ストレッチフィルム

ストレッチフィルムとは

ストレッチフィルムとは、伸縮性を有するプラスチック製フィルムです。

ポリエチレンを原料とする製品が多く、引き伸ばす力で荷物を締め付ける包装資材です。製造段階で材料特性を調整し、伸ばしても破れにくく、元に戻ろうとする弾性が高い点が特徴です。片面あるいは両面に微細な粘着性を持たせ、テープを使わずに重なり部分が自己接着し、梱包作業を短時間で完了させます。

厚さはおよそ数十µm程度の製品が多いです。軽量でも十分な強度を得られるため、フィルム使用量を抑えやすく、環境負荷の低減にも寄与します。透明性が高いため、バーコードや荷札が透けて読み取りやすく、内容物の目視確認も容易です。さらに発泡スチロールや紙と異なり粉塵が出にくく、クリーンな作業環境を保ちやすい点も現場で重宝されます。

ストレッチフィルムの使用用途

ストレッチフィルムは以下のような用途で使用されます。

1. 物流・倉庫

パレットに積載した段ボールや樹脂コンテナ全体を螺旋状に巻き付け、輸送中の振動や荷崩れを抑制します。フィルムの弾性が荷物を締め付け続けるため、結束バンドや帯鉄の代替として活用することが可能です。作業者が専用工具を扱う手間や、金属片の処理を省けます。透明性のおかげで荷札をはがさずに仕向地の確認ができ、仕分け時間の短縮も実現します。

2. 製造業

電子部品や金属加工部品を一時保管する際に活用されます。電子部品の場合は静電気防止機能を有する製品を選定し、金属部品は防錆剤含浸製品を選択します。これにより、錆び・ホコリ付着を防ぎつつ保護・集積を行うことが可能です。段ボール箱と組み合わせて、生産から納品まで一貫した品質維持に役立ちます。

3. 一般家庭・簡易梱包

引っ越しや季節品の収納時に家具同士を固定したり、工具箱の中身が開かないようまとめたりする用途で活躍します。はさみなどを用いず手で切れる薄膜仕様の製品も販売されており、梱包資材になじみのない利用者でも気軽に扱えます。様々な目的に応用できる便利な製品です。

アルミねじ

アルミねじとは

アルミねじとは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を素材として作られたねじです。

アルミニウムは密度が鉄のおよそ3分の1と小さく、同じサイズでも質量が大幅に抑えられます。これにより、運搬や組み立て作業の負担が軽減し、製品全体の軽量化にも寄与します。また、アルミニウムは表面に自然に酸化被膜を形成し、内部を空気や水分から保護する高い耐食性を示します。鉄ねじのように赤さびが広がって固着する心配が少ない点は、メンテナンス性の向上につながります。

強度面では鋼製ねじに劣りますが、近年はマグネシウムやシリコンを配合した高強度アルミ合金も普及しています。これにより、中程度の荷重に十分に耐えられます。軽さや耐食性、加工性を併せ持つことから、輸送機器から生活家電まで幅広い分野で活用される部品です。

アルミねじの使用用途

アルミねじは以下のような用途で使用されます。

1. 輸送機器・先端機器

自動車やオートバイなどの車両では、部品ごとの軽量化が燃費や運動性能の向上に直結します。エンジン周りのカバーや内外装部品の固定にアルミねじを使用することで、車体全体の軽量化に貢献します。また、ドローンや産業用ロボットアームなど、軽さが性能を大きく左右する製品においてもアルミねじは不可欠な部品となっています。

2. 建築

建築分野では外壁パネルや内装材の固定に、部材の色に合わせたカラーねじが使用されます。これにより、統一感のある美しい外観を演出することが可能です。単なる締結部品としてだけでなく、製品の付加価値を高める装飾的な要素としても活躍しています。

3. 食品・医療

食品を扱う機械や医療機器の分野では衛生管理が重要であり、錆を排除することが重要です。アルミねじは優れた耐食性を有し、クリーンな環境を維持するのに役立ちます。さらに、強い磁場が発生するMRIなどでは、ねじ自体が磁気を帯びてしまうと正確な計測の妨げになります。このように磁気を排除する必要がある場面で、非磁性体であるアルミねじを選定することがあります。

