リードリレーとは
リードリレー (英: reed relay) とは、駆動コイルに電流を流すことによって、作動する電磁スイッチです。
1つ以上のリードスイッチの周囲に電磁コイルを組み合わせたもので、電磁力により開閉する小型のリレーで構成されています。コイルに発生する磁界によって、機械的に接点を作動させるので、半導体スイッチなどに比べて、作動していない時の電流の漏れが非常に少ないことが特徴です。
入力側と出力側で独立しており、極性がないため、取り付け時のミスの削減などに役立ちます。圧力に対して強く、絶縁性が高く、防塵性や外部のガスの影響を受けにくい長所もあります。
リードリレーの使用用途
リードリレーは、様々な電気機器に使用されます。現在のリレーの主流は半導体リレーですが、半導体リレーの使用に適していない用途で多く使用されます。
リードリレーの使用に適している環境は、以下の通りです。
- 半導体リレーのオープン時に、微弱に流れる漏れ電流の影響が大きい電気機器
- 半導体に対して汚染する物質がある環境で動作させる必要がある電気機器
- リレーに使用する回路が非常に高電圧の場合や、高圧の環境の場合
なお、具体的な使用例は以下のとおりです。
- 電気自動車の蓄電池、太陽光電池
システム電圧が高電圧になり、DC1,500Vを越す電圧でも安定した動作が必要で、リードリレーが使われます。 - 医療機器
信頼性の高いスイッチが必要で、電気メスの制御、ベッドの位置検出回路、AEDの高電圧充電回路、手術器具の体内取り残し検出などの用途です。
リードリレーの原理
リードリレーは、リードスイッチとコイルで構成されます。リードスイッチは、不活性ガスが密閉されているガラス管の中に、2つのリードが隙間を空けて入っている構造です。リードスイッチの中のリードは、磁石の力を受ける磁性体で作られ、互いのリードが駆動時に接する接点は、高通電性の金属が取り付けられています。
リードスイッチの外側のコイルに電流が流れたときに発生する磁界により、リードスイッチ内の2つのリレーが接します。接点に電気が流れ、リレーとして機能します。リードリレーの駆動時は、コイルによって磁界が発生します。
そのため、周囲の電子部品に影響を及ぼす可能性があり、取り付け位置や使用条件に注意が必要です。また、リードリレーを使用する回路には、火花消去の回路を入れることや、一時的な高電流への保護回路、逆電流への保護回路を取り付けることなど、正しく使用する必要があります。
リードリレーの特徴
リードリレーは、他のリレーと比較して、多くの特徴があります。
- 半導体スイッチと比べ、機械的なスイッチのため、接点が開時、リーク電流が極微少
- 入力・出力とも極性の指定がなく、作業ミスが減少
- 一般に高耐圧、高絶縁
- 一般的な電磁リレーと比較すると、接点部が密閉構造で、塵埃・有機ガス類の影響が小
- 小型・軽量・長寿命
- 動作・復旧時間が約1/10で高速
リードリレーのその他情報
1. リードリレーの寿命
リレーには、電気的寿命と機械的寿命が存在します。
電気的寿命
コイルに定格電圧の負荷をかけることで、リードスイッチを開閉させる抵抗負荷試験での寿命です。電気的寿命は、負荷のボリューム、負荷のバラエティ、開閉の頻度、温度コンディションなどにより、リレーの寿命が違ってきます。
機械的寿命
負荷をかけない無負荷試験での寿命のことです。リレーは機構部品であり、開閉によって部品自体の疲労や消耗が生じます。こちらも、温度コンディションやコイル定格電圧以上の負荷を加えたケースなど、使用する環境によりリレーの寿命が違ってきます。
2. リードリレーの使用上の注意点
リードリレーを使用する上での重要な注意事項は、洗浄と磁気干渉です。
洗浄
リレーコイルのリード部分は、ガラス管で密閉されているため、洗浄によってリード部分の特性が劣化することはありません。ただし、製品を洗浄する際には必ず専用のクリーナーを用いて洗浄を行う必要があります。
磁気干渉
リレーコイルによって生じる磁界は、外部環境に対して影響を与えます。特に密着実装の場合は、リレー同士での磁気干渉によって正常に作動しない場合があります。そのため、磁気シールドされていないリレーは、リレー間の距離を最低15mm以上離して実装する必要があります。
さらに、トランスや永久磁石のような強力な磁界を発生する物体がある場所での使用は、誤作動の原因になるため、使用を控えるのが必要です。
参考文献
http://www.okita.co.jp/system/App/TechnicalInformation/file1s/000/000/002/original/tech_info.pdf
https://ac-blog.panasonic.co.jp/