引張りバネ

引張りバネとは引張りばね

引張りバネは、引張り荷重を受ける働きで使われます。
別名で「引きバネ」とも呼ばれています。
バネ自体はコイル部とフック部から構成されています。
コイル部は初張力の有効活用と省スペースのため、らせん状に巻いた形になっています。
フック部はバネの両端部分に荷重を受けるために設けてあります。
フック形状は、使用用途に応じて多くの種類が存在します。
一般的には必要とする引張り強度が上がるとフック加工も複雑となり、加工コストも上がります。

引張りバネの使用用途

引張りバネの使用用途は、自転車のスタンドやワンタッチ傘、電車のパンタグラフ等で使われています。
引張りバネは、線材をコイル状に巻いたバネです。同じコイル状のバネに圧縮ばねがあります。
両バネの違いは荷重を加える方向が逆になっています。
引張りバネは左右から引っ張った後、戻る力を利用します。
これに対して圧縮ばねは左右から押した後、戻る力を利用します。
圧縮ばねは身近なところでボールペンやパソコンのキーボード等で使われています。

引張りバネの原理

引張りバネは、両端部分に荷重を受けるために用意されたフックがあります。
フック形状は用途により数多くありますが、ここでは代表的な3点を以下に説明します。

  • 逆丸フック
    安価なことから最も使われているタイプです。コイル部のひと巻きを捻り起こした形状で別名アメリカンフックとも呼びます。
  • 半丸フック
    取付け場所が狭いケースで使われているタイプです。
    コイル部の半巻き分を捻り起した形状で他のタイプより端部の角度が緩やかなため、折れ難いです。
  • 角フック
    角フックは端部を角形に加工したタイプです。
    平板に取付けるケースで使われており、別名ジャーマンフックとも呼びます。

次に引張りバネの材料は、主にピアノ線、硬鋼線、ステンレス線が使われています。
最も使われているのは安価で加工が容易なピアノ線です。
ピアノ線はJISで規格化されており、A種、B種、V種の3種類があります。
A種は靭性が高く、B種はへたり性が高いです。V種は耐疲労性に優れています。

引張りばねの使い方

ねじりコイルばねのような一定の可動に合わせるものもあり、可動したパーツを元の位置に戻す役割があります。使い方の一例としては、スプリングのフック部分をパーツに取り付け可動域にテンションを掛ける方法が一般的です。

古くから機械要素として重要な役割があり使用用途は多岐にわたり、多くの産業に利用されています。

引張りばねの重荷重

ばねの荷重についてはおおよそのものが規格化されており、各要素を計算し安全に使用可能か求める必要があります。

エンジニアの腕の見せ所である、ばねの一端の規格を、一部ではありますが下記にご紹介します。

直径3-自由長10 : 線径0.45 mm : 最大タワミ(max.mm)2.2 mm : ばね定数2.26 N/mm : 初張力(N)1.57 N : 最大荷重(N)6.47 N
直径3-自由長20 : 線径0.45 mm : 最大タワミ(max.mm)6.7 mm : ばね定数0.74 N/mm : 初張力(N)1.57 N : 最大荷重(N)6.47 N
直径4-自由長15 : 線径0.55 mm : 最大タワミ(max.mm)4.5 mm : ばね定数1.47 N/mm : 初張力(N)1.86 N : 最大荷重(N)8.43 N
直径4-自由長25 : 線径0.55 mm : 最大タワミ(max.mm)10.0 mm : ばね定数0.66 N/mmN : 初張力(N)1.86 N : 最大荷重(N)8.43 N
直径5-自由長15 : 線径0.7 mm : 最大タワミ(max.mm)3.9 mm : ばね定数3.14 N/mm : 初張力(N)2.45 N : 最大荷重(N)14.71 N
直径5-自由長20 : 線径0.7 mm : 最大タワミ(max.mm)6.9 mm : ばね定数1.77 N/mm : 初張力(N)2.45 N : 最大荷重(N)14.71 N
直径5-自由長25 : 線径0.7 mm : 最大タワミ(max.mm)9.6 mm : ばね定数1.28 N/mm : 初張力(N)2.45 N : 最大荷重(N)14.71 N

上記以外にも大きさや形が変わる毎に規格が変わりますので、使用する用途に合わせて変更しましょう。

参考文献
https://www.fusehatsu.co.jp/product/product-02.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1200000000/M1202000000/M1202020000/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kikaikiso_0305/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/110302288510/
https://www.aoi-spring.co.jp/technology/pull/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kikaikiso_0305/

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