筐体設計

筐体設計とは

筐体設計とは、製品を安全に包む外箱を設計するサービスです。

筐体とは、機械や装置の内部部品を覆って保護するためのカバーや外装を指します。この筐体を設計する作業が筐体設計です。筐体の役割は内部部品を物理的な衝撃や水分などから守るだけではなく、製品全体のデザイン性や使いやすさを決定づける重要な要素でもあります。

例えば、利用者が手で触れる部分や、スイッチの配置などによって製品の操作性は大きく変化します。また、内部の部品が発する熱を効率的に逃がす放熱性能を確保することも、製品の安定した動作には不可欠です。設計の際には強度やコスト、そして見た目の美しさといった様々な要求を考慮する必要があります。筐体設計はプラスチックや金属などの材料を選定し、量産しやすい形状を検討する総合サービスです。

筐体設計の使用用途

筐体設計のサービスは以下のような用途で活用されます。

1. 家電製品・電子機器

テレビやスマートフォンといった家電・電子機器では、筐体設計が製品の魅力や使い勝手を大きく左右します。これらの製品では、内部の精密部品を保護する基本的な機能に加え、利用者の感覚に訴える洗練されたデザインが求められます。また、軽さや薄さも重要視されるため、強度を保ちながら可能な限り無駄を削ぎ落とした設計が必要です。

2. 産業機械・制御装置

工場などで使われる産業機械や制御装置の筐体の設計にも活用されます。製造現場では振動や油の飛散が日常的に起こりうるため、外部環境から内部機器を確実に保護する構造が不可欠です。また、作業者の安全を確保する役割も担っており、感電などの危険から人を守るための安全基準を満たす必要があります。

3. 医療機器

医療機器の筐体は高レベルの安全性と衛生面への配慮が求められます。患者や医療従事者が触れることを前提に安全な材料を使用し、洗浄や消毒がしやすい滑らかな形状に設計されることが一般的です。また、機器の誤作動は人命に関わるため、電子回路を電磁波などから保護する性能も重要視されます。

災害用浄水器

災害用浄水器とは

災害用浄水器とは、自然災害時に安全な飲料水を確保するための非常用装置です。

災害により水道が断水すると、生活に不可欠な水の供給が困難になります。こうした緊急時に、河川水、雨水、井戸水、池の水などをろ過し、飲用可能な水に変えるのが災害用浄水器の役割です。

一般的な浄水方式には、0.1ミクロン以下の中空糸膜フィルター、活性炭フィルター、ウイルス除去フィルターなどがあり、細菌やウイルス、不純物、臭気などを除去できます。ポンプ式や重力式、携帯型や大型装置など、さまざまなタイプが存在し、使用場所や人数に応じて選べます。

電源不要の製品も多く、防災備蓄品として個人・家庭・自治体での需要が高まっています。被災時の水の確保は、命を守る上で最優先される事項の一つであり、災害用浄水器はそのための有効な対策となります。

災害用浄水器の使用用途

1. 避難所での飲料水確保

災害発生後、避難所では数十人〜数百人が共同生活を送ることになりますが、水道が復旧するまでには時間がかかることが多くあります。この間、飲料水や調理用水を確保するために、活躍するのが災害用浄水器です。大型の浄水器であれば、近くの川や池の水を大量に浄化し、複数人で安全に使用できます。災害時に広く使用されている事例として、各地の自治体が避難所に配備するケースが増えています。

2. 個人や家庭での非常時備蓄用

家庭で災害用浄水器を備えておくことで、断水時でも安全な水を確保することが可能です。携帯型や手のひらサイズのモデルは、ペットボトルなどに装着して使うことができ、持ち出し用の非常袋にも収納しやすいのが特長です。備蓄している水が尽きた場合でも、雨水やため水を浄化して飲用できるため、家族の命を守る備えになります。

3. アウトドア・遠隔地での利用

山間部や河川周辺での登山、キャンプ、野外活動においても災害用浄水器は有用です。現地の水を浄化して飲むことで、飲料水を持ち運ぶ負担を減らせるほか、万が一の遭難や災害発生時にも即座に対応できます。アウトドア用途で使い慣れておくことで、実際の災害時にも慌てず操作できるというメリットもあります。

業務用消臭剤

業務用消臭剤とは

業務用消臭剤とは、家庭用と比較して消臭効果や持続性が高く、広範囲の悪臭に対応する消臭製品です。

家庭用の消臭剤が特定の空間や限られた臭いを対象とすることが多いのに対し、業務用は強力かつ多種多様な悪臭に対応できる製品です。良い香りで悪臭を包み込むマスキング方式だけでなく、悪臭成分を化学分解して無臭物質に変える化学的消臭方式などが採用されます。製品の形態も多様で、空間に持続的効果を発揮する置き型タイプや用途に応じて濃度調整できる濃縮希釈タイプなどが販売されています。

