ロッドエンドベアリングとは
ロッドエンドベアリング (英: Rod End Bearings) とは、軸受ハウジングに、球面滑り軸受を組み込んだ軸受です。
「ロッドエンド」「球面滑り軸受」「球面滑り軸受ロッドエンド」とも呼ばれていて、JIS B601で下記のように規定されています。
- ロッドエンド
部品間の相対運動及び部品間を連結するための,ロッドエンドハウジング及び軸受で構成する組立品 - 球面滑り軸受ロッドエンド
ロッドエンドハウジングとスタッド付き又はスタッドなし球面滑り軸受とで構成する組立品
ロッドエンドベアリングの使用用途
図1. ロッドエンドベアリングの使用例
ロッドエンドベアリングは、回転もしくは揺動運動を行う部品の連結や運動伝達し、建設機械や産業用機械、自動車、航空機などに幅広く使用されています。図1の使用例では、生産ラインの一部でエアシリンダーのピストンロッド先端にロッドエンドベアリングを取り付け、流れているワーク (製品など) を一時的に停止させ再び流れさせるような制御をします。
ロッドエンドハウジング端部は「おねじ」または「めねじ」で、連結棒などの端部に締結して使用します。2つの部品の固定や連結するために使用し、両部品の相対的な変位を球面滑り構造によって許容する機械要素部品です。
ロッドエンドベアリングの原理
ロッドエンドベアリングは、穴あけされた球体の内輪部分「ブッシュ (ボール) 」と、ロッドエンドハウジングに組み込まれた外輪部分は、球面接触で滑らかで柔軟な回転運動ができる連結部品です。
そのため、ロッドエンドベアリングを取り付けた軸と連結される部品には、回転や傾斜に自由度のある接続方法になり、人間の関節のような役割をすることができます。また、高負荷にも耐えられ、高重量を扱う場合にも適しています。
ロッドエンドベアリングの構造
図2. ロッドエンドベアリングの構造
ロッドエンドベアリングは、図2のように軸を挿入する内輪部分を「ブッシュ」と、ねじ加工され連結棒など他の部品と接続する部分を「ロッドエンドハウジング」で構成されています。ロッドエンドベアリングで部品同士を連結させる場合は、連結棒と呼ばれる軸 (ロッド) の両端もしくは片端がねじ切り加工されたオスねじを、ロッドエンドベアリングハウジング部分のメスねじにねじ込み使用します。
ロッドエンドベアリングのボール状の内輪中心部にあけられた穴に、部品のピンやシャフト、ボルトなどを差し込み、ナットなどで内輪とピンなどを締結します。ロッドエンドベアリングと連結棒のねじ込み深さで、部品間の距離と連結棒の長さを調整することが可能です。
ロッドエンドベアリングの種類
図3. ロッドエンドの種類
1. 形状による分類
ロッドエンドハウジングは、「おねじ」と「めねじ」の2種類があり、連結棒などの接続する部品の構造により選択します。この部分をJIS B1601では、「ロッドエンドシャンク」と呼んでいます。
2. 潤滑による分類
ロッドエンドベアリングの潤滑は、「給油式 (給脂式) 」と「無給油式 (無給脂式) 」があり、給油式はハウジングにグリースニップルが取り付けられています。給油式は、グリースガンなどでニップルからグリースを注入します。
無給油式は、潤滑性のある合成樹脂などが、ロッドエンドハウジング外輪部に組み込まれていています。グリースを給脂する必要がないため、給脂するための作業ができない狭い場所用や、メンテナンスフリー用途で使用されています。
3. 材質による分類
ロッドエンドの種類使用されている一般的な材質は、下記のとおりです。
- ロッドエンドハウジング
S35C、S20Cなどの機械構造用炭素鋼 - ブッシュ
SUJ2 などの高炭素クロム軸受鋼鋼材、銅合金、自己潤滑性合成樹脂など
また、全てが樹脂製のロッドエンドもあり、樹脂には固体潤滑剤が配合されていて、無給油・無潤滑で使用できます。金属製と比較して、軽量で油やグリースが不要で、粉塵などがある環境でも使用が可能です。
耐食性、耐薬品性などがあり、樹脂が振動を吸収できるため、振動を伴う用途にも適用できます。
4. その他
図4. リンクボール
その他の種類として、リンクボールがあります。ブッシュ部がおねじの軸 (スタッド) と一体になっていて、スタッド部を他の部品にねじ込むか、ナットで締め付け固定して使用します。また、ブッシュはゴム製のブーツで覆われ、水や粉塵の侵入を防止するとともに、内部にグリースなどの潤滑材を封入する構造です。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0080.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/208/