CO₂溶接とは
CO₂溶接とは、シールドガスとして二酸化炭素 (CO₂) を使用するアーク溶接の一種です。
溶接ワイヤを送り出しながら電極として使用し、アーク熱で母材と溶接ワイヤを溶かして接合する溶接方法です。
この溶接方法では、溶接部の周囲をCO₂ガスで覆うことで、大気中の酸素や窒素が溶接部に混入するのを防ぎます。CO₂ガスはアーク放電によって分解され、溶接部の雰囲気を還元性に保つため、良好な溶接品質を得ることができます。また、CO₂ガスは他のシールドガスと比較して安価であり、経済的な溶接が可能です。
CO₂溶接の特徴として、深い溶け込みが得られ、高能率な溶接作業が可能なことが挙げられます。自動化や半自動化にも適しており、作業効率の向上に貢献します。
一方で、スパッタ (溶接時に発生する金属の飛散) が比較的多く発生するため、必要に応じて適切な対策が求められます。また、溶接条件の調整が重要で、電流値、電圧値、ワイヤ送給速度、溶接速度などのパラメータを適切に設定することで、最適な溶接品質を確保することができます。
CO₂溶接の使用用途
1. 建築鉄骨の接合
建築物の鉄骨構造物の製作において、柱や梁などの接合に広く使用されます。高い強度が要求される部位の溶接に適しており、大型構造物の製作を効率的に行うことが可能です。また、現場での溶接作業にも対応が可能で、建築現場での補修や改修工事にも活用できます。さらに、溶接時の姿勢を選ばないため、様々な施工条件に対応できることも大きな利点です。
2. 産業機械の製造
プラント設備や工作機械、建設機械などの製造において、フレームや部品の接合に使用されます。厚板の溶接や長尺物の溶接にも対応でき、高い生産性を実現可能です。自動溶接システムと組み合わせることで、品質の安定化と作業効率の向上を図ることができます。また、複雑な形状の部材でも確実な溶接が可能で、高い信頼性が求められる産業機械の製造に適しています。
3. 自動車部品の製造
自動車のフレームやボディパネル、マフラーなどの部品製造に活用されます。薄板から中板まで幅広い板厚に対応し、高速溶接が可能です。ロボット溶接システムと組み合わせることで、複雑な形状の部品も効率的に製造できます。また、量産ラインでの品質管理にも適しており、安定した溶接品質を確保できます。