フィルターなどに添加して使用されます。PFASをはじめ、有機汚濁物質、VOCs、重金属等の溶存物質を吸着除去することが可能です。

2. イオン交換樹脂

イオン交換樹脂は、PFAS除去に用いることができます。末端に親水性のスルホン酸基やカルボキシル基を持つPFAS類は、水中では電離して陰イオンとして存在する物質です。そのため、陰イオン交換樹脂が用いられます。

ただし、原水に懸濁物質、油分、金属 (鉄やマンガンなど) 、酸化剤などが含まれていると除去性能が低下するため、前処理としてこれらを除去する装置が併用で用いられます。

3. 逆浸透膜 (RO膜)

逆浸透膜 (RO膜) もPFASの除去に有効です。逆浸透膜とは、水分子のみを通すことができる半透膜です。家庭用の小さな浄水器や、逆浸透膜を利用した大規模な水処理プラントなど、様々なものがあります。PFASに加えて、細菌ウイルス類、塩分、農薬、ダイオキシンなどの有害物質も除去することが可能です。

床材剥がし機

監修:有限会社金装

床材剥がし機とは

床材剥がし機とは、建物内装の床材の撤去作業に使用される機械です。

リフォームなど、建物の内装を撤去する際には、床材を剥がすことが必要になります。床材剥がし機はそのような際に使用される機械です。フロアスクレーパーと呼ばれる場合もあります。刃物を用いて、ビニル床タイルや、CFシートなどを撤去することが可能です。手押し式、搭乗式、油圧式、エンジン式、バッテリー式などの種類があります。床材剥がし機を利用して床材を剥がして分別することで、各種工事における産廃コストの削減にも貢献します。

床材剥がし機の使用用途

床材剥がし機は、主に建物の解体やリフォームにおける床材の撤去作業に使用されます。建物自体の解体の他、内装解体、改修工事など、様々な工事で利用可能です。

床材剥がし機は、低騒音、軽量、無臭で粉塵のでないものが多いため、様々な施設の工事で利用可能です。使用例として、下記のようなものがあります。

  • マンション修繕工事
  • 複合商業施設
  • スーパーマーケット
  • 飲食店
  • ホームセンター
  • ドラッグストア
  • 家電量販店
  • 学校
  • 立体駐車場
  • 建物屋上

また、浸水や地震などの災害時において、被災した店舗内の床材撤去などにも活用されており、このようなケースで早期営業再開に貢献することも可能です。

床材剥がし機の原理

1. 概要

床材剥がし機は、先端に前後運動する刃が付いており、走行しながら前方の床材を剥がします。多くの製品で刃物入斜角調整が可能です。普通刃、シート刃、強力刃など、通常、複数種類の替刃があり、床材に合わせた専用刃が用意されている場合もあります。

また、床材剥がし機での作業後細かい床材や塗膜、接着剤が残っている場合には、床研磨機が使用されます。

2. 床材剥がし機で剥がせる床材

床材剥がし機では様々な床材を撤去することが可能です。主な床材の例は下記の通りです。

  • ビニル床タイル
  • Pタイル
  • CFシート
  • カーペット
  • 長尺シート
  • エポキシ材
  • 屋上防水シート、アスファルト防水、各種防水材
  • 屋上ゴムマット
  • ゴムチップ
  • 木材床
  • セラミックタイル
  • ウレタン材

床材剥がし機の種類

床材剥がし機は、手押し式や搭乗式、油圧式やバッテリー式などの種類があります。それぞれ、違った特徴を持ち、用途に応じて使い分けられます。

1. 手押し式

手押し式とは、手で押して走行させる床材剥がし機です。コンパクトで持ち運びしやすいことが多いです。通常、防振ハンドルがついているため、手腕の振動が軽減され、刃の運動に妨げられることなく、走行させることができます。特に、階段や通路などの狭い場所の剥離作業に適します。

2. 搭乗式

搭乗式とは、機体に座って操作するタイプの床材剥がし機です。エンジンやバッテリーなどを動力として稼働し、機体は手押し式より重量が大きくなります。最大約1,000kgにもなる機体の全重量をかけて剥がすため、手押し式よりも威力が強く、迅速に作業を進めることが可能です。レバーなどによる操作を行い、製品によってはシートベルトを外すと自動的にエンジンが切れます。

搭乗式の床材剥がし機であっても、小型エレベーターや狭い廊下にも搬入できるものもあり、狭い現場での利用も可能です。

3. 搭乗式床材剥がし機の動力

搭乗式床材剥がし機には、プロパンエンジン式や、バッテリー式などがあります。

プロパンエンジン式は、パワフルな稼働力が特徴で、大規模な現場に向いています。ボンベ缶を取り付けて使用する構造になっており、ボンベ1本でおよそ10〜12時間の稼働が可能です。

