防虫カーテンとは
防虫カーテンとは、工場や倉庫・部屋の入り口、廊下の途中などに設置して、建物や部屋の中に虫が入るのを防ぐビニール製のカーテンです。
形状は長方形をしており、1枚が横幅30cmほどで、入り口の高さに合わせて何枚も暖簾 (のれん) のように並んでいます。1枚1枚を長細い短冊の集まりとすることで、手を使わなくてもカーテンの向こうに行くことができます。これは台車を押したり、両手で荷物を抱えたままカーテンの両側を行き来する際に便利です。
防虫カーテンの形状には、普通のカーテンと同じように2枚もしくは1枚のシートからできています。生地は透明なビニールで、カーテンの向こうが透けて見えます。併せて電灯の明かりに虫を寄せ付けないように、紫外線を遮断する機能を持った防虫シートを使用します。
初期に登場した防虫カーテンがオレンジ色をしていたことから、防虫カーテンにはオレンジ色や黄色をしたものが多くあります。最近では、紫外線をカットする機能をもった無色透明や、薄い青や緑色をしたカーテンも製品化されています。
防虫カーテンの使用用途
防虫カーテンは、工場や倉庫などの仕事現場において使用します。特に操業時間中には常時解放状態にしているドアやシャッターで、少しでも虫の侵入を防ぎたい場所で使われます。
特に食品や医薬品を扱う工場や倉庫では、虫の侵入を阻止したい一方で、殺虫剤の使用はできるだけ控えたいものです。このような場合には防虫カーテンの使用が効果的です。
防虫カーテンの原理
防虫カーテンは、特殊なものを除いては、殺虫剤などを塗り込んで虫を駆除したり、寄せ付けなくするものではなく、それらの薬品を使わずに虫の侵入を防ぎます。紫外線を通さないことで電灯の灯りに虫が集まってくることを防ぎ、閉め忘れが起こらない構造です。
防虫カーテンの生地は紫外線をカットする特性を持っています。電灯の光に集まって来る虫は、光の中でも波長が300nm~400nm付近の紫外線領域の波長に反応して集まって来ることが知られています。それに対して、人間の目は波長が概ね400nm~800nm付近の光 (可視光) を捉えます。
防虫カーテンの生地は、紫外線をカットして可視光を通すため、電灯をつけていても虫が集まりにくくなっています。その一方で、カーテンを閉じたままでも向こう側の様子がわかるため開け閉めの頻度を少なくできます。
なお、虫には、光に集まる性質がある虫と、逆に光を嫌う性質がある虫がいます。前者を正の走光性がある虫と言い、蛾 (が) がその代表例です。後者は負の走光性がある虫と言い、その代表例はゴキブリです。
防虫カーテンの構造
防虫カーテンは、ドアやシャッターの開口部の上から、金具で吊り下げた長い暖簾のような構造になっています。人や物が防虫カーテンを通り抜ける際には、カーテンの間を分けるようにして通ります。通り抜けた後は、カーテンは重力で自動的に閉まります。従って、防虫カーテンは閉め忘れが発生しない構造になっています。
なお、防虫カーテンには、普通のカーテンと同じようにカーテンレールに吊り下げられていて、開け閉めができるタイプのものもあります。この場合、当然ですが、閉め忘れをすると虫が侵入してきます。
防虫カーテンの選び方
防虫カーテンには様々なカラーの製品が市販されていますが、選択の際には機能を重視して選択することが推奨されます。
防虫カーテンの効果を数値で表したものが誘因阻止率です。誘因阻止率の大きさは、防虫カーテンでも、製品によって異なりますので、カーテン選びの基準になります。但し、可視光の透過率や、生地の厚さの違いによる重さの違い、そして価格も誘因阻止率と関連して変わってくる場合があるので、それぞれを考えた上で選択します。
その他に、引火の危険性や火災の際のことを考えて、防炎性能を持った防虫カーテンも販売されています。
静電気に弱い部品を取り扱う工場や倉庫で防虫カーテンを使用する際には、帯電防止機能を持った製品を選択します。
防虫カーテンは、建物の外に開けたドアやシャッターで使用する場合には、多少の風が吹いても揺れ動かず、下の部分がめくれ上がらないように、ある程度の厚みと硬さが必要になります。厚みが増すとカーテンが重くなります。カーテンを吊り下げる金具は、その重さに耐えられるものを選択しなければなりません。また、寒冷地や冬季に使用することを想定して、耐寒性能を備えた製品もあります。