DCソレノイド

DCソレノイドとは

DCソレノイドとは、コイルに印加した電磁力の電気的エネルギーを、可動鉄心による直線駆動の機械的エネルギーに変換する電気部品です。

そのアクチュエータとしての機能をコイルと可動鉄心を組み合わせた部品で実現しています。一般的なソレノイドは、可動鉄心を引き込むためプル型動作が基本です。

さまざまな可動鉄心の先端形状や駆動部の組み合わせることで、「引く・押す・止める・打つ・曲げる」などの動作を安価に実現できます。そのため、家電製品やATM、自動の販売機や改札機、自動ドアなど、工業機械用途に限らず、日常生活でのさまざまな用途で使用されています。

DCソレノイドの使用用途

DC ソレノイドは、制御性や応答性の良さに加え、可動鉄心や先端形状によって、引く、押す、止める、打つ、曲げるなどさまざまな動作を安価に実現可能なため、日常生活の周辺の機械や装置向けに実にさまざまな用途で利用されています。

主な使用用途は、自動販売機の硬貨選別機、電車のプラットホームの自動ドアや改札機、駐車場や自動ドアのロック機構、ATM内の制御機器、マンションやコンビニに設置されている宅配BOXなどです。

DCソレノイドの原理

DCソレノイドの原理は、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいています。コイルを流れる電磁力の電気的エネルギーを、可動鉄心による直線駆動の機械的エネルギーに変換しますが、一般的なソレノイドは可動鉄心を引き込むためプル型動作が基本です。

また、DCソレノイドは、ACソレノイドと比較して、通電時の突入電流が発生せず、動作音も小さいことが特徴として挙げられます。通常は、本体フレーム、コイル、バネ、固定鉄心、可動鉄心の構成部品にて成り立っています。

コイルに電流が流れると同時に磁界が発生し、電磁誘導により固定鉄心に可動鉄心が吸い寄せられることで、プル型の動作を実現可能です。通電している間は固定鉄心に可動鉄心が吸い寄せられ、通電を遮断すると同時にバネの力で可動鉄心が戻ります。

一方、このプル型の基本動作に対して、固定鉄心にプッシュバーを備えることで、可動鉄心が吸い寄せられると同時にプッシュバーを押し出すプッシュ型もあります。これらの先端形状を変更することで、さまざまな動作を安価に実現できます。

DCソレノイドのその他情報

1. ACソレノイドとDCソレノイドの違い

ACソレノイドは、DCソレノイドよりも起動電流や吸引力が大きい特徴を有します。しかし、ACソレノイドでは可動中に過負荷が発生し、ロックされてしまうと大電流が流れ続けて、コイルが焼損してしまいます。よって、ACソレノイドを採用する際には、温度ヒューズや過電流保護等の安全を配慮した設計が重要です。

これに対して、DCソレノイドでは、電流そのものが微小で吸引力も小さいので、可動部が過負荷状態やロックにしてしまっても、コイルが焼損するようなことはありません。DCソレノイドの方が安全性に関しては優れていますが、一般に性能そのものはACソレノイドには劣るため、使用条件による使い分けが必要です。

2. 自己保持ソレノイド

自己保持ソレノイドとは、高性能な永久磁石を組み込んだソレノイドコイルに、一瞬だけ通電することです。通称プランジャと呼ばれる可動部が吸引し、その後は永久磁石によって、可動部が保持されるソレノイドを言います。

通電時間が短いため、超省エネを目指した電気機器に最適なリニア可動タイプのソレノイドであり、例えば蓄電池の動作寿命を延ばし、温度上昇を低下させたい場合に効果がある部品です。コイルに通電されると、可動部が1方向に吸引して保持する1方向の保持型と1方向の保持型をシリーズ接続させ、それぞれのコイル巻線部に電気を通すことによって、2方向に可動して保持しようとする2方向保持タイプの2種類があります。

自己保持型ソレノイドの磁極形状は、1方向保持型では円錐タイプと水平タイプの2種類です。2方向保持タイプのソレノイドでは、ストロークが決まっているため、円錐タイプだけが標準となっています。ストロークの大きさと保持力の大小で磁極形状は使い分けるため、事前に各ソレノイドの特性カーブの仕様をよく確認することが大切です。

参考文献
https://www.takaha.co.jp/technological/action.html
http://www.kdengyo.co.jp/catalogdl/pdf/automation19.pdf
https://smt.shindengen.co.jp/product/download/pdf/smtcom15.pdf
https://smt.shindengen.co.jp/product/lineup/seihin/c/act/selfhold/

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