バッテリー式は、排気が出ないことが特徴です。1回の充電につき8~12時間稼働することができます。ただし、バッテリーのフル充電には6〜12時間かかります。

4. バックホー取り付け型

床材剥がし機の中には、既存のバックホー (油圧ショベルの一種) の排土板部分に取り付けることで床材剥がし機とすることができるものもあります。床材を剥がしながらバケット作業を行うことも可能です。替刃の種類には、標準刃、幅狭刃、シート刃など、豊富な種類があります。

本記事は床材剥がし機を製造・販売する有限会社金装様に監修を頂きました。

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組版ソフト

監修:NECネクサソリューションズ株式会社

組版ソフトとは

組版ソフトとは、本などの編集において、組版 (文字組みやデザイン、写真や図版などをページに配置する工程) を効率的に行うためのソフトです。

組版という言葉は、もともと活版印刷において、活字を組み合わせて印刷の元となる版を作る作業を指します。一般的な文字組版の他、書籍、雑誌など、目的に応じて様々なレイアウトをデザインすることが可能です。また、関連して、印刷物をパソコン上で作成することや、作成した印刷データを出力するまでの工程をDTP (Desk Top Publishing) と呼び、組版ソフトはDTPソフトと呼ばれることもあります。

組版ソフトの使用用途

組版ソフトは、様々な出版物や印刷物をレイアウトすることに用いられます。一般の書籍だけでなく、多様な印刷物のレイアウトが可能です。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 書籍
  • 雑誌
  • 新聞
  • カタログ
  • パンフレット
  • 学習参考書
  • 辞書・法令集
  • 鉄道時刻表
  • 名刺・カード
  • ポップ・チラシ
  • シール
  • ポスター
  • アパレル商品タグ
  • 宛名印字

組版ソフトの原理

組版ソフトの基本的な機能は、レイアウト設計、文字組版、画像の配置、ページ割りなどです。

例えば、文字組版では、文字や行の間隔の調整を行います。間隔が詰まりすぎると読みにくく、開きすぎると間延びした印象になります。文字組版には下記のような要素があります。

  • 書体 (フォント) の選定
  • 文字の大きさ (本文/見出し)
  • 行間の幅
  • 1行の文字数と行数、行送り
  • 字間の調整
  • ルビ

同じ文字組設定でも、原稿によって見え方は大きくなります。ひらがな、カタカナが多いもの、改行の多いもの、少ないものなど、組版ソフトでは、1文字単位で字間調整が可能です。このような1文字単位の微調整において、組版ソフトは、ワープロソフトと根本的に操作性が異なります。

その他、写真や図版原稿のレイアウト、ページヘッダ及びフッタ、オブジェクト調整なども組版ソフトで行われます。組版が完了したファイルはPostScript、PPML、EPS、JPEG、PDF、PNGなどの形式で保存されることが多いです。

組版ソフトの種類

1. テンプレートと自動組版

組版ソフトには様々な製品があります。製品によっては、テンプレートによって自動組版を行うことが可能です。備えられているテンプレート群は製品によって異なりますが、例えば

  • 新聞
  • 辞書
  • 学習参考書
  • カタログ
  • はがきの宛名書き
  • 名刺

などのテンプレートがあります。これらを使用することで迅速に印刷物の組版を行うことが可能です。台紙と小組などで構成される複数のテンプレートを結合して配置するレイアウトを行う場合もあります。

特に、新聞組版用のテンプレートには、ニュース配信の標準フォーマットである「NewsML」形式の記事を受け取って自動組版する機能が搭載されています。

自動組版機能のある組版ソフトは、

  • 繰り返し作業の時間短縮
  • 人為的ミスの回避
  • 部分差し替え作業を簡単に実現
  • 短時間に大量の画像やPDFの配置が可能

などの省力化効果を得ることが可能です。

2. データベースとの連携

データベースと連携して自動でテキストを流し込むことができる組版ソフトもあります。このようなソフトは特に、辞書や法令集などに有効です。特に、辞書テンプレートなどの自動組版では、紙面上の見出し語や任意の文字列のページを抽出して、目次・索引を作成できる場合があります。

3. 数式

組版ソフト製品の中には、高度な数式組版機能が組み込まれているものもあります。学習参考書、専門書や学術論文などの組版作業に特に有効です。

4. その他

組版ソフトの中には、他のアプリケーションとの連携に優れているものもあり、レイアウトしたデザインをモバイルアプリやWebコンテンツとしてリリースすることが可能なものもあります。

その他に組版ソフトに搭載されることがある機能としては下記のようなものがあります。

  • 自動保存
  • タグ流し込み
  • テキスト置換
  • ページ分割
  • 文字のアウトライン化
  • 画像ファイル自動検出
  • ログレポート

本記事は組版ソフトを製造・販売するNECネクサソリューションズ株式会社様に監修を頂きました。

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