業務用消臭剤は使用環境や悪臭の種類に応じて最適な製品を選べるように、成分や形状が細かく想定されている点が大きな特徴です。清掃現場の厳しい要求に応えるため、高い性能と汎用性を兼ね備えています。

業務用消臭剤の使用用途

業務用消臭剤は以下のような用途で使用されます。

1. 宿泊施設・飲食店

ホテルや旅館などの宿泊施設では、客室に残るタバコ臭や体臭などを短時間で消し去る必要があります。また、レストランや飲食店の厨房では、調理中に発生する油の臭いや生ゴミの腐敗臭に対して常時対策が求められます。このような快適な環境維持がサービス品質に直結する場所において、強力で即効性のある業務用消臭剤は不可欠な存在です。

2. 介護・医療施設

病院や介護施設では衛生管理が極めて重要であり、空間を清潔に保つことが求められます。これらの施設では排泄物や体臭の臭気が発生しやすく、利用者や職員の快適性を損なう原因にもなり得ます。業務用消臭剤は、こうした複合的な臭いを根本から分解・消臭することで、衛生的な環境を維持する重要な製品です。

3. 商業施設

オフィスビルや大規模な商業施設など、専門の清掃業者が管理する場所でも業務用消臭剤は広く使用されます。日常的な清掃で発生するゴミの臭いはもちろん、カーペットに染みついた臭いやペット関連施設における動物臭など、特殊で頑固な悪臭の除去にも対応します。美観を整えるだけでなく、臭いという観点からも快適な環境を作り出すために必須の製品です。

グリストラップ洗浄剤

グリストラップ洗浄剤とは

グリストラップ洗浄剤とは、厨房の油脂を分解する専用洗剤です。

排水設備の一つであるグリストラップは、油脂が排水管へ流れ出す前に水との比重差で浮上した油脂をためる装置です。ただし、内部に蓄積した油脂が固化すると、悪臭や害虫の原因となる恐れがあります。本洗浄剤は、この蓄積油脂を化学的または生物学的手法で分解・乳化させ、排水設備を回復させる役割を果たします。

化学的手法ではアルカリ剤や界面活性剤が油脂を石けん化し、水に溶けやすい状態へ変化させる仕組みです。生物学的手法では微生物が分泌するリパーゼという酵素が油脂を分解する仕組みで、環境への負荷が比較的小さい点が特徴です。いずれのタイプも定期的に使用することで、日常清掃の労力を減らし、排水設備の長寿命化と衛生環境維持に貢献します。

グリストラップ洗浄剤の使用用途

グリストラップ洗浄剤は以下のような用途で使用されます。

1. 飲食店

調理で発生する油が大量に流入する小規模グリストラップでは、短期間で油脂層が厚くなります。洗浄剤を日次投入すると、従業員の手作業によるすくい取り回数が減り、閉店作業の時間短縮と悪臭抑制が両立できます。換気扇や壁面に付着する油煙も抑えられ、店舗全体の清潔感を向上させることが可能です。

2. 食品加工工場

揚げ物や調味液を扱う工場では、大容量グリストラップが二十四時間稼働します。高濃度油脂が沈降槽まで到達すると処理コストが跳ね上がります。したがって、バクテリア系洗浄剤を自動定量ポンプで連続注入し、流入直後に分解を開始させる方式を採用することが多いです。設備停止を最小化しながら水質基準を満たせるため、環境監査対策として導入が進んでいます。

3. 宿泊・医療施設

ホテルや病院の厨房は深夜帯でも軽食や給食を提供するため、清掃時間が限られます。生ゴミと油脂が混ざった複合臭の拡散を防ぐ目的で、柑橘系溶解剤と酵素を組み合わせた製品が好まれます。薬剤投入だけで安全に作業でき、患者や宿泊客が感じる不快臭を低減し、快適なサービス環境を維持できます。

