スパークキラーとは
スパークキラー (英:spark killer) とは、スイッチのON/OFF時などに発生するスパークやサージ電圧を抑制する装置です。
スパークが発生じた場合、回路内にある半導体素子やトランジスタがダメージを負う可能性があり、サージ電圧でも電子部品が破壊されます。
特に、直流電流の回路でスイッチを使用する場合は、スパークキラーなど、スパークに対する備えを回路内で行う必要があります。
スパークキラーの使用用途
スパークキラーは、直流電流で動作する電気機器で幅広く使用されています。特に直流電流を電源として使用する場合は、スイッチ周辺でスパークの可能性があるので、スパークキラーの使用が必須です。
交流回路でも同様な問題が発生するので、スパークキラーが使われます。スパークキラーは、定格の電圧や抵抗値、静電容量、使用適正温度などが正確に決められているので、それらを考慮して適切に選定する必要があります。
使用環境下の電圧にスパークキラーが耐えられなければ、事故の原因になるので、注意が必要です。
スパークキラーの原理
リレーなどのスイッチをON/OFFした際、負荷にインダクタンス成分を含む場合は、サージ電圧が発生します。また、スイッチやリレーなどの接点部でスパークが発生した場合、接点の寿命が短くなります。スパークキラーは、サージ電圧やスパークを減少させるための機器です。
スパークキラーは、直列でつながっている抵抗とコンデンサで構成されます。スパークキラーの時定数は、コンデンサ容量と抵抗値で決まり、サージ電圧が急激に変化しないようにします。
使用するフィルムコンデンサは、使用時に電圧が高くなり過ぎないように、十分余裕も持った静電容量の大きさを選択する必要があります。抵抗については、サージに対する耐性が十分にある抵抗器を選択します。
スパークキラーの選び方
スパークキラーは、抵抗RとコンデンサCの直列回路の構成です。C、Rの算出は、回路電流 がI (A) の場合、下記のようになります。
C = I × 2/10~I × 2/20 (μF)
R = 負荷の直流抵抗値 (Ω)
※負荷の直流抵抗は分からないことが多くあり、その場合は標準の120Ωを使います。
※C、Rの計算は参考値です。最終的にはこの値を目安に、実装試験でサージ吸収効果の確認が必要です。
接続はリード線タイプ、被覆電線タイプ、金属端子タイプがあります。使用する電子部品は、回路電圧より高い定格電圧のものを使用します。
使用可能直流電圧 ≦ 交流定格電圧x√2
スパークキラーの定格電圧は、交流表示となっています。スパークキラーは直流回路でも使用するので、スパークキラーの定格電圧を直流電圧に変換して、使用可否を検討します。
スパークキラーのその他情報
1. スパークキラーの配置
電源とスイッチ、及び抵抗などの負荷で構成されている回路において、基本的なスパークキラーの設置方法は、スイッチと並列に配置するか、負荷と並列に配置するかの2種類です。
直流回路では、2種類の配置方法が使われます。サージ吸収効果は両者ともに同じですが、スイッチの接点でスパークが目視確認できるような状態では、スイッチに並列接続する方法が有効です。
スイッチOFF時、回路はスパークキラーを通じでつながっており、スイッチ部で大きな電位差が生じないようになります。そのため、スパークキラーによって、高電圧になることを防げるので、スパークが起こりにくくなります。
また、交流回路の場合は、スパークキラーをスイッチに並列接続した場合、スイッチのOFF時に漏れ電流が流れます。この漏れ電流により、スイッチが誤動作を引き起こす可能性があります。したがって、交流では、負荷に並列にスパークキラーを接続するのが、一般的です。
2. サージ電圧の吸収
リレー、モーターなどの誘導性負荷を用いる回路において、スイッチの開閉操作で誘導性負荷から発生するサージ成分を吸収する目的で、誘導性負荷と並列にスパークキラーを挿入します。スパークキラーを挿入しないと、サージ電圧は誘導性負荷の駆動電圧の10~30倍程度にも及び、ノイズ周波数は100MHzを超えます。
サージ電圧の発生により、回路内の電子部品の絶縁破壊、プリント基板のパターンの損傷が起きます。さらに、発生したサージの高調波成分が直接、および回路パターンから輻射され、周辺機器、装置などに様々な弊害を与えることがあります。適切なスパークキラーを設置すれば、このようなサージ電圧を吸収することが可能です。
参考文献
https://www.dempa.co.jp/productnews/trend/h091105/h1105.html
https://www.okayaelec.co.jp/media/2017/03/08/7
https://www.okayaelec.co.jp/media/2017/03/08/8
www.op316.com/pdf/technical/spark-killer-okaya2.pdf