屈折計

屈折計とは

屈折計

屈折計 (英: Refractometer) とは、試料の屈折率を測定する装置です。

光源波長・温度・圧力が一定のとき屈折率は物質固有の値をとるため、物質の同定や純度試験に使われます。また、果汁や飲料の糖度測定に使われる「Brix糖度計」も屈折計の一種です。Brix糖度計は、試料溶液中の糖類の濃度が屈折率に影響することを利用しています。

屈折計を使用する際は、温度や試料濃度が影響するため、安定した温度条件のもとで精密に試料調整を行う必要があります。

屈折計の使用用途

屈折計は物質の屈折率を定量的に測定可能で、屈折率は物質により変わるため、純度の目安となります。より詳細に純度を調べるにはHPLCやGCによる分析が必要ですが、簡便に素早く測定するには屈折計が最適です。

1. 食品産業

食品の糖度、塩分、蜜度などの成分を測定し、品質管理や製造工程の管理に利用されています。食品の糖度を測定するBrix糖度計は、測定部に果汁や飲料を乗せて屈折率を測定しています。

屈折率は糖類 (グルコース、フルクトース、スクロースなど) の濃度と相関するため、屈折率をBrix糖度 (単位:°Bx) に変換して表示可能です。

2. 薬品産業

化学物質の濃度、純度、密度を評価し、新薬の開発や品質保証に活用されています。

3. 生物学研究

生体試料 (血液、尿など) の成分を測定し、医学研究や診断に利用されています。

4. 化学研究

化学反応のモニタリングや液体の組成分析に使用されています。

5. 環境科学

水質や海洋学の研究において、水中の物質の性質を調査するために利用されます。

屈折計の原理

屈折計で一般的に用いられる「臨界角法」を例に、原理を解説します。

  1. 光源からナトリウムスペクトルのD線がプリズムに向けて照射されます。
  2. プリズムから試料へ入射する際、光の屈折が起きます。
  3. 屈折光を検出器がとらえ、入射角と屈折角をもとに試料溶液の屈折率を表示します。

光源波長・温度・圧力が一定のとき、屈折率は物質固有の値です。食品や医薬品の品質管理では、各品目の屈折率に管理範囲を設けるなど、純度管理に活用される場合があります。

臨界角法の他に、最小偏角法やVブロック法でも屈折率を測定可能です。それぞれ特徴があるため、用途に応じて測定方法を選択する必要があります。

屈折計の構造

屈折計はプリズム、光源、検出器から成ります。光源と検出器は装置内部にありますが、プリズムは装置表面に露出しています。プリズムの上に試料溶液を乗せ、物質を屈折させることで屈折率を測定可能です。

屈折計の種類

1. 液体屈折計

液体の屈折率を測定するのに使用されます。主に化学や生物学、食品の分野で使用され、試料を液体状態で測定可能です。Brix糖度計も液体屈折計に分類されます。

液体試料をセルに入れ、セルを屈折計に取り付けて測定します。液体屈折計では、最小偏角法、臨海角法、Vブロック法の3つの測定方法で測定可能です。

2. 固体屈折計

固体試料の屈折率を測定するために使用されます。結晶、フィルム、膜、繊維などの屈折率を測定することが可能です。主に物性研究や結晶学で使用されています。

液体屈折計と同様に、最小偏角法、臨海角法、Vブロック法の3つの測定方法で測定可能ですが、フィルム試料の場合は、臨海角法でのみ利用できます。

3. ハンドヘルド屈折計

ハンディタイプや卓上タイプの屈折計が販売されており、農作業場や工場に持ち込んで使用する場合は、ハンドヘルド屈折計がよく用いられています。

屈折計のその他情報

1. 規格

屈折計の測定規格は、対象物ごとに定められています。主に日本産業規格 (JIS規格) 、米国試験材料協会 (ASTM) 規格、ISO規格、日本光学硝子工業会規格 (JOGIS) に沿った測定が行われています。

2. 屈折率

光は一様な媒質中を直進しますが、性質の異なる媒質に出会うと境界面で反射や屈折を生じます。また、不均一な媒質の中では光線は連続的に曲がります。

このような、光線の軌跡を決めるのが屈折率であり、光学において最も重要な物質定数です。屈折率は「真空中の光の位相速度/物質中の光の位相速度」で表されます。

参考文献
https://www.shimadzu.co.jp/products/opt/guide2/02.html

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