scm415とは
scm415はクロムモリブデン鋼と呼ばれる合金の一種で、JIS規格に規定されており、硬く強度があり靭性・加工性に優れた金属です。
クロムモリブデン鋼はクロム鋼にモリブデンを加えて改良したもので、「クロモリ鋼」と略して呼ばれることがあります。
scm415の構成成分は、炭素0.13~0.18%、クロム0.90~1.20%、モリブデン0.15~0.25%、ニッケル0.25%以下です。
通常scmの後の数字が大きくなるほど炭素量が多く、硬度・引張強さが高くなりますが、scm415はクロモリ鋼の中で炭素量が最も低いため、硬度や引張強さが最低値を示す材料です。
しかし、表面のみに焼きを入れて炭素量を増やし、表面硬化をさせると同時に内部の粘りを保つ方法、「浸炭焼入れ」をおこなって、荷重や衝撃に耐えられる強度を得ることができます。
浸炭焼入れをおこなって、焼入性が保証されたscm415にHの記号をつけた材料が、JIS規格品「scm415H」という名称で用いられることもあります。
scm415の使用用途
scm415は強度・靭性・摩耗性に優れているため、自転車部品・機械部品・工具類など幅広く使用されています。
1. 自転車部品
自転車のフレームに多く使用されている金属です。
500℃くらいの高温に耐えるためフレーム加工がしやすく、高温でも強度が低下しにくく靭性もあるためです。
自転車本体だけではなく、メンテナンス用のレンチなどの工具やそのパーツ類にも用いられており、サイクル用品全体で使われています。
2. 機械部品
シャフト類・スピンドル・ギア・ピストンなど、耐摩耗性が必要とされる機械部品に用いられています。
具体的には、機械のエンジン用クランクシャフトやモーターシャフト、産業用ロボットや一般機械の歯車・ギア、油圧機器用のカプラ・ピストン類が挙げられます。
3. ボルト・ナット類
六角ボルトやナットなどの、強度を必要とする場合に使用されるボルト類に多く採用されています。
ホームセンターなどのネジ売り場で見ることのできる身近な材料です。