監修:株式会社カナエ
水門とは
水門とは、水の流れをせき止めたり放流したりする装置です。
河川や運河または海岸などに設け、可動式のゲートで水位や流速を調整します。普段は水を穏やかに流し、増水時には扉を閉じて流入量を抑えるため、周辺の浸水被害を軽減することが可能です。逆に干潮で水位が下がるときは扉を開放し、堆積した土砂を洗い流して水質の悪化を防ぎます。故障時には流域へ大きな影響を与えるため、保守計画が法律で定められるケースもあります。構造こそ単純に見えても、地域の暮らしと産業を支える重要な装置です。
水門は、戸当り上部に設置した開閉機を操作することで扉体を上下させ、扉体背面に取り付けられた水密ゴムで止水性を確保できる構造になっています。開閉機は手動式と電動式があり、設置条件や運用方法により選定します。各種計測機器と連動させることも可能で、一般的なスピンドル式の他、自重降下機能に対応しすばやく閉めることができるラック式を選定することもできます。
水門の使用用途
水門は以下のような用途で使用されます。
1. 洪水対策
大雨で河川が増水すると、市街地や農地が浸水して人命が危険にさらされます。水門を閉じれば上流からの急激な水の流入を抑えられるため、堤防が決壊する前に河川水位を調整できます。また導流壁と組み合わせて水の勢いを弱め、橋脚や護岸の破損も防ぎます。停電時には手動操作や自家発電装置で開閉できる設計が多く、山間部の集落でも重宝されます。
2. 農業・生活用水
貯水池や用水路と連携し、必要量だけを安定して流し込む蛇口のような役目を果たします。乾季や渇水期に扉を閉じて水を貯え、需要が増える時期に開いて田畑へ供給可能です。流量を細かく調節できる製品を採用した場合、水不足による作物への影響を防ぎ、生活用水の断水リスクも軽減します。
3. 環境保護
河口や運河に水門を設置することで海水の逆流を防ぎ、上流の生物や植物の生息域を維持することで淡水生態系を保持し、生物多様性を高めることが可能です。また、水面の高さを一定に保てるため、水辺の遊歩道などで美しい景観を維持し、観光資源としても価値が向上します。
産業分野では、万が一の事故により、工場構内等の油、塗料、薬品その他の有害物質が排水ラインに流れ出したとき、自動的に流出を防止することが可能な緊急遮断ゲートを設置する工場が増えてきています。人力での遮断ゲートの開閉操作を自動化することにより、設備管理にかかるコストの低減と省力化にも寄与しています。
本記事は水門を製造・販売する株式会社カナエ様に監修を頂きました。
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