ミックスドシグナルオシロスコープ

ミックスドシグナルオシロスコープとは

ミックスドシグナルオシロスコープ (英: Mixed Signal Oscilloscope) とは、アナライザの機能を持つデジタルオシロスコープのことです。

最近のデジタルオシロスコープでは、ロジック入力の機能を装備してアナログとデジタルの両方の信号を表示できる機種が増えていますが、それらをミックスドシグナルオシロスコープと呼び、通常のオシロスコープと区別しています。ミックスドシグナルオシロスコープでは、アナログ入力チャンネルからの信号波形と、デジタル入力チャンネルからのロジック波形を一つのディスプレイ上に表示し、両者を同一時間軸で比較することが可能です。

ミックスドシグナルオシロスコープの使用用途

ミックスドシグナルオシロスコープは、特にアナログ信号とデジタル信号が混在した回路の信号解析に使われます。従来は、アナログ信号の観測用にオシロスコープ、デジタル信号の観測にロジックアナライザを用意し、それらを組み合わせて測定していましたが、一台のミックスドシグナルオシロスコープを用いることで作業効率が大幅に向上するようになりました。

アナログとデジタルの信号を同時に観察し解析することができるため、例えばロジック回路からのデジタル信号が特定のステータスを示したタイミングでトリガーを掛けることにより、その前後のアナログ回路の信号波形を観測することが可能です。また、高速デジタル回路における特定のタイミングで発生するトラブル解析において、デジタル信号の波形をオシロスコープを用いて、立上り時間の遅れやオーバーシュート/アンダーシュートの有無などを観測する際にも非常に有効な測定器です。

ミックスドシグナルオシロスコープの原理

ミックスドシグナルオシロスコープは、デジタルオシロスコープにロジックアナライザの機能を組み込んだ測定器で、両者を統合して波形データの取得を可能にしたものです。どちらの機能も共通の時間軸を基にデータの取り込みを行うので、アナログ信号の波形とロジック回路のデジタル信号のタイミングは完全に一致しています。

アナログ入力は4~8チャンネル、分解能は8~12bit 、一方デジタル入力は16チャンネルもしくはそれ以上で、1bitの信号として扱うのが標準的なスペックです。メモリ長は機種ごとに異なりますが、大きいほど測定上有利になります。なお、一般にデジタル信号の方が長い時間データを取得できます。

ディスプレイ上には、時間軸を共通にしてアナログ信号波形とデジタル信号が表示されるので、双方の関係が一目瞭然となり、回路の動作解析に非常に有効です。なお、機種によってはWindows10等のオペレーティングシステムを採用しているものもあり、PCやタブレットなどの操作性を継承することから、より効率的に作業を進めることができます。

ミックスドシグナルオシロスコープのその他情報

ミックスドシグナルオシロスコープ特有の便利な機能

ミックスドシグナルオシロスコープ特有の便利な機能について、メモリデバイスの回路解析を例に説明します。コントローラからメモリへ出力されるコマンドはRAS、CAS、WEの信号の組み合わせで定義されていますが、その表示に信号名ではなくシンボルを使うと、”Hi”と”Lo”のロジック波形だけでなく”Read”や”Write”といったシンボルで表示することができるので、信号解析を進める上で大変便利です。

さらに、”Read”や”Write”のパターンをトリガ条件に設定すれば、そのときのデータやアドレスの信号波形をオシロスコープで観察できます。逆に、オシロスコープに入力された異常な波形をトリガ条件にすると、その現象がどのシーケンスで発生するのかを確認することも可能です。

もう一つの例として、通常のオシロスコープではチャネルが不足する場合の対処があります。余っているロジックチャネルは、波形を観察できませんが、トリガ入力やタイミングの確認用に設定することができます。従って、波形を観察する対象の信号だけにオシロスコープのチャンネルを割り当てられるので、オシロスコープのチャンネルを有効に活用することが可能です。

参考文献
https://tmi.yokogawa.com/jp/
https://teledynelecroy.com/japan/products/scopes/mso-xs/default.asp
https://jp.tek.com/oscilloscope-mixed-signal-oscilloscope
https://www.perytech.com/Language/jp/MSO.htm
https://jp.tek.com/oscilloscope

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