シルクスクリーン印刷

シルクスクリーン印刷とは

シルクスクリーン印刷とは、細かい網目の版にインクを押し出して絵柄を写す印刷サービスです。

ポリエステルやステンレスなどで出来たメッシュの版を用い、孔の開いた部分だけにインクを通過させて紙や布へ転写する技術です。過去は版に絹を使用されていましたが、現在は耐久性に優れた合成繊維が主流です。印刷時にはゴム製ヘラでインクをこすり、メッシュ孔を通して下地にインク膜を形成します。膜厚が厚く、発色が鮮やかで耐候性も優れている点が特徴です。

蓄光などの特殊インクにも対応でき、機械化することで大量生産も可能です。曲面や立体物にも印刷しやすく、最小限の設備投資で多素材に対応しやすい柔軟性を有します。家庭向けの簡易キットも市販されており、専門知識がなくても試しやすい身近な印刷技術です。

シルクスクリーン印刷の使用用途

シルクスクリーン印刷を代行するサービスなどは、以下のような用途で使用されます。

1. 衣類・ファッション

Tシャツやトートバッグなどの布製品へ図柄を転写する用途が代表例です。厚いインク膜が繊維に深く絡み、洗濯を繰り返しても色落ちしにくい点が重宝されます。少量生産でも比較的安定したコストで仕上がりがそろうため、学園祭のオリジナルグッズやアパレルブランドの限定品作成に活用されます。

2. 産業部品・電子機器

電子回路基板の配線パターン形成やガラス基板への導電ペースト印刷にも応用されます。メッシュを極細にすればインクを薄く均一に塗布できるため、タッチパネル電極や抵抗器といった精密部品の品質向上にも寄与します。耐熱インクを用いれば高温工程にも耐えるため、製造工程の簡素化と信頼性向上が期待できます。

3. 広告・アート

屋外看板やポスターなど、大判媒体の製作でも強みを発揮します。耐光性の高いインクを厚く盛ることで、日射や摩耗にさらされる環境でも彩度を維持することが可能です。アート分野では意図的に版をずらして刷り重ねる独特の風合いが確立しており、アーティストが一点物の作品制作に取り入れています。

産業廃棄物コンテナ

産業廃棄物コンテナとは

産業廃棄物コンテナとは、事業活動で出るごみを安全に収容する箱です。

厚い鋼板や強化プラスチックで作られており、漏えいや飛散を防ぐ構造を採用することが多いです。内部は洗浄しやすい形状であり、薬品や油を含む廃棄物でも腐食しにくい耐候性塗装が施されます。運搬車両に合わせてフォークリフト用の差し込み口やクレーン用の吊り金具が付属し、現場から処分場までの搬送を効率化します。

また、蓋がある製品の場合、気密性を高めるパッキンが悪臭や有害ガスの拡散を抑制し、作業者の健康を保護する役割を果たします。廃棄物処理法の容器基準に適合することが前提であり、リサイクルの前段階として分別保管を支える要素にも位置づけられます。廃棄物管理の効率と環境保全の両立を実現する用品の一つです。

産業廃棄物コンテナの使用用途

産業廃棄物コンテナは以下のような用途で使用されます。

1. 製造業

製造業の製造過程では、廃プラスチックや汚泥・廃油など、廃棄物が継続的に発生することが多いです。これらの廃棄物を種類ごとに分別して保管するために、産業廃棄物コンテナが活用されます。定期的にコンテナを交換する運用方法をとることで、工場内の廃棄物保管スペースを最小限に抑えつつ、清浄な生産環境を維持することが可能です。

2. 建設・解体

建設工事や建物解体現場では、がれき類や金属くずといった多種多様な産業廃棄物が大量に発生します。これらの廃棄物を分別し、効率的に管理するために産業廃棄物コンテナは不可欠です。現場に複数のコンテナを設置し、種類ごとに廃棄物を投入することで、後のリサイクル処理がスムーズに進みます。また、廃棄物をコンテナ内にまとめておくことで、現場の安全性確保にも寄与します。

3. 倉庫・物流

パレット交換時に発生する破損木材や梱包バンド、段ボールなどを廃棄するためにまとめる容器として利用されます。種類ごとにコンテナを分けて管理することで、整理整頓が保たれ、作業効率と安全性が向上します。内部に滑り止めを施された製品を選定することで、軽量な包装材が風で舞い上がらず、安全通路を確保できます。

ドラム缶

ドラム缶とは

ドラム缶とは、鋼板を円筒状に成形した大型容器です。

標準的な容量は200Lで、国際的に広く利用されています。材質は主に冷延鋼板が使用されており、プレス加工 (製缶加工) によって成形します。この鋼鉄製の胴体には、強度を高めつつ転がしやすくするための輪が数本設けられているのが特徴です。

