防虫フィルム

防虫フィルムとは

防虫フィルムとは、夜間に人工の光に引き寄せられて集まって来る虫を防ぐフィルムです。

窓ガラスに貼って使用します。防虫フィルムには、人間の目に見える領域の波長の光 (可視光) は通し、虫を引き寄せるとされる紫外線を遮断する効果があります。色は無色透明が基本ですが、着色されたものもあります。

防虫フィルムが効果を発揮する虫は、夜間に光の周りに集まって来る、正の走光性を持つ虫です。ゴキブリのように、光を嫌う負の走光性を持つ虫には効果がありません。殺虫機能はありませんが、付加機能として表面に殺虫効果がある薬剤を塗り込んだフィルムもあります。

防虫フィルムの使用用途

防虫フィルムは、建築物のガラス窓や、ガラスのドアに貼ります。虫を引き寄せる紫外線をカットする一方で、外の景色は見えるので、一般のマンション、アパート、一戸建ての住居などでも使用されます。

コンビニエンスストアやレストラン、商店などでは夜間に店内の光を外に出すことで、店が営業中であることを知らせていますが、光で虫が集まってくることは避けなければなりません。そこで防虫フィルムを貼って、虫が集まって来るのを防いでいます。

防虫フィルムの原理

夜間に蛍光灯などの光に集まって来る虫のことを正の走光性のある虫と言います。正の走光性を持つ虫としては、蛾、カナブン、ユスリカ、カゲロウ、セミなどがあげられます。逆に、光を避ける虫のことを負の走光性がある虫と言い、ゴキブリなどが挙げられます。

虫がなぜ走光性を持つのかは、はっきりとはわかっていませんが、正の走光性を持つ虫は、波長が主に300nm~400nmの光に集まってくることが知られています。人間の可視領域はおおむね400nm~800nmなので、光を感じる領域がずれていることがわかります。

防虫フィルムはこの違いを利用して、主に400nm以下の波長の紫外線領域にある光をカットすることで、虫が寄って来るのを防ぎます。従って、防虫フィルムの本質は、紫外線をカットする透明の機能性フィルムです。

夏の夜にはコンビニエンスストアの入り口付近にある殺虫灯に虫が集まっていますが、ガラスを透過してくる店内の灯りには集まりません。これは、殺虫灯からは紫外線が出ていて、店のガラスからは紫外線が出ていないからです。

防虫フィルムの種類

防虫フィルムには、窓や扉の内側に貼るタイプと、外側に貼るタイプがあります。防虫フィルムは紫外線が通り抜けるのを遮断するので、日焼けを防ぐ効果も期待できます。さらに、IR (赤外線) をカットして断熱効果があるものや、地震などの災害時にガラスが割れて飛散するのを防ぐ機能を併せ持った製品が多くあります。

防虫フィルムの多くが他の機能を合わせたフィルムとして製品化されているのは、窓に何枚もの機能性フィルムを重ね貼りするのではなく、複数の機能を一つにまとめた多機能フィルムを一枚貼った方が合理的だという考えに基づくものです。

さらに、フィルムに防虫効果のある薬剤を練りこんだものもあります。このタイプの製品は、正の走光性のない虫や、昼間の虫の侵入も防ぐ効果があります。薬剤は市販の防虫用品で広く用いられているピレスロイド系防虫成分を含んだもので、人体への安全基準を満たしたものであり、窓の外側に貼ります。フィルムに練りこんだ薬剤は徐々に減るため、薬剤の効果には有効期限があります。

防虫フィルムの選び方

防虫フィルムを選択する際には、他の機能が必要ないかを考えて、必要な場合は、その機能を併せ持ったフィルムを選択します。

窓は、必ず掃除する必要が生じて来るので、ガラスクリーナーを使えるのか等、掃除方法も確認しておく必要があります。また、傷つきにくさや変色のしにくさなど耐久性も考慮する必要があります。

防虫フィルムのその他情報

防虫フィルムの効果

防虫フィルムを貼った場合に、効果を数値化する手段としては、同条件下に同じタイプの光源を置き、防虫フィルムの有り無しで集まって来る虫の数を比較し、誘因阻止率として表します。

防虫フィルムが防虫効果を発揮するのは、夜間に人工の光が漏れているガラスの窓や扉であり、対象は正の走光性がある虫に限られます。負の走光性がある虫には効果がありませんが、光を嫌う性質のある虫は、夜間に窓を透過する紫外線を防虫フィルムで防ぐ必要もありません。

また、光源が蛍光灯や白熱球の場合には、波長領域の中に紫外線も含まれているので、正の走光性を持つ虫たちが集まって来ますが、LEDは種類によっては紫外線を出さないものもあり、その場合には虫が集まってこないとも言われています。LED照明は、複数の波長の光を合成して一つの色の光に見せている場合も多いため、紫外線が含まれているかどうかが分からない場合もあります。

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