マイクロバンプとは
マイクロバンプとは、半導体デバイスと回路基板側の電極を接合するために形成する微細なはんだの突起です。
一般的に、ピッチが50μm未満であるバンプがマイクロバンプと呼ばれています。近年高性能化が求められるIC製品において、TSVとマイクロバンプ でICチップを接合する積層型三次元IC (3D-IC) 技術などの開発が進められています。ICチップを貫通電極とマイクロバンプで接続することに より、チップ間の配線長を劇的に短くすることが可能です。これにより、配線遅延時間の低減、省電力化を実現することができます。
マイクロバンプの使用用途
1. 概要
半導体チップの小型化、高性能化に伴って、接続ピン数は増加し、接続ピッチや電極サイズは微細化する傾向にあります。マイクロバンプとは、このような微細化、狭ピッチ化に対応することを目的とした接合プロセスです。
マイクロバンプによって接合部の機械的ストレスが分散され、特性の変動を防ぐことができます。また、一対の電極をたくさんのマイクロバンプで接続することにより、歩留まりをあげることが可能です。
2. 具体的な用途
マイクロバンプの具体的な用途例には下記のようなものがあります。
- 半導体パッケージ一般
- 3次元集積回路
- 非破壊検査用X線センサ
- 医療用X線センサ
- 遠赤外線イメージセンサ
- 高エネルギー物理学研究用の素粒子検出器
マイクロバンプは、X線センサの解像度を従来の100倍以上に上げる効果があり、医療用などのセンサの性能向上に貢献しています。これにより、X線の照射量が少なくて済むため、人体への影響を軽減することができます。また、マイクロバンプは、従来のデザインで作った積層チップにも適用可能です。
マイクロバンプの原理
1. 半導体はんだバンプ
半導体デバイスの実装方式には、ワイヤーボンディング実装方式と、フリップチップ実装方式があります。
ワイヤーボンディング実装方式は、半導体デバイスの電極と回路基板側の電極を金などのワイヤーで接続します。
一方、フリップチップ実装方式は、半導体デバイスと回路基板側の電極同士を直接接続する実装方法です。 反転 (フリップ) させた半導体デバイスと回路基板を熱や超音波で圧着します。圧着のためには、あらかじめ半導体ウエハの電極部に突起を形成する必要があり、この突起がはんだバンプです。また、この作業工程を半導体はんだバンプ加工工程と呼びます。
2. Cuピラーバンプ形成
マイクロバンプの接合は、一般的なバンプよりもピッチが狭いため電解めっき法によるCuピラーが主流です。
はんだボールではリフロー時に横方向に大きく広がるため、端子間ピッチを確保する必要があり、マイクロバンプにはあまり適しません。Cuピラーは、はんだボールよりも少量のはんだで接合することが可能です。
Cuピラーバンプ形成工程では、下記の順に工程が進められます。
- スパッタリングによるTi/Cuシード層 (導電層) 形成
- フォトリソグラフィによるレジストパターンの形成
- 電極形成部におけるCuめっきによる柱状の電極形成
- バリア層としてのニッケル層の形成及び、スズ-銀 (Sn-Ag)などの鉛フリーはんだの連続的な積層めっき形成
3種類の積層めっきは1台のめっき装置で連続処理が行われます。Cuピラーの高さのバラツキが大きいと実装する際の接続性に直接影響するため、めっき工程においては膜厚均一性を確保することが非常に重要です。
マイクロバンプの種類
マイクロバンプには、Cuピラーバンプ形成の他、無電解スズめっきによる形成などの方法があります。無電解スズめっきには還元型と置換型の2種類が有り、置換型の無電解スズめっきは原理的にスズの膜厚を厚くすること ができません。一方、塩化チタン (Ⅲ) を還元剤とする無電解スズめっきは自己触媒反応により連続析出することが可能であり、バンプ形成に適しています。
被加工物は、通常のSiウェハをはじめとして、SiC、GaAs、 InP、サファイアなどです。ウェハ以外の四角形状基板や、FPCなども加工される場合があります。ウェハサイズは2〜12インチ程度様々なものがあります。バンプ径は最小φ3μm程度から有り、バンプピッチは最小6μm前後から幅広くあります。