ドラム缶には2つの種類に大分されます。一つは天板が胴体に固定されたクローズドタイプで、主にガソリンや灯油といった低粘度の液体を密封状態で輸送・保管するのに有利です。もう一つは天板全体を取り外すことができるオープンタイプで、固体や高粘度液体などを出し入れしやすいドラム缶です。内容物の性質や用途に応じて最適な製品を選定します。頑丈な構造と標準化された形状により、世界中の物流において重要な役割を担う容器です。

ドラム缶の使用用途

ドラム缶は以下のような用途で使用されます。

1. 石油・化学製品

原油や潤滑油などを密封し、長距離海上輸送する場合に使用されます。また、危険物倉庫で貯蔵する際も、堅牢で密封性の高いドラム缶であれば安全です。ねじ込み口をガス抜き弁付きのキャップに交換できるため、温度変化による内圧の上昇を緩和でき、夏季の屋外保管でも内容物の漏れを防げます。

2. 食品・医薬原料

食用油や果汁濃縮液及び医薬原薬など、高純度が求められる液体や粉体を輸出入する際に利用されます。内面にエポキシ系ライニングを施工すると金属イオンの溶出防止ことができ、味や品質への影響を最小限に抑えることが可能です。オープンタイプなら内袋を併用して小分け充填や洗浄を簡便に行えます。

3. 産業廃棄物・一次保存

使用済みドラム缶は、洗浄後に廃油や汚泥など産業廃棄物の一時保管容器として再活用されます。また、耐圧性と運搬性の高さを生かし、災害時の飲料水・燃料備蓄槽や雨水タンクなどの資材にも代替させることが可能です。鋼材としてのリサイクル率が高く、内容物を空にした後も資源循環の中で長く役立つ点も特徴です。

負熱膨張材料

監修:三井金属鉱業株式会社

負熱膨張材料とは

負熱膨張材料とは、温度が上がると縮む固体です。

一般的な物質は温度が上がると原子間の平均距離が広がり、体積が膨張します。負熱膨張材料は全体が緻密になり、体積が減る材料です。代表的な材料例は酸化ジルコニウムやジルコンを基にした結晶で、分子間の特殊な結合角が発現要因とされています。

このユニークな性質を利用することで、熱による寸法変化を打ち消すことが可能です。一般的な正の熱膨張を示す材料と負熱膨張材料を適切に組み合わせることで、温度が変化しても全体の寸法がほとんど変わらない、ゼロ膨張材料を作り出すこともできます。近年は粉末冶金や3Dプリント技術の進歩により、複雑形状への成形も可能となり、実用化へのハードルが下がっています。

負熱膨張材料の使用用途

負熱膨張材料は以下のような用途で使用されます。

1. 半導体パッケージ・PCB

負熱膨張材料は、熱による膨張を抑制する特性を持ち、異種材料間の熱膨張差による応力を緩和する目的で使用されます。先端半導体パッケージや高密度実装プリント基板 (PCB) においては、寸法安定性の向上や信頼性確保のために重要な役割を果たしています。

2. 精密光学機器

望遠鏡のミラー保持部やレーザー干渉計の支持構造では、わずかな熱変形が焦点距離や光路長を乱します。負熱膨張材料をアルミニウムフレームなどと貼り合わせると、正と負の膨張が相殺され、広い温度範囲で位置ずれを抑えることが可能です。これにより、長時間観測でも像がぼやけず、高い測定精度を維持できます。

3. 半導体装置

フォトリソグラフィーで用いるステージやマスクブランクスには、高速加熱・冷却に伴うムラが発生します。基材の一部を負熱膨張材料に置き換えることで、nmオーダーの位置決め誤差を防止可能です。結果として、歩留まり向上やライン停止リスク低減に貢献します。

4. 航空・宇宙

炭素繊維強化樹脂は軽量ですが、方向によって膨張率が異なります。負熱膨張材料を適切な配合で分散させると、均一に近い膨張特性を再現することが可能です。航空機のパネルや宇宙機のアンテナ基材など、温度環境が極端な場面で形状安定性を向上させます。複合材設計の自由度が高まるため、重量と剛性の最適バランスを図りやすくなります。

本記事は負熱膨張材料を製造・販売する三井金属鉱業株式会社様に監修を頂きました。

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